September 14, 2011

2005年のセ・リーグ最多勝投手、阪神タイガースのヴェテラン下柳剛投手が実質来季の戦力外と考えられているらしい、という記事を読んだ。
MLBでも日本でも、ダメ捕手城島の被害を直接受けるのは、やはり投手自身なのだと、あらためて痛感する。下柳投手の理不尽な処遇に同情を禁じ得ないのはもちろんだし、現場で起きている現象の根にある原因をきちんと見抜く目のない球団に呆れもする。
虎投支えた下柳…戦力外「まだまだ現役で」 (サンケイスポーツ) - Yahoo!ニュース

ダメ捕手城島とバッテリーを組まされる、ということは、投手にしてみれば、マイナス要素でしかない
シーズン成績を落とされる程度で済めば、まだいいほうだ。場合によっては、選手生活そのものを脅かしかねない。城島を嫌って他球団に移籍できる余裕のある投手は1年かそこら我慢すれば済むかもしれないが、そうでない投手にしてみれば死活問題だ。
ホームランを打って助けてくれるどころか、打率はスタメン最低レベル、併殺打だらけで、配球はダメ、キャッチングもダメ、セカンドにスローイングすれば暴投だらけで盗塁阻止もたいしたことはない。

だが、不幸なことに、野球の現場を知らない球団フロントやネクタイ族の人々、あるいはキャッチャーが投手成績に直接与える多大な影響に理解の乏しい監督やジェネラル・マネージャーには、「城島問題」の深刻さがまるで理解されず、ダメ捕手と無理につきあわされる投手だけが、長期間にわたって投手成績やメンタルに甚大な被害をこうむるハメになる。

シアトル・マリナーズで長年我慢させられてきた投手陣のうち2009年当時の主力3投手(ヘルナンデスウオッシュバーンベダード)が「城島とのバッテリーを一斉に拒否する」という思い切った行動に出たのも、「配球からなにから、ダメなのがわかりきっているキャッチャーに、自分のキャリアを台無しにされたくない」というシンプルな発想から、選手が自分から動いた結果だ。もしあのとき生ぬるいシアトル・マリナーズのチームサイドにまかせておいたら、ああいうおかしな事態は永遠に解決しなかっただろう。
その結果、城島がいなくなった翌年、ヘルナンデスがあっさりサイヤング賞に輝くことになった。こうした経緯は、ダメ捕手の阪神移籍後の体たらくを通じて、日本のプロ野球ファンの間でも明白な事実として知られるようになったので、もはや詳しく述べるつもりもない。
今年はともかく、2010年の阪神は、城島さえいなかったら優勝できる戦力が整っていたと断言できる。シーズン終盤からCSにかけての重要すぎるゲームでのヘボ・リードには、もはや憐みすら感じたものだ。
例:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年9月30日、逆転3ランを打った村田が「なぜ、あれほど勝負のかかった場面で、高めのクソボールを強振できるのか?」についてさえ、何も書かない日本のプロ野球メディア、野球ファンの低レベルぶり。


下柳投手は、誰にでもやってくる年齢による衰えもあるとはいえ、今シーズンの扱われ方には納得いかない部分が多々あるだろう。
長年なじんできて、今後もバッテリーを組む機会があればと願っていた矢野捕手が城島獲得をきっかけに引退に追い込まれたこと。新参の城島とバッテリーを組まされた不本意な成績。そして、シーズンもまだ終了してないというのに、「戦力外扱い」。
あらゆる点で、チームを支えてきた名選手のキャリア終盤の扱いとは思えない処遇の酷さには、同情を禁じ得ない。



下柳投手の今シーズンの登板は6回。うち4回が城島とのバッテリーで、初回と最後が藤井捕手だ。
開幕スタメンが危ぶまれた城島が、東日本大震災でプロ野球の開幕時期がズレこんだ偶然によって開幕に間に合った(もちろん、実際には「間に合って」など、いない。「間に合ったフリ」をし続けていただけ。故障は完治などしていなかったし、さらには、無理にプレーし続けることで故障をより悪化させたのは間違いない)
ちなみに、4月17日に下柳投手が、当時控え捕手だった藤井捕手とバッテリーを組んだ理由については、おそらく、今シーズンは怪我明けシーズンになる正捕手城島にチームが強制的に休養日を設定していたためだろう。(そうでもなければ、間違いなく城島は毎日マスクをかぶっていたはず)2009年にロブ・ジョンソンを指名捕手にしていたヘルナンデスのように、下柳投手が藤井捕手を指名したわけではないだろうとは思うが、情報を細かく追跡しているわけではないので、その辺はよくわからない。
4月17日 7回無失点 キャッチャー藤井
4月24日 7回自責点2 城島
5月4日  5回自責点2 城島
5月12日 2回2/3自責点2 城島
5月24日 4回自責点2 城島
6月6日 2回1/3自責点3 藤井
参考資料:阪神タイガースの先発投手とキャッチャー 全リスト - プロ野球データFreak

下柳投手とのバッテリー
藤井 9回1/3 自責点3 被安打12 与四球4 ERA 2.89
城島 18回2/3 自責点8 被安打17 与四球8 ERA 3.86



阪神が今年最も月間ERAが悪かった月は、城島が正捕手だった5月の3.41だ。城島は6月5日のオリックス戦までプレーして、リタイヤしている。9月はさすがに猛暑の夏を越した阪神投手陣全体の疲労ぶりが目立つが、藤井捕手に変わってから8月までの阪神のチーム防御率は右肩下がりに改善し続けた。
プロ野球 ヌルデータ置き場 阪神 - 投手成績一覧(月別) -

5月の3.41というチーム防御率が、高いか低いかについては、論じるまでもない。今年から「飛ばない統一球」を採用したセ・リーグで、チーム防御率2点台のチーム、ERA2点台の投手が続出している。3点台なかばなんていう防御率では首位に立てないに決まっているのが、超守備的シーズンといえる2011年のセ・リーグだ。
2011年は、マートンとブラゼルを中心にチーム全体で馬鹿みたいに打てたことで、城島がいくらチーム防御率を崩壊させていても、それを覆い隠して勝てた2010年とでは、野球そのものが違う。(もちろん、そのツケは、シーズン最後に城島のヘボリードで優勝を逃すという形で阪神球団自身が払うことになった)

2011年阪神チーム月別ERA

2011阪神の主な先発投手の月別防御率
(数字は左から、3・4月、5月、6月、7月、8月)
能見 4.05 2.87 2.17 3.24 1.43
岩田 3.79 1.71 2.05 2.36 1.88
久保 2.25 4.10 36.00 6.23 1.65
メッセンジャー 2.53 2.25 3.24 1.50 2.63
スタンリッジ  1.38 5.06 1.24 0.55 3.52
阪神タイガース投手成績 - プロ野球データFreak


防御率だけを見ると、先発投手のうち、正捕手が城島から藤井捕手に変わった恩恵が最も大きかったのは、能見投手岩田投手といえるかもしれない。たしかに、月別防御率だけを見るかぎり、この2人の防御率は、(実数でみても、近似曲線でみても)右下がりに良化し続けている。
月別の浮き沈みがけっこう激しいスタンリッジメッセンジャーの2人の外国人投手は、防御率だけでは、藤井捕手との相性は明確にはならない。だが、近似曲線が水平に近いグラフになることから、少なくとも正捕手が変わったことで「悪化」はしていない。

2011阪神 能見投手 月別防御率能見ERA

2011阪神 岩田投手 月別防御率岩田ERA



だが、今シーズンのダメ捕手城島とバッテリーを組まされるデメリットは、本来は防御率を見ているだけでは絶対にわからない
次のような要素が、防御率の数字にはきちんと反映されてこないからだ。

身体の故障を隠したままプレーを続行した城島の重要な場面でのパスボールの多さ
→チームのワイルドピッチ数の激増
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年4月21日、阪神ファンから罵声を浴びつつある城島の「パスボール癖」。後逸の責任回避のための「ストレートのみの勝負強要」でタイムリー多発。そして、マリナーズ時代同様の城島スタメン落ちへ。

故障から左右へシャープに動けない城島がパスボールを避けるようと、落ちるボールなど、「捕球しにくい球種」を使わないで配球しようとすることで生まれる、配球の制約
→フォークを決め球にする投手が、フォークを投げられない現象
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年5月26日、25日の阪神・ロッテ戦7回表の「ストレートしか投げる球がなくなっていっていく現象」を暇つぶしに考える。

「たとえ追い込まれても、城島がキャッチャーなかぎり、落ちる球は投げて来ない」と、バッターに配球を読まれることで生まれる無駄なヒット、タイムリー、四球


シーズン序盤よく阪神ファンの間から聞こえてきたのは、たとえ、キャッチャーの股間を抜けていくような明らかなトンネルを城島がやらかしたとしても、どういうわけか記録上はピッチャーのワイルドピッチになってしまう、というようなことが何度となくあった、という話だ。
もちろん、そういうプレーによって自責点が発生すれば、結果的に投手の責任にされてしまう。
また、城島が1塁ランナーのセカンドへの盗塁を刺したいがために、打者のアウトコースにピッチアウトするサイン出したがる、という話もシアトル時代からよくあった話だが、これが原因で四球を出してしまったケースも多々あったことだろう。


単に、相変わらずのマズい配球でチームの自責点を無駄に増やすだけにとどまらず、怪我を無理して出場し続けてマトモにキャッチングすらできず、配球にすら支障が出ている半人前のキャッチャーを相手に投げた、ほんのわずかな期間のピッチングで、「もう下柳もダメだ」なんて言われ、結婚したばかりのヴェテラン投手が働く場所を失うんじゃ、あまりにも可哀想というものだ。




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