April 25, 2018
"Maybe number of hits is enough for narrow person in view." 〜 Ken Burns
とりあえず、まずはBBWAA(全米野球記者協会)宛にツイートしておいたのだが、最近のシアトル・タイムズのイチロー記事の「失礼さ」は、いくらなんでも目に余る。
自分は「根拠が何も示されない、あるいは、スポーツのデータやセオリーとなんの関連性もない、『個人の好き嫌い』のみに基づくヘイト記事によって、アスリートの尊厳を傷つける行為」を、「スポーツ・ジャーナリズム」だ、だから許される、などと、看過したりはしない。
今後も必要であると感じたら、しかるべき相手にツイートして意図を伝達するなり、ブログ記事を書くなりして、反撃する。
@officialBBWAA
— damejima (@damejima) 2018年4月24日
As one of Ichiro fans, I would like to say with huge anger about silly articles of the Seattle Times in these days. They always write about Ichiro with rudeness and racism without clear cause or respect for athlete. It is not journalism, but only personal hate.
最初に確認しておくが、2018年3月に何度かツイートしているように、ブログ主は2018シーズンのイチローのシアトル復帰について「賛成していない」。
だが、だからといって、自分と根本的に立場の異なる「イチローのシアトル復帰を諸手を挙げて喜ぶファン」たちを、無根拠に批判したり、ディスったり、煽ったりは、一切してこなかった。また、かつてのシアトル・マリナーズの若手再建路線が大失敗に終わったことについても、(それは、ただ単に「めんどくさい」という理由からではあったが)特に強い批判を加えてはこなかった。
だが、このところの「イチローの去就」をめぐると「自称」している記事群と、それを書いている三流ライターたちの「無礼さ」「無神経さ」は目に余る。
それらはもはや「スポーツ記事」でも「ジャーナリズム」でもなく、単なる個人の「好き嫌い」でしかない。「嫌い」という日本語を英語に直訳した場合、「ヘイト」という言葉になるわけだが、こういう「無根拠さ」こそ「ヘイト」と呼ぶにふさわしい。
最初に、日本のメディア記事の「印象操作」について書く。
まず最初に確認しておいてもらいたいことは、このところ「イチローの退団」「イチローのDFA」うんぬんを扱った記事を日米で頻繁にみかけるわけだが、こうした「煽り記事」を必死に生産しているのが、「球団」ではなく、「シアトル・タイムズを筆頭にしたローカルメディアの一群のライターたちに過ぎない」、ということだ。
今後どういう展開になるかはわからないが、少なくとも2018年4月段階でいえば、「シアトル・マリナーズの球団サイド」が(水面下での動きはともかく)表だって「イチローはシアトルにはもはや必要ないから、早くいなくなってほしい」などと表明した「事実」は、どこにもない。
にもかかわらず、日本のスポーツメディアの一部は、彼らの情報源が「シアトルのローカルメディアが連発するヘイト記事」の「聞きかじり」でしかないことすら明示しないまま、あたかも「イチローがシアトル・マリナーズを退団させられるのが、球団の公式な規定路線になっている」かのような無礼な報道を、2018年4月に、複数回にわたって掲載している。
これは明らかに印象操作であり、無責任かつ無根拠な情報の垂れ流しである。
次に、シアトル・マリナーズ球団のイチロー獲得における「責任」について書く。
これは既にツイートしたことの繰り返しだが、ブログ主は、イチローをシアトルに呼び戻した人間には「責任」があると考えている。
なぜなら、ブログ主が2018年3月に行った「Twitterの投票機能を利用した調査」の結果でも明らかなように、「イチローのシアトル復帰を心から喜んだファンが、日本にも、アメリカにも、そして他の国にも、非常に数多く存在する」ことが明らかだからだ。
イチローのシアトル復帰について。
— damejima (@damejima) 2018年3月5日
あなたの考えを、どうぞ。
言うまでもないが、もし「シアトル以外」の他のMLB球団が、イチローを一時的にロスターに入れ、「怪我をしている外野手の復帰まで、ギャップを埋めてもらう」というケースなら、特にエモーショナルになる責任論は発生しない。
だが、ことマリナーズについては、話が違う。
イチローの復帰に対するファンの過剰なまでの反応に、球団が責任を負うことになるのは明らかだ。
「もしシアトルがイチローを呼び戻すようなことをすれば、ファンの間でどういう反応が起こるか」は、マリナーズ経営陣も、そして、無反省なローカルメディアも、あらかじめ理解しておくべきであり、そして、これが他のなにより重要なことだが、「一度契約したならば、それを単に理解するだけでは足りず、イチローとの再契約という行為がもたらすさまざまな結果をも『受け入れる覚悟』でコトに臨まなければならなくなる」、そういう「特別な行為」だったはずだ。
もし、そうした「世界のMLBファンに反応を起こさせることに対する『責任』を負う羽目になる覚悟」が「ない」のなら、シアトル・マリナーズはイチローを呼び戻すようなことをすべきではなかった。
だが実際には、FA市場に外野手などいくらでもいたにもかかわらず、あえて「イチローとの契約」に踏み切ったのだから、当然ながら、マリナーズ側に責任は「ある」のである。
イチローとの契約という「ファンの期待を煽る行為」にあえて踏み切ったシアトル・マリナーズには、イチローのシアトル復帰に賛成か反対かに関係なく、ファン感情を「明瞭な理由なく破壊する」ような無礼な行為は許されないし、あえて契約にふみきったレジェンドに対して、最低限のリスペクトにすら欠けた、ぞんざいな扱いはけして許されない。
そして、事実、2018年4月のイチローは、実際にシアトル・マリナーズの外野のギャップを埋め、スタジアムに客を呼び戻すようなプラスの働きをしたし、他方、ここがこの項目の最も重要な点のひとつだが、シアトル・マリナーズは、(少なくとも契約以降、4月段階まで)球団としてイチローに対する無礼な言動は「なかった」のである。
むしろ、シアトル復帰に賛成しなかったブログ主にすら、むしろマリナーズは今回「イチローをとても丁重に扱っていた」ようにみえている。
だからあらためて確認しておくが、イチローのDFAを必死に主張しているのは、球団ではなく、シアトルのローカルメディアである。このことをファンはよく確認しておくべきだ。
次に、復帰に賛成したファンの「安易さ」について。
今でもブログ主はイチローのシアトル復帰に賛成ではない。そのブログ主に言わせれば、イチローファンのマジョリティや、マリナーズファンとやらの大半がイチローのシアトル復帰を万歳三唱して喜んだ行為は「あまりにも安易だ」と考える。
なぜなら、シアトル復帰というドラマに酔いたいだけの彼らは、「イチローという、50歳現役を目指すアスリートにとって、何が最も良い選択なのか」をきちんと見据えていないからだ。
今回シアトルがイチローをロスターに加えた理由は、「レギュラー外野手が怪我で開幕に間に合わないから」というシンプルなものでしかない。「レギュラー外野手が戻ってくればイチローの立場が微妙なものになること」は、「最初からわかりきって」いたのである。
(もちろんブログ主は、だからといって、マリナーズ側がイチローという選手をぞんざいに扱っていいなどとは、まったく思わないし、また、シアトルの「怪我していたレギュラー外野手」が「イチローより優れている」なんてことは、まったく、1ミリも、思わない)
にもかかわらず、ブログ主のTwitterでの調査で明らかなように、大多数のイチローファン、マリナーズファンは、「イチローのシアトル復帰」を無条件に喜んだのである。ブログ主に言わせれば、それはあまりに「安易」すぎる。
イチローがシアトル退団に追い込まれた2011年から12年にかけ、球団から受けた酷い扱いや、シアトル・タイムズを筆頭にしたローカルメディアの悪質で無根拠なヘイト・キャンペーンを考えれば、シアトル復帰など考えられないとブログ主は思うわけだが、もし今回も、「世間の自称イチローファン」や「マリナーズファン」とやらが、自分たちのレジェンドがローカルメディアに酷い扱いを受けている事実を、「ふたたび」放置し、看過するなら、それはファンとして、あまりに無責任だ。
最後に、シアトルのローカル・メディアの「無礼さ」について書く。
怒りを通りこして、呆れかえる話だが、あるライターがイチローについて「チケットを売るためのサクラ」などと書いたらしいが、無礼にもほどがある。
イチローと契約することを決めたのは、他ならぬ、「シアトル・マリナーズ自身」である。だからローカルメディアがイチロー獲得に同意できない点があるなら、まず「球団を批判すべき」なのであって、ファンの目に触れる公式な場所でマスメディアが無根拠にイチローに対する無礼きわまりない発言をする権利は、どこにもない。
発言に責任がともなうのが、ジャーナリズムというものだ。もし、そういうヘイト発言をどうしてもやりたいなら、シアトルの三流ライターたちはマスメディアを退社し、個人ブログでも始めて、そこでやるべきだ。
アスリートはプレーするために存在するのであって、「チケットやジャージーを売るために存在している」わけではない。もし「レジェンドをチケット販売にだけ利用しようとする、ゲスすぎる球団」があるとしたら、「そういうゲスな球団にまとわりついて、メシを食ってる」のは、おまえら、ローカルメディアのほうだ。
彼らがイチローのシアトル復帰にあたって今回のような無礼きわまりない態度をとるであろうことは、一部の熱心なイチローファンなら誰もが予想していた。
なぜなら、彼らは前回2012年のシアトル退団のときにも「まったく同じイチロー・ヘイト・キャンペーン」をやってのけたからだ。(ありもしない襲撃計画だのをでっち上げることまで彼らはしたのである。このことは球団が公式に否定している)
「海外の報道を受け売りしているだけの日本メディア」しか見ていない無知な「自称MLBファンたち」がそうした事実を知らないとしても、それは彼ら自身の責任であって、ブログ主の責任ではない。
前回のイチローのシアトル退団以降に、シアトル・マリナーズは、GMジャック・ズレンシックの首を切り、監督エリック・ウェッジの首を切り、シアトル・タイムズはかつてのマリナーズ記事責任者を配置転換し、一部ライターが退社した。
それらの一連の事実は、かつてシアトル・マリナーズがやった「方針転換」とやらが「巨大な失敗」だったこと、そして、その方針転換を支持し、無批判な態度に終始して失敗を助長したシアトル・タイムズをはじめ、シアトルのローカルメディアが大きな間違いを犯してきたことを意味する。
そうした数々の間違いをあえて刺激的な批判記事にもせず、看過してやったにもかかわらず、シアトル・タイムズがかつてのようなイチロー・ヘイト・キャンペーンを続けるなら、こちらも、球場のリニュアルなどを含めた球団の2012年以降の政策の大半が「いかにして巨大な失敗」に終わってきたかの批判も含め、それ相応の対応をとるつもりだ。
既にツイートしたことの繰り返しになるが、アスリートのプレイについての批判は、それがきちんとした根拠、データ、論理を示したものであるなら、それを攻撃しようなどとは思わない。
だが、シアトル・タイムズのやっていることは、2012年に彼らがやったことと同じで、何の根拠もデータもなければ、なんの倫理もなく、アスリートに対するリスペクトの欠片すらない。
自分はそういう「無秩序な、マナーに欠けた行為」を
許容したり、看過したりしない。
過去の参考記事:
2009年8月24日、ジャーナリスト気取りのクセに認識不足だらけのシアトル地元記者のイチローへのやっかみを笑う。 | Damejima's HARDBALL
2010年9月20日、シアトル・タイムズのスティーブ・ケリーが、"The Tenth Innning"のケン・バーンズと共同監督のリン・ノビックが行った「イチローインタビュー」について当人に取材して書いた記事の、なんとも哀れすぎる中身とタイトル。 | Damejima's HARDBALL
2012年6月11日、「見えない敵と戦う」のが当り前の、ネット社会。 | Damejima's HARDBALL
2013年9月30日、シアトル・タイムズのスティーブ・ケリー退社、ジェフ・ベイカー異動、そして、マリナーズ監督エリック・ウェッジ退任。 | Damejima's HARDBALL