May 15, 2020
2020年5月14日付BBC日本版によると、アメリカの武漢肺炎による死者数は「8万4千人を超えた」そうだ。
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トランプ大統領はこの武漢肺炎による大惨事を、「真珠湾攻撃以上」というアメリカ人独特の言いまわしで形容している。(「真珠湾」にたとえるのは感心しない言葉の使い方だが、ここではそのことはとりあえず置いておく)
だが、アメリカの第二次大戦の太平洋戦線における戦死者数を考えれば、「真珠湾攻撃を比喩として引用している場合ではないほど、武漢肺炎被害のほうが「はるかに甚大」であること」がわかるはずだ。
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アメリカの太平洋戦線における戦死者数は、そもそもはっきりとはわかっていないようだが、以下のリンクでは「16万5千人あまり」という数字が採用されている。(ちなみに、ヨーロッパ戦線を含めたすべての戦死者数は「41万6千人あまり」という数字が挙がっている。これらの数字について、以下のリンクは次のような注釈を加えて注意をうながしている。『※この場合の戦死者数には、戦闘以外の死者を含んでいる。戦闘以外とは何か具体的に記載されていないが戦闘重傷後病院死、病死、事故死、訓練死、災害死、行方不明、状況不明、自殺などが含まれると思われる』)
徒然cello日記: 第二次世界大戦 太平洋戦線におけるアメリカの戦死者数
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アメリカでの武漢肺炎の死者が8万4千、第二次大戦の太平洋戦線での死者が、その約2倍、16万5千。ならば、第二次大戦のほうがよほど悲惨だと断じる人がいるかもしれないが、ブログ主はまったくそうは思わない。
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ちょっと横道にそれる。
第二次大戦の太平洋戦線における火蓋が切られたのは、日本時間で1941年(昭和16年)12月8日の「真珠湾攻撃が最初」だと思っている人が、日本でも非常に多い。
だが、それは間違いだ。
12月8日未明に敢行された真珠湾攻撃より先に、日本軍はマレー作戦という名称で、同じ12月8日深夜に当時のイギリス領マレー(現在のマレーシアとシンガポール)を攻撃しているからである。ハワイ時間では日本より日付が1日ずれるために、真珠湾攻撃は「現地時間12月7日」で、マレー作戦は日本と日付は同じ「12月8日」となるから、絶対的な日付だけをみると真珠湾が先にみえるが、実際はそうではない。
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話を本筋に戻す。
アメリカの第二次大戦における太平洋戦線の戦死者数16万5千は、主に1941年12月から1945年8月までの「約3年8ヶ月」に生じている。対して、武漢肺炎による死者数8万4千は、2020年2月上旬から2020年5月中旬までの「約3ヶ月」に集中的に発生している。(2020年4月のロサンゼルス・タイムズによれば、アメリカにおける武漢肺炎による最初の死者は「2月6日カリフォルニア州サンタクララで死亡した女性」ということになっている)
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もちろん、「約3年8ヶ月にわたる命がけの戦闘による16万5千の戦死」と、「わずか3ヶ月でウイルスで失われた8万4千の死」とを比べることは、生命の重さというものに対する不遜に過ぎる行為ではある。
他にも、一瞬で約20万もの生命が失われた原爆のような「突出した例」があるわけだが、最も優れた音楽を誰にも決められないのと同じように、「どの惨事が最も悲惨か」を断定することなど誰にもできない。そのことは重々承知している。
だが、あえて言わせてもらう。
たった3ヶ月間で亡くなった8万4千人という数字は、けして小さくない。そこには、戦争という惨事においてすら存在している、名誉も、勲章も、年金もない。ウイルスによる不意打ちと、失意の死。残された人々の悲しみ。ただそれだけである。
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武漢肺炎によるこの惨事を、決死の覚悟とともにあった太平洋戦争を引き合いに語ってほしくない。日本は第二次大戦によって非常に大きな代償を払わされた。例えばアメリカでは民間人の死亡者は1千数百人にすぎないが、日本では80万人以上もの民間人が亡くなっているといわれている。われわれは責任をとったのである。
アメリカは武漢肺炎に対して、どういう代償を求めるのか。それをわれわれ日本人は目をこらして見つめている。そのことも忘れてほしくない。
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トランプ大統領はこの武漢肺炎による大惨事を、「真珠湾攻撃以上」というアメリカ人独特の言いまわしで形容している。(「真珠湾」にたとえるのは感心しない言葉の使い方だが、ここではそのことはとりあえず置いておく)
だが、アメリカの第二次大戦の太平洋戦線における戦死者数を考えれば、「真珠湾攻撃を比喩として引用している場合ではないほど、武漢肺炎被害のほうが「はるかに甚大」であること」がわかるはずだ。
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アメリカの太平洋戦線における戦死者数は、そもそもはっきりとはわかっていないようだが、以下のリンクでは「16万5千人あまり」という数字が採用されている。(ちなみに、ヨーロッパ戦線を含めたすべての戦死者数は「41万6千人あまり」という数字が挙がっている。これらの数字について、以下のリンクは次のような注釈を加えて注意をうながしている。『※この場合の戦死者数には、戦闘以外の死者を含んでいる。戦闘以外とは何か具体的に記載されていないが戦闘重傷後病院死、病死、事故死、訓練死、災害死、行方不明、状況不明、自殺などが含まれると思われる』)
徒然cello日記: 第二次世界大戦 太平洋戦線におけるアメリカの戦死者数
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アメリカでの武漢肺炎の死者が8万4千、第二次大戦の太平洋戦線での死者が、その約2倍、16万5千。ならば、第二次大戦のほうがよほど悲惨だと断じる人がいるかもしれないが、ブログ主はまったくそうは思わない。
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ちょっと横道にそれる。
第二次大戦の太平洋戦線における火蓋が切られたのは、日本時間で1941年(昭和16年)12月8日の「真珠湾攻撃が最初」だと思っている人が、日本でも非常に多い。
だが、それは間違いだ。
12月8日未明に敢行された真珠湾攻撃より先に、日本軍はマレー作戦という名称で、同じ12月8日深夜に当時のイギリス領マレー(現在のマレーシアとシンガポール)を攻撃しているからである。ハワイ時間では日本より日付が1日ずれるために、真珠湾攻撃は「現地時間12月7日」で、マレー作戦は日本と日付は同じ「12月8日」となるから、絶対的な日付だけをみると真珠湾が先にみえるが、実際はそうではない。
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話を本筋に戻す。
アメリカの第二次大戦における太平洋戦線の戦死者数16万5千は、主に1941年12月から1945年8月までの「約3年8ヶ月」に生じている。対して、武漢肺炎による死者数8万4千は、2020年2月上旬から2020年5月中旬までの「約3ヶ月」に集中的に発生している。(2020年4月のロサンゼルス・タイムズによれば、アメリカにおける武漢肺炎による最初の死者は「2月6日カリフォルニア州サンタクララで死亡した女性」ということになっている)
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もちろん、「約3年8ヶ月にわたる命がけの戦闘による16万5千の戦死」と、「わずか3ヶ月でウイルスで失われた8万4千の死」とを比べることは、生命の重さというものに対する不遜に過ぎる行為ではある。
他にも、一瞬で約20万もの生命が失われた原爆のような「突出した例」があるわけだが、最も優れた音楽を誰にも決められないのと同じように、「どの惨事が最も悲惨か」を断定することなど誰にもできない。そのことは重々承知している。
だが、あえて言わせてもらう。
たった3ヶ月間で亡くなった8万4千人という数字は、けして小さくない。そこには、戦争という惨事においてすら存在している、名誉も、勲章も、年金もない。ウイルスによる不意打ちと、失意の死。残された人々の悲しみ。ただそれだけである。
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武漢肺炎によるこの惨事を、決死の覚悟とともにあった太平洋戦争を引き合いに語ってほしくない。日本は第二次大戦によって非常に大きな代償を払わされた。例えばアメリカでは民間人の死亡者は1千数百人にすぎないが、日本では80万人以上もの民間人が亡くなっているといわれている。われわれは責任をとったのである。
アメリカは武漢肺炎に対して、どういう代償を求めるのか。それをわれわれ日本人は目をこらして見つめている。そのことも忘れてほしくない。