July 06, 2013
7月5日のボルチモア戦でイヴァン・ノバがみせてくれたクリス・デービスの三振パターンは、実はだいぶ前、2012年の夏過ぎくらいからわかっていた。
だが、解決できていない、やっかいな問題は
「決め球を何にするか」ではなく、別のところにある。
いくら彼の打席のビヘビアを観察しても、いまだにクリス・デービスを打者不利なカウント(できたら0-2か1-2)に追い込む確実な投球パターン、つまり、初球から3球目あたりまでをどう構成したらいいかが、さっぱり見えてこないのだ。
2013年7月5日の
三振パターン
真ん中低めのカーブ
2012年秋の
三振パターン
真ん中低めのスライダー
今わかっているクリス・デービス攻略手法のポイントは
「追い込むこと」に尽きる。
まず、クリス・デービスの今シーズンのスピードボールに対するHot Zoneを見てもらいたい。
ほとんどのコースが真っ赤に染まっている。まぁ、驚くくらいこのバッターはスピードボールに強いのである。
2013全投手・スピードボール・打率 Hot Zone
Chris Davis Hot Zones - ESPN
ところが、である。こんなデータがある。
同じクリス・デービスの「2ストライクをとられた後の、スピードボールに対する打率」である。
2013全投手・2ストライク後のスピードボール打率
どうだろう。とても同じ打者とは思えないほど差がある。
結論を先に書いておこう。
最初は経験則でも、あとで彼の「カウント別・打撃データ」を見れば、一目瞭然に裏がとれる。クリス・デービスは追い込んだ後でなら、彼が滅法強いはずの速球を投げても案外大丈夫だったりするのだ。(もちろんどうせ投げるなら「真ん中低めに、タテに落ちる変化球」のほうが望ましい)
ソース:Chris Davis 2013 Batting Splits - Baseball-Reference.com
念には念を入れて、クリス・デービスの、ビハインドとアヘッド、つまり投手有利カウントと打者有利カウントにおけるHot Zoneを調べておこう。鮮やかな結果がでる。
アヘッドカウント打率
2013全投手全球種
ビハインドカウント打率
2013全投手全球種
どうだろう。鮮やか過ぎるほどの差がでる。
クリス・デービスは「ビハインドカウント」では、急激に低めの球が打てなくなるというか、もっと正確にいうと、低めのボール球に手を出して、凡退してくれることが、ハッキリわかる。
ただ、問題がひとつだけある。
去年から今まで、ずっと観察を続けているにもかかわらず、直感でも、データ上でも、「これだ!」と手のひらを打てる的確な結論がなかなかみえてこない。(一時期「アウトコース高めの2シーム」がいいかなと思っていたが、この球を流し打ちでホームランにするのを見て、これじゃないと思った)
ただ、ヒントはつかんでいる。
ひとつのヒントは「初球」にある。
理由はまったくわからないが、データ上、彼が初球をヒットにしやすい球種は、どういうわけか、彼が最も得意なはずの「速球」ではなく、カーブ、チェンジアップといった、「スピードを抑えた大きく曲がるボール」であることがわかっている。
だから、今のところわかっていることを書いておくと、クリス・デービス攻略に必要な発想は、次のようなことになる。
クリス・デービスは、追い込んでおいて、
ベースの真上に変化球をタテに落とせば
確実に三振させられる。
だが、解決できていない、やっかいな問題は
「決め球を何にするか」ではなく、別のところにある。
いくら彼の打席のビヘビアを観察しても、いまだにクリス・デービスを打者不利なカウント(できたら0-2か1-2)に追い込む確実な投球パターン、つまり、初球から3球目あたりまでをどう構成したらいいかが、さっぱり見えてこないのだ。
2013年7月5日の
三振パターン
真ん中低めのカーブ
2012年秋の
三振パターン
真ん中低めのスライダー
今わかっているクリス・デービス攻略手法のポイントは
「追い込むこと」に尽きる。
まず、クリス・デービスの今シーズンのスピードボールに対するHot Zoneを見てもらいたい。
ほとんどのコースが真っ赤に染まっている。まぁ、驚くくらいこのバッターはスピードボールに強いのである。
2013全投手・スピードボール・打率 Hot Zone
Chris Davis Hot Zones - ESPN
ところが、である。こんなデータがある。
同じクリス・デービスの「2ストライクをとられた後の、スピードボールに対する打率」である。
2013全投手・2ストライク後のスピードボール打率
どうだろう。とても同じ打者とは思えないほど差がある。
結論を先に書いておこう。
「初球や、打者有利なカウントでのクリス・デービス」と「2ストライクとられて追い込まれた後のクリス・デービス」は、全くの別人である。クリス・デービスは、追い込まれると別人のように打てなくなる。
最初は経験則でも、あとで彼の「カウント別・打撃データ」を見れば、一目瞭然に裏がとれる。クリス・デービスは追い込んだ後でなら、彼が滅法強いはずの速球を投げても案外大丈夫だったりするのだ。(もちろんどうせ投げるなら「真ん中低めに、タテに落ちる変化球」のほうが望ましい)
ソース:Chris Davis 2013 Batting Splits - Baseball-Reference.com
念には念を入れて、クリス・デービスの、ビハインドとアヘッド、つまり投手有利カウントと打者有利カウントにおけるHot Zoneを調べておこう。鮮やかな結果がでる。
アヘッドカウント打率
2013全投手全球種
ビハインドカウント打率
2013全投手全球種
どうだろう。鮮やか過ぎるほどの差がでる。
クリス・デービスは「ビハインドカウント」では、急激に低めの球が打てなくなるというか、もっと正確にいうと、低めのボール球に手を出して、凡退してくれることが、ハッキリわかる。
ただ、問題がひとつだけある。
へたをすると三冠王に手がとどきかねないクリス・デービスを、ピッチャーはどう配球したら「投手有利なカウント」に追い込めるのか?という点だ。
去年から今まで、ずっと観察を続けているにもかかわらず、直感でも、データ上でも、「これだ!」と手のひらを打てる的確な結論がなかなかみえてこない。(一時期「アウトコース高めの2シーム」がいいかなと思っていたが、この球を流し打ちでホームランにするのを見て、これじゃないと思った)
クリス・デービスは、追い込んでおけば、ベースの真上に落ちるカーブを投げるだけでいいのはわかったが、問題は、どう追い込むかのパターンがいまひとつハッキリしない。
— damejima (@damejima) July 6, 2013
ただ、ヒントはつかんでいる。
ひとつのヒントは「初球」にある。
理由はまったくわからないが、データ上、彼が初球をヒットにしやすい球種は、どういうわけか、彼が最も得意なはずの「速球」ではなく、カーブ、チェンジアップといった、「スピードを抑えた大きく曲がるボール」であることがわかっている。
だから、今のところわかっていることを書いておくと、クリス・デービス攻略に必要な発想は、次のようなことになる。
クリス・デービスと対戦する投手がもつべき発想は、
カウントによって投げていい球種が変わるという発想。
まず初球は、いくら彼が「初球」と「速球」を鬼のように得意にしているバッターだからといっても、打たれるのを怖がって「カーブ」、「チェンジアップ」など、遅めの変化球で初球に安易にストライクを取りにいってはいけない。
むしろ、初球こそ、勇気をもって彼の最も得意なはずの速球を投げるべき。初球に限って(なぜそうなのか、理由不明だが)彼はスピードボールをあまりうまくミートできない。
運よく「打者有利なカウントに一度もならないうちに」クリス・デービスを追い込むことに成功できたら、後は簡単だ。ホームプレートの真上にタテに落ちる変化球を投げて、三振してもらうだけ。(もちろん、いくら追い込んでいるとしても、コントロールミスして真ん中に投げたりしてはいけない)
ただし、この「法則」にも条件がある。彼を打者不利カウントに追い込むプロセスで、「打者有利なカウントにしてしまったとき」には成立しない。打者有利カウントになったら、よほど警戒して次の球を投げないとやられてしまう。
残念ながら、彼から「2ストライク目を奪うための正確な方法論」は、いまだ確立されていない。