May 29, 2011
マリアーノ・リベラを打ち崩してサヨナラ勝ち。
これでとうとう貯金1。
打線もさることながら、ゲームを守りぬいたブルペン投手陣を褒めたい。昨日も頑張ってくれたデイビッド・ポーリーが連日2イニング投げ抜いてくれて、2日連続の勝利投手になった。
おめでとう、ポーリー。
New York Yankees at Seattle Mariners - May 28, 2011 | MLB.com Classic
それにしても、なぜ今までこんなことに気がつかなかったのか?、と自分でも残念に思うくらい、マリアーノ・リベラの左打者への投球は「パターンを特定する」ことができた。
「まず、左打者のインコースを、
ボールになるストレートでえぐっておく。
次に、同じコースにこんどは
ストライクになるカットボールを投げる」
パターンといっても、たった2球。
だが、百戦錬磨のクローザーらしく、シンプルだがよく計算されたパターンだ。
この「左打者インコースカットボールえぐり配球」、つまり、左打者にインコースのカットボールで、ドン詰まりの打球を打たせる「リベラ・左打者パターン」には、いくつか運用のバリエーションもあるが、基本的には上に書いたパターンだ。
もし打者が、2球目の「ストライクになるカットボール」を思わず強振してしまうと、初球にインコースをえぐらて印象が残っている分だけスイングが鈍るか、ストレートの軌道でスイングしてしまうかして、リベラのキレのあるカットボールのわずかな変化をバットの芯でとらえきれず、凡打してしまう。
それこそがリベラの狙いだ。
具体的に見ていこう。
シアトルがサヨナラ勝ちした12回表に打席に立った5人のバッターのうち、敬遠された右打者グティエレスを除いて、4人の左打者全員に、リベラはこの「左打者インコースカットボールえぐり配球」ともいうべき、「リベラ・左打者パターン」を使っている。
先頭打者 フィギンズ

アウトコースのストレートでまずストライクをとってから、2球目「インコースをえぐるボールになるストレート」、3球目「インコースでストライクになるカットボール」と、最も典型的な「リベラ・左打者パターン」を使った。
結果は、リベラの狙いどおり。
カットボールをひっかっけてセカンドゴロ。
この「ひっかけて内野ゴロ」、これがマリアーノ・リベラが左打者に対して最も理想的な討ち取り方だ。フィギンズはいわば、簡単に釣り針にかかるアタマの悪い魚。どうしようもない。
2人目 スモーク

初球は、例によってインコース。
ブログ主は、リベラがこの初球をストライクにしたかっただろうと考える。だが、今日のアンパイアSam Holbrookは、何度も書いているように、ゾーンが非常に狭い。そのため判定はボール。リベラの計算はここから狂った。
資料:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年4月15日、Sam Holbrookの特殊なストライクゾーンに手こずったジェイソン・バルガス。
資料:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年4月29日、4月8日にてこずったアンパイア Sam Holbrookにまたしても遭遇したジェイソン・バルガスの初勝利。
2球目も、初球同様にインコースのカットボールだが、初球よりも「内側にはずれて」いる。
この「内側にはずれるカットボール」こそ、「リベラ・左打者パターン」の最重要ポイントだと、ブログ主は考える。
スモークの打席は初球がボールに判定されてボール先行になっているわけだから、ストライクの欲しい2球目はむしろゾーン内に投げてくるのが当然だろ? 何言ってんの? と思う人もいるかもしれないが、この議論全体をもう一度読み返してみてもらいたい。
スモークのインコースを、あくまで「ボールになる球で、あらかじめえぐっておくこと」で、打者に「体に近いところを、ボールがかすめるように通過していく印象」を強く与えておくのが、「リベラ・左打者パターン」の本質なのだ。
だからこそ、2球目はストライクでなくてもいい。
結果的に2ボールになってしまっが、ここで、リベラは2-0からアウトコースのストレートを投げて、簡単にストライクを稼いだ。「リベラ・左打者パターン」の後で、アウトコースに投げたストレートは、ほとんどといっていいほど、バッターが手を出してこないことを、マリアーノ・リベラは誰よりも知っている。
そして、再度インコースにカットボールを投げた。打者スモークはさすがに4球目のカットボールを見透かしたのか、シングルヒットを打った。
おそらくリベラは、もし4球目を打たれなかったら、5球目にインコースにストレートでも投げるつもりだったんじゃないか? と思う。つまり彼は、4球目、5球目で、再び「リベラ・左打者パターン」を使ってスモークを討ち取るつもりだったのだろう、と思うのだ。
3人目 ジャック・カスト

初球、インコースをえぐるボール球のストレート。2球目、ストライクになるカットボール。まさに最も典型的な「リベラ・左打者パターン」だ。打者カストは、リベラの狙いどおり、2球目のカットボールに手を出し、ファウルになっている。
先頭打者フィギンズの凡退でもわかるとおり、2球目のカットボールをひかっけさせて凡退させるのがリベラのパターンなわけで、ファウルになったのは、カストにとってはむしろ幸いした。
4人目 グティエレス 敬遠
5人目 アダム・ケネディ サヨナラタイムリー

初球、インコースに「ボールになるカットボール」。2球目、同じインコースに、こんどは「ストライクになるストレート」。
ここまで説明してくると、これが「リベラ・左打者パターン」のバリエーションであることは想像がつくと思う。インコースをえぐっておいて、次にストライク。2球目は、初球と違う軌道の球。球種が逆転しているだけで、本質は変わらない。
結果は、アダム・ケネディの勝ち。
シアトルのサヨナラ。
マリアーノ・リベラが、去年イチローにサヨナラホームランを打たれたシーンを思い出してほしい。
あのとき「初球のカットボール」を、左打者イチローは痛打したが、あれもインコースだった。
たぶん、あのシーン、リベラはイチローに初球を投げる前から既に、「リベラ・左打者パターン」にそって「2球目に、インコースにストレート」を投げてイチローを討ち取るイメージでいたんじゃないか、と思うのだ。
これでとうとう貯金1。
打線もさることながら、ゲームを守りぬいたブルペン投手陣を褒めたい。昨日も頑張ってくれたデイビッド・ポーリーが連日2イニング投げ抜いてくれて、2日連続の勝利投手になった。
おめでとう、ポーリー。
New York Yankees at Seattle Mariners - May 28, 2011 | MLB.com Classic
それにしても、なぜ今までこんなことに気がつかなかったのか?、と自分でも残念に思うくらい、マリアーノ・リベラの左打者への投球は「パターンを特定する」ことができた。
「まず、左打者のインコースを、
ボールになるストレートでえぐっておく。
次に、同じコースにこんどは
ストライクになるカットボールを投げる」
パターンといっても、たった2球。
だが、百戦錬磨のクローザーらしく、シンプルだがよく計算されたパターンだ。
この「左打者インコースカットボールえぐり配球」、つまり、左打者にインコースのカットボールで、ドン詰まりの打球を打たせる「リベラ・左打者パターン」には、いくつか運用のバリエーションもあるが、基本的には上に書いたパターンだ。
もし打者が、2球目の「ストライクになるカットボール」を思わず強振してしまうと、初球にインコースをえぐらて印象が残っている分だけスイングが鈍るか、ストレートの軌道でスイングしてしまうかして、リベラのキレのあるカットボールのわずかな変化をバットの芯でとらえきれず、凡打してしまう。
それこそがリベラの狙いだ。
具体的に見ていこう。
シアトルがサヨナラ勝ちした12回表に打席に立った5人のバッターのうち、敬遠された右打者グティエレスを除いて、4人の左打者全員に、リベラはこの「左打者インコースカットボールえぐり配球」ともいうべき、「リベラ・左打者パターン」を使っている。
先頭打者 フィギンズ

アウトコースのストレートでまずストライクをとってから、2球目「インコースをえぐるボールになるストレート」、3球目「インコースでストライクになるカットボール」と、最も典型的な「リベラ・左打者パターン」を使った。
結果は、リベラの狙いどおり。
カットボールをひっかっけてセカンドゴロ。
この「ひっかけて内野ゴロ」、これがマリアーノ・リベラが左打者に対して最も理想的な討ち取り方だ。フィギンズはいわば、簡単に釣り針にかかるアタマの悪い魚。どうしようもない。
2人目 スモーク

初球は、例によってインコース。
ブログ主は、リベラがこの初球をストライクにしたかっただろうと考える。だが、今日のアンパイアSam Holbrookは、何度も書いているように、ゾーンが非常に狭い。そのため判定はボール。リベラの計算はここから狂った。
資料:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年4月15日、Sam Holbrookの特殊なストライクゾーンに手こずったジェイソン・バルガス。
資料:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年4月29日、4月8日にてこずったアンパイア Sam Holbrookにまたしても遭遇したジェイソン・バルガスの初勝利。
2球目も、初球同様にインコースのカットボールだが、初球よりも「内側にはずれて」いる。
この「内側にはずれるカットボール」こそ、「リベラ・左打者パターン」の最重要ポイントだと、ブログ主は考える。
スモークの打席は初球がボールに判定されてボール先行になっているわけだから、ストライクの欲しい2球目はむしろゾーン内に投げてくるのが当然だろ? 何言ってんの? と思う人もいるかもしれないが、この議論全体をもう一度読み返してみてもらいたい。
スモークのインコースを、あくまで「ボールになる球で、あらかじめえぐっておくこと」で、打者に「体に近いところを、ボールがかすめるように通過していく印象」を強く与えておくのが、「リベラ・左打者パターン」の本質なのだ。
だからこそ、2球目はストライクでなくてもいい。
結果的に2ボールになってしまっが、ここで、リベラは2-0からアウトコースのストレートを投げて、簡単にストライクを稼いだ。「リベラ・左打者パターン」の後で、アウトコースに投げたストレートは、ほとんどといっていいほど、バッターが手を出してこないことを、マリアーノ・リベラは誰よりも知っている。
そして、再度インコースにカットボールを投げた。打者スモークはさすがに4球目のカットボールを見透かしたのか、シングルヒットを打った。
おそらくリベラは、もし4球目を打たれなかったら、5球目にインコースにストレートでも投げるつもりだったんじゃないか? と思う。つまり彼は、4球目、5球目で、再び「リベラ・左打者パターン」を使ってスモークを討ち取るつもりだったのだろう、と思うのだ。
3人目 ジャック・カスト

初球、インコースをえぐるボール球のストレート。2球目、ストライクになるカットボール。まさに最も典型的な「リベラ・左打者パターン」だ。打者カストは、リベラの狙いどおり、2球目のカットボールに手を出し、ファウルになっている。
先頭打者フィギンズの凡退でもわかるとおり、2球目のカットボールをひかっけさせて凡退させるのがリベラのパターンなわけで、ファウルになったのは、カストにとってはむしろ幸いした。
4人目 グティエレス 敬遠
5人目 アダム・ケネディ サヨナラタイムリー

初球、インコースに「ボールになるカットボール」。2球目、同じインコースに、こんどは「ストライクになるストレート」。
ここまで説明してくると、これが「リベラ・左打者パターン」のバリエーションであることは想像がつくと思う。インコースをえぐっておいて、次にストライク。2球目は、初球と違う軌道の球。球種が逆転しているだけで、本質は変わらない。
結果は、アダム・ケネディの勝ち。
シアトルのサヨナラ。
マリアーノ・リベラが、去年イチローにサヨナラホームランを打たれたシーンを思い出してほしい。
あのとき「初球のカットボール」を、左打者イチローは痛打したが、あれもインコースだった。
たぶん、あのシーン、リベラはイチローに初球を投げる前から既に、「リベラ・左打者パターン」にそって「2球目に、インコースにストレート」を投げてイチローを討ち取るイメージでいたんじゃないか、と思うのだ。