May 03, 2012
BGM:『Bolero』(1928年 モーリス・ラヴェル)
強烈にスライスしながら落下してくる難しい打球を、しっかり視界にとらえつつ右足で強く踏み切り、虚空を左から右へ飛翔しながら捕球する『エア・イチロー』。『まるで空中で静止したよう』と評されたニジンスキー(1890-1950)の跳躍の飛距離と高さ、ジョルジュ・ドン(1947-1992)のごとくのしなやかな航跡である。
IZといえば、1993年のミュージカル映画『The Wizard of Oz(オズの魔法使い)』でジュディ・ガーランドが歌った主題歌"Over the Rainbow"をカバーしてヒットさせたハワイ・ホノルル生まれのミュージシャンだが、MLBでOZといえば、いうまでもなくゴールドグラブ13回受賞の、『The Wizard of Oz』こと、オジー・スミス(Ozzie Smith)だ。
今日の2安打で、イチローは、キャリア通算ヒット数2460本で歴代104位に並んでいたオジー・スミスを抜いた。歴代100位以内になる日も、そう遠くない。
このこと自体は既にそうなるのがわかっていたことであり、単なる通過点に過ぎない。目標は、もっとずっとずっと先にある。
Career Leaders & Records for Hits - Baseball-Reference.com
名ショート、オジー・スミスの足跡で素晴らしいのは、ヒット数ではなく、やはり13回のゴールドグラブ賞受賞だ。1980年から13回連続で受賞し、彼の華麗な守備は『オズの魔法使い』と讃えられた。
MLBで10回以上ゴールドグラブを受賞した選手は、10回受賞の『エリア51』イチローを含め、長いMLB史でも、たった16人しかいない。
イチローがあと何度受賞できるかわからないが、イチローがあと2回受賞すると、ロベルト・クレメンテ、ウィリー・メイズと並んで、MLB外野手部門トップの受賞回数になるだけに、最低2回受賞してほしいと常に思っている。
キャリア通算ゴールドグラブ受賞回数
18回 Greg Maddux
16回 Jim Kaat, Brooks Robinson
13回 Ivan Rodriguez, Ozzie Smith
12回 Roberto Clemente, Willie Mays
11回 Keith Hernandez
10回 イチロー, Johnny Bench, Roberto Alomar, Mike Schmidt, Omar Vizquel, Ken Griffey, Andruw Jones, Al Kaline
MLB National League Gold Glove Award Winners - Baseball-Reference.com
ちなみに、今日のゲームの刺殺数10は、イチローのキャリアハイであると同時に、球団新記録。記念に、今日9個目のファインキャッチを連続写真風に加工してみたのが、最初に挙げた写真だ。
Baseball Video Highlights & Clips | SEA@TB: Ichiro sets team record with 10 putouts - Video | MLB.com: Multimedia
追記:
2012年5月2日 タンパベイ第4戦のファインキャッチ
これも冒頭の画像のスライスする打球同様に、見た目よりずっと難しいキャッチ。最後の最後にグッとひと伸びした右中間の打球を、ジャンプしつつ腕を目一杯伸ばしてつかまえた。