October 26, 2015
MLBもあとはKC対NYMのワールドシリーズを残すのみで、やることは何もない(笑)暇なので、日本シリーズのデータを眺めてみた。ちょっと気になることがあった。
まず、大づかみに言うと、いまソフトバンクがホームで連勝し、早くもヤクルトを圧倒しかかっているわけだが、データだけ眺める限り、ソフトバンク側のヤクルト打線に対するスカウティング「だけ」が正確で、ヤクルト側のそれは「雲をつかむように曖昧かつワンパターン」で、両者にはすでに雲泥の差がついているようにしか見えないのだが、どうだろう。
例えば、ヤクルトの投手側の対応で「なるほど」と思わせられた点は、ただひとつ、「ソフトバンクの中軸のひとりである柳田に、インハイのボール球でポップフライを打たせるという攻めを発見していること」という点くらいで、あとは「何もない」のである。
対してソフトバンク側は、どうも「ヤクルト打線の欠点をすべて把握して戦っている」ように見えるのである。
なぜこんなに「戦いの中身に差がついている」のだろう。
ブログ主は「配球」についつい目がいくわけだが(笑)、なんせ日本シリーズのデータを見るまで、ヤクルトの正捕手が相川でなく中村悠平という選手であることを知らなかったくらい、いまの日本野球にうとい(笑)
まして、彼が『世界野球プレミア12』代表に選出されるほど将来が期待されている日本でも指折りの若手キャッチャーであることなど、まったく知らなかった(笑)無知のくせに記事を書いて、ほんとうに申し訳ない(笑)
それにしても、中村悠平の出すサインの「リズム」に、「昔どこかで嗅いだことのあるデジャビュ感が非常に強くする」。このことに、ちょっと驚かされた(笑)
おそらく同チームの先輩・相川や、例のダメ捕手さんにも通じる「同じ系統のなにか」(笑)を持っているからだと思うのだが、それでも、以下の記事にみられるように、日本の野球メディアや評論家には「中村悠平のリードのセンスの良さ」が「絶賛」されているようだから、わからないものだ。
これはいよいよブログ主の時代は終わったのかもしれない(笑)
さて、冗談はさておき、以下の4月22日神宮球場のヤクルト対巨人戦のスポニチ記事を見てもらおう。
3対2とヤクルトのリードで迎えた6回表、一死満塁でバッターは長野だ。カウント2-0から、ストライクが欲しい3球目にシンカー。これを長野が空振りすると、続く4球目5球目もシンカーで、結局長野は「3球連続の空振り」で三振に打ち取られた、らしい。
この「3球連続シンカー」というリードが、「意外性のある、センスのいいリード」と絶賛されている。
上の記事に中村悠平のこんなコメントがのっている。これだけを読むと「なるほど」とか思いかねないが、日本シリーズ第1戦の結果に照らして読むと、非常に辻褄があわないことがわかる。
4月にこういうコメントをしていた中村悠平捕手だが、この日本シリーズ第1戦で彼は、以下にみるような目に遭って、敗戦を喫している。ぜひ、上の記事と下の記事を連続で読んでもらいたい。
ブログ主の考えでは、上の2つの「事件」のうち、「第1戦で、松田にアウトコース低めの変化球をホームランされた」ことは、中村悠平が「自分の手の内の引き出し」がまったくプロに通用していないことがはじめて彼自身にもわかって、萎縮した、という意味で、ヤクルトの日本シリーズにとっての「致命傷」になったと思う。
その理由を以下のデータから感じとってもらいたい。「日本シリーズ第2戦」における松田選手への配球だ。
ヤクルトバッテリーは第1戦で松田に「インコースに捨て球を投げてえぐってみせた直後に、勝負にいった弱点であるはずの『アウトコース低めシンカー』をホームランされている」わけだが、その後、中村悠平が「松田のインコースにまったく配球しようとしていない」ことは、このデータからして明白だ。
(7回裏オンドルセクが2球目にたった1球、松田のインコースを突いているのだが、これは明らかに単なるカウント稼ぎの意味しかなく、勝負球ではない。勝負は次の3球目、ありきたりなアウトローのフォークだった)
4回裏
2ランホームラン直後
無死走者なし
センター前ヒット
5回裏
2死満塁
三振
7回裏
1死2、3塁
レフトフライ
中村悠平が「松田のインコース」に絶対に配球しようとしない理由は、子供でもわかる。「データ上、松田が『右投手のインコース』に非常に強いバッター」だからだ。
と、同時に、「データ上、松田は『右投手のアウトコース』の球で合計43三振もしているバッター」でもある。だからアウトコースばかり投げて「逃げ」たがる。(データ例:松田 宣浩【ソフトバンク】 コース別(ゾーン別)打率・成績)
だが、である。
現実の野球では、どうだ。
ヤクルトバッテリーは、「データ上、アウトコース低めでうちとれるはずの松田」に、その「アウトコース低め」を「ホームランされている」のである。
その理由は、これまた子供でもわかる。
「インコースをえぐってみせた直後に、『アウトコース低めの変化球』を勝負球として投げてくることが、打者・松田にバレていた」からだ。
そして中村悠平は、第1戦でホームランされて失敗しているわりに、第2戦でもまったく同じ配球をしている。第2戦の5回裏、満塁の場面で「ど真ん中に入ってしまった投球ミスのまっすぐ」をタイムリーされなかったのは、単にバッター松田が「びっくりして打ち損じた」、ただそれだけのことだ。
ちなみにソフトバンクの柳田も、松田と同じ「データ上、インコースの得意なバッター、インコースを苦手にしないバッター」だが、にもかかわらず、ヤクルトの投手のインコースで凡退してくれている。
これは、インコース好きの柳田にインハイの「ボール球」を振らせることに「たまたま」成功しているからだけのことであって、もし中村悠平が意図的にインコースに「ストライク」を集中したら、柳田もインコースを打つようになる。
リードに「絶対」なんてものは、「ない」。
なぜなら、好調時のプロは、たとえ苦手球種、苦手なコースであろうと、「来るのがわかっている」なら、その球をヒットやホームランにできてしまうからだ。
「インコースをえぐってみた」程度のことで鼻高々になって、どうする。「ああ、次は『アウトコースの変化球』だろうな。このキャッチャー、ものすごく単純なタイプだからな」くらい、誰でも考えるのが、『プロ』(とプロの観察者)というものだ。高校野球だの、直らない欠点をもっている二流打者・長野などと一緒くたに語ってもらっては困る。
先日のALCSで「あらかじめ左足を引いておいて、だが体はまったく開かず、わざとヘッドを遅らせてインコースを打ちぬいた」トロントのホセ・ボティースタのホームランの素晴らしいフォームじゃないが、中村悠平には当分「世界レベルのプロの凄さ」は「理解不能」だと思う。
まぁそんなわけで、「こういうパターン配球をすれば打者はひっかかってくれるだろう」なんて鉄則なんてものは「ない」にもかかわらず、強情に同じ「自分の好きな配球パターン」を繰り返したがる中村悠平が「名捕手」だとは、ブログ主には到底、まるっきり、思えない。
よくいわれるように、「仕事」というものは「自分のやりたいことをする」ことではなく、「相手が『してもらいたい』と望むことを探りあて、それを実際にやってあげる」ことだ。
それと同じく、「配球」というものの極意は、「自分の好きな、あるいは自分の得意な配球パターンやセオリーをくりかえし実行すること」ではなく、また「相手のデータ上の弱点を突くこと」だけでもなく、「相手の予想や期待に絶対につかまることなく、飄々と裏切り続けること」にある。
まず、大づかみに言うと、いまソフトバンクがホームで連勝し、早くもヤクルトを圧倒しかかっているわけだが、データだけ眺める限り、ソフトバンク側のヤクルト打線に対するスカウティング「だけ」が正確で、ヤクルト側のそれは「雲をつかむように曖昧かつワンパターン」で、両者にはすでに雲泥の差がついているようにしか見えないのだが、どうだろう。
例えば、ヤクルトの投手側の対応で「なるほど」と思わせられた点は、ただひとつ、「ソフトバンクの中軸のひとりである柳田に、インハイのボール球でポップフライを打たせるという攻めを発見していること」という点くらいで、あとは「何もない」のである。
対してソフトバンク側は、どうも「ヤクルト打線の欠点をすべて把握して戦っている」ように見えるのである。
なぜこんなに「戦いの中身に差がついている」のだろう。
ブログ主は「配球」についつい目がいくわけだが(笑)、なんせ日本シリーズのデータを見るまで、ヤクルトの正捕手が相川でなく中村悠平という選手であることを知らなかったくらい、いまの日本野球にうとい(笑)
まして、彼が『世界野球プレミア12』代表に選出されるほど将来が期待されている日本でも指折りの若手キャッチャーであることなど、まったく知らなかった(笑)無知のくせに記事を書いて、ほんとうに申し訳ない(笑)
それにしても、中村悠平の出すサインの「リズム」に、「昔どこかで嗅いだことのあるデジャビュ感が非常に強くする」。このことに、ちょっと驚かされた(笑)
おそらく同チームの先輩・相川や、例のダメ捕手さんにも通じる「同じ系統のなにか」(笑)を持っているからだと思うのだが、それでも、以下の記事にみられるように、日本の野球メディアや評論家には「中村悠平のリードのセンスの良さ」が「絶賛」されているようだから、わからないものだ。
これはいよいよブログ主の時代は終わったのかもしれない(笑)
さて、冗談はさておき、以下の4月22日神宮球場のヤクルト対巨人戦のスポニチ記事を見てもらおう。
3対2とヤクルトのリードで迎えた6回表、一死満塁でバッターは長野だ。カウント2-0から、ストライクが欲しい3球目にシンカー。これを長野が空振りすると、続く4球目5球目もシンカーで、結局長野は「3球連続の空振り」で三振に打ち取られた、らしい。
この「3球連続シンカー」というリードが、「意外性のある、センスのいいリード」と絶賛されている。
ブログ注:
これまで何度も書いてきたことだが、もしこれがMLBなら「カウント2-0」のような「ボール先行カウント」は「典型的なファストボール・カウント」なのだから、「投手がストレート系を投げる確率」は非常に高いと断定できる。
参考記事:2013年3月8日、Fastball Count、あるいは日米の野球文化の違いからみた、WBCにおける阿部捕手、相川捕手と、田中将投手との相性問題。 | Damejima's HARDBALL
だが、なにせ上の記事が扱っているヤクルト対巨人戦は「日本のプロ野球」の話なのだから、たとえ「ボール先行カウント」であっても、「投手が変化球を投げてくる確率はけして低くない」と思うが、どうだろう。
また、問題は他にもある。「バッターが、アウトコースの変化球に超弱い長野だ」という点だ。この長野というバッターが外の低めの変化球に泳いで簡単に凡退するクセのある非常に安っぽい打者であることは、いまや子供だって知っている。追い込んで「外の変化球」さえ投げておけば、このバッターは泳いだスイングで簡単に空振り三振か、内野ゴロに凡退してくれる。そういう打者を変化球で三振させたとしても、それを絶賛する必要がどこにあるだろう。
上の記事に中村悠平のこんなコメントがのっている。これだけを読むと「なるほど」とか思いかねないが、日本シリーズ第1戦の結果に照らして読むと、非常に辻褄があわないことがわかる。
「高校のリードはシンプルで、打者が合っていない球を続けるのが基本でした。でもプロは1球目に遅れても同じ球を続けたらドンピシャのタイミングで打ち返されることも珍しくない。前の反応を鵜呑みにはできないし、同じ球を続ける時はより慎重にならないとダメ」
「リードに正解はないけど、抑えるポイントとしてはっきりしているのはインコースの使い方。どれだけバッターに内を意識させられるかで攻め方の幅も大きく変わってくる」
【プロ野球】解説者たちが絶賛した好リード! 好調ヤクルトに中村悠平あり|集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva|Baseball (ライター:谷上史朗)
4月にこういうコメントをしていた中村悠平捕手だが、この日本シリーズ第1戦で彼は、以下にみるような目に遭って、敗戦を喫している。ぜひ、上の記事と下の記事を連続で読んでもらいたい。
1回裏・李大浩の二塁打
カウント1-0から、2球目・3球目と「同じ変化球」を連投。2球目こそ空振りだったが、3球目はライト線に軽打され、ツーベース
4回裏・松田のソロホームラン
カウント1-1からの3球目は、内角に食い込むスライダーで、しっかり腰を引かせた。だが直後の4球目、松田は、けして甘いコースではない「外角低めのシンカー」に踏み込んでホームラン
ヤクルト中村が得た2つの収穫 デホの駆け引きと松田の決め打ち ― スポニチ Sponichi Annex 野球 (ライター:山田忠範)
ブログ主の考えでは、上の2つの「事件」のうち、「第1戦で、松田にアウトコース低めの変化球をホームランされた」ことは、中村悠平が「自分の手の内の引き出し」がまったくプロに通用していないことがはじめて彼自身にもわかって、萎縮した、という意味で、ヤクルトの日本シリーズにとっての「致命傷」になったと思う。
その理由を以下のデータから感じとってもらいたい。「日本シリーズ第2戦」における松田選手への配球だ。
ヤクルトバッテリーは第1戦で松田に「インコースに捨て球を投げてえぐってみせた直後に、勝負にいった弱点であるはずの『アウトコース低めシンカー』をホームランされている」わけだが、その後、中村悠平が「松田のインコースにまったく配球しようとしていない」ことは、このデータからして明白だ。
(7回裏オンドルセクが2球目にたった1球、松田のインコースを突いているのだが、これは明らかに単なるカウント稼ぎの意味しかなく、勝負球ではない。勝負は次の3球目、ありきたりなアウトローのフォークだった)
4回裏
2ランホームラン直後
無死走者なし
センター前ヒット
5回裏
2死満塁
三振
7回裏
1死2、3塁
レフトフライ
中村悠平が「松田のインコース」に絶対に配球しようとしない理由は、子供でもわかる。「データ上、松田が『右投手のインコース』に非常に強いバッター」だからだ。
と、同時に、「データ上、松田は『右投手のアウトコース』の球で合計43三振もしているバッター」でもある。だからアウトコースばかり投げて「逃げ」たがる。(データ例:松田 宣浩【ソフトバンク】 コース別(ゾーン別)打率・成績)
だが、である。
現実の野球では、どうだ。
ヤクルトバッテリーは、「データ上、アウトコース低めでうちとれるはずの松田」に、その「アウトコース低め」を「ホームランされている」のである。
その理由は、これまた子供でもわかる。
「インコースをえぐってみせた直後に、『アウトコース低めの変化球』を勝負球として投げてくることが、打者・松田にバレていた」からだ。
そして中村悠平は、第1戦でホームランされて失敗しているわりに、第2戦でもまったく同じ配球をしている。第2戦の5回裏、満塁の場面で「ど真ん中に入ってしまった投球ミスのまっすぐ」をタイムリーされなかったのは、単にバッター松田が「びっくりして打ち損じた」、ただそれだけのことだ。
ちなみにソフトバンクの柳田も、松田と同じ「データ上、インコースの得意なバッター、インコースを苦手にしないバッター」だが、にもかかわらず、ヤクルトの投手のインコースで凡退してくれている。
これは、インコース好きの柳田にインハイの「ボール球」を振らせることに「たまたま」成功しているからだけのことであって、もし中村悠平が意図的にインコースに「ストライク」を集中したら、柳田もインコースを打つようになる。
リードに「絶対」なんてものは、「ない」。
なぜなら、好調時のプロは、たとえ苦手球種、苦手なコースであろうと、「来るのがわかっている」なら、その球をヒットやホームランにできてしまうからだ。
「インコースをえぐってみた」程度のことで鼻高々になって、どうする。「ああ、次は『アウトコースの変化球』だろうな。このキャッチャー、ものすごく単純なタイプだからな」くらい、誰でも考えるのが、『プロ』(とプロの観察者)というものだ。高校野球だの、直らない欠点をもっている二流打者・長野などと一緒くたに語ってもらっては困る。
先日のALCSで「あらかじめ左足を引いておいて、だが体はまったく開かず、わざとヘッドを遅らせてインコースを打ちぬいた」トロントのホセ・ボティースタのホームランの素晴らしいフォームじゃないが、中村悠平には当分「世界レベルのプロの凄さ」は「理解不能」だと思う。
ボティースタの3ランの写真。「かなりアウトステップしている」にもかかわらず、「左足のつま先がファースト側を向いていること」に注目したい。インコースの2シームをレフトにでなく「センター」にホームランできる秘密がここにある。 pic.twitter.com/Hzqoyj6nUk
— damejima (@damejima) 2015, 10月 15
まぁそんなわけで、「こういうパターン配球をすれば打者はひっかかってくれるだろう」なんて鉄則なんてものは「ない」にもかかわらず、強情に同じ「自分の好きな配球パターン」を繰り返したがる中村悠平が「名捕手」だとは、ブログ主には到底、まるっきり、思えない。
よくいわれるように、「仕事」というものは「自分のやりたいことをする」ことではなく、「相手が『してもらいたい』と望むことを探りあて、それを実際にやってあげる」ことだ。
それと同じく、「配球」というものの極意は、「自分の好きな、あるいは自分の得意な配球パターンやセオリーをくりかえし実行すること」ではなく、また「相手のデータ上の弱点を突くこと」だけでもなく、「相手の予想や期待に絶対につかまることなく、飄々と裏切り続けること」にある。