September 27, 2010
ピート・ローズという野球賭博で永久追放になった人が、イチローのことをとやかく言っているようだが、ちょっと笑ってしまう(笑)
通算長打率
イチロー .430
ピートローズ .409
【MLB】トーリ監督「ローズより優れた才能」とイチローを絶賛 - MSN産経ニュース
どうして、たとえば長打率という誰にでもわかるハッキリした数字があるのに、「オレのほうが長打を打ってる」なんてテキトーな嘘を公然と言ってのけられるのか。不思議なおヒトがいるものだ。
さすが、賭博で永久追放になった人なだけのことはある。
ハッキリしておいてくれたまえよ。オッサン。
通算長打率はイチローのほうが高い。
どうしてこういう笑い話みたいなことになるか、面倒だが、多少細かく説明しよう。
イチロー
(メジャー9シーズン+2010年シーズン9月26日まで)
二塁打 228本
三塁打 68本
ホームラン 84本
Ichiro Suzuki Batting Statistics and History - Baseball-Reference.com
ピート・ローズ(24シーズン)
二塁打 746本
三塁打 135本
ホームラン 160本
Pete Rose Batting Statistics and History - Baseball-Reference.com
実数としてはメジャー生活が長いローズが上回る。だが、これを「1シーズンあたりの長打数」「長打1本あたりの打席数」に換算してみると、まったく様相が変わる。
こんな数字になる。
シーズンあたり長打数
イチロー(9シーズン+2010年シーズン9月26日まで)
二塁打 22.8本
三塁打 6.8本
ホームラン 8.4本
ピート・ローズ(24シーズン)
二塁打 31.08本
三塁打 5.63本
ホームラン 6.67本
1本の長打を打つのに要した打席数
イチロー(7301打席=2010年シーズン9月26日まで)
二塁打 32.02打席
三塁打 107.37打席
ホームラン 86.92打席
ピート・ローズ(15861打席)
二塁打 21,26打席
三塁打 117.49打席
ホームラン 99.13打席
どうだ。
二塁打以外、すべてイチローがピート・ローズより質的に勝る。「ピート・ローズがイチローより長打力がある」などと言える根拠など、むしろ、どこにも無い。
出塁率についても、ほぼ同じ通算スタッツのピート・ローズにとやかく言われるような筋合いはないし(通算出塁率 イチロー.376 ローズ.375)、二塁打数の違いにしても、イチローの盗塁数の多さと、メジャー最高レベルの盗塁成功率、併殺打の少なさなどをきちんと考慮すれば、ピート・ローズ程度の二塁打数くらい、別にたいしたことはない。
イチローは、既にピート・ローズの2倍以上の数の盗塁を成功させており、盗塁成功率は実に81.3%(2010年9月26日現在)と、80%を越えている。成功率に関してだけいえば、75.34%のルー・ブロック、80.76%のリッキー・ヘンダーソンすら越えている。ア・リーグ記録はWillie Wilsonの83.3%(300以上の企図数)だから、イチローは盗塁成功率のア・リーグ新記録も狙える位置にいる。
ナ・リーグの歴代最低盗塁成功率57.1%を記録し、40数%もの盗塁を失敗して、せっかくのヒットを数多く無駄にし続けたピート・ローズに、別に何を言われようと、別に痛くも痒くもない。
Lou Brock Statistics and History - Baseball-Reference.com
Rickey Henderson Statistics and History - Baseball-Reference.com
通算出塁率
イチロー .376
ピート・ローズ .375
盗塁数
イチロー 382(失敗数 88 成功率 約81.3%)
ピート・ローズ 198(失敗数 149 成功率 約57.1%)
(注;盗塁企図数200以上の全プレーヤーのうち、ピート・ローズの盗塁成功率57.1%は、ナ・リーグの歴代最低記録 ちなみにア・リーグ歴代最低は、ルー・ゲーリッグの50.2%だが、彼はホームランバッターだし、参考にはならない。102回成功、100回失敗)
Stolen Bases Records by Baseball Almanac
シーズンあたり盗塁数
イチロー 約38.2回(=2010年シーズン9月26日まで)
ピート・ローズ 8.25回
イチローのヒットに、382もの盗塁数を重ねあわせて考えてみれば、両者の出塁状況の大差は、さらにわかりやすい。
イチローは228本の二塁打以外に、382回もセカンド(あるいはサードへの盗塁)を陥れて、チームに多数の得点チャンスを与えてきた。つまり、イチローがバット(二塁打)と足(セカンドまたはサードへの盗塁)で得点圏の塁を新たに陥れた総数は10シーズン通算で600回以上にもなっていて、1シーズンあたりに直すと60回以上にもなるのである。
同じことをピート・ローズについて計算してみると、二塁打が1シーズンあたり約31本、盗塁が1シーズンあたり約8回だから、合計しても、1シーズンあたり40回にすら届かず、イチローの3分の2しかない。
シーズンあたり、わずか8回ちょっとしか盗塁しないピート・ローズでは、シーズンあたりの盗塁数が約40にも及ぶイチローのチャンスメイクの超絶パワーの比較対象にもならないのである。
そして、イチローの盗塁の芸術品たる所以は、盗塁失敗がわずか88回しかなく、盗塁成功率がメジャー最高クラスの81.3%にも達していることにもある。
一方で、ピート・ローズは、盗塁数が24シーズンでわずか198しかないにもかかわらず、およそ40%以上もの盗塁を失敗している。(しつこいようだがピート・ローズの盗塁成功率57.1%は、盗塁企図数200以上でのナ・リーグ歴代最低記録)
さらに、考慮すべきなのは「併殺打の数」だ。
イチローはメジャー10シーズンでわずか46しか併殺打を記録していない。
他方、ピート・ローズの併殺打数は通算で247もあり、アウトカウントをおよそ500も無駄に生産している。ピート・ローズは、1シーズンあたりイチローの約2倍の併殺打を打ち、実数ではイチローの約5倍の数の併殺打を打って、大量のアウトカウントを無駄に生産しているのである。
つまりピート・ローズの生産したアウトカウントは、盗塁死において149、併殺打で約500足らずあるわけだから、この2つのケースの合計で「ピート・ローズが、自分のプレーミスでいたずらに増やしたアウトカウント数」は、なんと合計650もの数になる。
韋駄天イチローは常に全力プレーで1塁を駆け抜け続け、数々のダブルプレーを阻止し、数々の内野ゴロを内野安打化してきたわけだが、それはイチローが自分の快足を生かして無駄なアウトカウントを減らし、アウトさえヒットに変えたという意味であり、その数は相当数にのぼることの重要性を忘れてもらっては困る。
両者の差は
「スピードの違い、
プレーの正確さの違い。
そしてクリーンさの差」である。
これらの差は、すべてMLBの歴史的変化が背景にある。
たった1本のソロホームランを打つために20回も30回も三振するバッターが現代野球を作ってきたのではなく、スピードスター、イチローがメジャーの野球を変えた、といわれる所以(ゆえん)が、この「スピード」、そして「クリーンさ」にあると、何度説明すればわかるのだろう?
一度ケン・バーンズにでも、メジャーの歴史の大きな流れの変化について聞いてくるといい。
イチローとピート・ローズ、どちらが質の高いプレーをしてきたか?
考えるまでもない。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年9月9日、盗塁とホームランの「相反する歴史」。そしてイチローのメジャーデビューの歴史的意義。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年9月11日、イチローも登場するらしい9月末公開のスポーツドキュメンタリー"The Tenth Inning"を作ったケン・バーンズの横顔。彼の考える「MLB史におけるイチロー登場の意義」は、このブログと同じ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年9月15日、イチローにケチをつけようとして大失敗したRob Dibbleと、イチローを賞賛したRob Neyer、「2人のRob」のどちらが「いまどきの記者」か。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年9月16日、ちょっと忘れっぽくなっているらしいピート・ローズ氏が、かつてスポーツ・イラストレイテッドの Joe Posnanskiに語ったことの覚え書き。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年9月20日、シアトル・タイムズのスティーブ・ケリーが、"The Tenth Innning"のケン・バーンズと共同監督のリン・ノビックが行った「イチローインタビュー」について当人に取材して書いた記事の、なんとも哀れすぎる中身とタイトル。
そう。
むしろ「二塁打をやっと打てるくらいで、長打は言うほど多くもないのに自慢したがり、足はそれほど速くないのに盗塁しては失敗ばかりして、併殺打もかなり多く、無駄なアウトカウントを増やすことに無頓着だった、見栄っ張りの雑なプレーヤー」に、いまさら何を言われようが、別に気にしないのである。
通算長打率
イチロー .430
ピートローズ .409
【MLB】トーリ監督「ローズより優れた才能」とイチローを絶賛 - MSN産経ニュース
どうして、たとえば長打率という誰にでもわかるハッキリした数字があるのに、「オレのほうが長打を打ってる」なんてテキトーな嘘を公然と言ってのけられるのか。不思議なおヒトがいるものだ。
さすが、賭博で永久追放になった人なだけのことはある。
ハッキリしておいてくれたまえよ。オッサン。
通算長打率はイチローのほうが高い。
どうしてこういう笑い話みたいなことになるか、面倒だが、多少細かく説明しよう。
イチロー
(メジャー9シーズン+2010年シーズン9月26日まで)
二塁打 228本
三塁打 68本
ホームラン 84本
Ichiro Suzuki Batting Statistics and History - Baseball-Reference.com
ピート・ローズ(24シーズン)
二塁打 746本
三塁打 135本
ホームラン 160本
Pete Rose Batting Statistics and History - Baseball-Reference.com
実数としてはメジャー生活が長いローズが上回る。だが、これを「1シーズンあたりの長打数」「長打1本あたりの打席数」に換算してみると、まったく様相が変わる。
こんな数字になる。
シーズンあたり長打数
イチロー(9シーズン+2010年シーズン9月26日まで)
二塁打 22.8本
三塁打 6.8本
ホームラン 8.4本
ピート・ローズ(24シーズン)
二塁打 31.08本
三塁打 5.63本
ホームラン 6.67本
1本の長打を打つのに要した打席数
イチロー(7301打席=2010年シーズン9月26日まで)
二塁打 32.02打席
三塁打 107.37打席
ホームラン 86.92打席
ピート・ローズ(15861打席)
二塁打 21,26打席
三塁打 117.49打席
ホームラン 99.13打席
どうだ。
二塁打以外、すべてイチローがピート・ローズより質的に勝る。「ピート・ローズがイチローより長打力がある」などと言える根拠など、むしろ、どこにも無い。
出塁率についても、ほぼ同じ通算スタッツのピート・ローズにとやかく言われるような筋合いはないし(通算出塁率 イチロー.376 ローズ.375)、二塁打数の違いにしても、イチローの盗塁数の多さと、メジャー最高レベルの盗塁成功率、併殺打の少なさなどをきちんと考慮すれば、ピート・ローズ程度の二塁打数くらい、別にたいしたことはない。
イチローは、既にピート・ローズの2倍以上の数の盗塁を成功させており、盗塁成功率は実に81.3%(2010年9月26日現在)と、80%を越えている。成功率に関してだけいえば、75.34%のルー・ブロック、80.76%のリッキー・ヘンダーソンすら越えている。ア・リーグ記録はWillie Wilsonの83.3%(300以上の企図数)だから、イチローは盗塁成功率のア・リーグ新記録も狙える位置にいる。
ナ・リーグの歴代最低盗塁成功率57.1%を記録し、40数%もの盗塁を失敗して、せっかくのヒットを数多く無駄にし続けたピート・ローズに、別に何を言われようと、別に痛くも痒くもない。
Lou Brock Statistics and History - Baseball-Reference.com
Rickey Henderson Statistics and History - Baseball-Reference.com
通算出塁率
イチロー .376
ピート・ローズ .375
盗塁数
イチロー 382(失敗数 88 成功率 約81.3%)
ピート・ローズ 198(失敗数 149 成功率 約57.1%)
(注;盗塁企図数200以上の全プレーヤーのうち、ピート・ローズの盗塁成功率57.1%は、ナ・リーグの歴代最低記録 ちなみにア・リーグ歴代最低は、ルー・ゲーリッグの50.2%だが、彼はホームランバッターだし、参考にはならない。102回成功、100回失敗)
Stolen Bases Records by Baseball Almanac
シーズンあたり盗塁数
イチロー 約38.2回(=2010年シーズン9月26日まで)
ピート・ローズ 8.25回
イチローのヒットに、382もの盗塁数を重ねあわせて考えてみれば、両者の出塁状況の大差は、さらにわかりやすい。
イチローは228本の二塁打以外に、382回もセカンド(あるいはサードへの盗塁)を陥れて、チームに多数の得点チャンスを与えてきた。つまり、イチローがバット(二塁打)と足(セカンドまたはサードへの盗塁)で得点圏の塁を新たに陥れた総数は10シーズン通算で600回以上にもなっていて、1シーズンあたりに直すと60回以上にもなるのである。
同じことをピート・ローズについて計算してみると、二塁打が1シーズンあたり約31本、盗塁が1シーズンあたり約8回だから、合計しても、1シーズンあたり40回にすら届かず、イチローの3分の2しかない。
シーズンあたり、わずか8回ちょっとしか盗塁しないピート・ローズでは、シーズンあたりの盗塁数が約40にも及ぶイチローのチャンスメイクの超絶パワーの比較対象にもならないのである。
そして、イチローの盗塁の芸術品たる所以は、盗塁失敗がわずか88回しかなく、盗塁成功率がメジャー最高クラスの81.3%にも達していることにもある。
一方で、ピート・ローズは、盗塁数が24シーズンでわずか198しかないにもかかわらず、およそ40%以上もの盗塁を失敗している。(しつこいようだがピート・ローズの盗塁成功率57.1%は、盗塁企図数200以上でのナ・リーグ歴代最低記録)
さらに、考慮すべきなのは「併殺打の数」だ。
イチローはメジャー10シーズンでわずか46しか併殺打を記録していない。
他方、ピート・ローズの併殺打数は通算で247もあり、アウトカウントをおよそ500も無駄に生産している。ピート・ローズは、1シーズンあたりイチローの約2倍の併殺打を打ち、実数ではイチローの約5倍の数の併殺打を打って、大量のアウトカウントを無駄に生産しているのである。
つまりピート・ローズの生産したアウトカウントは、盗塁死において149、併殺打で約500足らずあるわけだから、この2つのケースの合計で「ピート・ローズが、自分のプレーミスでいたずらに増やしたアウトカウント数」は、なんと合計650もの数になる。
韋駄天イチローは常に全力プレーで1塁を駆け抜け続け、数々のダブルプレーを阻止し、数々の内野ゴロを内野安打化してきたわけだが、それはイチローが自分の快足を生かして無駄なアウトカウントを減らし、アウトさえヒットに変えたという意味であり、その数は相当数にのぼることの重要性を忘れてもらっては困る。
両者の差は
「スピードの違い、
プレーの正確さの違い。
そしてクリーンさの差」である。
これらの差は、すべてMLBの歴史的変化が背景にある。
たった1本のソロホームランを打つために20回も30回も三振するバッターが現代野球を作ってきたのではなく、スピードスター、イチローがメジャーの野球を変えた、といわれる所以(ゆえん)が、この「スピード」、そして「クリーンさ」にあると、何度説明すればわかるのだろう?
一度ケン・バーンズにでも、メジャーの歴史の大きな流れの変化について聞いてくるといい。
イチローとピート・ローズ、どちらが質の高いプレーをしてきたか?
考えるまでもない。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年9月9日、盗塁とホームランの「相反する歴史」。そしてイチローのメジャーデビューの歴史的意義。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年9月11日、イチローも登場するらしい9月末公開のスポーツドキュメンタリー"The Tenth Inning"を作ったケン・バーンズの横顔。彼の考える「MLB史におけるイチロー登場の意義」は、このブログと同じ。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年9月15日、イチローにケチをつけようとして大失敗したRob Dibbleと、イチローを賞賛したRob Neyer、「2人のRob」のどちらが「いまどきの記者」か。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年9月16日、ちょっと忘れっぽくなっているらしいピート・ローズ氏が、かつてスポーツ・イラストレイテッドの Joe Posnanskiに語ったことの覚え書き。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年9月20日、シアトル・タイムズのスティーブ・ケリーが、"The Tenth Innning"のケン・バーンズと共同監督のリン・ノビックが行った「イチローインタビュー」について当人に取材して書いた記事の、なんとも哀れすぎる中身とタイトル。
そう。
むしろ「二塁打をやっと打てるくらいで、長打は言うほど多くもないのに自慢したがり、足はそれほど速くないのに盗塁しては失敗ばかりして、併殺打もかなり多く、無駄なアウトカウントを増やすことに無頓着だった、見栄っ張りの雑なプレーヤー」に、いまさら何を言われようが、別に気にしないのである。