August 25, 2011

The rainbow "bitten" logo, used from late 1976 to 1998.Designed by Rob Janoff
Think Different.これは1997年にApple社が行ったキャンペーンで使われたスローガンだ。何度読んでも、深い含蓄と、アップルらしいクリエイティビティを感じさせる。
「他社との差別化」は広告手法の基本中の基本なわけだが、このスローガンにはビジネスにおける差別化程度のレベルを越えた深遠なメッセージがある。迷いに迷って道を進んだ挙句に、90年代末に会社が無くなる瀬戸際までいって踏みとどまり、やっと創業時の原点である「創造性」にたち帰る決心のついたアップルの世界観、文化論が、これでもかとばかりに詰め込まれている。
90年代末、MLBがまだステロイド・ホームランまみれだった頃に、アップルは一度、決定的に衰退しかかった。まだiPodも、iPadも、iPhoneもないどころか、iMacすら無く、互換機ビジネスにも失敗。96年にはやる気のない取締役が自社の売却先を求めて右往左往しているような最悪の状態だった。
97年2月になってアップルは、85年にアップル自身の手でクビにした創業者スティーブ・ジョブズを12年ぶりに復帰させ、同年11月に伝説の“Think Different.”キャンペーンが行われた。
翌98年アップルは、黒を基調とするデザインのPowerBook G3を発表すると同時に、1976年から使われ、熱狂的ファン層から常に支持されてきたレインボーカラーのカラフルなロゴを捨て、新しい単色のロゴを採用し、アップルは2001年以降の新たな輝きに向かって歩き出したため、Think Different.キャンペーンはレインボーカラーのロゴでの最後の大規模キャンペーンとなった。
Think Different - Wikipedia, the free encyclopedia


テクノロジーで世界を変えてきたアップルのロゴデザインはこれまで何度か変更されている。ロゴ変更は、それぞれの時代においてアップルが世界に提案するテクノロジーや製品すべてについてにかかわる戦略変更宣言を意味していた。

2001年は、イチローにとってはMLBへのデビュー・イヤーだが、アップルにとっては、Linux互換のMac OS Xを発売して、古き良きOS9までのテクノロジーと決別すると同時に、iTunesとiPodを投入して音楽事業に参入した年だ。
2001年からの10年はイチローにとって、ステロイド時代の余韻の残るMLBに独自のプレースタイルを持ち込み、追随を許さないキャリアを築き上げた輝かしいディケイドだが、アップルもこの10年、iPodから、iPad、iPhoneに至る創造的で活発な企業活動を経て、2011年8月10日にニューヨーク株式市場の終値で初めての時価総額世界一になるなど、輝かしいディケイドを過ごした。21歳の若者2人がガレージで始めた会社が、世界一の会社になったのである。
今シーズンのイチローについて、最近アメリカメディアの「ノイズ」が多い。
彼らの記事はどれも似たり寄ったりで、タイトルを読めば中身まで読めてしまうような、そんなレベルの低い記事ばかりで、オリジナリティはまったく無い。単なる「ノイズ」といって、さしつかえない。
例にあげた下記の記事なども、見た目のタイトルと、ページソースに埋め込まれているタイトルが違っている。オリジナリティへの敬意に欠ける創造性の無い人間は、こんな細かい、卑怯な芸当を使ってまでして他人を非難するのだから、哀れなものだ。
記事の例:Ichiro still follows own beat, but out of rhythm | MLB.com: News
2000年にアップル社CEOに復帰し、この10年間アップルを牽引して世界一に引きずりあげたスティーブ・ジョブズが、CEOを辞任するという。
ほとんどの人はジョブズの健康を心配するのだろうが、彼はなんせ名前に「ジョブ」なんてつく超仕事好き男だ、健康を考えて仕事をやめたりするような男ではないと、ブログ主は思う(笑)。おおかた、いつぞやNextでやっていたように、21世紀に入っていつのまにか大企業になってしまったアップルでは成し遂げられない特殊なアイデアでも思いついたに違いない。
2004年に膵臓ガンと診断されたジョブズが、2005年のスタンフォード大学の卒業式に招かれて行った有名なスピーチの一節を、イチローに贈ろう。
死を自覚するということは、
人生の岐路に立っている自分が道を選択するときに、
もっとも重要なツールになる。
なぜなら
周囲からの期待、プライド、失態や失敗への恐怖
こういったほとんどの事柄は
死を前にすればすべて消え去ってしまって
本当に重要なことだけが残るからだ。
僕たちは裸だ。
だから、自分の気持ちに素直に従わない理由なんて、ない。
他人からのノイズに耳を傾けるな。
自分自身の内なる声に耳を傾けろ。
もっとも大切なことは
自分の心と直観を信じる勇気を持つことだ。
心と直感はすでに君たちが何になりたいかを知っている。
他のことなど、二の次でいい。
何がクリエイティブで、誰がただの猿真似なのか、ひと目で見抜く訓練すら積んでこなかった企業や人間が世の中の表舞台にしゃしゃり出てきたことで、価値観の錯綜してしまった今の時代には、メディアでも、インターネットでも、無価値で無様な意見を堂々と述べ続けている哀れな人間が、掃いて捨てるほどいる。
そういう人間には、誰の仕事かすら区別できない「ノイズ」を生産する仕事がお似合いだ。
そういう「ノイズ」に耳を貸す必要は、まるでない。