September 17, 2011

たしかつい先日、シアトル・マリナーズがGMジャック・ズレンシックと複数年で契約を更新したと聞いて、「やれやれ。よかった」と、胸を撫で下ろしたものだ。
なぜなら、「城島問題」をはじめ、「シアトル・マリナーズと自分の意見が一致する」ということは、間違いなく「自分の意見が間違っている」、もしくは「自分がまったくの見込み違いをしている」ことを意味するからだ(笑) このブログは、シアトル・マリナーズの馬鹿げたチーム運営と180度異なる意見を持っていることに、常に誇りをもっている。


さて、この数字が何を意味するか、わかるだろうか?

2011年9月(61勝85敗)
22,029 月曜日
18,306 火曜日
20,327 水曜日

資料:2011 Seattle Mariners Schedule, Box Scores and Splits - Baseball-Reference.com

酷いものだ。
これは2011年9月にセーフコで行われたヤンキース3連戦の観客動員数だ。

以下に、1999年から2011年までの間のセーフコで行われたヤンキース戦の観客動員数を、「曜日別のグラフ」として挙げ、また、それぞれのシーズンの「観客動員数」「何曜日から行われたゲーム」か、ヤンキース戦直前時点での「チーム勝敗数」を、それぞれ挙げておく。
今年の初戦の先発はヘルナンデスだったが、かつて一度説明したことだが、セーフコの動員数はヘルナンデスが登板したくらいで増えはしない。キングス・コートだの言い出したところを見ると、チームはなにか「ヘルナンデスをもっとスターにすれば観客増をはかれるかもしれない」とか勘違いしているようだが、ヘルナンデスにはもともと観客動員力など、ない
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年9月14日、平日月曜から木曜のスタジアムに陣取るコアな観客層が落胆し、拒絶した「2009年8月のシアトル野球」。(2)
あくまで対戦相手が人気球団であるとか、ロイ・ハラデイやクリフ・リーのクラスの大投手とのマッチアップだったりとかするのでないかぎり、観客は大幅には増えないのが、近年のセーフコだ。

そのセーフコで、ドル箱のはずのヤンキース戦に客が入らなくなる事態が、どういう意味か、わかるだろうか?

説明するまでもないだろう。
この、見るも無残な観客減少は、過去10数年の例からみてわかるように、「ア・リーグ西地区の優勝争いにシアトル・マリナーズがまるっきり関わっていないから」ではなく、「シアトル・マリナーズが、負けすぎているから」でもなく、「週末のゲームでないために、観客が集めにくいから」でも、「天気が悪かったせい」でも、「MLBの観客動員全体が減少しているせい」でもない。
(「イチローの成績に例年どおりの輝きがないために、シアトルのコアなファンがスタジアムに来る気が起きない」という理由なら、それは十分ありうる話だが)

ジャック・ズレンシックがGMになってからのセーフコの観客減少は、ついにここまで来たのだ。

来年の球団予算がどうなるか、考えるまでもない。どうせシアトルのチームマネジメントも、無邪気なマイナー好きもチームオタも、来年動かせる予算自体がこの観客動員減少でこの先どのくらい緊縮していくか、わかってないことだろう。

再建がいけないというのではない。むしろ、ズレンシックが就任した2009年からきちんと「建設的な徹底破壊に始まる再建」に手もつけないでおいて、勝手にクリフ・リーだ、ショーン・フィギンズだ、ジャック・ウィルソンだと中途半端に選手を連れてきて、ヘルナンデスにもグティエレスにも複数年契約をくれてやり、ズレンシックが好きなようにやった挙句に大失敗、次にはクリフ・リーも手放して「超守備的野球」とかぶちあげて、これまた大失敗。その挙句、無駄に金を使いすぎてペイロールが硬直化して身動きとれなくなると、こんどは手放すべきでないフィスターを手放しておいて、「若手中心」とか、ぬかす。

こいつはホンモノの馬鹿だ。

誰も、「GMが自分の好きな選手を見せびらかすだけの、安っぽい草野球」なんて、見たくない。

観客は「GMの好きな選手がプレーするのを見るために、スタジアムに足を運ぶ」わけがない。言うまでもなく、観客は「観客自身の好きな選手やプレーを見るために、金を払い、スタジアムに足を運ぶ」のだ。

こんなこと、そこらのガキでもわかる。


なのに、こんな単純で当たり前なことさえ理解できない無能なズレンシックは、フィスターを無意味に手放したのと同じように、チームの宝である「観客」を、自らの手で手放したのである。

自分から観客を手放す。
これ以上最悪かつ深刻な重罪は、野球ではありえない。


チームの活力の源であり、収入源である「観客」を、GMの度重なる大失態でこれだけ大量に手放しておいて、いまさら「若手主体」などという「その場をとりつくろうだけの、まやかしのコンセプト」など、誰も信用しないし、もう来シーズン以降、チームのペイロールがマトモに機能できるわけがない(笑)


観客はとっくに、自己の内側に向かって急速に収縮を続けるだけの白色矮星シアトル・マリナーズ、あたかもGMが自分のためだけに野球をやっているかのようなシアトル・マリナーズに背中を向けている。

ヤンキース戦観客動員数推移1999-2011

上のグラフの見方
丸い点が入った太線(5本)がすべてズレンシック就任以降のヤンキース戦観客動員数
太い黒線(実践、破線)が2011年
太い赤線(実践、破線、点線)が2009年と2010年

2011年5月(24勝25敗)
33,715 金曜日
37,354
37,290

2010年7月(34勝50敗)
37,432 火曜日
39,645
42,558
42,069

2009年8月(60勝54敗)
33,585 火曜日
36,769
44,272
45,210

2009年9月(76勝71敗)
28,395 金曜日
43,173
35,885

2008年9月(54勝85敗)
39,518 金曜日
44,473
42,677

2007年5月(15勝15敗)
44,214 金曜日
46,153
46,181

2006年8月(56勝68敗)
42,454 火曜日
41,634
40,817

2005年5月(15勝22敗)
37,814 月曜日
35,549
38,400

2005年8月(55勝74敗)
41,731 月曜日
37,773
46,240
39,986

2004年5月(12勝17敗)
46,491 金曜日
46,454
46,589

2004年8月(43勝71敗)
46,359 金曜日
46,530
46,335

2003年5月(20勝11敗)
44,979 火曜日
43,753
48,000

2002年4月(17勝5敗)
45,814 金曜日
46,047
46,115

2002年8月(74勝47敗)
46,033 金曜日
46,174
46,086

2001年5月(31勝9敗)
45,794 金曜日
45,880
45,953

2000年4月(2勝1敗)
40,827 金曜日
45,261
45,488

2000年8月(71勝59敗)
45,077 月曜日
44,105
44,962

1999年8月(53勝54敗)
45,190 木曜日
45,262
45,202
45,195




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