March 11, 2015
ゾーン・ディフェンスのオーソリティとして知られ、殿堂入りもしているシラキュース大学のバスケットボール・コーチ、Jim BoeheimがNCAAからペナルティを受けた。(彼の名前のカタカナ表記は、ボウハイム、ベーハイム、ボーハイムなど、いくつかの綴り方がある。めんどくさいのでアルファベットにした)

この人、アメリカ代表バスケットボールチームの「現役アシスタントコーチ」という肩書が示すとおり、バスケット界の大物のひとりであり、有名人でもあるのだが、どういうわけかこの件、他の多くの「ネガティブなスポーツニュース」と同様、日本ではほとんど報道されない。
NCAA suspends Jim Boeheim for nine games, cuts Syracuse Orange scholarships - ESPN
NCAAによるペナルティの中身はこんな感じだ。
けっこう重いペナルティだと思う。なんせBoeheimはNCAAバスケットの最多勝記録を持っているヘッドコーチなのだ、108もの勝利をチャラにされる処罰の重さはけして軽くない。(つまり、Boeheimとシラキュース大学が非常に重い処罰を受けなければならないだけの「重い違反を犯してきた」という意味)
また奨学金削減にしても、当然来期以降のシラキュースのリクルーティングに直接影響するわけで、チーム力そのものの低下につながるのは間違いない。
NCAAが問題にした「シラキュース大学のスポーツ選手の度重なる違反」とはどのようなものか。シラキュース大学が2001年に遡って行った「自己申告」によれば、以下のようなものらしい。
なにやら奥歯にモノがはさまったような、遠回しな言葉ばかり並んでいてわかりにくい。要するに、学業面ではテストで「ゲタ」をはかせてやり、レポート丸写しやカンニングのような不正行為も認めてやり、ドーピング検査は適当にスルーしてきたばかりか、かなりの金額の「お小遣い」や「裏金」も渡していた、というようなことだろう。
ニューヨーク州のこの私立大学は、卒業生から有名人をリストアップしているだけでこの記事が終わってしまうような有名校だが、なんとも三流なことをやってのけたものだ。(というか、シラキュースって「その程度」だったんだなと思う)
それにしても、あのシラキュースですら、スポーツさえやっていれば、卒業させてくれるどころか、裏金までくれるなんて事実が、スポーツファンとして残念でないわけがない。
というのは、『父親とベースボール』というシリーズで書いたように、MLBでアフリカ系アメリカ人プレーヤーの数が目に見えて減ってきていることの社会背景のひとつに、「野球での奨学金数が減らされている」という問題があるからだ。(うろ覚えだが、たしか野球の奨学金数は「11」だったように記憶している。これではスタメン9人と控え先発投手くらいしか奨学金がもらえない)
なぜアメリカで「野球で奨学金をもらえる人数が減らされた」のかは、まだ十分調べてないのでわからないのだが、少なくとも言えるのは、もしバスケットやフットボールなどのほうが「現在では奨学金がもらいやすいスポーツ」ならば、そちらに優秀な人材が流れてしまうのは当然だ、ということだ。
そうした状況がある中での、「シラキュース大学事件」である。
「そんな不正を、シラキュースのバスケットですらやってるのか。それなら、野球の奨学金の数を元に戻せ」と、ついつい大きな声で言いたくなる。

この人、アメリカ代表バスケットボールチームの「現役アシスタントコーチ」という肩書が示すとおり、バスケット界の大物のひとりであり、有名人でもあるのだが、どういうわけかこの件、他の多くの「ネガティブなスポーツニュース」と同様、日本ではほとんど報道されない。
NCAA suspends Jim Boeheim for nine games, cuts Syracuse Orange scholarships - ESPN
NCAAによるペナルティの中身はこんな感じだ。
●Boeheimの9ゲームの出場停止
●シラキュース大学のスポーツ奨学金を12削減
●108勝の勝利記録の抹消
(=2004-07と2010-12シーズンのバスケットボールと、2004年、2005年、2006年のフットボールが含まれる)
※上記に加えて、大学側の自主的判断でACC(Atlantic Coast Conference)トーナメントを含むポストシーズン出場を辞退することになった
けっこう重いペナルティだと思う。なんせBoeheimはNCAAバスケットの最多勝記録を持っているヘッドコーチなのだ、108もの勝利をチャラにされる処罰の重さはけして軽くない。(つまり、Boeheimとシラキュース大学が非常に重い処罰を受けなければならないだけの「重い違反を犯してきた」という意味)
また奨学金削減にしても、当然来期以降のシラキュースのリクルーティングに直接影響するわけで、チーム力そのものの低下につながるのは間違いない。
NCAAが問題にした「シラキュース大学のスポーツ選手の度重なる違反」とはどのようなものか。シラキュース大学が2001年に遡って行った「自己申告」によれば、以下のようなものらしい。
学業における不正行為
過剰な利益供与
ドーピング検査ポリシーの順守違反
許容されないレベルの援助行為
学業における許されざる援助行為
なにやら奥歯にモノがはさまったような、遠回しな言葉ばかり並んでいてわかりにくい。要するに、学業面ではテストで「ゲタ」をはかせてやり、レポート丸写しやカンニングのような不正行為も認めてやり、ドーピング検査は適当にスルーしてきたばかりか、かなりの金額の「お小遣い」や「裏金」も渡していた、というようなことだろう。
ニューヨーク州のこの私立大学は、卒業生から有名人をリストアップしているだけでこの記事が終わってしまうような有名校だが、なんとも三流なことをやってのけたものだ。(というか、シラキュースって「その程度」だったんだなと思う)
それにしても、あのシラキュースですら、スポーツさえやっていれば、卒業させてくれるどころか、裏金までくれるなんて事実が、スポーツファンとして残念でないわけがない。
というのは、『父親とベースボール』というシリーズで書いたように、MLBでアフリカ系アメリカ人プレーヤーの数が目に見えて減ってきていることの社会背景のひとつに、「野球での奨学金数が減らされている」という問題があるからだ。(うろ覚えだが、たしか野球の奨学金数は「11」だったように記憶している。これではスタメン9人と控え先発投手くらいしか奨学金がもらえない)
なぜアメリカで「野球で奨学金をもらえる人数が減らされた」のかは、まだ十分調べてないのでわからないのだが、少なくとも言えるのは、もしバスケットやフットボールなどのほうが「現在では奨学金がもらいやすいスポーツ」ならば、そちらに優秀な人材が流れてしまうのは当然だ、ということだ。
そうした状況がある中での、「シラキュース大学事件」である。
「そんな不正を、シラキュースのバスケットですらやってるのか。それなら、野球の奨学金の数を元に戻せ」と、ついつい大きな声で言いたくなる。