August 08, 2010

日本のプロ野球の8月3日の巨人戦で、ダメ捕手城島が「カウント2−2から、1試合に2度ピッチアウトする」という、なんとも身の丈をわきまえないプレーをしてタイムリーやホームランを打たれてチームを負けさせるという不始末プレーがあったらしい。
当然のことながら「カウント2−2からのピッチアウト」は特殊である。フルカウントになることを投手に強要する行為だからだ。その行為を我慢した上で打者にタイムリーだのホームランだの打たれた日には、投手としたら目もあてられない。

該当するゲームを見ていないし、過去のプロ野球のゲームは、MLBのGameDayのように、詳細に遡る手ごろな手段が見当たらないので、「らしい」としかいえないのだが、この「2アウトで、カウントも2−2、どうしてもランナーの盗塁を刺さなくてはならない場面でもなく、むしろ絶対に四球にすべきでない場面」なのに、わざわざ「カウント2−2からピッチアウトしてフルカウントにする」とかいうスタンドプレーは、実は8月の2回だけではない。
少なくとも今年5月の日本ハム戦でも一度やっていて、シーズンで最低3度やっていることは、ネットのブログ記事などからわかった。


この3度の「カウント2−2からのピッチアウト」には、ある共通点があるのだが、その点は誰も指摘してないようだ。
可笑しいのは、この5月1回、8月2回、計3回のシチュエーションが、3度が3度ともソックリなのだ。
 クロスゲーム
 2死1塁
 代走
 カウント2−2

まるで、特定の色を見せてからエサを与え続けていると、色を見せただけでヨダレを垂れながす犬のような、「脊髄反射キャッチャー」である。いかに普段から頭を使ってないか、よくわかる。
他に自慢できるものが無いプレーヤーだから、たいした数字でもない盗塁阻止率を見せかけだけ上げておきたいのかなにか知らないが、いかにこれまで投手に無駄な負担をかけてまでスタンドプレーして、盗塁阻止してきたかを立証するデータがまたひとつ出てきた、というわけだ。ランナーが出たら左打者にはセカンドに送球しづらいインコースには投げない、なんていう行為だけではなかったのである。
この「カウント2−2からフルカウントにしてまでピッチアウトする」という例は、メジャーでもやっていたのかどうか記憶に無いのだが、また暇なときにでもメジャー時代での例を検索して、みつかったらブログ記事にするつもりだ。


MLBには公式サイトのGameDayという素晴らしいサービスがあるために、過去のゲームの試合展開を詳細に遡ることができる。「どの試合で」「どの投手が」「何球に」「どんな球種を投げ」「どんな結果になったか」を、簡単に見ることができるのである。
だが、日本のプロ野球の場合は、そういったデータサイトが充実していない。ヤフーの試合結果なども、当日のゲームについては「1球速報」という形で詳しい経過が見られるが、そのデータを後々になって参照することができない。

だから以下に残すシチュエーションの記録作成にあたっては、ヤフーの粗い試合経過記事、いくつかのファンブログ等を参考に、手作りで再構成してみるほかなかった。多少間違いがあったとしてもご容赦願いたい。


ケース1
2010年5月30日 札幌ドーム 日本ハム対阪神戦


8回裏 スコア:0-2 阪神投手:久保
田中賢 ヒット 無死1塁
森本  ヒット 無死1、2塁
糸井  併殺打 2死3塁
二岡  タイムリー 2死1塁(日本ハム代走:紺田 スコア:1−2)
阪神投手交代 久保→藤川球児
小谷野 カウント2−2からピッチアウト 紺田2塁で憤死

9回裏(スコア:1−2 阪神投手:藤川球児)
小谷野 カウント1−0 同点ホームラン(スコア:2−2)

このゲームで面白いのは、城島がカウント2−2で盗塁を刺すのに成功したことなどではなく、そのときの投手が「回またぎ登板」の阪神のクローザー藤川球児で、バッターが日本ハム小谷野だったことだ。
クローザーとして名高い藤川が、打者をせっかく2−2にまで追い込んでいるにもかかわらず、わざわざピッチアウトしたのである。梨田監督の無理な強攻策が次々とはずれまくって走者がたまたまアウトになってくれたからいいようなものの、そうでなければ阪神はこの無駄なプレーでゲームに負けていたかもしれない。
この試合で藤川は2試合連続の「回またぎ登板」をしているのだが、藤川は8回裏に2−2まで追い込んでいた小谷野の打席で「ピッチアウト セカンド盗塁死」があったために、9回裏になって、ふたたび登場した小谷野と対戦した。そして、その1点差の9回裏に再登場した小谷野は、起死回生の同点ホームラン。
たぶんけして偶然ではないだろう。「一度打席で普段目にしてない別のリーグの投手である藤川球児の球筋を見ていて、目が慣れていた」好打者に、似たような球、似たような組み立てしかできなければ、そりゃ結果は知れている。
日本ハム監督梨田さんが、1点差負けの8回裏の無死1、2塁にもかかわらず、バントさせずに強攻を選択してダブルプレーにしてしまったにもかかわらず、こんどは2アウトからスチールまでも強攻させて、さらにそのスチールすら失敗、という、相手チームの判断ミスの連続にも助けられただけのことでもある。
結果的に、「盗塁阻止」を優先して、小谷野と2度勝負することで、勝負に負けたのは、日本ハムではなくて阪神のダメ捕手である


ケース2
2010年8月3日 東京ドーム 巨人対阪神


5回裏(スコア:1−0 阪神投手:スタンリッジ)
2アウトから
代打工藤  死球 2死1塁
坂本  カウント2−2からピッチアウト
     その後坂本に粘られ四球 2死1、2塁
松本  投手強襲タイムリー(スコア:2−0)


ケース3
2010年8月3日 東京ドーム 巨人対阪神


8回裏(スコア:3−1 阪神投手:安藤)
2アウトから
エドガー ヒット 2死1塁(巨人代走:鈴木)
脇谷  カウント2−2からピッチアウト
     フルカウント後ヒット 2死1、2塁
阿部  カウント2−2から3ラン(スコア:6ー1)


この8月の巨人戦の2度のケースは、5月の日本ハム戦のケースとあまりにもソックリ、というか、まるで同じシチュエーションなのが、つい笑ってしまう。
2アウトまで持ち込んでおきながら、ランナーを不注意に出す。そこに代走が出される。もちろん足の速い選手だ。カウントは2−2。ダメ捕手からのサインでピッチアウトする。だが、無駄にフルカウントにしてしまい、ランナーを貯めてしまう。
そして、タイムリー。ホームラン。

5月にたまたまセオリーにないことをして、相手チームの不用意なスチールを刺しただけなのに、「してやったり。このパターンは使える」といい気にでもなっていたのだろうが、そのときですら直後のバッター小谷野にさんざん球筋を見られて、9回裏に同点ホームランを打たれて延長戦に持ち込まれていることは綺麗さっぱり忘れているのが、いかにもダメ捕手らしい。







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