September 09, 2010

今日のオークランド戦、逆転負けの原因は明らかに6回裏にオークランドが決めた「1イニング2つのダブルスチール」
Seattle Mariners at Oakland Athletics - September 8, 2010 | MLB.com Gameday

オークランドの公式サイトでも、「今日の勝因は2つのダブルスチール」と明言している。
なのに、シアトルの地元メディアときたら、ダブルスチールについては何も触れず、今日の負けゲームの記事を「まぁフレンチはよくやった」とか適当に切り上げてお茶を濁しているのだから、なんともぬるい話だ。
They countered with two double steals. In one inning. And won because of it. (Crisp drives A's to series win vs. Mariners | oaklandathletics.com: News)


ひとつのイニングにダブルスチールを2度決められるなんてことはあまりあることではない。試合終了直後から調べていてもいたのだが、どうも検索の仕方がよくないのか、なかなか他のサンプルが出てこなかった。

ついさっきみつけたのはLarry Larueがソースの下の記事だが、それによると「1イニング2ダブルスチール」はオークランドでは1983年以来の記録のようで、そうだとすると「27年ぶりの記録」ということになる。さすがに、かつてリッキー・ヘンダーソンを輩出したチームなだけはある、と、変な感心のしかたをした。
約30年に一度の珍しい記録ではあるが、全く初めての記録なわけではないのだ。やっぱりメジャーの歴史は奥が深い。
M’s bats wilt after hot start - Mariners - The Olympian - Olympia, Washington
Crisp singled home the go-ahead run, then the Athletics pulled their second double-steal of the inning – this time it was Cliff Pennington and Crisp. Oakland hadn’t done that in an inning since 1983.

追記:オークランドが最初に「1イニング2ダブルスチール」をやったのは1983年7月17日のボストン戦で、こんどが2度目らしい。当時は思ったとおりリッキー・ヘンダーソンの現役中で、80年から86年まで7年連続盗塁王になったヘンダーソンの輝かしい盗塁全盛期にあたる。
the two double steals in one inning represented the first time the A's had achieved such a feat since July 17, 1983, in the fifth inning at Boston.
Crisp drives A's to series win vs. Mariners | oaklandathletics.com: News


この「1イニング2ダブルスチール」について当事者のアダム・ムーアがなんといっているかというと、こんな感じ。「一度目のダブルスチールは刺したと思ったんだけどね」とか、質問と答えがチグハグな様子で、ちょっと意味がわからない。
要は、最初のダブルスチールでアンパイアにセーフと言われてしまい、それをグチグチと脳内で愚痴りながらプレーしていて気をとられているうちに、2度目のダブルスチールを決められてしまったのだろう。
そう言えばいいのに。しょうもない。
“I thought I got Davis on the first one,” catcher Adam Moore said, “but the call went the other way. On the second double steal, I didn’t even throw. They both got huge jumps.”


ちょっと右打者アダム・ムーアと左打者ロブ・ジョンソンの2人を比較してみる。

結論から先にいうと、アダム・ムーアはたとえで言うと、スローイングでは「肩が弱いというか、注意力の散漫なキャッチャー」、打撃面では「四球を選べず、三振の多いロペスタイプの右の扇風機」であり、リード面では「キロス、城島レベル」。トータルに言えば「注意力が散漫なせいもあって盗塁を刺せず、リードが単調で、打撃では打率が異常に低い、まるで城島風味のキャッチャー」とでもいうか、まぁ、そういうレベルの選手である。
以下に挙げる打撃データもあわせてみてもらうと、アダム・ムーアが、いかに「かつてシアトルによくいたフリースインガーの右打者の再来」であることがよくわかることだろう。

リード面は、今日のGamedayをみてもらってもわかることだが、今日ムーアがルーク・フレンチに出したサインは「初球はいつもストレートばかり」、それがオークランド打線にバレて、ランナーが出ると、とたんにこんどは「初球はチェンジアップばかり」
これでは、打たれるとコロリとリードを180度かえて、かえって打たれてばかりいた城島・キロスばりの単純リードである。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:「城島コピー捕手」キロスと「キロス問題」


盗塁阻止率
アダム・ムーア .286 (44ゲーム先発 20盗塁 8阻止)
Adam Moore Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN
ロブ・ジョンソン .353 (57ゲーム先発 22盗塁 12阻止)
Rob Johnson Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN

ついでに打撃データもあげてみる。
(打率、OBP、SLG、OPSの順)

アダム・ムーア   .187 .220 .290 .510
二塁打 4 ホームラン 4 12打点
ロブ・ジョンソン    .191 .293 .281 .574
二塁打 10 ホームラン 2 13打点

この2人のプレーヤー、打撃成績が非常に似かよっている。だが、最も大きな違いは「出塁率の大差」で、もっと正確にいえば、「四球数の違い」だ。
2010年 四球数
アダム・ムーア  5
ロブ・ジョンソン 25


9月6日の記事で、同じ「1983年生まれ世代」に属しているホセ・ロペスとジョー・マウアーの打撃成績の最も大きな差異は、「長打の数」ではなくて「四球数」であることを書いたが、このアダム・ムーアも、実は、ロペス(あるいはベタンコート、城島など)と、そっくり同じ特徴をもっている。
シアトルウオッチャーなら誰でもわかっているとおり、この「四球数も、四球率も、異常なくらい少ないこと」、そして「出塁率が異様に低いこと」、加えて「打率が低い右打者」は、シアトルのマイナーが育ててきた選手のかなりの部分と、シアトルがバベジGM時代に熱心に獲得してきたフリースインガーたち共通の特徴である。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年9月6日、世代交代の主役「1983年世代」のジョー・マウアーとホセ・ロペス、打撃成績の一番の違いは「四球数」。

BB/PA 打席あたり四球率
アダム・ムーア  .030
ロブ・ジョンソン  .120

参考:城島のシアトル在籍時の四球率
2006年 .037
2007年 .029
2008年 .047
2009年 .047
メジャー通算 .038(4年間もこの数字を続けたのだから酷いものだ)

参考:2010シアトル チーム内BB/PAランキング
ランガーハンズ    .189
バーンズ        .158
ブラニヤン       .128
ロブ・ジョンソン   .120
(中略)
ホセ・ロペス     .035
ジャック・ウィルソン  .033
アダム・ムーア    .030
ジャスティン・スモーク .015
Seattle Mariners 2010 Batting / Hitting Statistics - ESPN

BB/SO 四球と三振の比率
アダム・ムーア  0.09
ロブ・ジョンソン  0.46


ベタンコート、城島、ロペス、ほかにも2005年以降にシアトルのロスターには、たくさんの選手たちがこの「四球を異常に選ばない。かつ、凡打の山を築き、併殺を大量生産する右打者」に属していて、やがて大半の選手がクビになった。(セクソンは、例えば2007年夏までの打撃成績を城島と比べるとわかるが、シアトルにしては四球率の高いバッターではあった)

では、その後、「扇風機コレクション」の好きなシアトルの悪しき伝統は無くなったのか?

まさか(笑)
そんなこと、あるわけない(笑)
このチーム、よせばいいのに、ひそかに扇風機を着々と集めつつある。

でなければ、打率が2割すらないアダム・ムーアをクリンアップの5番にすえたりしない(笑)

打率2割以下のクリンアップ? ありえない(笑)


アダム・ムーアとロブ・ジョンソンのロスター入れ替えを進言したのは、かつてシアトルのマイナーで捕手コーディネイトを担当してきたコーチで、彼は、ワカマツがクビになった後にメジャーのコーチに収まったわけだが、彼の推すアダム・ムーアは明らかに「城島、ロペス、ベタンコートタイプ」のフリースインガーの右打者である。
シアトルのマイナーがこれまで育ててきた打者には、こういう「高めのストレートにはめっぽう強いが、低めの変化球にからきし弱い。三振が多く、四球を選べない。なんでも振りまわして、併殺が多い。進塁打も苦手」、そういう「不器用な壊れた扇風機タイプ」が実に多い。
この打撃不振にあえぎ続けるチームが、なぜあれほど打てないダメ捕手城島を気に入って大金を払ったかについては、こういう「チームの間違った好み」の問題があっただろう。

さらには、現在の無能なGMズレンシックのお気に入りのひとり、ジャック・ウィルソンも、スペランカーでほとんどゲームに出ない高給取りなだけではなくて、実は、ただでさえ出塁率や打率の低いこのチームで、ベスト3に入るほど「四球を選べない、器用さの全く無い打ちたがりの右打者」であり、また、クリフ・リーを放出してまで獲得したジャスティン・スモークも、テキサスでのBB/PAは.138だったにもかかわらず、シアトルに来てからはいわゆる「扇風機」、フリースインガーである。(スモークがシアトルのマイナーでいくら四球を選ぼうと、そんなのはまるで関係ない。マイナーは所詮マイナー。下での打撃内容がメジャーでそのまま実行できるほど、メジャーの投手は甘くない)


右打者不利のこの球場をホームにもつこのチームが、なんの見通しもなく集めてきた数多くの「無駄な右の壊れた扇風機コレクション」を、大変な時間をかけ、苦労して、ようやく整理できつつあったにもかかわらず、またもや右打者ジャック・ウィルソンに大金を払い、四球を選べる左のロブ・ジョンソンをマイナーに落としてまでして、打てない右の扇風機アダム・ムーアをロスターに上げ、さらには貴重な先発投手クリフ・リーを放出してまで若い扇風機スモークを獲得したこのチームの2011年、つまり来年の野球が、「シアトルの打者共通の欠陥である出塁率の低さを大きく改善する野球に変わる」わけがない(笑)

あと、ついでながら、出戻りのブラニヤンも、スタッツをみればわかることだが、「左のセクソン」なだけ。チームの救世主でもなんでもない。たまに打つホームラン以外には、四球をちょろちょろと選び、あとは三振というあたりが、実にセクソンそっくり。
セクソンをクビにするのにあれほど手間がかかったのに、シアトルは自らの手で、また主軸に「左のセクソン」を迎え入れたのである。







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