August 2009

August 31, 2009

7月末に突然、ウオッシュバーン同様にクレメントセデーニョがピッツバーグにトレードされて1ヶ月が経った。
放出したセデーニョもショートなら、獲得したジャック・ウィルソンもショート。同じポジション同士の選手のトレードに、どんな意味がある。ジャック・ウィルソンの年棒の高さ、打力の無さを考えれば、普通に考えてこんなトレード、ありえない。まったく、くだらない。

結果的には打撃のいいジョシュ・ウィルソンがいたのだし、ジャック・ウィルソンなどあわてて獲得しなければならない必要など、どこにもなかった。

同じポジションのプレーヤーの交換なだけに、打撃も含めて比較はたやすい。あとに挙げた数字をみれば一目瞭然だが、リーグの違いに関係なく、移籍前後のジャック・ウィルソンのバッティングは、「移籍前」のセデーニョ以下だ。シアトルはロニー・セデーニョのバッティングも、クレメントのバッティングも、ロクに試しもしないまま、やすやすと手放した。

これは何度も言うように、今年のチームマネジメントの、多々あった失敗のひとつだ。
2008年の最重要戦犯だった城島をまたもや正捕手に起用したことに始まり、プレーオフを積極的に狙うのか、狙わず再建にあたるのか、明確な方針をファンに提示することすらせず、トレードでは必要のない選手を獲り、必要な選手を放出し、若手の活用に出遅れた。
ウオッシュバーンやクレメントを意味不明に放出し、ローテ投手の混乱から勝率の低下を招いた。一方でDH枠活用によるプレーヤーの休養に大きく失敗して選手の故障を多発させた。
そうしたマネジメント側の数々の失敗で、結果的に自らプレーオフ進出を手放した。

Ronny Cedeno Stats, News, Photos - Pittsburgh Pirates - ESPN

セデーニョは、移籍後の一ヶ月でセデーニョは20本のヒットを打って、月間で打率.299、長打率.506、OPS.846と、堂々たる成績で、ショートの座を争っている。20本のヒットのうち、二塁打が2本、三塁打1本、ホームラン4本と、長打が並んでおり、いまや移籍後のセデーニョは、「グリフィーよりもホームラン率が高い」バッターである。
8月17日からの対ミルウォーキー3連戦では、2本のホームランを打って、チーム5連勝のきっかけを作っている。
8月22日に小指の怪我で3日間休んだが、26日から代打で復帰。代打として4試合出て、4打数3安打(二塁打2本)と集中力をみせた。
その後8月30日にはしっかりとスタメンに復帰。復帰後も、さっそく8打数3安打で、三塁打1、四球3、打点1と、貧打のピッツバーグでひとり気を吐いている。

ピッツバーグでのセデーニョの動画集(公式サイト)
Multimedia Search | MLB.com: Multimedia

8月2日 2つのファインプレー
Baseball Video Highlights & Clips | WSH@PIT: Cedeno makes two great plays in the third - Video | MLB.com: Multimedia
8月3日 ファインキャッチからのダブルプレー
Baseball Video Highlights & Clips | WSH@PIT: Cedeno makes two great plays in the third - Video | MLB.com: Multimedia
8月6日 2点タイムリー
Baseball Video Highlights & Clips | ARI@PIT: Bucs reclaim lead on Cedeno's two-run single - Video | MLB.com: Multimedia
8月8日 2ランホームラン
Baseball Video Highlights & Clips | STL@PIT: Cedeno hits a two-run home run to left field - Video | MLB.com: Multimedia
8月19日 2ランホームラン
Baseball Video Highlights & Clips | MIL@PIT: Cedeno socks a two-run homer to left field - Video | MLB.com: Multimedia
8月31日 ダイビングキャッチ&ストロングスロー
Baseball Video Highlights & Clips | STL@PIT: Cedeno's stellar diving play robs a hit - Video | MLB.com: Multimedia

8月2日のAB/HR
この日書いた記事では、セデーニョが打席数の割にはホームランを打っていることや、IsoPなどの数字から、シアトルファンから非力と言われ、1割バッターと揶揄され続けたこの守備の名手の「隠された長打力」に注目してみた。
2009年8月2日、セデーニョ移籍先で2ランHR含む15打数4安打。3人のショートストップを打撃で比較しつつ、「ショートストップ・トレード騒動」と、「クレメント放出の無意味さ」を考える。

14.0 ブラニアン
24.8 グリフィー
25.2 ロペス
27.8 グティエレス
28.0 ハナハン
34.6 城島2007
37.2 移籍前のセデーニョ
38.8 移籍前のバレンティン
46.0 スウィニー
46.7 城島2009
54.1 城島2008
59.4 ベルトレ

それが、移籍して1ヶ月たった8月30日にはこうだ。
ロニー・セデーニョはいまや、監督ジョン・ラッセルが怪我からの復帰を心待ちにするほどのチームの主力。必死に帳尻ホームランを狙い続けて、かえってメジャー初の三振の山を築きだして、月間打率が.182しかないコネ捕手より、よほどチームバッティングを心がける真摯なロイヤリティとマトモな長打力がある。

8月30日のAB/HR
13.9 ブラニアン
18.3 移籍後のセデーニョ
22.9 グリフィー
24.3 ロペス
30.7 城島2009
31.4 グティエレス
34.6 城島2007
37.2 移籍前のセデーニョ
38.8 移籍前のバレンティン
39.0 ハナハン
46.0 スウィニー
54.1 城島2008
55.0 移籍後のバレンティン
59.4 ベルトレ


打率
移籍前セデーニョ .167
移籍後ウィルソン .215
城島        .239
移籍前ウィルソン .267
移籍後セデーニョ .288

SLG 長打率
移籍前セデーニョ .290
移籍後ウィルソン .338
城島        .370
移籍前ウィルソン .387
移籍後セデーニョ .479

BB/PA 打席あたりの四球数
移籍後セデーニョ .026
城島        .036
移籍後ウィルソン .043
移籍前セデーニョ .051
移籍前ウィルソン .053

IsoP Isolated Power
移籍前ウィルソン .120
移籍後ウィルソン .123
移籍前セデーニョ .124
城島        .130
移籍後セデーニョ .192

SecA Secondary Average
城島        .168
移籍前ウィルソン .180
移籍前セデーニョ .183
移籍後ウィルソン .185
移籍後セデーニョ .233






ワイルドピッチを後逸して失点するコネ捕手城島
グレインキーに完封負け

Baseball Video Highlights & Clips | KC@SEA: Maier hustles home on a wild pitch - Video | MLB.com: Multimedia

Kansas City vs. Seattle - August 30, 2009 | MLB.com: Gameday

この記事は下記の記事のデータ修正でもある。
2009年8月26日、8月のロブ・ジョンソン先発ゲームはチーム勝率同等程度をキープ、「負け続け」だのは、ただの錯覚。むしろロブ・ジョンソン、ウオッシュバーンの奮闘がチームに最多の貯金を作った7月に、城島先発の借金が足を引っ張りポストシーズンへの道が断たれた。

コネ捕手城島と組みたがらないウオッシュバーンを無理矢理にトレードしてまでローテ投手の大半を組み替える一方で、城島先発ゲームを理由もなく無理矢理に増加させてみたところで、結局、保育園捕手城島のだしてくる結果は、まったく何も変わらなかった。

この過保護さ。

移籍直後の混乱もおさまってきた今週のローテのうち、勝ったのはロブ・ジョンソンで3勝(ヘルナンデス、フレンチ、スネル)コネ捕手城島で2敗(フィスター、ローランド・スミス)
ロブ・ジョンソンの貯金を、城島の借金が食いつぶしてポストシーズンへの道が断たれた7月と、構造はなにも変わっていない。

チームの8月の貯金をつくったのはロブ・ジョンソンが2つ。コネ捕手城島は、あれだけ好調な先発投手を強引な方法で回してもらっておきながら、結局は貯金をたったひとつ作っただけ。
情けないとか、そういうレベルを通り越している。



コネ捕手城島のシーズン勝率は、8月30日までのところ.412という酷い数字だが、これは、シーズン100敗した2008年シーズンにこのダメ捕手が記録した.368という惨憺たる勝率と、たいしてかわりない。
そういう意味では、コネ捕手城島のやっていることは2009年も、100敗した2008年とたいした差はない。


2009 ロブ・ジョンソン出場ゲーム (8月30日まで)
すべての月で貯金を達成。
4月 8勝5敗 貯金3
5月 8勝5敗 貯金3
6月 8勝4敗 貯金4
7月 11勝5敗 貯金6
8月 8勝6敗 貯金2

シーズン通算 43勝25敗(貯金18
シーズン勝率 .632
Rob Johnson Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN


2009 城島出場ゲーム (8月30日まで)
無理矢理出場機会を増やしてもらっても、このザマ。
4月 5勝2敗 貯金3
5月 5勝12敗 借金7
6月 1勝2敗 借金1
7月 3勝8敗 借金5
8月 7勝6敗 貯金1

シーズン通算 21勝30敗(借金9
シーズン勝率 .412(=西地区最下位のオークランドの勝率と、ほぼ同じ)
Kenji Johjima Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN


2008年 城島先発試合(捕手およびDH)
マクラーレン解任前 54試合 20勝34敗 勝率.370
3・4月 22試合先発 打率 .182 9勝13敗 勝率 .409
5月  21試合先発 打率.277  7勝14敗 勝率 .333
6月  11試合先発 打率 .205 4勝7敗  勝率 .367
マクラーレン解任後 33試合 12勝21敗 勝率.364
6月  4試合先発 打率 .312 2勝2敗 勝率 .500
7月  15試合先発 打率 .130 5勝10敗 勝率 .333
8月  14試合先発 打率 .200 5勝9敗  勝率 .357
(参考:2009年 城島8月 13試合先発 打率 .182)

2008シーズン 87試合先発 32勝55敗 勝率.368

2008年8月末、マクラーレン解任後の勝率改善に城島は全く貢献していないことが判明した。






まずは、この数字を見てもらおう。

4月 18,154人
5月 17,777 (前月比 − 377
6月 21,370 (前月比 +3,563
7月 26,102 (前月比 +4,732
8月 20,231 (前月比 −5,871

これはセーフコ・フィールドでのホームゲームでの、「平日、それも月曜から木曜の、1日あたりの観客数」だ。
(元データはMLB公式およびBaseball Reference。以下、特に注釈を加えずに『数字』と言った場合、この『平日月曜から木曜の、1日あたりの観客数』をさす。毎年の総観客数の増減が知りたい人は、Seattle Mariners Attendance, Stadiums, and Park Factors - Baseball-Reference.comへどうぞ。セーフコの収容能力は47,116人)

2009年は、「7月に最高値になって、8月に急減している」ことが、ひと目でわかる。

平日月曜から木曜の観客動員に限った理由はもちろん、「週末でない平日でもスタジアムに足を運んでくれるようなコアな観客が、いまのシアトルの野球にどういう反応をしているか?」を見るため。
だから観客動員が無意味に急増する「グリフィーがホーム・セーフコに初登場したゲーム」とか、ヤンキースやボストンとの対戦は、数字から故意に除いて計算してある。
またLAAとのゲームは、数字に含まれている。調べてみると、ヤンキースやボストン戦のような観客数の急増はなく、またホームLAA戦がなかった2008年8月でも、8月の数字は7月より伸びている。そうしたことから「LAA戦のある・なし」は、この数字にあまり影響しない、と考えられるからだ。

2009年の観客動員の特徴は
「7月の急激な回復」と「8月の異様な急減」

ここ数年の数字を見てみると、2009年夏の数字の異常ぶりがよくわかる。
「7月に、かつて地区2位になった2007年レベルの数字に急激に回復したにもかかわらず、8月になって、異常に急激な現象をした」のである。
こんな「7月より、8月のほうが、観客が大きく減少する」などという異常現象は、少なくともこの数年ない。シーズン100敗した最悪な2008シーズンですら、起こらなかった。

結論を先取りして言えば、
いかに平日にスタジアムに来るような層の観客たちが、「2009年7月のシアトル野球に期待をし、8月のシアトル野球に落胆して、スタジアムから去ったか」、わかろうというものだ。


2006年7月 30,120
2006年8月 32,104

2007年7月 26,861
2007年8月 40,786

2008年7月 23,464
2008年8月 26,123

2009年7月 26,102
2009年8月 20,231


2009年の「8月の平日観客2万人」の異常さ
「7月より8月のほうが観客が減る」というのも異常なことだが、そもそも盛夏8月のゲームの観客数が、いくら平日のゲームといっても、「1ゲームあたり、たったの2万人」なんて現象は、ここ数年をみてもありえない現象だ。
実際、2009年8月(1試合平均20,231人)の内訳は、次のようになっているが、ほぼ全ゲームでわずか2万人程度しか動員できていない。

第3週ホワイトソックス戦 21,049、19,385、24,427
第5週オークランド戦   21,056、17,661、18,695
第6週ロイヤルズ戦    19,345

たった1試合、例外的に24,427人を集めたWソックス第3戦は、完全試合男バーリーと、ヘルナンデスのマッチアップ。そりゃ、誰でも見たくなるゲームだ、理由はハッキリしている。
過去数年のデータから「ヘルナンデス登板だから平日でも観客動員が激増する」ということは「ない」ことがわかっているので、これはむしろ、「相手投手を見に来た」、あるいは、「バーリーとヘルナンデスとのマッチアップが面白いので見に来た」と考えられる。同じような「相手投手が大物なので観客が増える現象」は、今年7月のロイ・ハラデイ登板試合でもあった。
セーフコ・フィールドの観客がどういうゲームを期待しているか、わかりそうなものだ。投手有利なパーク・ファクターどおりといっていい。グリフィーで集客維持? ご冗談でしょ、と言っておく。


「7月より8月の観客が激減した」ということ。
そして今週の平日のゲームのように、「8月夏まっさかりというのに、1ゲームあたり2万人の観客すらいない」こと。


これを「異変」と感じないようなら、
その人はどうかしている。
あれほど観客を熱狂させた7月の野球、そして観客の興味をそぎまくった8月のシアトルの野球。

コア層の観客たちが期待したのは
「2009年6月・7月のシアトル」であって、
「2009年8月のシアトル」ではない。


そして、この異常な現象に「城島問題」が関係しないわけがない。

(この項、つづく)






ロブ・ジョンソンの2号2ランは、4-2というスコアの4回に、ハナハンのソロに続いて出たもので、結局ゲームは8-4で終わったわけだから、価値が高い。
この男、長打を実にいいところで打つ。なにか、そういう「ツキ」をもっている。
ロブ・ジョンソンの2ラン(動画)
Baseball Video Highlights & Clips | KC@SEA: Johnson hits a two-run homer to left field - Video | Mariners.com: Multimedia

Kansas City vs. Seattle - August 29, 2009 | MLB.com: Gameday

それにしても、いくらゲーム終盤に7-2と、5点差があったとはいえ、先発スネルが5回に打者の打球による怪我でマウンドを降りた後に出す投手がバティスタ、メッセンジャーのリレーでは、あぶなっかしい勝利になるのは当たり前。
ワカマツは、投手節約かなにか知らないが、終盤2イニングを今のブルペンでは最悪の投手といっていいメッセンジャーにまかせるとは、何を考えているのやら。
ほかに人材がいないならともかく、メッセンジャーよりマシな投手など、いくらでもいる。ジャクバスカスをマイナー送りにした意味すらわからない。
最終回にメッセンジャーが2本スタンドに放り込まれて、自責点2で終わらせられるゲームを無駄に4失点にした。明らかに監督の投手起用ミスである。

バティスタの捕手別 被打率
ロブ・ジョンソン  .238
城島        .283
キロス       .286
バーク       .318


今日のBS1の解説は、かつての城島のチームメイト武田だったが、例によって、何度も何度も執拗に「城島のほうがジョンソンより明らかにバッティングがいい」と連呼して、城島を出場させるべきだと力説しているそばから、ロブ・ジョンソンがバコンと2ランをスタンドに放り込んだのには、大いに笑わせてもらった(笑)

「ロブ・ジョンソンより城島のほうがバッティングがいい」などというまやかしは、ただの「印象操作」であって、「そんな事実はない」ことくらい、いまやメジャーファンでシアトルのことをよく知る人なら、誰でもがわかっている。
そもそも、40万ドルのサラリーのロブ・ジョンソンの20倍の、800万ドルもらっているヘボ打者が、勝ちの決まったゲームの終盤に、ロブ・ジョンソンの打撃データにようやく追いつく程度の帳尻ヒットを打ったくらいで、「城島の打撃のほうがいい」などという嘘を、さも本当のことのように得意げに語るのが、どれだけ恥ずかしいことか。
このブログでも何度もコネ捕手城島の打撃数値を取り上げているわけだが、日本の解説者も、まず思い込み(笑)だけで語ることを卒業しないと話が始まらない。

2009年8月24日、コネ捕手の毎年恒例「ポストシーズン争い脱落後の出場機会の不自然増+帳尻打撃 特別扱いサービス月間」はじまる。とはいえ8月はここまで三振の打率.162。

2009年8月3日、チーム打撃ランキングで「バッターとしての城島」の位置を確認してみると、「最低打者は実は城島」と判明した。


今日現在のロブ・ジョンソンとコネ捕手城島の打撃データはこんな感じだ。この程度で十分だろう。わざと、どちらがどちらのデータか、伏せておく。このブログをよく読んでいる人なら、このほとんど変わらないデータの上と下、どちらがロブ・ジョンソンで、どちらが城島か、わかるはずだ。
データならもっともっとあるから、自分で勝手に調べるといい。守備にしたって、ロブ・ジョンソンのほうが城島よりいいと、数字を挙げて語っているサイトも、アメリカの大手サイトにある

RC27 IsoP SecA P/PA AVE OBP SLG OPS 
3.15 .122 .218 3.78 .227 .296 .349 .646
3.32 .130 .168 3.32 .239 .278 .370 .648

Seattle Mariners Batting Stats - ESPN






August 30, 2009

5回までの投球数が多く、たとえQSを達成したとしても6回までで一杯だろうと思われたヘルナンデスだったが、7回にわずか8球で終える快投をみせた。結局、104球で7回まで投げてくれて、無事13勝目。サイ・ヤング賞になんとか望みをつないだ。
Kansas City vs. Seattle - August 28, 2009 | MLB.com: Gameday

ストライク63に対して、ボールが41、ひさしぶりに全投球におけるストライク率の低いゲームだった。以前、今シーズン途中でトルネード風にフォームをいじりだしてから、どうもコントロールが悪くなっているような気がする、と以前指摘したことがある。

とはいえ、8月はゲームごとにストライク率が上がってきている。8月最初の3ゲームで14ものフォアボールを出していた最悪の状態は、この数ゲームで脱しつつある。

8月1日  104球58ストライク 55.8% 四球4
8月7日  113球70ストライク 61.9% 四球6
8月12日 105球67ストライク 63.8% 四球4
8月18日 106球69ストライク 65.1% 四球1
8月23日 101球67ストライク 66.3% 四球0
8月28日 104球63ストライク 60.6% 四球1

ヘルナンデスの全登板ゲームのストライク数

Felix Hernandez Game Log | Mariners.com: Stats

ヘルナンデスは、これでQS数22、QS%0.81。QS数21のグレインキーをひとつ引き離して、ア・リーグのQS数、QSパーセンテージ、2つのランキングでトップに立った。
30日のカンザスシティ第4戦で、グレインキーの登板があるが、そのゲームでグレインキーがQSするかどうかが重要になった。
MLB Baseball Pitching Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN

2009年8月28日 ア・リーグQS数QS%ランキング


ヘルナンデスの2009全登板ゲームログ

4月6日  6回自責点1  城島 QS
4月11日 5回自責点5  城島
4月17日 6回自責点3  ジョンソン QS
4月23日 7回自責点0  ジョンソン QS 完封リレー
4月28日 8回自責点0  バーク QS 9三振
5月4日  6回自責点6  城島 負け  9三振
5月9日  4回自責点5  城島 負け
5月14日 7回自責点0  ジョンソン QS
5月19日 5回2/3自責点6 城島 負け
5月24日 8回自責点1  ジョンソン QS 10三振
5月30日 6回2/3自責点0  ジョンソン QS
6月5日  7回自責点1    ジョンソン QS
6月10日 7回自責点1    バーク QS
6月16日 9回自責点0    バーク QS
6月21日 7回1/3自責点0 バーク QS 8三振
6月27日 8回自責点0    ジョンソン QS 9三振
7月3日  7回自責点3    ジョンソン QS
7月9日  8回自責点1    ジョンソン QS
7月17日 8回自責点2    ジョンソン QS 8三振
7月22日 7回自責点1    ジョンソン QS 8三振
7月27日 5回2/3自責点7 ジョンソン
8月1日  7回自責点2    ジョンソン QS
8月7日  6回自責点3    ジョンソン QS
8月12日 7回自責点0    ジョンソン QS 10三振
8月18日 7回自責点1    ジョンソン QS 9三振
8月23日 6回自責点3    ジョンソン QS
8月28日 7回自責点3    ジョンソン QS






August 28, 2009

今日はイチローもお休みだし、ボストンの記事を書いて終わりにしようと思ったんだが、な。そうもいかなくなった(笑)
フィスターも、よかった、よかった。これでようやく「本当の意味で」城島の仲間になれたな。バルガスオルソンに、これで一歩近づけたわけだ(笑)

上には上がいるもんだ。さすがメジャー。
あのビクター・マルチネスより、投手に凄い配球させるやつがいるんだから(失笑)5人続けて全く同じ配球でホームランサービスとかな。腹がよじれる(笑)

試合後の城島のインタビューが楽しみだ。
きっと「投手のコントロールがもうひとつで、構えたところにこないから一発を浴びすぎだ」とか、なんとか、投手批判してくれるに違いない(爆笑)
(あと、ちなみに今日も2三振。1死1塁と、2死1、3塁な)
Kansas City vs. Seattle - August 27, 2009 | MLB.com: Gameday

2009年8月27日、カーブのコントロールが全く無い田沢と、そのカーブを連投させまくるビクター・マルチネスの「鮮やかすぎるお手並み」(笑)



下に並べたのは、6回のカンザスシティの5人の打者に対する全配球だ。ズラズラ並べた意味は、見てもらえばわかる。まぁクリックして、全部見るといい(笑)

2009年8月27日 6回先頭打者マイアー先頭打者マイアー
最初の2球ともチェンジアップ

4球目ストレートを打ち損じてレフトフライ

2009年8月27日 6回2人目の打者バトラー シングル2人目の打者バトラー
最初の2球ともチェンジアップ

2球目のチェンジアップを狙い打ってシングルヒット

2009年8月27日 6回3人目の打者 ジェイコブズ3人目の打者ジェイコブズ
3球目まで全部チェンジアップ

4球目ストレートがボール
5球目のチェンジアップで三振

2009年8月27日 6回4人目の打者 カラスポ 2ランホームラン4人目の打者カラスポ
3球目まで全部チェンジアップ

4球目のストレートを2ランホームラン

2009年8月27日 6回5人目の打者 ティーエン6回5人目の打者 ティーエン
最初の2球ともチェンジアップ

3球目のストレートを打ち損じて
センターフライ


いやー。
5人全員に最初の2球続けてチェンジアップ(爆笑)で、その後ストレートと(笑)
でも、まさか、2ランホームラン打たれた直後のティーエンにまで、まるーで全く同じ配球するとは思わなかった(爆笑)
最高の配球だわ、これ。打者は最初の2球のチェンジアップを狙うか、カウント悪くなれば必ず投げてくるストレート狙えばいいだけ。最高(失笑)



7回にケリーが被弾した2ランまでの記録(笑)
画像は面倒になったので省略(笑)

先頭打者ペーニャ
7球全部インコースのストレート

全部インコースのまっすぐ(笑)なのに最後は空振り三振。この打席のペーニャは最初のストライクを2つとも見送っていることからも、狙いがストレートになかったことは推測できる。

2人目の打者 ベタンコート
初球ストレート  見送り
2球目スライダー ライトフライ
もともと早打ち打者だけに参考にならないが、それでも初球のストレートは見送ってきた

3人目の打者 アンダーソン
7球全球ストレート

3球目と5球目がストライクなのだが、先頭打者のペーニャ同様、2球とも見送ってきた。最後は四球。つまり、ここまでの3人のバッターは、いずれもストレートを見逃してきたことになる。

4人目の打者 デヘスース
ランナーが出た後の打者で、明らかにここまでの3人の打者と狙いが変わった。初球、2球目の外のストレートを、「ここぞとばかりに」続けてスイングしてきたのである(ファウル)。
これは「ランナーがいるときの城島のワンパターンな配球」に対する対応として、非常に正しい。なぜなら、「ランナーがいるシチュエーションで打席に入った左打者」に城島は「スローイングの邪魔にならないアウトコースの早い球」を配球したがることが多いからだ。これは城島の何年も変わらない基本のクセのひとつだ。
カンザスシティは、城島の攻め方をよくわかっている。
それはそうだ。監督は、元日本野球のヒルマンだ。0−2になったら、1球アウトコースに遊んでくるとか、日本人キャッチャーの思考方法パターンなど、いやというほど見てきている監督だ。
そういう城島のクセをあたかも見抜いているかのように、早いカウントのストレートをスイングしたことで、デヘスースは、バッテリーに「ストレート」を投げるのをためらわせることに成功した。

あとの勝負は、高校野球のような単純勝負。
デヘスース側にしてみれば、0−2に追い込まれたことで、「柔軟になんでも振っていく」か、「むしろストレートを捨てて、変化球に絞る」か、「ストレートをしつこく狙い続ける」か、最初だけは迷いがあったかもしれない。
だが、バッテリーが1球「ストレートで遊んできた」こと、そして1−2から「外のスライダー」に変えて決めようとしてきたのを見れば、バッテリーの狙いはある程度わかったのではないか。
「一度決めようとした作戦が失敗しても、同じトライを何度もしてくる」
、これもコネ捕手のいつものクセだ。
デヘスースは2度スライダーをカットしてタイミングをあわせ、最後はインコースに甘くなったスライダーをスイングしきって、2ランホームラン。
いかにコネ捕手の引き出しが奥行きがなく、小さいか、わかっただろう。ちょっと打者に自分の「ただでさえ乏しいパターン(特にランナーがいるケース)」に対応されると、もう「次の手がない」のである。大量失点はこうして生まれる。






クリフ・リーに忌み嫌われたビクター・マルチネスがボストンに移籍したおかげで、田沢とマルチネスのバッテリー、なんていう、ちょっと面白い見世物(笑)が実現するのだから、メジャーはやっぱり面白い。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:クリフ・リー関連

これを書きだしたのは3回途中だが、まぁ、田沢、見事なくらいボッココボコにメッタ打ち(笑)打たれた原因は田沢本人にあって、あまりにもカーブのコントロールが無い。もともと球種が少ないのに投げられる変化球がなくなってゲームを壊したのは、まぎれもなく田沢自身の責任なのだが、そこへきてキャッチャーがビクター・マルチネスときているから、泥沼だ(笑)
Chi White Sox vs. Boston - August 27, 2009 | MLB.com: Gameday


予兆は、初回のピアジンスキーの打席にあった。
たまたまカーブがワンバウンドしたのだが、たまたま指におかしなかかり具合をするならよくあることだが、実際には今日の田沢のカーブは既に死んでいた。
これは最初にハッキリさせておかなければならないのだが、この日の乱調ぶりの責任は田沢にある。だが、その「乱調な投手をどう扱うか」という点で、ビクター・マルチネスの笑える対応ぶりが火に油を注いだ。

2009年8月27日BOS田沢1回ピアジンスキーへのカーブ1回表 ピアジンスキーへのワンバウンド

2球目のインローのボールになるカーブで偶然に空振りがとれてしまったために、次の球も、あろうことか、また同じコースにカーブを投げている(笑)
こういう「空振りをとれた同じコースに、すぐにまったく同じ球を2球続ける」とかいうリードをどう考えるかはその人次第だが、当ブログとしては失笑させてもらった(笑)こういう馬鹿リードはコネ捕手城島の得意技のひとつだが。まぁ、こんな失笑リードでピアジンスキーを打ち取れてしまったのが、かえって、2回以降のメッタ打ちの伏線になった。


田沢の変化球、特にカーブに全くコントロールが無いことが確定するのは2回のトーミの打席。3球目から5球目まで、3連続ワンバウンド。それでもビクター・マルチネスは「カーブ」を要求し続けるのだから、ある意味、たいした人物だ(爆笑)やっぱり大物はやることが違う(笑)投手の異変にまるで気がついてない。

2009年8月27日BOS田沢2回トーミへの3連続ワンバウンド2回トーミへの
3連続ワンバウンド


トーミへの3球目に投げたカーブがワンバウンドなのだし、いい加減ビクター・マルチネスも気がつけばいいものを、4球目、5球目と、続けて変化球を投げさせて3連続ワンバウンド。
もちろんキャッチャーとしては、変化球のコントロールが悪いからといって全く投げさせないわけにはいかないのだから、とにかくドンドン変化球をほうらせて、投げる中でコントロールを上げていく、というやり方もある。
だがビクター・マルチネスの1回のピアジンスキーの攻めをみていればわかるように、このオッサンは城島同様、一度投げてボールになると、悔しいのかなんだか知らないが、また同じコースを続けて要求しているだけ、ただそれだけである(笑)ワンバウンドしようが、なんだろうが、おかまいなしにサインを出しているだけ。ただそれだけ笑)
で、最後は投げる球がなくなって、ストレートを投げ、シングルを打たれた(笑)

おまけ:4回のトーミ
4回2死1塁。懲りもせずに入りもしないカーブを2連投してストライクがとれず、苦し紛れの3球目ストレートをまたもや狙い打ちされて、タイムリー・ツーベース(笑)



ビクター・マルチネスがどういうキャッチャーがさらによくわかるのは、トーミにシングルを打たれノーアウト1、2塁になった後のクエンティンの打席で、「カーブを3球連続要求したこと」だろう。おまえは城島か?(爆笑)
このキャッチャー、田沢のカーブのコントロールがまったく無いことが頭に無い(笑)

2009年8月27日BOS田沢2回クエンティンへの投球の乱れ2回 無死1、2塁
クエンティンへの
「3連続カーブ(笑)」


5球目のカーブはワンバウンド、そして、6球目のカーブは打者の頭の上を通過。普通のバッテリーなら、ここでこれだけ悪い球種なぞ投げないものだ。だが、ビクター・マルチネスが7球目に要求したのも「カーブ(笑)」。ワンバウンド、頭の上、それでも、カーブ(笑) ああ、腹痛い、笑いがとまんね(笑)
で、最後はまたしても投げる球がなくなり、ストレートをほおったところ、デッドボール(笑)もちろん大量失点につながった。

おまけ:次打席3回のクエンティン
3回1死1塁。またしても初球からカーブを2連投(笑)2球目を狙われて2ランホームラン。ここまでくると、笑い話だ(笑)

正直、ここまで打たれると、かえって心地よい。「ええい、とことんカーブ勝負だ、ボコボコにメッタ打ちになって30点とられてしまえ、田沢」(笑)

これからも田沢のときのキャッチャーはぜひビクター・マルチネスでお願いしたいものだ。






August 27, 2009

シアトル・マリナーズの取り巻きの地元系ウェブ・サイトのひとつにU.S.S.Marinerというのがある。
かつては勝手にリンクを張らせてもらっていたが、はずしてしまった。理由は単純だ。読む価値がある話があまりでてこないと感じたからだ。

だが、さっきひさしぶりにさっき覗いてみたら、ひとつ、なるほど、という指摘があった。(だからといって、リンクを復活させるほどの話ではないが)

Getting a roster from 60 wins to 80 wins isn’t nearly as large of a challenge as getting from 80 to 90.
The Next Big Test | U.S.S. Mariner

勝手に意訳させてもらうと、「60勝を80勝にするスタメン選手を集めることは、80勝を90勝にするスタメン選手をかき集めてくることほど難しくなく、デカいチャレンジなどしなくても集めてこれる。」

ここでいう「80勝」というのはもちろん、「勝率5割」のことである。この「野球のチーム勝率5割には、ひとつ壁がある」という話は、メジャーに興味のない人でも説明不要の話だろう。だから、さっきの訳を多少言い換えてみると、こんな感じになるだろう。

「借金20のボロカスなチームの勝率を5割に戻すことは、そうむつかしくない。むしろ難しいのは、勝率5割のチームを貯金10のチームに変えることだ。」

なるほど、という感じである。
その通りだと思う。



「10の貯金をしているチーム」というと、いまの日米の野球ではどのくらいチーム数があるか。

いま日本のプロ野球もペナント争いの佳境だが、10以上貯金したチームは、セ・パともに上位2チームずつしかない。またメジャーのア・リーグでいうと、東地区に3チーム、西地区に2チームしかなく、この5チーム全てが、今現在首位にいあるか、またはワイルドカードを争う当確圏内にいる。

「10の貯金」というのが、野球というスポーツにとって、ハンパない価値をもつことが、よくわかる。



前の記事で、ロブ・ジョンソンの出場ゲームがシーズン通算41勝25敗で、貯金が16、勝率は6割を超えている、という話を書いた。
2009年8月26日、8月のロブ・ジョンソン先発ゲームはチーム勝率同等程度をキープ、「負け続け」だのは、ただの錯覚。むしろロブ・ジョンソン、ウオッシュバーンの奮闘がチームに最多の貯金を作った7月に、城島先発の借金が足を引っ張りポストシーズンへの道が断たれた。

この「貯金16」という数字の凄さ、「.621」という勝率の素晴らしさは、コネ捕手城島や、その関係者のみでなく、日米のスポーツメディアも解説者も、暇なブロガーもメジャーのファンも、誰もかれも、まったくわかってない。

繰り返しになるが、チームの貯金を10以上あげているチームは、さきほど挙げたように、ア・リーグで5チームしかなく、その全てのチームがワイルドカード以上の圏内だ。また、いまア・リーグ最高勝率は東地区のヤンキースの.627で、次はもうエンゼルスの.600であり、6割を超える勝率のチームは、ア・リーグにわずか2チームしかない。

その中で、
ロブ・ジョンソンは彼の出場ゲーム(ほとんどはキャッチャーとしての先発ゲーム)で、通算41勝25敗で、貯金を16つくり、勝率が6割を超えているのである。
これが凄いことでなくて、何が凄いことなんだか。

もちろん、その勝利の全てを彼個人の功績とまで馬鹿なことは言わない。だが彼がチームの一員として、キャッチャーとして、(ビッグスリーなどの投手と組んで)今シーズン成し遂げた仕事は、十分褒められる程度ではなく、表彰しなければならないほどの大仕事といってはばからない。

ひるがえって言うと、もしコネ捕手城島が、自分の出場ゲームをせめて「勝率5割」をキープしていたら、それだけで、シアトルというチームには十分プレーオフに向かえるだけの貯金が実際にあった、のである。
コネ捕手が戦犯でなくて、ほかに誰がいる、といいたい。



ここで、もう一度最初の言葉を思い出してもらいたい。
「20の借金のチームを勝率5割に戻すより、勝率5割のチームを貯金10にするほうが、ずっと困難な仕事だ。」

これを、シアトルのキャッチャーにおきかえてみると、こうなる。

「2008年に100敗したチームの正捕手城島の出場ゲームの勝率を5割に戻すことなど、まったくたいした仕事ではない。むしろ、ロブ・ジョンソンが貯金16を稼ぎ出した、その仕事のほうが、何十倍も難しいし、素晴らしい。比較にならない。」


さらにサラリーを考えれば、
城島の出場ゲームが勝率5割程度でいいわけはない。立場が逆すぎる。
城島のオタクがロブ・ジョンソンを意味もなく批判したり、城島の身内がチーム批判までして出場機会増加を画策するなど、もってのほか。

立場をわきまえろ。
チームは城島の出場ゲームをもっと減らすべきだ。

2009年7月19日、Pro Ball NWのジョン・シールズは「城島をチームから去らせる方法」を繰り返し模索しつつ、このシーズンオフ、なんとしてでも「城島問題」を完全解消すべき、と強く述べた。

2009年7月12日、SPIのコラムニスト、アート・ティールは「城島を正捕手に戻すべきではない」「敏腕なワカマツはこれからも自分の方針を貫くべき」と主張するコラムを書いた。

なにか最近、いかにも8月にロブ・ジョンソン先発マスクのゲームで負けてばかりいるだの、コネ捕手城島が馬鹿みたいに勝ちばかり続けているだの、思い込みでそんなことを言い散らかすアホな人が多いようだが、それは「ただの錯覚」である。
そういう明らかなウソを吹聴しては印象操作してまわっている、性格の歪みきった馬鹿もいるようだし、今シーズンの月別の勝ち負けのおおざっぱなところを数字にしておく。

結論から先に言っておく。

「5月、シーズン最大の借金を作ったのは、城島」
「7月、シーズン最大の貯金をしたのは、ロブ・ジョンソン」
「7月、城島がシーズン2番目の規模で借金をつくり、7月のロブ・ジョンソンのゲームの貯金を食いつぶした」
「8月にロブ・ジョンソンが負け続けているように思うのは、ただの錯覚。チーム勝率である5割をキープ」
「8月に城島が勝ちばかり続けているように思うのは、ただの錯覚。貯金数はそれほどでもない」

こんな当たり前のことすら、数字にしないとわからない馬鹿だらけなのだから、シアトルは困る。
またこれだけ毎年酷い成績を残しておいて、「城島の出場数が少ないのはおかしい」などと自前のブログでチーム批判を繰り広げたコネ捕手の身内らしい人物(トレーナーで、しかもチーム関係者らしい。アメリカでチーム批判がご法度なのも知らないのか。松阪の例を見よ)は、筋違いも甚だしい。プロなら成績が酷ければ出場機会が失われるのは当然だし、むしろ、城島の場合、普通ならとっくにチームをクビになる成績なのに、オーナーのコネで守られて、マイナー送りにさえならないシアトルがぬるま湯なのだ。何を馬鹿なことを言っているのか。


さて、2009シーズンの捕手別の勝ち負けだが、念のため言っておくと、以下の数字ははあくまで先発マスクの勝ち負けではなく、出場ゲームの勝ち負け数である。
なぜそんなことをしても結論が変わらないか、というと、2009シーズンは、2008年のように「キャッチャーがやたらとDHとして先発」したり、「やたらと複数のキャッチャーがゲームに出たりする」ことがほとんどないからだ。(2008シーズンの終盤は、だからこそ、責任が曖昧になっているわけだし、また2009シーズンはそれほどDHが選手の休養に使われていない、ということの証)
シアトルの2009シーズンにかぎっては、捕手の出場ゲームのほとんどを先発マスク数とイコールにして計算できる。全ゲームの交代状況を調べるのは手間がかかりすぎるので時間節約もしたいわけだが、2009年に限っては、先発マスク数を出場ゲームで代用しても、たいした誤差はでない。
例外は、例えば、代打や代走の関係で城島からロブ・ジョンソンに代わってから勝った4月15日、5月3日、5月22日、城島の怪我でロブにかわった5月25日(負け)、バークからロブに代わった6月21日(勝ち)、などがあるのはわかっているが、これらの例外を考慮して数字を訂正しても、しなくても、ここでの結論に何も影響はない。

ロブ・ジョンソン出場ゲーム (8月26日まで)
4月 8勝5敗 貯金3
5月 8勝5敗 貯金3
6月 8勝4敗 貯金4
7月 11勝5敗 貯金6
8月 5勝6敗 借金1 6勝6敗 イーブン

シーズン通算 40勝25敗(貯金15
          41勝25敗(貯金16
シーズン勝率 .615 .621
Rob Johnson Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN
8月のロブ・ジョンソンの負けゲームの詳細を知らない人が多い。
ショートのジョシュ・ウィルソンのエラーでの失点で負けたゲーム、センターのグティエレスがフライを落球して自責点ゼロのフレンチが負け投手になったゲーム、ダブルプレーでチェンジのはずがロペスがボールを握り直してダブルプレーに失敗して失点し負けたゲーム、同じくロペスのエラーから連続失点してヘルナンデスが負けたゲーム、いろいろある。それぞれ、別のゲームの話であり、記録に残らないエラーがあるので見てない人にはわからない。負けゲームの大半に味方のエラーが絡んでいる。

城島出場ゲーム
4月 5勝2敗 貯金3
5月 5勝12敗 借金7
6月 1勝2敗 借金1
7月 3勝8敗 借金5
8月 7勝4敗 貯金3

シーズン通算 21勝28敗(借金7
シーズン勝率 .429(=西地区最下位のオークランドの勝率と、ほぼ同じ)
Kenji Johjima Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN

ロブ・ジョンソンと城島の貯金・借金を月ごとに相殺した
チームの貯金勘定
 (8月26日まで)
4月 プラス6
5月 マイナス4
6月 プラス3
7月 プラス1
8月 プラス2 プラス3
ブログ注:これはあくまで概算。また、ここにキロス先発ゲームや、バーク先発ゲームの結果を加味していかなければ、リアルな数字には近づかない。


ロブ・ジョンソンの出場ゲームが最も勝利を貯めこんだのは、印象だけで言うと、城島の大借金による2シーズン連続の月間20敗を救った5月や、ヘルナンデスが月間最優秀投手に輝いた6月であるかのように感じる人が多いかもしれない。
だが、実際にはそうではなく、ウオッシュバーンが4勝をあげ月間最優秀投手に輝いた「7月」が、ロブ・ジョンソン先発マスクで最多の貯金を作れた月なのである。

では、ロブ・ジョンソン側からみて最多の貯金ができたこの月、チームは快進撃をして、ワイルドカード争いについに肉薄したか、といえば、そうではない。

むしろ、ワイルドカード争いから実質脱落した。ロブ・ジョンソン先発ゲームで最多の貯金を作りながらの、脱落である。

城島の先発マスクゲームの5つもの借金が完全にチームの足を引っ張り、それによって、首位チームなどが快調に貯金を増やす一方で、シアトルは取り残されて勝率5割程度に低迷し、ワイルドカード獲得への道をほぼ断たれた、のである。


それで8月にコネ捕手の先発数を増やすとは、厚顔無恥にもほどがある。






トレードでいじくりたおした挙句、できたのは、
むやみに振り回すだけでマグレのホームランでしか点のとれない打線やら、オーナー利権に守られたクソみたいな高給取りのコネ捕手やら。

バベジ時代そのまま。その、まん、ま。
なんのかわりばえもしない。

契約の利権で守られた選手。物事の本質の見えてない、馬鹿な御用聞きの地元メディア、日本の解説者。
5月の大敗と、7月の裏ローテでの大敗続きに大きな責任のあるコネ選手が、涼しい顔して、秋にはスタメンに戻して、チーム解体中の地区最下位チームに連勝したらお祭り騒ぎで持ち上げる。

だからなんだ。
馬鹿なのか、おまえら。


不良債権のセクソンがグリフィーとスウィニー(あるいはグリフィーとブラニヤン)に、同じく不良債権のウィーバー兄がシルバに。ベルトレの仕事は、攻撃はブラニヤン、守備はハナハンに2分割。ベタンコートの役割は、2人のウィルソンに2分割、ウオッシュバーンの仕事はフレンチとスネルに2分割。ブルームクイストやミゲル・カイロは、ランガーハンズとビル・ホールに、アダム・ジョーンズがフランクリン・グティエレスになって、そして、地方公務員かド田舎の役場の職員みたいな城島だけはたいした処分もされず、無神経に居座って(仕事だけは、正捕手が本来ひとりでこなす分の仕事を、ロブ・ジョンソンにシーズンの大半かたがわりさせておいて、城島は楽をして美味しいところどり。結局2分割)、結局この大根役者だらけの劇団の演じる中身は、「見た目の人数」が増えただけで、仕組みも役割もなにも、まったく、すこしも、どこも、変わってない。

いろいろなポジションでダブっている選手が余りまくっているが、それは偶然じゃない。「あらゆるポジションについて、ひとりの選手でできる仕事量(例えば攻撃と守備)を、2つ(攻撃的な選手と守備的な選手)に分割して、大勢でシェアして、あらゆるパズルピースを2個ずつ揃えた」のだ、選手が余るに決まっている。
グリフィーとスウィニー、2人のウィルソン、ソーンダースとランガーハンズ、城島とロブ・ジョンソン、マイナー落ちの元先発投手たち。DH、内野、外野、投手、捕手。どこもかしこも、あらゆるポジションがブヨブヨと太って、無駄な脂肪(無駄な選手数とペイロール)がついている。
こんな、あらゆるポジションのプレーヤーがダブっている選手余りの状態でセプテンバー・コールアップを迎えても、若手など、使える余地ができるわけがない。

こんな馬鹿馬鹿しい「ワークシェアリングじみた野球」、思いつけるのは、野球知らずの、よほどスポーツをわかってないビジネスマンしか、ありえない。ベースボールはスポーツであることすら、この球団では通用しない。

こんなのを「競争」とはいわないし、まして、ごく普通の球団にある正選手とバックアッパーの健全な関係ではない。同じ仕事ぶりなら安いほうを使う、という、ジェネリック医薬品のようなシンプルな発想もない。
大勢で馴れ合って、仕事をシェアしても、結局は高額サラリーの選手側がぬるま湯につかるだけだ。ツールをひとつしか持たない選手のただの寄せ集めで、チームマネジメントには合理性も大胆さもなく、ドラマもへったくれもない。
あるのは、安っぽく、みみっちい経営者感覚だけだ。

クレメントが味わった、あの語るのも苦々しい秋口の不幸は、ロブ・ジョンソンがそのまま味わうことになるだろう。悲しいことだ。

せいぜい勝率5割。
永遠にポストシーズンなんて訪れっこない。

何度も書いたが、
ノーラン・ライアン率いるテキサスが攻守のバランスのとれた、素晴らしいチーム改革に成功をおさめたことで、「LAAだけをおっかけていれば優勝は無理でも、ワイルドカードくらいはみえる」と考える「なんとも安易すぎる、田舎じみた楽観主義の時代」は、とっくに終わったことに、誰も気づかない。


なんでこんなくだらないチームにイチローがいるのか。
あれほどの、100年に1人、不世出の大天才が、なぜこんな不合理きわまりない、やることなすことメジャーらしくないチームを、よく我慢できるものだ。
不思議でならない。

今年つくる予定の記録に一区切りついたら
彼には移籍をあらためて考えてもらいたい。真剣に。

こんなダメチーム、彼にはふさわしくない。






7月末にクリーブランドからイバニェスのいるフィリーズに移籍したクリフ・リー赤丸絶好調だ。

8月にはいって、4登板で31イニングも投げて、自責点はわずか2点、四球たったの4つで、4連勝。ホームランは1本も打たれていない。三振も31イニングで33、ほぼ毎回奪三振。8月19日などは、106球で、2安打無四球完投勝ちなんていう、準完全試合まがいの離れ業まで披露している。
8月の防御率はなんと0.58。4連勝も当然だろう。

これで移籍前の3連勝と、移籍後の5連勝とあわせて、なんと8連勝、7月初旬にはまだ7勝9敗だった今年の勝ち負けを、一気に12勝9敗までもってきてしまった。

偉大なるクリス・カーペンターが8月5連勝しているが、月間ERAは2.08だし、ロッキーズのヒメネスも8月5連勝中だが、月間ERAは1.63。ナ・リーグ8月の月間最優秀投手は、今月あと1勝すれば、文句なく防御率1点以下のクリフ・リーで決まりだろう。
クリフ・リーの2009年全登板ゲーム
Cliff Lee Stats, News, Photos - Philadelphia Phillies - ESPN
8月のナ・リーグ勝ち星ランキング
MLB Baseball Pitching Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN

2009年7月16日、城島は試合序盤、投手オルソン、ジャクバスカスがモーションに入ってもミットを構えず、ゲームのリズムを壊した。(サイ・ヤング賞投手クリフ・リーがなぜショパックを指名捕手にしたか 解説つき)


さて、クリフ・リーでたびたび話題にしてきた「キャッチャー問題」だが、やはり、フィリーズでも面白いことになった。


クリフ・リーはクリーブランド時代、打撃型のキャッチャー、ビクター・マルチネスを拒否し、かわりにショパックを指名捕手にして、2008年のサイ・ヤング賞を獲得したわけだが、フィリーズに移籍後は、さすがに正捕手であるカルロス・クルーズが彼のボールを受けるのかとばかり思っていた。
2009年7月29日、サイ・ヤング賞投手クリフ・リーのフィリーズ移籍に、ヘルナンデスはじめシアトルのローテ投手の契約更新における「城島問題」の大きさを見る。

しかし、移籍後のクリフ・リーは一貫して、控え捕手のポール・バコを相手に投げ続けて5連勝負け知らずなのである。
まぁ、いってみれば、クリフ・リーも、クリーブランド時代にビクター・マルチネスに泣かされた苦い経験が生きて、「自分にあうキャッチャーは、早めにみつけて、必ず指名してしまう」ことにでもしたのだろう。
投手成績にとっての捕手との相性の大事さをよく知るクリフ・リーならではの早業である。

ポール・バコ キャリアCERA等
Paul Bako Stats, News, Photos - Philadelphia Phillies - ESPN
ポール・バコ 2009ゲームログ
Paul Bako Stats, News, Photos - Philadelphia Phillies - ESPN


ポール・バコは、まったく知らないキャッチャー。キャリアを見るとタイガースを皮切りに、12年目というキャリアで11チームを渡り歩いてきた、いわば「流しのキャッチャー」というべきジャーニーマン。CERA的には、2003年2004年のシカゴ・カブス時代が最も良く、2年続けて3点台を記録してはいる。

バコがフィラデルフィアでメジャーに上がったのは2009年6月だが、この月はフィラデルフィアは負け続きで、7連敗するなど調子がよくなかった。
ところが、7月に入ってバコが頻繁にマスクをかぶりだしてから、フィラデルフィアは一変。バコ先発ゲームだけで11勝もした。
特に7月8日から11日にかけての4連勝は(7月9日はクルーズ先発。代打がでて、キャッチャーがかわった)オールスターを前にしたチームに大きな変化をつけた。

オールスター後7月のバコは、ローテ投手5人のうち、2人を受ける率で先発し、それなりにゲームを勝っていたのだが、クリフ・リーが移籍してから、どういうわけか、クリフ・リー専属捕手という感じになった。
この間、どういう詳しい経緯があったか、調べてないのでわからないのだが、とにもかくにも、クリフ・リーにしてみれば「これでいいのだ」というところだろう。


正捕手のカルロス・ルイスと、控え捕手のポール・バコ、どちらが攻撃的な捕手か。
シーズン打率2割3分程度のルイスと、1割台のバコだから、比べようが無いといえば、比べようがない。

クリフ・リーにしてみれば、そんな些細なキャッチャーの打撃より、「俺がきちんと投げれば勝つ。だから、別に打たなくていいから、黙ってボールを受けるマトモなキャッチャーを寄こしてくれ」とでもいうところだろう。メジャーの大投手らしい、悠然とした対応である。


ちなみに、クリフ・リー、バッティングも大好きなようで、27打数で5安打、二塁打も2本打っている。OPSは.606。これはシアトルの、かのコネ捕手の2008年のシーズンOPSと、ほぼ同じ(失笑)






August 26, 2009

アウェイのアナハイム戦に先発したウオッシュバーンだが、1番から6番まで、6人もの「3割打者」が並ぶLAA相手だけに苦しんだが、なんとか6回を3失点に抑えきって、同点のままマウンドを降りることができた。キャッチャーは、先日のシアトル戦のウオッシュ登板ゲームで、終盤代打で出てきて2ランタイムリーを打った、ゲンのいいルーキーキャッチャー、アビラ。
7回満塁でのワイルドピッチ
アブレイユのホーム突入を阻止するアビラの好プレー

(投手はウオッシュバーンではない)
Baseball Video Highlights & Clips | DET@LAA: Avila corrals a wild pitch and throws home - Video | MLB.com: Multimedia

グランダーソンのファインキャッチ
イリノイ大学のエンブレムカーティス・グランダーソンはイリノイ州ブルーアイランド生まれで、シカゴ郊外イリノイ州リンウッド育ち。高校もイリノイ州内なら、大学もイリノイ大学シカゴ校。まさにデトロイト・タイガースで野球をやるために生まれてきたセンタープレーヤー。
Baseball Video Highlights & Clips | DET@LAA: Granderson chases down a fly at the track - Video | MLB.com: Multimedia

デトロイトはまだ優勝が決まったわけではないが、対LAAというカードは、今シーズンのプレーオフに予想されるカードのひとつなわけで、ポストシーズンのプレマッチとしても、今日のゲームで勝った意義は大きい。

107球を投げてストライク59、ボール48。特にストレートのコントロールがよくなく、ストライクボールがはっきりした投球ぶりで、ほぼ毎回のように走者を出したが、シンカーなどで要所を抑えきった。
ここまでボールだらけの投球内容だと、普通はもっと四球を乱発するものだ。だがウオッシュバーンの四球は結局2というのだから、いかにもウオッシュバーンらしい。

唯一の失点イニングの2回、ストレート系に強いケンドリックに打たれた3ランは、インコース低めのストレート。けしてコースが甘くなったわけではない。2-0からのバッティングカウントだったことが大きい。
そこでウオッシュバーンはケンドリックの次の打席で、最初の2球、珍しく続けてスプリッターを投げた。そのあと、ホームランを打たれた「インコース低め」に、こんどはストレートではなくシンカーを投げてゴロアウトにしとめたあたり、二度同じ失敗をしなかったのは、ウオッシュバーンのベテランらしい味。(第3打席では、またもやストレートを投げてシングルを打たれたが、それも勝てばご愛嬌)

最終回は1,3塁のピンチだったが、100マイルストレートを投げるロドニーが、LAAの主軸ハンター、ゲレーロ、リベラを、100マイルストレートとチェンジアップでかわし、ウオッシュバーンに移籍後2つめの勝利となる9勝目がついた。

Detroit vs. LA Angels - August 25, 2009 | MLB.com: Gameday

今日、フライPのウオッシュバーンがなんとかホームラン1発ですましてチームを勝利に導くことができた理由は、このゲームで3度もあった1死1、2塁で、ランナーを一度も進塁させなかった粘り強さ。この粘り強さこそ、ウオッシュバーンのウオッシュバーンらしさ。シンカーが要所で効いた。

2009年8月25日 DETvsLAA 1回1死1、2塁ゲレーロ ダブルプレー初回1死1、2塁
ゲレーロ ダブルプレー


見逃した初球と打った3球目はウオッシュバーンの決め球のひとつ、シンカー。初球は低すぎて見逃されたが、いわゆるストライクゾーンからボールになった3球目のシンカーは、注文どおり引っ掛けてくれて、ダブルプレー。

2009年8月25日 DETvsLAA 3回1死1、2塁リベラ ファウルフライ.jpg3回1死1、2塁
リベラ ファウルフライ


2球目にインコースに落とした71マイルの超スローカーブが「ドルフィン」。最後の4球目はちょうどケンドリックに打たれたホームランと同じコースのストレートだったが、「ドルフィン」がイメージに残ったリベラは、4球目のインサイドのストレートを下からすくい上げた。組み立ての妙。

2009年8月25日 DETvsLAA 5回1死1、2塁ゲレーロ 三振.jpg5回1死1、2塁
ゲレーロ 三振


初回ダブルプレーのゲレーロ同様、2球目と5球目にシンカーを投げて、これが再び効いた。ホームラン後の打席のケンドリックを4回に仕留めたのもシンカー。

もともとストレートに球威があるタイプではないが、それでもここまでストレートにコントロールのない今日のようなウオッシュバーンが、3割バッターを6人並べるチームと対戦するのはつらいが、それでも、シンカーをメインに、スプリッター、「ドルフィン」などで打者ごとに味付けをかえながら、変化球で打者を切り取っていく味があるために、なんとか乗り切れる。

今自動車産業の崩壊に瀕しているアメリカ社会にとって、デトロイトという街がどういう意味をもつかは、誰よりもデトロイト・タイガースの選手たちがよくわかっていることだろう。
デトロイトとウオッシュバーンに「オクトーバー・ベースボール」の灯りが見えてきた。
Tigers a big source of pride in Motown | MLB.com: News
"It would be extra special to have October baseball here," Laird said.








2008年7月 .130
2009年8月 .162(8月24日まで)
2008年4月 .182 →優勝争いから5月にして脱落
2007年7月 .191 →ワイルドカード争いから脱落
2008年8月 .200 →シーズン100敗

今年も城島を処分しないシアトルは、ポストシーズン争いからの脱落がほぼ決まったが、その後の消化試合恒例の、コネ捕手城島のバッティング面の帳尻あわせが始まった。
年々、このダメ選手の「特別扱い」はすすむばかりだが、今年はまた度を越している。

城島の.260や.270そこら程度のシーズン打率やホームランなど、こういう毎年のようにやっている「チームがプレーオフ争いから脱落してからの帳尻あわせ」、つまり、「厳しいペナント争いとは無縁になったチームで、チームが優勝争いから脱落した責任を問われるどころか、むしろ出場機会を増やしてもらって、バットをむやみに振り回しても責任が薄い8月・9月に、何も言われないのをいいことに、みかけだけ帳尻あわせした結果」に過ぎない。

だが、2008年と2009年に限っては、それらに加えて「正捕手から脱落したはずのダメ捕手を、ポストシーズンから脱落したあたりでチーム側がそろそろと、いつのまにか城島を正捕手に戻して打席を増やしてやる」という念の入りまくりな荒業が加わった。
無理にでも城島にゲーム数をこなさせ、その「無駄ゲームの中で帳尻バッティングさせる」という反吐の出そうな「ポストシーズンが無理だとわかった後の城島帳尻月間づくり」が、シアトル恒例行事、年中行事というわけだ。

おまけに、この「城島消化ゲーム帳尻打撃セール」、今年は、城島のみならず、グリフィー、スウィニー、ブラニヤンなどの振り回す系の打者全体も加わってやりだしている。

このところのシアトルの得点の大半が散発のホームランである理由がわからない馬鹿が、ファンにも、さらにはBS解説者にすらいるようだが、どこまでお人良しの馬鹿なんだ。そのくらいのこと、ここまで八百長まがいの御贔屓選手起用を続けてくれば、誰にだってわかりそうなものだ。

ただでさえ低いシアトルの得点力がこんなことをやっていて、上がるわけがない。ロブ・ジョンソンの先発ゲームでも、いくら失点を3点程度に抑えても、味方のエラーや得点不足で負けるケースが頻発している。



この「帳尻月間」「御贔屓選手起用」の余波で、2008年のクレメントは場所を失ったが、またしても、今年もロブ・ジョンソンが場所を失おうとしているらしい。

2シーズン続けて、よくこんなフェアでないことができるものだ。

呆れ果てて反吐が出る。
Kenji Johjima Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN


以前に何度か書いたことがあるが、メジャー挑戦する意味の全くなかった城島がスタッツ的にたったひとつBaseball Referenceに残した記録というと、「三振率」くらいなものだ。つまり、メジャーでも「あまり三振しないバッター」ということだ。

勘違いしてはいけないのだが、「三振しないバッター」だから、凄いわけでもなんでもない。ただ「むやみと、無駄にバットにボールを当てるのでて、凡退したり、併殺しやすいバッター」というだけだ。

その「なんでもかんでもバットに当てるだけのダメ打者」に、この8月にちょっとした異変が起こった。ゲームログを見てもらえばわかるとおり、この8月、コネ捕手は毎試合のように三振しているのである。


原因は簡単。
コネ捕手、ロブ・ジョンソンに抜かれた長打率を粉飾したくてしょうがないのだ。

ロブ・ジョンソンの打撃に関する記事で書いたが、城島のバッティングは打率がいくら.260とか見かけあっても、あれはただの「みせかけ」である。IsoPやSecAなどを見てもらえばわかるとおり、ペラペラで、ほとんど中身がない。たまたまひっかけたショートゴロが三遊間を抜ける程度のシングルが積み重なっただけの、見掛け倒しもいいところだ。
ロブ・ジョンソンが一時いい場面で二塁打を連発していた関係で、ロブ・ジョンソンにバッティングの「中身」では追い越されていた。

いまチームに出場機会を無理矢理増やしてもらってまで城島が必死にやっているのは、この「シングルヒットしか打てない薄っぺらなバッティングスタッツに、なんとか無理矢理『長打』を帳尻あわせして、見栄えを整えること」だ。
なんという「みかけだおし」。失笑するしかない。


しかし、その結果、どうなったかといえば、無理矢理長打狙いでバットを振り回した結果、三振も急増、やがて、まったくバットにボールが当たらなくなり、ボールが見えなくなるほどフォームを崩して、月間打率.162のていたらく。いまや、ストレートには振り遅れ、大きな変化球は空振りする。


この8月、ホームランを3本打ったことで城島の打撃が好調だと思っている馬鹿なテレビ解説者がいるかもしれないが、そんなヨタ話は信じてはいけない。

月間打率の.162は、過去の記録の中で2番目に酷い月間打率。
こんな成績で8Mもらうものだ。クラブハウスで「日本人に対するやっかみ」の原因を作らないわけがない。原因はもちろんこのコネ捕手の「特別扱い」だ。






August 25, 2009

いまシアトルで好調な先発投手といえば、サイ・ヤング賞を狙ってはいるが多少不調の続くヘルナンデスよりもむしろ、フィスターローランドスミスの名前をあげるシアトルファンも多いかもしれない。

だが彼ら2人はトレードで得たわけではなく、タコマ生え抜きの投手たちだ。そんな当たり前のことを誰も彼も忘れて、2009年シーズンに絶望してモノを語っている。
それが気にくわないし、馬鹿だなと思う。



シアトルのマイナー出身の彼らが「使える」ならば、だ。
ウオッシュバーンをトレードしてまで、投手陣を根こそぎいじる必要など、まるでなかった、ということだ。

無駄なトレードごっこなどせず、ヘルナンデス、ウオッシュバーン、ベダード、フィスター、ローランドスミス。この5人でもどうにか戦えたかもしれないのだ。(もちろんベダードの故障については、フォローの必要が後から生じただろう。)



だが、「城島の負け確定の裏ローテ」といわれた7月には、オルソン・バルガスあたりのローテ4番手5番手の投手と、城島のバッテリーのカードが、いくらチームの貯金を食いつぶし続けようとも、フィスターのようなシアトル生え抜きの若手投手たちに表舞台に出てくるチャンスは与えられなかった。

なぜか。
もちろん彼らのマイナーでの先発投手としての調整に多少時間がかかったこともあるだろうが、それよりなにより、「城島問題」の存在と「城島問題」を甘くみたシアトルというチーム、そしてこのチームに昔から特有の「若手をきちんと試そうとしない体質」に原因の大半がある。
この2009年7月の選手マネジメントの「大失態」は、今年のワイルドカード争い脱落と、ウオッシュバーンの無駄なトレードに対し、大きな責任がある。




7月にロブ・ジョンソン先発ゲームがいったいいくつ勝ったか。おわかりだろうか?
11勝3敗で、8つもの貯金をしている。

ならば、その7月にチームの貯金は2ケタになったか?
いやいや。そんなことにはならなかった。

なぜか。

城島の先発ゲームで、この2009年7月に3勝8敗と、5月の城島同様に大きく負け越して、ロブ・ジョンソンの先発ゲームの貯金のほとんどを食いつぶし続けたからだ。酷いことをするものだ。
あやうく2度目の5月度月間20敗になりかけた今年5月の正捕手城島の大失態はひどく人目についたが、この「7月の控え捕手城島の大失態」はあまり目につかなかった。
なぜなら、チームがウオッシュバーンの好調さやロブ・ジョンソン先発ゲームの勝ち星の多さによって支えられ続けていたため、城島の大失態と連敗ぶりが目立たなかった、ただそれだけである。

10をこえていたはずのチームの貯金は、裏ローテの城島の先発ゲームが、あたかもキャベツの葉に群がる害虫のように食いつぶした。


それほどまでしてシアトルが「裏ローテの投手・捕手のマッチングの固定」にこだわり抜かなければならなかった理由など、「先発ビッグスリーに嫌われぬいたことが判明した城島を、5試合のうち2試合キャッチャーとしてゲームに先発させ続けることに、なんとか口実を与えるため」、それ以外、ブログ主は何も思いつかない。



このワイルドカード争いに重要だった7月にシアトルがやったこと、といえば、「ローテ投手を5人のうち3人はロブ・ジョンソン、2人は城島に配分」などという、「大馬鹿すぎる2人捕手制」だ。

こんな意味不明のシステムがどこにある。

きっちりとロブ・ジョンソンを正捕手に腰をすえさせる一方で、うだつの上がらないことがわかっているオルソンや、バルガスにこだらわってばかりいるのではなく、「自前の」マイナーの投手をいろいろと試していれば、「ヘルナンデス、ウオッシュバーン、ベダード、フィスター、ローランドスミス」という組み合わせ(または故障がちのベダードのところに嵌める投手だけの獲得程度のトレード)に、そう時間をかけずに辿り着けていたかもしれないのである。
城島を先発させるために、先発のビッグ・スリー以外の負けてばかりいる4番手5番手投手をわざと固定し続けて、いかにも「城島と相性のいい投手もいるんですよ」みたいなフリをさせておく必要があったのかもしれないが、そんな不合理なやり方は野球でもなんでもない。
そんなことで眠っている人材を発掘できるわけがない。




2009年夏、シアトルのローテは、ヘルナンデス、ウオッシュバーン、ベダードとロブ・ジョンソンの組み合わせでなんの問題もなかった。
問題があったのは「4番手、5番手のローテ投手と、城島先発時の勝率の低さ」だった。そんなこと、わかりきっている。
わかりきっているのに、手をこまねいて城島と裏ローテが負け続けるのを放置したことで、マイナー投手の発掘が後手に回った。

城島など、バッティングの調整とでも名目をつけて無理にでもマイナー送りにするか、強制DLか、ベンチに座らせておくかしつつ、フィスターなり、ローランドスミスなり、ほかの誰でも、どんどん試せばよかったのだ。
ウオッシュバーンのトレードを急ぐ必要などなく、うまくいっていたビッグスリーを無理に解体してまでローテ投手の陣容をいじる必要もなかった。チーム勝率も、ビッグ・スリーの勝ち星をむざむざ城島に食いつぶさせておくこともなく、チームもワイルドカード争いに残れていた可能性がある。もちろんクレメントのトレードも必要ない。


自前のマイナーの投手のテストもきちんとやらずに、4番手5番手の投手の獲得を名目にウオッシュバーンやクレメントをトレードしてまでして、結果的にローテ投手の大半が入れ替わってしまうほど、いじくり倒して、キャッチャーとのコミュニケーションやマッチングもめちゃくちゃにし、ローテ投手全体のレベルも大きく低下させ、ワイルドカード争いからの脱落を招いたのは、明らかに、「城島問題」の存在を甘く見たチーム・マネジメント側の「大失態」にほかならない。






それにしても、城島のコバンザメ記者Nといい、ウオッシュバーンのトレードを必死になって煽って実現させた、このシアトル地元紙のジャーナリスト気取りライターといい、スポーツライターはどうしてこうもダメで、モノを見る目のない輩が多いのだろう。


ポストシーズン進出の可能性がなくなったチームで、しかもセプテンバー・コールアップ直前になっているのに、今頃になってチーム打撃がどうたらこうたらだの、メディアとして、まったく意味がない。
そろそろ新人をメジャーに上げてきて来年に向けてメジャーの守備と打撃に慣れさせなければいけないこの時期だが、コネ捕手城島はじめ、シーズンの順位争いがまだ片付かない春から夏にかけてはたいした数字を残せなかった戦犯のベテランを、まるで「2008年のシアトルのように」9月以降も使い続け、彼らが自分の帳尻をあわせのためだけを目的に、必死にホームランや長打を狙うのを、地元メディアとしてほめちぎりたいとでもいうのか。

そういう、悪夢の大失敗シーズンのクセに若手の育成にも失敗した2008年のような馬鹿馬鹿しいチーム運営を、今年もまたシアトルにさせたいのか。


何年もメジャーにいながら、プレーオフ進出の見込みのないチームにとってのセプテンバー・コールアップの目的も理解できず、メジャーの仕組みもわからず、チームを100敗させておいて、秋が近づいたチームが若手だらけになったのを「タコマーズ」と皮肉った馬鹿すぎる2008シアトルの正捕手ではないが、この記者も馬鹿としかいいようがない。


グリフィーにDH枠を独占させるような馬鹿なチームマネジメントをして、中心選手に順番にDHを与えて疲労回復を図る機会すら与えずに疲弊困憊させているシアトルだが、イチローがふくらはぎの張りを訴えて、次のゲームへの出場ができるかどうかわからないという、日本のファンがそれでなくてもイライラしているこの時期に、地元メディアのシアトル・タイムズのベイカーが馬鹿丸出しでイチロー批判めいた記事を書いた。

いつもなら、自分が記事を書くときには、そのデータを挙げるか、根拠として原文のリンクを出しつつ記事を書くことにしているのだが、今回かぎりはあまりに内容が馬鹿らしくて、こんな酷い原文、とても訳す気にならない。
全部読みたい好事家は、自分で勝手に読み通してほしい。あまりにも酷いことがわかると思う。

書いたご本人、いつもジャーナリスト気取りのようだが、いやいや、いやいや。ありえない。あんたは、ただのシアトルにコネがあるから生きていられる御用聞き程度だ。
Mariners Blog | Mariners are worst in AL at scoring baserunners; failing more than 2008, 2004 squads | Seattle Times Newspaper


このジャーナリスト気取り、超限定されたシチュエーションを2つあげつらって、重箱の隅をつつきたいらしい。
ひとつは、たぶんBRS%。
(たぶん、というのは、Baseball Referenceのデータを流用して人を批判しているクセに、「このデータです」とベイカーが特定してないからだ。このBRS%、打点に限らず、その打者の打席でランナーが得点できた率、という、なんとも曖昧なデータなのである)
それと、もうひとつ、「無死か1死でランナーがサードのシチュエーションで、ランナーに得点をさせる率」。

この程度のトリビアルなデータの羅列で「シアトルの得点力の無さの原因」を探れて、しかも無駄に文字を書いて金にできるなら、誰だってメジャーのアナリストかコーチになれる。
こんな記事を書いてよく恥ずかしくないものだ。


このジャーナリスト気取りが言うには、BRS%のリーグアベレージが15%で、イチローが13%だとかいい、また、2つ目の「2アウト以下、サードでの得点率」では、イチローが30%しかないと胸を張りつつ、どうもイチローが仕事をしてないように書きたくてたまらないようだが、こんなデータで「打者の得点力」を測る馬鹿がどこにいる。

2008年に大失敗した城島をまたもや正捕手にすえて5月に大失敗し、また失敗した城島を7月に正捕手に戻しかかり、さらにマトモに打てもしないグリフィーなぞにDHを独占させてチームの主力選手を疲労困憊させ、主力投手のウオッシュバーンを安売りしてしまうチームマネジメントもチームマネジメントで酷いものだ。
だが、メディアとしてそんなチームマネジメントの酷さをこれっぽっちも批判せず、疲れ切ったイチローをムチ打つかのような記事を意気揚々と書いてジャーナリスト面する阿呆が「スポーツ・ジャーナリズム」とは、城島を正捕手に戻すチームマネジメントと同じくらい、ちゃんちゃらおかしい。




ベイカーのこの記事のくだらなさはいくらでも反証が出るだろうし、日本のメジャーファンなら誰しも、その人なりに何十、何百という種類の反論ができることだろうから、あえてここでその全部を網羅するような無駄なことはしない。あまりにも馬鹿すぎる記事に、そこまで丁寧に反論する義理はない。


そもそも今シーズン、イチローが「無死か1死でランナー3塁」というシチュエーションの打席がいくつあったか。

たったの23打席である。

20かそこらの数のシチュエーションのパーセンテージをあげつらって、イチローについて何か言えたつもりになるスポーツライターなど、ただの馬鹿である。BRS%のイチローの数字だとて、キャリアでは15%であって、リーグ標準レベルの数字をほぼ9年、きっちり残してきている。



ベイカーはそもそも、今シーズンがはイチローにとって、たいへんに特殊な年になりそうなことがわかってない。

イチローが打席に入ったときに塁上にいるランナー総数は例年350ちょっとくらいが年平均だが、今年は、あと1ヶ月少々のシーズンを残して、わずか248だかしかないのである。あと何打席あるかわからないか、100打席としても、その全部にランナーがいるなどということはありえないから、今シーズンのランナー数はどうみても、300ちょっとくらいしかいかないだろう

こんなことになった理由は、チームマネジメントに理由があり、イチローの責任ではないのは当然だ。
このチームは2009シーズン、「イチローの前にランナーを出して、いろいろ柔軟に策を講じる戦術」ではなく、むしろ「イチローの前でイニングが終わってしまう打線」を、意味不明にずっと続けてきた。
そんなこともきちんと抑えずに、ヘボいライター風情にあれこれ言われても、まるで意味はない。
下位打線の打率を他のシーズンと比較してみたことはないのだが、2009シーズンの9番打者に「打率の最も低い打者を常に置き続けた」のは間違いない。その打線システムで、イチローの得点生産力にケチをつけるなど、もってのほかだ。

このブログでも、また、数多くのイチローウオッチャーさんたちが言ってきたように、永遠の1番打者イチローが主力であるシアトルというチームにおいては、「9番打者」は本来特別な打者だ。
かつては好打者のベタンコートが9番に座り続けていた時代が長かったわけだが、その意味をワカマツは考慮することなく、結局9番には当時はまだ調子の出なかったセデーニョや、まだメジャーに慣れないソーンダースなどを置いて、打者としてのイチローを「塁に出る役割に限定して使い倒してきた」。それでイチローの打席からランナーの絶対数を減らし、打点の絶対数を減少させたのは、チームの失敗であって、イチローの責任ではない。



また、こんな走力と得点のデータもある。
イチローが走力を生かして、味方の得点を増やし、味方の中軸打者の打点を増やしてやっているというデータ群であるが、シアトルのジャーナリズム気取りのスポーツライターはこんなところも見てないのだから困る。

例えば「そのプレーヤーがランナーとして1塁にいて、二塁打が出た。このケースで、生還したケースはどのくらいあるか」というデータがある。
イチローの場合、9回のそうしたシチュエーションで、生還したケースは7回もある。言ってみれば、得点圏でない走者シチュエーションでの長打を、「イチローの傑出した走力」が、「イチロー自身の得点」と「打者の打点」に変えているわけだ。

このデータ例では、シアトルで足のあるほうといえるグティエレスさえ、6回のうち2回しか生還してない。イチローがダントツで、その次は最高でもベルトレの10回中4回程度。ベイカーがなにかともちあげたがるブラニヤンなどは8回中2回しか生還してないし、ロペスも11回中2回、グリフィーも7回中2回。大半の選手が2回程度しか生還してない。
つまり、ロペス、ブラニヤン、グリフィーのような走者は、1塁にいて2塁打が出たとしても、ほとんどホームには帰ってこれない。だが、イチローだけは悠々とホームに帰ってこれるのである。
言い方をかえれば、今年のような9番にある程度出塁できる打者を置かないノーマルな打順システムにおいては、イチローは「自身の打点は伸びないが、走力を生かして、あとの打者にツーベースが出ればホームに帰ってくる仕事では他の打者の打点を増やしている」のに対して、ロペス、ブラニヤンなどは、「たまにイチローを返すのが仕事で、打点を増やしてもらっているが、自分自身はホームランでも打たない限り、生還できるかどうかわからない」のだ。
例年100得点を記録してきたイチローの今年に限っての得点の伸び悩みをみれば、彼ら「イチローを還すのが仕事のバッターたち」が、どれほど仕事をできているか、できていないか、小学生でもわかりそうなものだ。



また別の例で、「プレーヤーがランナーとして2塁にいて、シングルヒットが出たときに、生還できた数」を調べると、イチローの場合、19回のうち、12回(63%)も生還し、12得点を挙げている。このケースでの生還数は、もちろんチームトップである。この数字に近い数字なのはグティエレスで、13回中8回生還(61.5%)で、イチローには及ばない。

この数字、他のプレーヤーはこうなっている。
ブラニヤン  13回中 7回   53.8
ロペス    14回中 6回   42.9
グリフィー  7回中 3回   42.9
これらのプレーヤーは、たとえ2塁にいても、シングルヒットでは必ずしもホームに還って来れるものでもない、ということがよくわかるだろう。(そもそもグリフィーがセカンドにいるシチュエーション自体が、4番DHにしては少なすぎる)彼らは打点を稼ぐ「バッター」にはなれても、後続打者にとっては打点のチャンスとなる「ランナー」にはなれず、チャンスを摘み取っている。



イチローはバッターとして得点に貢献してもいるが、ランナーとしても貢献している。こんなことは、ファンなら誰でもわかっていることだ。イチローのランナーとしての走力、というのは、打点とは違う意味で、ある種の得点力であることは、子供でもわかる。野球は次のベースを獲る競技だから、「ベース」ボールなのである。
「ランナーとしてのイチローが1塁にいて、ブラニヤンやロペス、グリフィーが二塁打を打ったケース」では、もちろん打点はイチローではなく、打者のほうにつく。「イチローが2塁にいて、彼らがシングルヒットを打ってイチローが走力でシングルヒットを得点に変えたケース」でも同じだ。打点や、シュチュエーション打撃での数字が上がるのは、ブラニヤンやロペス、グリフィーのほうで、イチローではない。
だが、数字を見てもわかるとおり、実際には、極端に言えば1塁から二塁打で長躯ホームインしたり、2塁からシングルヒットで生還できるのは、半分はイチロー(やグティエレス)の仕事であり、彼らにしかできない仕事なのだ。
むしろイチローのほうに打点をつけたいくらいの話なのである。


今年のイチローの得点の低さを見てもわかる通り、イチローが2塁や3塁にいても、イライラするほどホームに還ってこれないシーンを何度見たことか。シアトルの地元のジャーナリスト気取りも、程度の低い記事ばかり書いていい気になるな、と言いたいものだ。



なお、ちなみに、このダメ・スポーツライターのあげる2つのデータで比べると
BRS%
ロブ・ジョンソン 15%
城島        9%

「無死か1死でランナー3塁」の打席での
ランナー生還率(打点に限らない)

ロブ・ジョンソン 41%
城島       43%

ロブ・ジョンソンのほうがチームバッティングに優れている。(そもそもシチュエーション数が少なすぎて比較にならない。とはいえ、BRS%は城島の場合、年々低下の一途。)






August 21, 2009

シアトル公式サイトのライターであるジム・ストリートは、このクソみたいなゲームの前に感慨をこめて、ユーモアに満ちた、とてもいい記事を書いてくれていた。読みたい人はぜひそちらを読んでもらいたい。
できれば、このゲームを見て気分を害す前に読むと、心が温まることと思う・・が、たぶん無理だろうな(苦笑)
まぁ、それも人災。しかたない。
Johnson to face former batterymate | Mariners.com: News by Jim Street
上記の記事の抄訳
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年8月20日、MLB公式のジム・ストリートはロブ・ジョンソンとウオッシュバーンの「フィールドでの再会」をユーモラスに記事にした。


ほんとに、もうね。大事なことだからこの際言わせてもらうとさ。
遺恨はあっても、ドラマもへったくれもないね、このチーム。

NFLでもなんでもスポーツよく見る人はわかると思うけど、チームの中のいいドラマを守ろうとする気持ちがないチームが、一体感を保てる、いいチームになれるわけがないんだわさ。
そしてだな、いいドラマ」を持ってるプレーヤーが本来、チームの芯になれるわけ。チームから芯抜いたら、それはチームじゃないわけ。スポーツやったことない奴にはわからないかもしれないけどな。

スポーツってのはさ、ある部分「いいドラマの集積所」であって、それがあるチームや選手は強いわけ。だから、ドラマを大事にすることでチームは成り立ってる部分があんのよな。わからない馬鹿にはわからないだろうけどさ。
このシアトル・マリナーズってチームは、そもそもチーム自体に「ウオッシュバーンとロブ・ジョンソンのよきドラマを守ろう」って気が、サラサラなかったんだわな。だからチームが、あろうことか自分の手で、チームから芯のひとつをひっこ抜いちまった。(=つまり、ウオッシュバーンをトレードしちまって、今日のウオッシュバーンとの再会ゲームにロブ・ジョンソン先発を許さなかった)
簡単に言えば、子供(城島)かわいさに親が我が家(チーム)を燃やしてみせたようなもんさ。「ほら見てごらん、炎が花火みたいで綺麗でしょ、バブバブ」ってか。馬鹿か、ほんと。

チームがチームになってない、チームがチームである要素を自分から捨ててるのに、いくら100円ショップで選手買い集めたって、テキサスやLAAに追いつけるわけがない。それは、城島が嫌いとか、どうとか、そういうこととは別なのさ。
むしろ、チームスポーツの根幹にかかわる問題なんだわ。


どおりで、あんだけイチローが孤軍奮闘、毎日毎日ドラマチックに頑張ってんのに、そのドラマの価値をきちんと評価すること(=つまり、きちんと得点や勝ちにつなげて、イチローのドラマを毎回毎試合きちんと完結させていくこと)ができないわけだわ。スターをスターらしく扱えないチームが、クラブハウス問題? 笑わせんなって。

わざわざ公式サイトのジム・ストリートが、ウオッシュバーンとロブ・ジョンソンのストーリーを記事にまでしてる意味が、チーム自身にはまったくわかってないんだから、馬鹿丸出しだよ、まったく。

今日のウオッシュバーンの登板するゲームのスタメンマスクに城島選んじゃうワカマツって、ほんとに無粋だねぇ。ローランド・スミス、こないだロブ・ジョンソンにかぶらせたクセに、ワカマツ。何がしたいんだ、あんた。

やっぱり、間違いないね。
このチームの誰かが、絶対にウオッシュバーンとロブ・ジョンソンの「間」を引き裂きたがったんだろう。これで確定とさせてもらおうと思う。

もうね、こんな無粋なことしかできないチーム、御免蒙りたい。
イチローが移籍してくれたら、こんな「無粋なチーム」、見なくて済むんだがな。
やれやれ。気味がわるいよ、このチームは。


追記
いまゲーム終わったんだけどさ。(録画でなく、リアルタイム)
こういうゲーム展開でデトロイトの監督リーランドの凄さ、「ドラマづくり」のうまさと、城島やレアードのダメさ加減、砂を噛むような大根役者ぶりがわからないで、ウオッシュバーンのことを笑ったりアーズマのせいにするような馬鹿は、もうメジャーもスポーツも見ないほうがいいと思うね。
あなたがた、スポーツ見る目ないからさ(笑)

ワカマツさん、さ。
あなた、チームスポーツである野球の勘どころ、ホントはわかってないんでしょ?(笑)今日城島出したのは、あなたの責任だから。わかるかな?(笑)
それと遺恨だけしか残らない後味の悪すぎるチームに勝手につくりかえたのは、城島と、あれの支援者たちと、そしてトレードごっこの好きなチームマネジメントの責任。

せめてキャッチャー・レアードをアビラにかえてみせた名将リーランドばりに、6回以降、または、悪くても最終回のキャッチャーをロブ・ジョンソンに変えてたら勝ってのにな。クレメントのときにバーク使ったみたいにさ(笑)ワカマツさんよ(爆笑)



この日の勝利について、デトロイトの公式サイトがどういう書き出して書いたか、教えといてやるよ。

Jarrod Washburn couldn't beat his old club, but his new teammates did.
ウオッシュバーンは彼の昔のクラブを負かすことはできなかった。だが彼の新しいチームメイトがそれを達成した。

なぁ、わかるか。これが「チーム」ってもんなんだよ。
Thomas' walk-off caps Tigers' big comeback | tigers.com: News



と、公式サイトにまで記事が出たウオッシュバーンとロブ・ジョンソンのフィールドでの再会のはず、だったが、チームはこの前のローランド・スミスの登板でロブ・ジョンソンとバッテリーを組んでいたにもかかわらず、キャッチャーを城島にしてしまう。以下は、この酷いゲームのポイント。


ウオッシュバーンと城島の対決(第1・2打席)

2009年8月20日 城島をショートゴロに料理したウオッシュバーン第一打席 ショートゴロ
チェンジアップを3球続けて
最後はアウトコース低めにストレートを決めて、緩急の差でショートゴロ。やはり、というか、城島をショートゴロ、サードゴロに打ちとるパターンは、メジャーの投手なら誰でもわかっている、ということをウオッシュバーンが実践してみせた打席。

2009年8月20日 4回城島 ホームラン第二打席 ホームラン
アウトコース一辺倒。まるでレアードが「城島がシアトルでウオッシュバーンをリードしているみたいな配球」をして、「城島自身が打った」。爆笑。いやぁ、笑える(笑)。レアード、頼むよ(笑)。これで城島も「アウトコース一辺倒の馬鹿リードでは打たれるんだ」ということがわかったんじゃないか?(失笑)
城島の第2打席のホームランなどは、やはり今シーズンのウオッシュバーンの躍進は、レアードなどでなく、ウオッシュバーンの力を十二分に引き出せるロブ・ジョンソンの力が必要不可欠だったということがよくわかる打席。ロブ・ジョンソンがよくやるように、インコースを少しは打者に見せておかないとダメだっただろうな。


城島ホームラン直後のデトロイト打線の大復活。
と、いうより、強風のスタジアムでホームランになっただけなのに、浮かれた城島がホームラン浴びまくり(笑)ゲーム後に、敵も味方も、「本来なら、城島のはスタンドには入らないよな」とコメント(笑)
"I gave up four home runs, but two were wind-blown
and would've been outs any other day."


2009年8月20日 4回レイバーン ソロホームラン4回裏
レイバーンのソロホームラン
アウトコースのシンカー


自分が打った後はいつもウキウキのコネ捕手さん(笑)打たれたのがアウトコースのシンカーであることを覚えておいてほしい。次のインジのホームラン、「全く同じコースのシンカー」だから(笑)シルバそっくり(笑)

2009年8月20日 4回 インジ ソロホームラン4回裏
インジのソロホームラン
またもや全く同じコース、同じ球種。アウトコースのシンカー。


だからさ。馬鹿捕手さん。アウトコース一辺倒では打たれるんですって。笑い話か、この展開(笑)自分のホームランで学習しないんだねぇ、このコネ捕手さんは(苦笑)またもやシルバそっくりの被ホームラン。これじゃ、レアードのこと笑えないわな。



ウオッシュバーンと城島の対決(第3打席)

2009年8月20日 6回 城島 ショートフライ城島第3打席

ド真ん中高めの真っ直ぐを打ち損じ。前の打席のホームランが脳裏から離れないコネ捕手さん(笑)城島がホームランを打った直後なんてものは、たいていこんなもの。
いわゆるデーゲームの馬鹿試合。


その後もアウトコースとコーナーをつつきあう
両チームの捕手さんたち(笑)レアード、城島(笑)


2009年8月20日 6回裏 オルドニエス 四球6回裏 無死2塁
オルドニエス 四球

ド真ん中への失投を前の打者にツーベースされた後。いつもの「おもいっきり、コーナーだけ狙ってみました」的な配球で、傷口をさらに広げるコネ捕手さん。ローランドスミスは、昨日のゲームのスネル同様、結局QSできず。まぁ、こんなので好リードとか言われたんじゃ、たまったもんじゃない。

2009年8月20日 6回アビラ 2ラン タイムリー6回裏 2死2、3塁
代打アビラ 2点タイムリー

なんだ、いつもの城島じゃねぇか(笑)特定のコースだけをつく投手のコントロールなんてものは、そう何十球ももたせ続けられるものじゃないことは、日本でもアメリカでも同じ。アウトコースをストレートとカーブだけで突き続けようとする、この単調さ。カーブが真ん中に寄ったところで、2点タイムリー。

それにしても、さすが名将リーランド。満塁のチャンスで、2人続けて代打を送ったリーランドは、このゲームの急所をわかってる。
ウオッシュバーンにヘボいリードをしていた捕手レアードにデーゲームで休みのはずのハフを代打に送った直後、すかさず、9番にもバッティングのいい捕手アビラを代打として打席に送り出した。
もちろん、捕手アビラでこの後のイニングをゼロに抑えようとも考えていることだろう。つまり、リーランドにとっては「予定のシナリオ」「予定の行動」
ということ。


捕手がレアードからアビラに変わった後の
コネ捕手城島さん


2009年8月20日 9回 城島 見逃し三振9回表 城島
見逃し三振

0-2と追い込んでおいてから、外に1球大きくはずれた3球目を利用して、4球目にズバッとインコースを突いたデトロイトバッテリー。城島はバットを振りもせず、見逃し三振。これがレアードとアビラの「違い」。アウトコースを馬鹿みたいに突き続けるレアードや城島と、アビラの違い。



で。結果は。
全球ストレート勝負で、サヨナラ負け(笑)
途中のアビラに打たれたタイムリーも、毎回のように複数のランナー出すリードも、城島の三振も忘れて、アーズマのせいにする馬鹿オタ(笑)

Seattle vs. Detroit - August 20, 2009 | MLB.com: Gameday






当然、ウオッシュバーンが先発するデトロイト戦に、シアトル側のキャッチャーはロブ・ジョンソンだと思って、ハートウオーミングな記事を書いたMLBのシアトル公式サイトのライター、ジム・ストリートは、こんな記事を彼のブログに書いて、ワカマツ監督の行為にクビを傾げた。


Street's Corner: Hall in Motown, Kenji behind the plate

While it wasn't a big surprise that Hall isn't in today's lineup against former Mariners left-hander Jarrod Washburn, catcher Rob Johnson was not in the lineup as expected. Manager Don Wakamatsu said he liked the matchup "both offensively and defensively" with Joh behind the plate. That puts a major crimp on his plans to face his former batterymate, Jarrod Washburn, for the first time and get a different perspective of the "dolphin" pitch Washburn throws.

(トレードで獲得したばかりの内野手)ホールが元マリナーズの左投手ウオッシュバーンと対戦する今日の先発メンバーにいないことは、さして大きな驚きではないものの、キャッチャーのロブ・ジョンソンは期待どおり先発しなかったことには驚いた。ワカマツ監督は、城島マスクにすることについて、(ウオッシュバーンとの)「攻守両面での」マッチアップが気にいっているらしい。それは初めてかつてのバッテリーメイトのウオッシュバーンと対戦し、ウオッシュバーンの投げる『ドルフィン』の違った視点を得ようとするロブ・ジョンソンの計画をひどく妨げることになる、ということだ。






7月末のトレード期限ギリギリになってデトロイトにトレードされたウオッシュバーンが、8月20日のデトロイト対シアトルの対戦で登板することになって、シアトルの公式サイトのジム・ストリートが心温まる記事を書いてくれたので、紹介しておく。


:このゲームの実際の顛末は失笑もののエンディングを迎えることになる。実際のゲームについての記事は既に書いたが、あまりにも記事が長いのと、いい話あまりにも馬鹿らしい話を共存させておくのも気分が悪いので、記事をできるだけ分割してみることにした。
8月20日のデトロイト戦の失笑ものの幕切れについて読みたい人は、こちらの記事を読んでほしい。
2009年8月20日、MLB公式のジム・ストリートはロブ・ジョンソンとウオッシュバーンの対決をユーモラスに記事にした。 →だが無粋なチームの監督さんがスタメンマスクに選んだのは、なぜか城島 →最悪の「サヨナラ負け」(失笑)



イルカ

Johnson to face former batterymate | Mariners.com: News
written by Jim Street

Mariners catcher Rob Johnson said Wednesday that he was looking forward to seeing the "dolphin" from a different angle.
マリナーズのキャッチャー、ロブ・ジョンソンは「ドルフィン」を違った角度から見られる水曜を楽しみにしているという。(中略 ウオッシュバーンがフリッパーと呼んだ球を、ロブ・ジョンソンが「ドルフィン」と呼び変えたことの説明)
Washburn and Johnson meet again on the field on Thursday afternoon in the final game of the three-game series between the Mariners and Tigers.
ウオッシュバーンとジョンソンは、マリナーズとタイガースの3連戦の最終戦のある木曜の午後にフィールドで再会する。

"It will be really fun," Johnson said. "I know what he throws, and he knows I know what he throws, so it's definitely going to be a battle. We're both very competitive.
「すごい楽しみ」とジョンソンは言う。「僕は彼が投げる球を知っているし、彼も僕が彼の球を知っていることはわかってるわけだから、もちろんバトルになるろうね。僕らは2人とも負けず嫌いなんだ。」

"It is going to be awfully weird pitching against them," Washburn said. "It is strange. Just two weeks ago I was a member of that team, and now I have to go out and try to beat them."
「マリナーズ相手に投げるのは恐ろしく変な感じだよ」とウオッシュバーン。「奇妙な感じだよ。たった2週間前には、チームの一員だったのに、今は僕は外部にいて、彼らを負かそうとしているんだからね」(この後の一部略 トレードの経緯など)

"I spent the whole season rooting for every one of those guys to get a hit and do well every time they stepped into the box," Washburn said. "Now, I'm going to have to go out there, knowing every guy's weakness better than any other team. But at the same time, everyone who steps into that batter's box knows exactly what I have to offer on the mound."
「シーズン全体を費やして僕は、彼らが打席に入るときは、ヒットを打って、いい結果を得られるようにいつも応援してきた。」とウオッシュバーンは言う。「でも、今はデトロイトに行かなければならなくなって、シアトルの打者がどんな弱点をもってるか、ほかのどのチームよりもよく知っている。でも同時に、打席に入るシアトルの誰もが、マウンドの僕がどんな球を投げるのか、正確にわかってるわけだね」

Washburn said the transition from being a Mariner to a Tiger has been a challenge.
ウオッシュバーンはタイガースからマリナーズへの移籍はひとつのチャレンジになっている、という。
"I guess I probably am not totally adjusted," Washburn said. "It will help when the Mariners leave town, I suppose."
「思うに、僕はたぶんまだ十分適応できたとはいえないと思う」とウオッシュバーンは言う。「マリナーズがデトロイトを去るにあたってヘルプになるとしたら、そこだと思うね」
ブログ注:ここでウオッシュバーンが「まだ自分がデトロイトに適応しきってない」と言っているのは、明らかにデトロイトのキャッチャー、レアードとのバッテリーの呼吸のことだろう。つまり、だからこそ、シアトル時代のロブ・ジョンソンとのバッテリーのように、十二分に力を出せるかどうかまだ確信はない、と言っているわけだ。

Asked who he is looking forward the most to face, he paused for a few seconds and said: "Rob Johnson. I just love that kid. Having had a better view of any of my pitches than anyone on that team, there will be absolutely no surprises for him."
彼に誰と対戦したい?と尋ねると、ウオッシュバーンは数秒おいて、こう答えた「ロブ・ジョンソンだね。僕はとにかくあの小僧っ子が気にいってたからさ。チームの誰よりも、僕の投球をしっかり見守り続けてくれた。彼がそういうことをすることには、なんの驚きもないけどね、そういう子だし。」

On that day in Arlington when Washburn bid his former teammates adieu, Johnson had one request.
アーリントン・パークでウオッシュバーンが前のチームメイトとお別れをした日に、ジョンソンはひとつのリクエストをした。
"He told me I had to throw him a dolphin at least once because he wants to see what it looks like from the batter's box," Washburn said.
「ロブは僕に、打席からどんな風に見えるかどうしても知りたいから、最低1球は『ドルフィン』を投げてくれって言うんだ」

Will he?
投げるつもり?
"We'll see," Washburn quipped.
「試合になればわかるさ(笑)」と、ウオッシュバーンはすかさず言った。

"But if I do and he hits it out, I told him that I would get another ball from the umpire immediately and drill him as he's rounding the bases."
「でも、もし僕がドルフィンを投げて彼がヒットなんか打ちやがったら、僕は彼がベースを一周してるとき、すぐに、アンパイアから別のボールを手に入れて、奴にぶつけてやるけどね(笑)」

ルアー






August 20, 2009

8月に入ってコネ捕手城島のCERAがびっくりするほど改善されたとでも思っている人がいるかもしれないが、別にそんな兆候はどこにもみられない。


ロブ・ジョンソンのほうはたしかに、先発ローテから信頼関係の深いウオッシュバーンが抜けてしまい、クレメントを安売りしてまでして拾ってきたスネルが入った大波をモロに受けた。おかげで彼のCERAは1点程度上がってしまっている。
これはスネルなどを獲ってきてローテをいじり倒すべきではなかったというマネジメント上の問題で、本来、責任はキャッチャーにはない。
ただ、それでもロブ・ジョンソンは先発投手の失点を4点程度にはまとめつつ、なにより、平均して6イニング程度はもたせて続けていることには大きい意味がある。ウオッシュバーンとベダードがローテを離れた現状でも、QS率67%という高率の数字をキープしていることが、なによりロブ・ジョンソンの有能さを物語っている。
かたや城島マスク時の先発投手の投球回数は5イニングしかない。疲労がピークに達しつつあるブルペン投手にとって、この1イニングの差がどういうことを意味するかは、あえて言うまでもない。
一時的にロブ・ジョンソンがいま勝ちに恵まれないのは、フレンチが自責点ゼロで負け投手になったり、ヘルナンデスが味方野手のエラーで負けたり、単に巡りあわせの問題。普通にゲームをこなすうちに元に戻る程度の話。


むしろ、悪化しているのは城島の数字だろう。
先発投手をリードする場合、数字を見ればハッキリわかるように、フィスター、ローランドスミスといった、現行ローテのみでいえばまだマシといわれている投手をメインに受けていたにもかかわらず、コネ捕手城島が受けた先発投手のCERAは、ほかならぬ城島自身のシーズンデータより、さらに悪化した数字が出ている。

かつてヘルナンデス、ウオッシュバーン、ベダードをロブ・ジョンソンが受けていた当時に、「いい投手を受けていればロブ・ジョンソンのCERAが良いのは当たり前」などと、城島オタのくだらない僻み、やっかみをよくみかけたものだが、ウオッシュバーンを無理矢理にトレードし、現行のローテに無理矢理かえてもらい、捕手としてのチャンスを他人の力で増やしてもらって、伸び盛りの投手たちを受けてさえ、この程度。
そう。コネ捕手の捕手能力など、結局この程度だったのである

城島先発マスクのゲームでの先発投手の1ゲームあたりの投球イニング数は、勝利投手の権利を得る5イニングにすら届いていない。これではQSどころではない。事実、QS率はわずか33%しかない。
先発投手を長くはもたせられない、というコネ捕手城島の傾向は8月に限ったことではない。データをあげるまでもないが、4月や5月の段階からそうだし、もっと言えば、他の年度のシーズンからして、そういう傾向がある。
先発投手が5イニング程度しか投げていないにもかかわらず4勝することができたのは、たまたまラン・サポートに恵まれただけのこと。これも単に巡りあわせ。ただ、それだけ。

8月以降の15ゲーム(=ローテ3回)
2009 Mariners Schedule | Mariners.com: Schedule

(以下 先発投手 捕手 勝負 先発投手の投球イニング数と自責点 投手全体の投球回数と自責点の順)
ヘルナンデス  ジョンソン 勝 7回自責点2 QS 9回2
スネル      ジョンソン 負 6回自責点2 QS 8回4
ローランドスミス 城島    勝 4回自責点4   9回5
フレンチ     ジョンソン 勝 5回自責点4   9回6
バルガス     ジョンソン 負 7回自責点7   8回7
ヘルナンデス  ジョンソン 勝 6回自責点3 QS 11回4
スネル      ジョンソン 負 1回1/3自責点3  9回10
ローランドスミス 城島    勝 6回2/3自責点2  9回2
フレンチ     城島    勝 5回1/3自責点4  9回4
フィスター    城島    負 6回自責点0 QS 9回3
ヘルナンデス  ジョンソン 勝 7回自責点0 QS 14回0
スネル      城島    負 6回自責点8   9回11
ローランドスミス ジョンソン 負 7回自責点2 QS 9回2
フレンチ     ジョンソン 負 6回自責点0 QS 9回1
フィスター    城島    勝 7回自責点3 QS 9回3


ジョンソン 9試合 4勝5敗
先発投手 52回1/3 自責点 23 CERA 3.96
先発投手 平均投球回数 5.81 QS 6回 QS率 67%
投手全体 86回  自責点 36 CERA 3.77

城島    6試合 4勝2敗
先発投手 34回 自責点 21 CERA 5.59
先発投手 平均投球回数 4.83 QS 2回 QS率 33%
投手全体 54回 自責点 28 CERA 4.67


まぁ、それにしても、ワカマツという監督、このところ本音では何を考えてキャッチャーを選んでいるのか、ますます混迷しているようだ。

8月6日のバルガス登板なども、そのひとつ。
それまでずっとバルガスの球を受けていた城島にかわってロブ・ジョンソンに受けさせたわけだが、これなど、バルガスをマイナーに落とすかどうかを決める最終テストのようなものにしたつもりだろうが、貴重な実戦を使ってまで、そんなことをする必要が、どこにあるのだろう?
つまり「ロブ・ジョンソンに受けさせてもダメなら、メジャーのローテはあきらめさせる」とでもいうようなゲームにしているわけだが、そうまでしないと物事を決められないとは、クビをひねらざるをえない。
元キャッチャー出身のプロ監督なら、ゲームで投げさせなくとも、自分の目で見てダメなものはダメなのだから、さっさとマイナーに落とせばいいのだ。
さらにいえば、ロブ・ジョンソンにキャッチャーをかえてバルガスのローテ投手としての寿命を延ばす必要があるなら、バルガスが自分の得意球のチェンジアップに自信を失う前に、なぜキャッチャーを変えてやらなかったのか。
ビッグスリーの時代に、バルガス・オルソンの裏ローテで、どれだけチームの貯金を食い潰したと思っているのだろう。


ローテの主軸だったビッグ・スリー、つまりヘルナンデス、ウオッシュバーン、ベダードが、ロブ・ジョンソン相手に投げた時代にはなんの問題もなかったし、それどころか、チームは勝ち星を地道に重ねて、貯金もわずかずつ増やすことができていた。
この時期に問題だったのは、裏ローテをまかされていた城島にやる気がなかったことだけで、バルガスやオルソンを結局ダメ投手にしてしまい、表ローテの勝ちや貯金は、ことごとく食い潰されていた。

だが、その後のシアトルはウオッシュバーンとクレメントを安売りしてしまった上に、ローテをいじくり倒して、あげくの果てには、いまやキャッチャーのシステムも、人の目をまっすぐ見て説明できないような、不可解な起用、思いつきの起用、グダグダな起用に終始しはじめている。
「CERAは関係ない」と言い切ったのは、ほかの誰でもない。ワカマツ自身だが、「城島のCERAが改善されてきましたので、正捕手を城島に変えてみようかと思っています」、などというわけのわからない言い訳は筋が通らない。実際、城島のCERAはたいして改善されてもない。



どこから圧力があるのかは知らない。
だが、人に説明できかねるような、合理性に欠けた行為まで犯して、故意にでもチーム全体を歪めてまでひとりのプレーヤーを優遇し続けたいのなら、もうメジャー球団の経営など止めるべきだ。

マクラーレンは監督としてはたしかに有能だったとは言いがたい。だが、そういう妙な圧力に最後に一度だけ「ひとの目に見えるカタチで」反抗してみせた分だけ、優柔不断なワカマツより男気はあった。ただ、それでもクレメントは不可解なキャッチャー起用に巻き込まれて、結局はチームを去った。
いや、正確に言えば、「去ることを強要された」。なぜならパイレーツにはDHがなく、クレメントのための場所が当面みあたらないチームだからだ。そんな最初から居場所のないチームへのトレード、選手のためにも、迎え入れるチームのためにもならない。選手会からシアトルにクレームでも入れてもらったほうがいい。

十分な結果をシーズンずっと出し続けているロブ・ジョンソンさえ、クレメントと結局同じ目にあわないと、だれが保障できるか。
ヘルナンデスの契約問題についても、こんな状態でヘルナンデスがFA後もチームに残ってくれると思っているとしたら、本当に、心の底から失笑させてもらう。どこまで甘いのだ。ローテ全体を崩壊させてまで、ひとりのキャッチャーを守り通すつもりなのか、このチーム。


いまや、「城島問題」は、ヘルナンデス、ウオッシュバーン、ベダード、3人の主力投手たちの去就に大きなかかわりを持ち出している。






August 19, 2009

パッジのテキサスへのトレードの直接の目的は、サルタラマキアに発見されたThoracic Outlet Syndromeによるもの。
Thoracic Outlet Syndromeとは、日本語でいうと、胸郭出口症候群。腕に行く神経や血管が胸の出口の所で、圧迫されて起こる一連の病気だそうで、交通事故で首に傷害を受けた人、特定の姿勢で長時間コンピューターを使う人に多くみられ、水泳、バレ−ボ−ル、ウェイトリフティングのように腕を頭上によく挙げるスポーツをする人にもリスクがあるという。
第72回 胸郭出口症候群(Thoracic Outlet Syndrome = TOS) - usjapanmed.com

サルタラマキアがDL入りしたことで、テキサスは控え捕手のティーガーデンを正捕手にするとかという選択をせず、イヴァン・ロドリゲスを獲ってきて、第3のキャッチャーのケビン・リチャードソンをDFAにした。

パッジも昔のようなスラッガーとしてのパッジではないし、そうそう昔のような活躍ができるわけでもないことは、テキサスの関係者だって、わかって獲得しているだろう。それでも、少なくとも、パッジ加入でますますテキサスのゲーム運びに「安定感」が増してしまうことにはなる。
つまりテキサスは、別にパッジのバッティングに大きな期待などしなくても、「十分勝てる体勢」に常にあるという「余裕」ぶりにあるということ。その余裕の存在が大きい。
Pudge rejoins Rangers for chance to win | texasrangers.com: News


防御率1位のシアトルはむしろ不安定なチーム
現在、ア・リーグのチーム防御率1位は依然としてシアトルだが、実は、この数字にはもう、あまり意味はなくなってしまった。この数字に意味をなくさせた原因はいろいろあるが、最大の理由は、「シアトルのチームマネジメントが7月末以降ブレまくってしまい、今シーズンに何を期待しているのか、見失っている」ことにある。
チーム防御率2位をキープしていたホワイトソックスに今日テキサスが追いついて、テキサスが2位タイに浮上しているが、実際に「堅い試合運び」をきちんと毎試合できているのは、実はテキサスのほうで、シアトルではない。
それが証拠に、チーム防御率がいくらよくても、シアトルの「試合運び」は、いつもいつも不安定で、いつまでたっても、選手をむやみに入れ替えても、打順をいくらいれかえても安定しない。
誰がいまのGMを褒めて媚びへつらおうと、そんなこと知らない。チームが安定した戦いをできない現状は、あきらかにGMや監督のブレや優柔不断さに責任がある。


ア・リーグ最少失点チームは
シアトルではなく、テキサス

シアトルとテキサスの得失点にかかわる数字を比較してみる。
被打率はシアトルのほうがいい(シアトル.247 テキサス.258)のに、失点数は、見た目にはほんのわずかな差だが、テキサスのほうが少ない。(シアトル520 テキサス507)。テキサスの失点507は、実は、ア・リーグでナンバーワンなのだ。
テキサスほど失点しないチームは、ア・リーグではほかにない、ということに一応なっている。

「テキサスの失点はア・リーグで最も少ない」ことがわかった上で、さらによく見てみると面白いのは、自責点はシアトルのほうが少ない(シアトル467 テキサス479)ことだ。つまり、投手(というかバッテリー)の責任の失点はシアトルのほうが少ないわけだ。

両チームの失点差が13、自責点の差がほんの12点だから、たいした差ではない、と思われるかもしれない。
だが、ためしに「失点から自責点を引いてみる」、つまり「投手の自責点でない失点」を求めてみると、シアトルが53もあるのに対して、テキサスは28しかなく、その差は倍くらいになる。
いま約120ゲームを経過したところだから、シアトルでは、投手に責任の無い失点が2試合に1点ずつあるのに対して、テキサスでは4試合に1点くらいしかない、ということになる。
そして得点の少ないシアトルについてだけいうなら、この「投手の自責点ではない失点の重さ」は、非常に重い意味がある


「得点<失点」のシアトル、「得点>失点」のテキサス
こんどは両チームの得点数を見てみる。
シアトル470に対し、テキサスは564もある。1試合あたりに直すと、シアトル3.98、テキサス4,82。およそ1点違う。
一方で、1試合あたりの失点は、シアトル4.40、テキサス4.33で、それほど違わない。
つまり、シアトルは毎試合約4得点して、エラーによる失点も含めて、4.40失点している、つまり「得点<失点」である。それに対してテキサスは、4.82得点して、エラーによる失点も含めて、4.33失点する。つまり「得点>失点」なのである。
別の視点で言うと、シアトルでは「エラーをしていては勝てないのに、エラーが多い」が、テキサスでは「エラーがあっても勝てるが、エラーによる失点は少ない」のである


ミスが多く、ひとつのエラーが致命傷のシアトル
ミスが少なく、ミスがあっても勝てるテキサス

シアトルで「失点ー自責点」が、53もあるとさっき書いたが、これを1試合あたりに直すと面白いことがわかる。現在118試合を消化したシアトルで、投手の自責点以外の失点は、1試合あたり、53÷118=0.45点ある。
どうだろう。毎試合4点得点して、4.40点失点するシアトルのゲーム展開にとって、この「投手の責任ではない失点」が毎試合0.45点あることが持つ重さは、けして小さくない、ということだ。

これは現実のゲームを毎日見ているファンなら、誰しも実感していることだろう。勝てるはずのゲームを、打撃であれ、守備であれ、小さな気の緩みで落とすことは、シアトルではよくある。
例えば最近実際にあった例では

センターフライをグティエレスが落球したことから4失点して、ルーク・フレンチが、『自責点ゼロ』の負け投手になった

満塁でダブルプレーでチェンジのはずが、セカンドのロペスがボールを握りなおしてダブルプレーにできず、サードランナーの生還を許した

1アウト1塁からのショート・ゴロを、ショートのジョシュ・ウィルソンがエラーしてダブルプレーどころか、1、3塁にしてしまい、その後逆転負け

などというのがある。
と、いうか、毎試合のように、こういう例がある。

毎試合4点得点して、4.40点失点するシアトルのゲーム展開のシアトルにとっては、ゲームにおいて「失点につながるような事件」がひとつでも起きれば、それで勝てるゲームを間違いなく落とす。そういう、やたらと「神経質な」チームなのだ。

かたや、テキサスはというと、4.82点得点の一方で、防御率が良く、エラー含めて4.33しか失点しないのだから、基本的にミスが少なく、投手はよく投げてくれて、野手がひとつやふたつエラーしても、1本くらいホームランを打たれても、結局勝ててしまう。そういう「ゆとりのあるチーム」ということになる。

神経質にゲームを進めなければならないか、それともゆとりを持ってプレーできるか、その差が選手のメンタリティに与える影響が大きいことは言うまでもない。これは単にテキサスは打力があるから、という話で説明できる話ではない。打力があっても失点しすぎて負け続けているチームは、メジャーには掃いて捨てるほどある。テキサスの守りは堅い。

テキサスとシアトル、この両チームにおいて、本当に守りが堅いのはどちらのチームか、言うまでもない。(もっとも、ひとつのエラーの重みが、シアトルでは重くなりすぎる、と言い換えたほうがわかりやすいかもしれない)


失点に対する責任が高くても、
スタメンでいられるシアトル

かつての先発投手たち(つまり、ヘルナンデス、ウオッシュバーン、ベダード)の防御率が高かったために、シアトルはチーム防御率が見た目だけは高い。しかし、実際にはシアトルは、テキサスの倍以上の守備リスクを抱えながらプレイしている不安定な自転車操業チームだ。
テキサスのように、多少の守備の乱れや、先発投手の失点を、チーム一丸で吸収できる強靭なシステムにはなっていない。

シアトルのベンチで座っておしゃべりしている高給とりのベテランは、大量失点が当たり前の投手、大量失点が当たり前の捕手、失点につながるエラーをする可能性がある野手、または、そもそも守備につかない野手だ。つまり、総じて言えば、守備面での貢献度は小さいプレーヤーばかりだ
だが彼らのうち、野手でいえば、人並みか、人並みのやや下くらいには打てる、という名目のもとに、「貧打のシアトルでなら高給が取れるまがいものの選手」が幅をきかしている。投手でいえば、投手の選手層があまりにも薄いために、メジャーのベンチに入れて、ローテ投手にすらなれる。
彼らは、だれもかれも、「シアトルにいることが自分にとって都合がいいので、シアトルにしがみつきたがる」。見ていて本当に気分が悪い。

そこで、チームは今年6月あたり、守備はいいが安い給料の選手たちを獲得してきたり、マイナーから上げてきたりすることで、「ベンチを暖めるしか能が無いか、フルタイムで働けない高給取りの老人たち」と併用して、彼らの欠陥とペイロールをフォローする、そういうチーム補強策をとってみせた。
だが、シアトルは、いつのまにかそういう守備のいい選手をかたっぱしから「やはり打撃がダメだ」とかなんとか適当に理屈をつけて、早々に諦めてしまった。そのために、結局は勝率が下がってきて、あげくには盲目的にウオッシュバーン、クレメントを安売りして「応急処置」を施そうとしたが、かえって選手層は薄くなり、特にローテは崩壊した。
スネルは使い物にならず、ウィルソンはDL入りで、「打率は上がらず、投手の防御率は落ちる」という結果を招いて、ブルペン投手の酷使はなおさら酷くなり、結局はさらに勝率を5割に落とす結果にしかなっていない。

パイレーツ移籍後のセデーニョが既に3本もホームランを打っていることを、みなさん、ご存知だろうか。彼のホームラン数は既に城島より多い。
Ronny Cedeno Stats, News, Photos - Pittsburgh Pirates - ESPN

城島、グリフィー、スウィニー、シルバ、ベルトレ、毎試合出られる能力とフィジカルの無いベテランが、シアトルには多すぎる。彼らはロスター枠を無駄にし、能力に見合わない高給を取り、DH枠を独占しているだけでなく、能力があるかもしれない若手のチャンスを摘むどころか、若手にトレードの危機だけを与えて、結果的にシアトルのマイナーをより層の薄い、ペラペラなものにしている。
その一方で、スタメンで出ている守備系の選手は、というと、なんとかスタメン確保し続けるために、バッティングでも結果を出そうと必死になりすぎて空回りして凡退を繰り返し、「余裕の無さが余裕の無さ」を生む悪循環ばかりが繰り返されて、いつしかメジャーから落とされてしまう。
簡単に言えば、「神経質な球団マネジメントしかできない」シアトルでは「給料の安い若手に安定したチャンスで余裕を与えるような構造」にはなっておらず、むしろ、若手がちょっとでもミスをすれば、すぐに、日頃はベンチでお喋りしていて、守備面では使い物にならず、かといってバッティングはメジャー平均以下程度のベテランに、すぐにすげかえてしまうようなことばかり目立つのである。

それではチーム体質など、変わりようがない。



投打のバランスがより高い位置でとれているのは、明らかにテキサス・レンジャーズのほうなのは明らかだが、テキサスはただバッティングが優れているから勝っているわけではなく、チームマネジメントが非常にうまく投打を整備してきて、それが成功しつつある。
守れて打てる選手など、そうそういないものだが、多少の我慢もしつつ粒を揃えた選手を、方針をブレずにじっくり集めたテキサスは、チーム再建に成功しつつあるのである。パッジ獲得も、パッジの能力に期待するというより、パッジを獲ったことでチームがブレることはない自信があるから獲れる、そういう強い自信の表れだろう。

他方で、今年のシアトル、今年以降のシアトルは、何をしたいのか。
7月末のウオッシュバーンのトレード以降、このチームが何をしたいのか、何を目標にしているのか。

わかる人がいたら教えてもらいたいものだ。






August 18, 2009

この8月12日のゲームは映像で見ていないのだが、疲労回復を理由にロブ・ジョンソンを1ゲーム休ませたくらいだから、大変なゲームだったことは容易に想像できる。
それはそうだ。ついこの間、完全試合をやったばかりのホワイトソックスのエースと、シアトルのエースの激突で、9イニング+5イニング、1試合半もやったのだ。疲れないほうがおかしい。
Griffey gives Mariners win in 14 innings | Mariners.com: News

サードランナーを刺したロブ・ジョンソンの強肩
Baseball Video Highlights & Clips | CWS@SEA: Johnson's pickoff gets Podsednik - Video | MLB.com: Multimedia

ヘルナンデスはこのゲームで10三振を奪っている。2ケタの三振を奪うのは、5月24日のサンフランシスコ戦以来。つまり、ひさびさにヘルナンデスが、世間の人の言う「ヘルナンデスらしい」ピッチングをした、ということになる。(実際のヘルナンデスはストレートで三振をとるピッチングばかりしているわけではない)
2009年5月24日、ヘルナンデスは無敗のパートナー、ロブ・ジョンソンを捕手に8回自責点1でQS達成、10奪三振でひさびさのデーゲームを勝利に導いた。

この8月12日、ヘルナンデスがひさびさの2ケタ三振で自責点ゼロと、ヘルナンデスらしいピッチングをできたについては、7月27日にブルージェイズに打ちこまれた次の登板でヘルナンデスがわずか2三振で勝利投手になった8月1日のゲームでの勝利がたいへん大きい。

2009年8月1日、ロブ・ジョンソン、ロウを好投させて終盤を締め、超苦手の『ビジターTEX戦、2009年初勝利』達成。数々のファインプレーにも助けられたヘルナンデスは、粘りの12勝目、ERA2.78、QSも達成。



8月1日のゲームはよく覚えている。象徴的なのが三振数で、わずか2つしかない。奪三振数のランキングでも上位のヘルナンデスが、わずか2三振で勝ち投手になったのである。いかに彼の調子がホンモノでなかったかがわかる。
この前の登板の7月27日、疲労のたまったヘルナンデスはブルージェイズ相手に11安打2ホームランを打たれ、7失点していた。続く8月1日のゲームでも、どの球種もキレがなく、ヘルナンデスは前回の登板の大敗から完全には復調していなかった。

だが、その大敗で自信が揺らぎかけたヘルナンデスを、野手とブルペン、そしてロブ・ジョンソンがよく助けた。守備のファインプレーとセットアッパーのロウの好投などに助けられた。あんなに良いロウは今まで見たことがない出来だった。



投手というものは、シーズンずっと好調をキープできたら、そんな旨い話はないわけだが、世の中、そう甘くはない。たとえ多少調子を落としているときでもマウンドに上がらなければならないことがある。それがローテの中心を背負うエースというものだ。


だからキャッチャーは本来、投手の調子によって多少はリード内容を変えなければならない。

そんなこと、誰でもやっている、と思うかもしれない。

しかし、例えば、9三振を奪いながらヘルナンデスが6失点して負けた5月4日のゲームを見ればわかる。キャッチャーは城島だ。
この5月のゲームは、自軍の先発投手の調子も、相手打線の調子もおかまいなしに、馬鹿のひとつ覚えで三振をとりにいく城島マスクの典型的ゲームのひとつで、この5月の3連敗以来、ヘルナンデスは城島相手に投げるのを一切止めた。


ローテからはずして休ませることのできない主力投手の調子がたまたま良くないことは、往々にしてある。8月12日のヘルナンデスも、ストレートにいつもの勢いがなく、また変化球のコントロールもイマイチだった。
そういう場合に、投手に「三振を無理にでも奪いにいくような投球」「無理にコーナーを狙い続けるような配球」、あるいは「盗塁を刺しやすくするためだけの配球」を要求し続けていたら、そんな馬鹿なキャッチャー相手に、誰も投げようとは思わなくなるのは当然だ。

それなのに、投手の球が真ん中にそれてホームランを打たれでもしようものなら、「城島が構えたミットにボールがこないで、逆球が来た。悪いのは投手で、城島は悪くない。」などと、馬鹿丸出しの話を得意満面でしゃべる馬鹿が、ファンにも、解説者にもいる。どこまで馬鹿なのだろう。おそらく、自分が無知と恥を晒しているのがわからないのだろう。



もし8月1日のゲームで、城島の馬鹿リードのようなことをしていたら、確実にヘルナンデスは2連敗して調子を崩し、精神的にも崩れていたことだろう。それが、5月4日のゲームと、8月1日のゲームの違い、コネ捕手城島と、ロブ・ジョンソンの違いである。
ロブ・ジョンソンはこの8月1日のゲームでは、このところ初回からストレートを狙い打たれがちだったヘルナンデスに、変化球主体で投げさせたりしつつ、無理に三振を奪いにいくような配球をしないことによって、けして調子のよくはないヘルナンデスに結果的に12勝目をプレゼントしている。

そんな8月1日のゲームから用意されていた「ヘルナンデスの再生」が果たされたのが、この8月12日の完全試合男バーリーと投げ合ったゲームである。ロブ・ジョンソンもほっとして、その夜は疲れて爆睡したことだろう。


ヘルナンデスの2009全登板ゲームログ

4月6日  6回自責点1  城島 QS
4月11日 5回自責点5  城島
4月17日 6回自責点3  ジョンソン QS
4月23日 7回自責点0  ジョンソン QS 完封リレー
4月28日 8回自責点0  バーク QS 9三振
5月4日  6回自責点6  城島 負け  9三振
5月9日  4回自責点5  城島 負け
5月14日 7回自責点0  ジョンソン QS
5月19日 5回2/3自責点6 城島 負け
5月24日 8回自責点1  ジョンソン QS 10三振
5月30日 6回2/3自責点0  ジョンソン QS
6月5日  7回自責点1    ジョンソン QS
6月10日 7回自責点1    バーク QS
6月16日 9回自責点0    バーク QS
6月21日 7回1/3自責点0 バーク QS 8三振
6月27日 8回自責点0    ジョンソン QS 9三振
7月3日  7回自責点3    ジョンソン QS
7月9日  8回自責点1    ジョンソン QS
7月17日 8回自責点2    ジョンソン QS 8三振
7月22日 7回自責点1    ジョンソン QS 8三振
7月27日 5回2/3自責点7 ジョンソン
8月1日  7回自責点2    ジョンソン QS 2三振 勝ち
8月7日  6回自責点3    ジョンソン QS
8月12日 7回自責点0    ジョンソン QS 10三振







イルカ

ウオッシュバーンが、ハラデー、ヘルナンデスなどとともに今年のサイ・ヤング賞を狙うグレインキーと投げ合い、最終的にはデトロイトがインジのサヨナラホームランで劇的な勝利を収めた。
両投手とも3安打自責点ゼロで譲らず、勝ち負けは両チームともブルペン投手についたので、両雄並び立つ結果ではあるが、グレインキーが108球で7イニング、4四球なのに対し、ウオッシュバーンは107球で8イニングを投げきって、しかも2四球だから、同じ球数で1イニング多く投げたウオッシュバーンが投げ勝ったといってもいいだろう。

同じ球数でも、イニングをより多く食ってしまうところが、いかにもウオッシュバーンらしい投球術だ。

おめでとう、ウオッシュバーン。
よし、次は移籍後初勝利だ。・・・と、いいたいところだが、彼の次の登板といえば、デトロイトでのシアトル戦である。困ったものだ。だが、人生はえてしてこういうものだ。放出したシアトルが悪い。人生にドラマはないようで、やはりドラマはある。
いや、むしろ、今のインターネットの時代、ドラマは映画や小説、油絵や彫刻のオリジナリティの中にではなく、リアルタイムの人生の中にこそあるのかもしれない。だからこそ、スポーツは面白い。
Boxscore: Kansas City vs. Detroit - August 14, 2009 | MLB.com: News
デトロイト・タイガースの今後のスケジュール
2009 Tigers Schedule | tigers.com: Schedule

ア・リーグ ERAランキング
MLB Baseball Pitching Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN
ア・リーグ WHIPランキング
MLB Baseball Pitching Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN


ウオッシュバーンはデトロイト移籍後、最初の2試合で自責点が合計11と、さえなかったわけだが、もちろんこれは彼の精神的な動揺を抜きに語れるものではないことは、地元紙だって、リーランドだってわかって受け止めている。またデトロイト打線の貧打というファクターもあることも、デトロイトの地元だってわかっている。

ア・リーグ5位の防御率のウオッシュバーンが移籍後に2試合続けて大きく失点した原因は、4本浴びたホームランにある。
今シーズンのウオッシュバーンは、ア・リーグWHIPランキング1位をずっと続けてきた(現在のトップはロイ・ハラデーの1.08)ように、そもそもランナーを出さない好投を続けているわけだが、ホームランをあまり打たれていないことも、今年のウオッシュバーンの2.95という素晴らしい防御率につながっている。
移籍前の7月末段階で被ホームランは11本だが、これは防御率ランキング上位の投手たちの間でも少ない。特に月間最優秀投手を受賞した7月には、7月6日から7月28日までの5登板連続して、ただの1本もホームランを打たれていない。
ランナーを出さず、ホームランも打たれないのだから、その5ゲームでの失点は合計でわずかに3点。準完全試合を含めて4連勝し、月間最優秀投手を受賞したのも当然だ。
これについては既に書いたように、6月に月間最優秀投手を受賞したヘルナンデスと同様、彼ら投手たちのポテンシャルと、キャッチャー、ロブ・ジョンソンとのコラボレーションの結果だといえる。
Jarrod Washburn Stats, News, Photos - Detroit Tigers - ESPN

2009年7月6日、ウオッシュバーンとロブ・ジョンソンの鉄壁バッテリー、「準パーフェクトゲーム」達成!ウオッシュバーン初の「無四球試合」。9回1安打完封。
2009年7月6日、ロブ・ジョンソンが準完全試合を達成したウオッシュバーンの新しい魔球「ドルフィン」と、その開発にいたるコラボレーションについて大いに語った。
2009年8月4日、ウオッシュバーン、7月のア・リーグPitcher of Month受賞!ロブ・ジョンソンは6月ヘルナンデスに続き2ヶ月連続で月間最優秀投手を輩出、キャッチャーとしての揺るぎない優秀さを証明した。


7月に5試合も連続してホームランを打たれないゲームをしたウオッシュバーンが、デトロイトに移籍してわずか2試合で4本もホームランを打たれて失点したわけだが、「シアトルでのウオッシュバーンの好成績の理由は、彼の実力ではなく、外野守備の良さやパークファクターなどにある。デトロイトに移籍したらそれみたことか、馬脚を現して失点ばかりしている」、とか馬鹿馬鹿しい嘘をならべて、なんの根拠もなく平気で言う阿呆がいる。

ホームランは外野守備とはなんの関係もない。


移籍後のデトロイトでウオッシュバーンの球を受けているのは、テキサス・から今年デトロイトに移籍してきたジェラルド・レアードだが、このレアード、テキサス時代にまともに100ゲーム以上ゲームに出たのは2007年しかなく、この年のCERAが6月末段階で5.44と、酷すぎるものだったし、城島同様、ア・リーグのダメ捕手のひとり、という印象しかない。
移籍の動揺が収まってきたウオッシュバーンの今後についてはなにも心配はしてないが、このレアードという捕手については、正直なところ、まったく期待していない。ポストシーズン進出に向けて四苦八苦するデトロイトは、来期に向けてどころか、いますぐにでも捕手を代えたほうがいいとすら思っている。

そのレアードを放出したテキサスだが、レアード放出を含め、チーム改革がたいへんにうまくいって投打のバランスが非常によくなり、今シーズンはワイルドカードも狙える位置をキープしている。
特にチーム防御率の改善はめざましく、ア・リーグ3位の4.13(8月16日)と飛躍的に改善され、チームの大躍進の最も大きな理由になっている。


今シーズン、テキサスのマスクをかぶっているのは、今シーズンCERA4.08と良い数字を残しているサルタラマキアと、控えの05年ドラフト3巡目指名のルーキー、ティーガーデン
ティーガーデンは2008年に彼がメジャーデビューしたゲームもたしか観戦したが、強い印象を受けたのを今でもよく覚えている。デビュー前は打力が心配の守備的捕手、などという馬鹿のひとつ覚えな意見のあったティーガーデンだが、本当にナンセンスな意見だ。現在のテキサスの強力な打線ラインアップを見れば、「捕手の打撃能力がどーたら、こーたら」だの、そんな意見、何の意味もない。

それにしても、よくキャッチャーの打撃力をどうたらこうたら言いたがる人がいるが、たとえ仮にそのチームの打線全体が貧打で困っていたとしても、その問題をクリアするためには、捕手の打撃力など、もともとたいして貢献できるようなものではない。打力アップのために貢献しなくてはならない、あるいはチームがいじらなければならないのは、もっと他のポジションの野手だ。
こんな程度のことくらい、いい加減わからないのだろうか。


例えばテキサスの場合でいえば、ティーガーデンやサルタラマキアの打撃に大きな期待などしなくとも、マイケル・ヤング、ビスケール、ハミルトン、クルーズ、キンズラー、十分に勝てるだけの優秀な打者がチームに揃っている。ティーガーデンにマウアー並みの打力を求めなければならない必要など、さらさら無い。
テキサスがチーム改造を前に抱えていた問題は打力アップだったわけではなく、ディフェンス面の問題だ。
いらないレアードを移籍させ、かわりにティーガーデンをメジャーに定着させたテキサスの防御率が現在ア・リーグ第3位、4.13と大きく飛躍した原動力のひとつが、捕手交代にあることは明らか。


対比的に言えば、残念ながら、テキサスのこうした計画的、合理的なチーム改造とは対称的に、不合理なことばかりしているシアトルは、何をやっても大きく遅れをとったままで、そして、それが近年、あるいは現在の中途半端な地区順位にそのまま反映されている。
引退する選手の花道を用意してやり、城島やシルバはいまだにベンチに座っており、どうみても今後必要になるウオッシュバーンやクレメントは放出してしまい、DH枠はいまだに選手全体の休養には使うことができず、獲得してはみたものの使えない投手たち、彼らを現場は扱いかねて捕手を変えてはお茶を濁している。
GMや監督を褒めちぎる人は多いが、それでチーム全体が将来に向かって何がやりたいのか、どういう方針でいるのか、まったく見えてきてはいない。

ティーガーデンのCERAほかスタッツ
Taylor Teagarden Stats, News, Photos - Texas Rangers - ESPN
サルタラマキアのCERAほかスタッツ
Jarrod Saltalamacchia Stats, News, Photos - Texas Rangers - ESPN
レアードのCERAほかスタッツ
Gerald Laird Stats, News, Photos - Detroit Tigers - ESPN


ウオッシュバーンのゲームに話を戻そう。
グレインキーの7月だが、今年開幕から6連勝、6月末までにERA1.95、10勝3敗と、堂々たる成績を収め、サイ・ヤング賞レースのトップを快走していたわけだが、7月以降に4連敗して、11勝7敗、ERA2.33と、多少雲行きがあやしくなっていた。

ただ、これはグレインキーのせいではない。カンザスシティのチーム力が無いせいだ。

7月に彼は5登板しているが、味方の得点は、5ゲームでたった6点しかない、1ゲームあたり、わずか1.2点。これでは、どんな大投手でも勝ち続けられるわけがない。
かたや、この7月の5ゲームでグレインキーの自責点は合計9点で、1ゲームあたり、1.8点。失点をゲームあたり2点以内に抑えているが、味方が1試合に1点しか得点できないのでは、連敗もいたしかたない。

グレインキーは今シーズン8月14日のデトロイト戦まで24ゲームに登板しているが、5回でマウンドを降りたのはわずかに3ゲームしかない。20回ものQSを果たし、QS達成率は83%もの超高率でア・リーグトップ(2位はフィリーズに移籍したクリフ・リーの82%)。また完投回数は4回で、これもア・リーグ1位。(ちなみに13勝10敗だった2008年も、彼は23回QSを達成し、72%のQS達成率を残している)

通常の防御率ではなく、補正された防御率Adjusted ERA+でみると、8月18日現在の彼の数値は188。2000年代に入ってこんな高い数字を記録した投手はランディ・ジョンソンや、クローザーのリベラを除けば、リンスカムクリス・カーペンターくらいしかいない。
このことからも、カンザスシティという弱小球団にいるグレインキーの今年の成績が、やや調子の落ちたように見える7月以降も、かわらずサイ・ヤング賞に準じる程度といえるレベルにあるといえる。
Zack Greinke Stats, News, Photos - Kansas City Royals - ESPN
Zack Greinke Pitching Statistics and History - Baseball-Reference.com

ルアー






August 07, 2009

1週間ほどお休みします。ではよい夏休みを。

damejima at 20:22

August 06, 2009

新しい街に暖かく迎えてもらったようで、よかった。
次の登板で頑張れウオッシュ。

イルカ



デトロイトに移籍したウオッシュバーンは、2009年8月4日の火曜日に、さっそくボルチモアとの第2戦に登板したのだが、5回1/3を投げて自責点6で、7敗目を喫してしまった(8勝7敗)。
試合後ウオッシュバーンは、アメリカのスポーツ選手としてはこれ以上ないくらいに素直にふがいないスタートを認めて、移籍後にこれからも続くスターターとしての自分の責任を改めて確認するかのように、自分の言葉でファンとチームにこんなふうに話した。
"There's no excuse. I didn't do my job. I didn't have command," Washburn said. "I wanted to start out on the right foot and give everyone a good first impression. But what happened was the exact opposite of that."
「言い訳のしようがない・・。自分の仕事ができなかった。コントロールがなかった。」とウオッシュバーン。「好スタートを切って、みんなにいい第一印象を与えたかった。でも起こったのは、その正反対のことだった。」
Game Wrapup | tigers.com: News

Washburn struggles in Tigers debut | tigers.com: News
イディオム
get off on the right foot
start out on the right foot
好スタートを切る。幸先良いスタートを切る。


デトロイトには日刊紙として、Detroit Free Pressと、Detroit Newsがあり、それぞれにデトロイト・タイガースのページを持っている。

Detroit Free Press タイガースページ
Freep.com | Detroit Tigers | Detroit Free Press

Detroit News タイガースページ
detnews.com | The Detroit News | Tigers-MLB | The Detroit News Online -- Your source for Detroit Tigers news, analysis and commentary.


今回のウオッシュバーンのデビュー戦について両紙は共通して、「毎度のことだが、投手へのRS(ラン・サポート)つまり、打線の援護がないタイガース」というトーンでチームの基本的問題点を嘆いてみせる記事を書いて、やってきたばかりの投手をかばい、慰めてくれた。

各紙が書いているように、ウオッシュバーンの調子がまだ本来のものでなかったのはたしかだが、一方で監督リーランドが厳しい口調で指摘しているように、打線の援護がないゲームが多いのもまた事実。
僅差で優勝争いが続いているア・リーグ中地区だが、デトロイトは7月に1点差で負けたゲームが8試合もあった。
その1点差巻けの8試合うち、4試合のスコアは1-2だったが、その4試合のうちの2試合はシアトルとのゲームで、ウオッシュバーン自身がトレード相手のフレンチと投げ合ってデトロイト打線を翻弄した7月23日のゲームも含まれる。

記事中にあるエドウィン・ジャクソンは、防御率はよくなかったものの14勝したタンパベイから2008年の暮れ放出されて、、12月10日に移籍してきたデトロイト1年目の投手。要は、ウオッシュバーンと同様に移籍してきた、似たような境遇の選手で、彼もまたRSが少ないという悩みを抱えている。


New pitcher, same old lack of support for Tigers | Freep.com | Detroit Free Press

Drew Sharp / FREE PRESS COLUMNIST
Welcome to Detroit, Mr. Washburn.(中略)
ようこそデトロイトへ、ウオッシュバーン。(中略)

Washburn was accustomed to rampant run-scoring droughts before he arrived. According to STATS LLC, Washburn was third in the American League in poorest run support entering Tuesday, getting only 3.65 runs per nine innings.
デトロイトに来る前もウォッシュバーンはひどい援護不足には慣れっこだった。STATS LLCによると、ウォッシュバーンは火曜のゲームの前、ア・リーグで最もラン・サポートの少ない投手の第3位で、9イニングあたり3.65点の援護しかもらっていなかった。

Guess who's first on that list? It's Washburn's new teammate, Edwin Jackson (3.42 runs per nine innings).
このリストの最初にある名前は、誰か?ウオッシュバーンの新しいチームメイトになったエドウィン・ジャクソンだ(9イニングで3.42点のRS)

It took one game, but Washburn feels like a Tiger already.
1試合終えただけだが、(ブログ補足:デトロイト名物の援護射撃のないゲームを経験した)ウオッシュバーンはもうタイガースの一員らしくなった。


Jarrod Washburn buried in Tigers debut | detnews.com | The Detroit News

タイガース監督 ジム・リーランド
"I'm not talking about anybody in particular, but guys are taking a ton of bad swings. I'm an optimist.
「特定の誰かのことを言っているわけじゃないけど、みんな酷いスイングばかりしてる。」

Tom Gage / The Detroit News
Washburn also wasn't right. That was obvious. But he's been right for most of the season, so one can only think he'll quickly get right. It was clear,
ウオッシュバーンの調子もよくはなかった。それは明らか。しかし彼はシーズン中ずっと調子よかったわけだし、すぐに調子が戻るだろうだけは言える。それは間違いない。

ルアー






猫がグラウンドを走りぬけた日、
ロイヤルズ、23残塁。
MLB公式サイトの猫の走る動画
Cat frolicks on field in fifth inning in KC | MLB.com: News


たった1試合見ただけでどうこう言うのも、どうか。とは思う。
だが、フレンチは正直、こんなレベルの低い投手がア・リーグ屈指の投手のひとり、ウオッシュバーンと交換というのだから、悲しくなる。安売りにも程がある。スネルがフレンチよりかなりマシなのがわかった感じ。
と、いうのも、オルソンについて、シアトルに来てから何度も「基本的に球の高い投手」と指摘してきたが、このフレンチは球の高さはオルソン以上かもしれないのがどうも気になるのだ。
おまけに球種が少なく遅い球がないので、緩急がつけづらい。
打線の援護のないゲームなら間違いなく負けそうだし、次回以降のゲームでは落ち着いて性根をすえて頑張ってもらいたい。

次回以降の登板をよりよいものにするために、フレンチはコミュニケーション能力やリード能力の高いロブ・ジョンソンとよく話し合って、ウオッシュバーンとロブ・ジョンソンが一緒に時間を共有しつつ、ピッチング改善や、新しい持ち球の開発に取り組んだように、今後のピッチングをどう改善するか、言葉にして話しあうべきだ。

2009年7月6日、ロブ・ジョンソンが準完全試合を達成したウオッシュバーンの新しい魔球「ドルフィン」と、その開発にいたるコラボレーションについて大いに語った。

Lucas French Career Statistics | Mariners.com: Stats

終わってみれば今日のゲームは、フレンチ、バティスタ、ホワイト、オルソン、4人の投手で終ったが、よく4人で追われたもんだと思う。実際ブルペンではジャクバスカス、ケリー、ロウ、次々に肩をつくった。
こんな無駄なことに早めに対策を打つためにも、誰かがよほど投手を指導しないとダメだろう。フレンチでいえば、オルソンがそうだったように、移籍したばかりで調子がよくないとか、そういう問題ではなさそうに思う。きちんと指導して、フォームなり、リリースポイントなり、かえないことにはどうにもならない部分のある投手だと思う。
Seattle vs. Kansas City - August 5, 2009 | MLB.com: Gameday


今日のロブ・ジョンソンは、四苦八苦しながらカンザスシティに23残塁させ、投手をなんとか4人ですませたわけだが、攻撃面もとてもよかった。2安打1四球3出塁で、打率.224。長打も出た。

第1打席 先頭でダブル。大量点のきっかけを作る。得点
第2打席 1死1、3塁 内野フライ
第3打席 先頭。四球
第4打席 1死2塁 シングル
第5打席 ヒット性の当たりだが、ファインプレーに阻まれる

面白かったのは、ランナーのウィルソンとのコンビで、カンザスシティをかき回した7回の第4打席の走塁。なかなか見られない面白プレーだし、ぜひ動画で見ておいてほしいものだ(笑)
Baseball Video Highlights & Clips | SEA@KC: Wilson scores on Johnson's base hit - Video | MLB.com: Multimedia

(1)1死から、ウィルソン二塁打
(2)ロブ・ジョンソンがセンターに抜けるシングル
(3)センターがバックホーム。ノーバウンド
(4)サードを回りかけていたウィルソンが急ブレーキで停止
(5)ロブ・ジョンソンがセカンドへ
(6)キャッチャー、セカンド送球。だが、セカンドセーフ
(7)ウィルソンが本塁突入。ホーム送球も、セーフ
(8)捕手が両膝をつくのを見てロブ・ジョンソンがサードへ
(9)キャッチャー、あわててサード送球。セーフ

カンザスシティ側からみると、ボールを
センター → キャッチャー → セカンド → キャッチャー → サード と転送している間に、「ひとつもエラーしてない」のに、1点とられたことになる。
シアトル側からみると、本来なら1死1、3塁のところを、走塁だけで、1点とり、1死3塁にかえたわけだ。文字だけでわかるか、どうか(笑)→ 動画があった。やっぱりメジャーの人もこれは珍しいと思ったようだ(笑)






ネット上の日本のシアトルファンは、シアトルのクローザー、デイビッド・アーズマの9回のピッチングを称して「4者凡退」という言葉をよく使う。3者凡退ではなく、必ず1人ランナーを出して凡退になる、という意味だ。
この「4者凡退」という言葉は、毎日のようにシアトルのゲームを見ているネット住人が「アーズマはクローザーとしてなかなか優秀だ。なのに、なぜか3者凡退にはならないことが多い」こと、アーズマのピッチングに感じるこの不思議さを、自分たちなりの言葉で直感的に表現したものだ。

そして、この「4者凡退」という言葉、実はクローザーとしてのアーズマのピッチングの真髄、中心を射抜いている。

ネットの住人をよく小馬鹿にしたりする人がいまだにいなくならないが、人の「直感力」を侮ってはいけない。アーズマに関しては、コネ捕手城島より、よほどネット住人のほうが、臨時クローザーとして出発したアーズマの苦心して編み出した「アーズマ流クローザー術」をわかっている。

とにかく、デイビッド・アーズマはユニークな投手である。
そしてそのユニークさは、「4者凡退」という言葉で、ある意味、言い尽くされている。



彼が2009年に「4者凡退」という「アーズマ流クローザー術」を編み出す必要があった理由については、彼の「経歴」「データ」、この2つを見ておく必要があると思う。

まずは経歴。
アーズマはメジャーでのクローザー歴が無いために、よくクローザー経験が全くないように思っている人がいる。たしかにシアトルでのクローザー就任も、「ほかにいなかったから」という、どうにも消極的な理由だった。
だが、彼は大学時代にはカレッジ屈指のクローザーで、テキサス州ヒューストンにありノーベル賞学者を3人も出した名門ライス大学で、クローザーとして同校のセーブ数シーズン記録と通算記録の両方を塗り替え、カレッジ・ワールド・シリーズで優勝もしている。

アーズマが1巡目指名のジャイアンツからメジャーデビューしたのは2004年4月6日のミニッツ・メイド・パーク。3Aを経由しもしないでいきなりメジャーデビューしている。しかも、大学時代を過ごしたテキサスでのデビューだ。
リリーフとはいえ、ルーキーがいきなり開幕ロスター入り、9月とかではなく4月の登板、大学時代の地元でのデビュー、しかも2イニングをまかせてもらったのだから、当時のアーズマに対するチームの期待の異常な高さがよくわかる。(最近シアトルとマイナー契約したチャド・コルデロなども、カレッジ・ワールドシリーズを経て1巡目指名後、いきなりメジャーデビューしているが、彼でも8月末デビューで、アーズマのような4月デビューではない)

だが、その登板の結果と、その後の経歴はパッとしなかった。デビュー戦の2イニングは、3安打1四球無失点、無難にこなしたんだか、なんなんだか、よくわからないデビューぶり。その後のメジャーでの評価がさえないまま、彼はチームを転々とする「ジャーニー・マン」になった。


だがブログ主としては、結局この「2イニングを3安打1四球ながら無失点」というデビュー戦の苦さの意味を、アーズマ自身が年月をかけて考えぬいたことが、2009年の成果につながっていると思う。
ちょっとこんどはデータから見てみたい。

MLB Baseball Pitching Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN

THT Individual Pitching - Major League Baseball Statistics

(以下のデータは8月4日現在)

アーズマのデータ的なユニークさはたくさんある。
三振がとれる能力は十二分にある。だが、それ以上に四球も出す。だが、ここが肝心な点だが「それでも失点はしない」
そういう不思議なクローザー、それがアーズマ。

彼はとにかくホームランを浴びない。50イニング程度の投手では、ア・リーグトップクラスのHR/9(被ホームラン率)0.19だ。WHIPも、1.15で、リーグの20位くらいにつけていて、ここも肝心な点だが、ランナーは出るには出るが、ホームには帰さない。(だから「4者凡退」なのだ)またチーム内でも三振が最もとれる投手のひとりで、K/9(三振率)はヘルナンデスを越え、チームトップの10.55。

LOB% 残塁率
アーズマ  82.1
岡島    82.6
シェリル  84.8
ネイサン  86.1
リベラ   86.2
パペルボン 90.4

三振のとれるアーズマだが、欠点もある。ひさびさのクローザー業を始めたとき、彼がその欠点をどう乗り越えようとしたか。それが、アーズマ独特の「4者凡退ピッチング」という彼のスタイルにつながっている。

彼はWHIPはいいが、クローザーにしては四球が多い。四球連発のあとの長打で大量失点する印象の強いバティスタやモローと、四球率がたいして違わないくらいなのだ。
(ちなみにシアトルで四球率が最もいいのは一時クローザーもやっていたケリーと、移籍してしまったウオッシュバーン。打たせてとるウオッシュバーンらしい話。ケリーはK/BBも3.00とシアトルではヘルナンデスに次いで2番目。本来クローザー向きなのはケリーかもしれないが、DL後はどうもパッとしない)

K/BB(三振÷四球)で、今シーズンのア・リーグのブルペン投手を思いつきで並べてみた。
リベラ    8.33 NYY
ネイサン   5.78 MIN
オデイ    4.38 TEX
フランシスコ 4.25 TEX
ジェンクス  3.70 CWS
ダウンズ   3.60 TOR
シェリル   3.00 BAL
フエンテス  2.85 LAA
岡島     2.56 BOS
パペルボン  2.40 BOS
マーク・ロウ 2.15 SEA
アーズマ   2.11 SEA
松坂     1.89 BOS

アーズマは三振もとれるが四球も出やすい。リベラは三振がとれて、四球も出さない。いわゆる絶対的クローザーというやつだ。スタイルが違う。
松坂はブルペン投手ではないが、比較のために入れてみた(笑)。当然ながら先発にしては、K/BBが酷い。シアトルのマーク・ロウにも同じ傾向がある。と、いうか、シアトルのブルペン全体に「三振をとりたがるクセに、四球だらけで、K/BBがよくない」という傾向がある。この点についての城島の責任は重い。


さて、こうした特徴をもつデイビッド・アーズマだが、なぜ彼は「4者凡退ピッチングというクローザー術」に辿りついたのか。ブログ主は次のように考えてみた。


アーズマは、メジャーデビューであまりにも大きな期待をかけられながらジャーニーマンになってしまい、眠れぬ夜を何度も過ごした。シアトルに流れ着いた彼は、成り行きから大学時代以来久々のクローザーにトライする。いくら経験があっても、それは大学の話だし、アーズマもに自分の限られた投手能力の生かし方についていろいろ考えたことだろう。

その結果、ある対処法を考えたのではないか。

それは、ひとことでいうなら
「無理しない」ということなのだと思う。
自分はリベラやネイサンのような絶対的なタイプではない。だが「慎重に」「自分らしく」、そして「無理しない」なら、なんとかなる。それが、2009年にアーズマができた「気持ちの切り替え」なのではないか。

今の彼のクローザーという仕事に対する考え方の基本はおそらく、「とにかく失点をしないこと」そして「その方法にはこだわらないこと」にあると思う。そのために彼はかつての見栄や意地を捨てた。

ホームランについてアーズマは、常に大変な警戒をしている。警戒心によって四球を出すこともある。
だが、それについて彼はたぶん「コーナーだけに投げ続けるような窮屈な攻めをして、長打されたくはない。むしろ、長打が防げるなら四球はしかたがない、という割り切りも必要。だが、そのあとは完全に抑えなければ。いざとなれば自分は三振をとれる自信もあるから、大丈夫。」
そんなふうに考えているのではないだろうか。

三振についてだが、アーズマの基本的な考えは「いくら能力があっても、無理に三振をとりにいく必要などない。」と考えているのではないかと思う。必要なら三振をとる能力は、彼には十二分に備わっている。
だが、ここが肝心な点だが、「無理しない」「窮屈なシチュエーション、投球術に自分を追い込まない」。それが彼の発見した「4者凡退」スタイルだと思う。


同じ四球でも、「ホームランを警戒しつつ、十分に自分をコントロールしながら、自分の気持ちと能力の『ゆとり』の範囲内で出す四球」と、「コーナーだけを攻めようとして、コントロールを気にしすぎて窮屈になり、連発してしまう四球」とでは、たいへんな違いがある。
前者がアーズマのたどりついた「4者凡退スタイル」なら、後者は、かつてアーズマが指摘した「城島の窮屈すぎるリード」のスタイルである。

8月4日のカンザスシティ戦で、最終回に四球を連発したアーズマが苦虫を噛み潰した顔をしてみせたのも、キャッチャー城島との、あまりのスタイルの違い、自分が苦労して辿りついたスタイルについての、城島のあまりの無理解、そこに原因がある。






August 05, 2009

本当におめでとう、ウオッシュバーン
2009年7月のア・リーグ月間最優秀投手受賞
心から祝福したい。準パーフェクトゲームが評価されないわけはないと思っていた。7月 4勝1敗 ERA1.44 43回2/3。
素晴らしい成績だ。
相棒のロブ・ジョンソンは、これで6月のヘルナンデス受賞に続いて、2ヶ月連続で月間最優秀投手を輩出させた。素晴らしい仕事だ。
Players of the Month | MLB.com: News

Washburn July's Pitcher of the Month for AL | Mariners.com: News

イルカ


ウオッシュバーン全登板ゲーム
Jarrod Washburn Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN

2009年7月23日 ア・リーグWHIPランキング by ESPN2009年7月23日 ア・リーグWHIPランキング by ESPN
1位 ウオッシュバーン

ア・リーグWHIPランキング
グレインキーの調子が落ちてきて、予測どおりWHIPランキング争いはハラデーとの一騎打ちになりそうだ。ほんとうに頑張ってほしい。
MLB Baseball Pitching Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN

ESPNのシーズンベストゲーム6位に選ばれた7月6日の準パーフェクトゲーム、ロブ・ジョンソンの決勝2ランで勝った7月11日のゲーム、WHIPランキングでリーグトップに立った7月23日のゲーム、移籍直前のあの不安の中でチームの連敗を食い止めた7月29日のベテランらしい熱投。
どれもこれも本当に素晴らしいゲームばかりだ。

9回完封準パーフェクトゲームに続いて、7回QS、6回2/3QS、7回QS、7回QS。合計5登板連続QS。本当に素晴らしい7月を、ウオッシュバーンは過ごした。

2009年7月6日、ウオッシュバーンとロブ・ジョンソンの鉄壁バッテリー、「準パーフェクトゲーム」達成!ウオッシュバーン初の「無四球試合」。9回1安打完封。

2009年7月6日、ウオッシュバーンの準パーフェクトゲーム、ESPNの2009ア・リーグ ベストゲーム第6位にランクイン。ベスト10ゲームの中で最も少ない3三振での偉業。

2009年7月6日、ロブ・ジョンソンが準完全試合を達成したウオッシュバーンの新しい魔球「ドルフィン」と、その開発にいたるコラボレーションについて大いに語った。

2009年7月11日、ロブ・ジョンソン値千金の決勝2ラン、The Pitchウオッシュバーンは7回QSで6勝目、ついにERA2点台に突入した。(マイケル・ヤングをうちとった「ドルフィン」解説つき)

2009年7月23日、ウオッシュバーン、ついにWHIPア・リーグトップに立つ。7回QS、4連勝の8勝目でERAは2.71に上昇。ゲーム後、彼は初めて自らハッキリと「チームに残りたい」と強く意思表明した。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年7月23日、ウオッシュバーンは「移籍したくない」といい、「プレーヤーが売り払われないために、頑張るしかない」と語った。

2009年7月27日、魚釣りの好きな男の父が息子に電話してきて「トレードされたのかい?」と尋ねた。息子は言う。it's not over.「チームはまだ終わってないよ。」そして彼は家族のために魚料理を作った。

2009年7月29日、The Pitchウオッシュバーンの大試合。102球、7回QS達成!悪い流れを食い止めた後は 「持ってる」イチローのメジャー初サヨナラ打、「パラシュート・ヒット」で劇的勝利!



ロブ・ジョンソンにとっては、これで6月のヘルナンデスに続いて、2ヶ月連続のア・リーグ月間最優秀投手の輩出、ということになる。受けたキャッチャーにとっても、最高の栄誉となった。まさしく快挙である。

Felix named Pitcher of Month for June | Mariners.com: News

2009年7月3日、ヘルナンデス、6月のア・リーグPitcher of Monthを受賞。6月に彼の球を受けたバーク&ロブ・ジョンソンにとっても名誉の受賞となる。

2009年7月5日、城島のいない6月を過ごすことができたフェリックス・ヘルナンデスは、6月の3勝ERA0.94で月間最優秀投手を獲得、ようやくオールスター出場を手にいれた。



今日はデトロイトでのウオッシュバーン初の登板ゲームでもある。不思議な縁だ。
Baltimore vs. Detroit - August 4, 2009 | MLB.com: Gameday


4月9日  8回自責点0 ジョンソン QS 完封勝ち 
4月15日 6回自責点2 城島(4回自責点0 怪我による交代)→ジョンソン(2回自責点2) QS 勝ち
4月21日 7回自責点2 ジョンソン QS 勝ち
4月26日 5回1/3自責点6 バーク
5月2日  7回自責点1 ジョンソン QS
5月7日  7回自責点1 ジョンソン QS
5月13日 6回自責点4 城島
5月18日 5回自責点6 城島
5月26日 6回自責点0 ジョンソン QS
6月1日  7回自責点1 ジョンソン QS
6月6日  6回自責点1 キロス QS
6月12日 6回自責点4 ジョンソン
6月19日 7回自責点2 ジョンソン QS
6月25日 6回自責点2 ジョンソン QS 勝ち
7月1日  7回自責点4 ジョンソン
7月6日  9回自責点0 ジョンソン 準完全試合QS勝ち
7月11日 7回自責点1 ジョンソン QS 勝ち
7月18日 6回2/3自責点1 ジョンソン QS 勝ち
7月23日 7回自責点0 ジョンソン QS 勝ち
7月28日 7回自責点1 ジョンソン QS

CERA
ジョンソン 108回2/3 自責点25 ERA 2.07
バーク   5回1/3自責点6  ERA 10.13
城島    15回自責点10 ERA 6.00
キロス   6回自責点1   ERA 1.50

被打率
ジョンソン .208
バーク   .333
城島    .246
キロス   .304

ルアー






最終回にイチローのファウルグラウンド、しかもフェンスぎわでのスライディングキャッチという、大ファインプレーが出て勝ったものの、最終回も満塁までいった。
Baseball Video Highlights & Clips | SEA@KC: Ichiro seals the win with a sliding catch - Video | MLB.com: Multimedia

ゲームが終わって外野手のハイタッチを迎えに歩き出すアーズマだが、しきりに話しかけようとするコネ捕手の目を見ることは一度もなかった。

4回裏のロイヤルズの逆転のシーンでは、サードランナーのベタンコートが1塁ファウルグラウンドへのフライアウトで、思い切ってタッチアップして生還したが、このシーンでは「城島がミスを何重にも犯して失点していた」ことが判明した。

このコネ捕手、
どこをどうすると、こういう気の抜けたプレイばかり続けてできるのだろう。
Seattle vs. Kansas City - August 4, 2009 | MLB.com: Gameday

2回表 1死2塁
進塁もできないサードゴロ

1回裏に逆転され1点差の2回の攻撃。グティエレスのダブル。
コネ捕手城島、なんの工夫もなく、サードゴロ。同じゴロでも、サードでは進塁すらできない。
もちろん、もしここでランナーがセカンドでなくファーストなら、当然ダブルプレーになっていた。

4回裏 1死3塁
ファウルフライでのタッチアップを声で知らせるのを忘れ
なおかつ、完全にアウトのタイミングの送球を落球
ポジショニングも、いつものブロック放棄


今シーズンカンザスにトレードされたベタンコートに意地のタイムリートリプルを許して同点。打順がトップに帰ってデヘスースの当たりは、1塁線のファウルフライ。セカンドのロペスがホームに背を向けて捕球する。
そこでサードランナーのベタンコートが思い切ったタッチアップ。ホームにボールが転送されてくる。

このシーンで、城島が「何重ものミス」を犯した。

城島の一つ目のミスは、「指示し忘れミス」
ホームに背を向けて捕球したロペスは、近くにいたショートのウィルソンに返球したが、シアトルタイムズのベイカーのインタビューによれば、この時点でサードランナー、ベタンコートのタッチアップが一番よくわかる立場にあり、ウェルソンに「ホーム!」と怒鳴るべきキャッチャーの城島がウィルソンに何ひとつ声をかけなかった、というのだ。これは酷い。

Nobody yelled "home'' to Wilson -- it's Kenji Johjima's job to do so -- because the Mariners did not expect the ball to be cut off.
Mariners Blog | Mariners beat Royals as Russell Branyan comes through and sets career-best RBI mark | Seattle Times Newspaper

2つ目は、「落球」
城島が「ホーム!」とウィルソンに怒鳴るのを忘れたにしても、タッチアップに気づいたウィルソンがホームに送球し、タイミングは完全にアウトだった。
ここで2つ目の城島のミスが起きる。送球を落球たのである。

ベタンコートが生還し、5-4と、再逆転を許した。

さらに指摘すれば、ホームでランナーをブロックすべき城島のポジショニングもおかしい。
つい先日7月24日のクリーブランド戦で、城島は外野フライでバックホームするイチローのレーザービームの捕球のときに、ホームベースの1メートルも手前で捕球し、サードランナーに真後ろに回りこまれて得点を許してせっかくのレーザービームを無駄にしたばかりだ。2009年7月24日、4本のホームランを浴びてやる気の失せた城島はポジショニングをミスしてイチローのレーザービームを無駄にし、6連敗。ゲームをぶち壊して、チームの勢いを台無しにした。

2009年7月24日 イチローのレーザービームを無駄にした城島7月24日 クリーブランド戦でのポジションミス


今日の4回裏でも、見ての通り、ホームベースのだいぶ手前に構えていて、ランナーに自分の後ろに回りこまれて失点している。これではブロック放棄しているのとかわりない。

8月4日、今日のカンザスシティ戦でのポジションミス

2009年8月4日 4回裏タッチアップのボールを落球する城島落球したボールが右足前方に転がっている。左足がホーム上にあるのは、落球したのに焦って左後方に体をひねってタッチにいっただけのこと。最初からこの位置にあったわけではない。


もし怪我がそんなに怖くてブロック放棄したいのなら、もうキャッチャー失格だ。一刻も早く日本に帰らせるべきだ。

6回表 2死満塁
気の抜けたハーフスイングで三振


2009年8月4日 6回2死満塁で三振する城島6-5と逆転して、なおも満塁。城島、インコースのボール球をハーフスイングして、三振。


8回表 2死
1塁をフラフラと飛び出してアウト

ツーアウトから、いつもの帳尻シングルで出塁した城島。このあとだ。
記録では盗塁死、ということになっているが、実際にはフラフラと飛び出してタッチアウトになっただけ。結局、打撃面ではなんの仕事もしていない。

9回裏 2死満塁
まったくアーズマと合ってない城島

満塁のピンチをイチローの大ファインプレーが救ってようやくゲームセット。マウンドの後ろをセンターに向かって歩き出すアーズマだったが、意味ありげに話しかけようとする城島と目をあわせようとしない。よほどイライラしたのだろう。笑顔はまったくなし。苦い顔でゲームを終えた。



今日のゲームにかぎらずコネ捕手のクソワンパターンは右打者へのインコースと、左打者へのアウトコース。つまり、右ききキャッチャーの馬鹿捕手が、左手で捕球しやすく、スローイングで打者が邪魔にならない馬鹿捕手特有の配球。
自分の生活のかかった投手、そしてチームにしてみれば、こんな配球、まったく何の意味もない。

2009年8月4日 イチローファインプレー(守備位置、捕球位置つき)

ちょっとイチローの最初に走り出した位置がわかりづらいと思うので、画像を右クリックして、画像のみを新しいタブか別窓で見てもらいたい。
画像の中に加えた「イチロー」という文字の最後の棒の、ちょうど右に、イチローが「画像がかすんで、にじむほどの超高速」で右にシャトル移動しているのが、かすかに映っている。

この画像、これでもバットにボールがあたってからほんの少し時間がたった後のもので、イチローは既にかなり右に走っている。ファーストランナーがスタートを切って1、2塁間にいることからも、わかるだろう。
いかに最初にイチローがライトの奥にいたかがわかる。

なぜかイチローの姿だけが色が薄いのは、最初のイチローの守備位置がけっこう深めでピンがあってないのもあるが、イチローのシャトル移動の速度があまりにも高速すぎて、動画の解像度や、コマとコマの間(ま)すら飛び越えてしまい、映っていないからである(笑)

あまりにも速い。

いま見ると、もしフェンスがなければ、これはファーストのファウルフライである。(笑)


1点差の9回裏2アウト満塁というゲームは
こうしてようやく終わった。

ある日本人作家の言葉をもじって言うなら
人生も野球と同じように、上手な人と下手な人がいる。
だが問題は人生の下手な人にも明日はやってくるが、
野球の下手な選手には明日がない、ということだ。



下の文章はBaseball Referenceという、有名なMLBのデータベースサイトでみかけた記事にリンクとしてあったもの。引用した人は、日頃データとばかり向き合っているせいか「考えさせられるものがあった」と話した。
アメリカは広くいろいろな人が住んでいる。投手のスライダーにもいろいろあるように、あながちドライな人ばかりでもない。いろんな考えの人がいる。

struggle、という言葉は野球記事に頻繁にでてくる単語で、「不調の」という意味で使われ、訳されることが多い。
だがstruggleは「もがき苦しみながらも、努力する」という意味でもあり、けして悪い意味ばかりでもなく、struggleという単語にもいろいろ意味がある。

僕は野球記事にでてくるstruggleという単語を見かけるたび、いつも「不調の」という意味で読むより、むしろついつい「もがいているが、なかなか調子が上がってこない」とか、「不調だが、なんとかしようと頑張っている」という意味で読んでしまう。辻褄が合わなくなると、もう一度読み直す。

どんな状況におかれたとしても、結局ベースボールプレーヤーも我々も、不調さを悩む暇があればstruggleすることで道を開くわけだが、野球選手のstruggleする姿はあまり目にすることがない。目にすることがないから、人が気にかけなくなる、という面もある。

下の記事は、そんな忘れられがちな他人のstruggleに気づいて、光をあてた人の書いた話だ。訳してみたくなった最初の頃はウオッシュバーンやクレメントのトレードでセンチメンタルな気分があったことは認めるが、いまはこう思ってもいる。

どこにいてもウオッシュバーンはウオッシュバーン。クレメントはクレメント。
さよならのない人生だけが人生なら、旅をする意味はない。
旅しない人生だけが良い人生ならば、そんな人生はつまらない。


Life is like a baseball game. When you think a fastball is coming, You gotta be ready to hit the curve. - The Path of Thorns
人の一生は野球の試合に似ている。
速球が来ると思うなら、
カーブを打つ準備もしていなくてはならない。


To the vast majority of the fans, players are simply components that affect the representation and winning capabilities of their hometown teams. If they under-produce, most don’t care if they’re dumped just like that. If they’re expendable, who cares if they’re gone, so long as they fill in a hole in the roster? Few of us stop to think what that means to the player. How it determines the rest of his season, his career, and the life of his family is rarely fathomed.
大半のファンにとって「野球のプレーヤー」は、地元球団の見栄えの良さや勝つ可能性に影響してくる「パーツ」にすぎない。大部分のファンは、もし結果に満足がいかなければ、プレーヤーがなんの前触れもなく放り出されようと気にかけない。使い捨てプレーヤーならば、たとえいなくなっても、だれかがスタメンの穴をふさいでくれる限り気にとめることもない。それ(=トレード:ブログ注)がプレーヤーにとってどんなことを意味するか、私たちはほとんど立ち止まって考えたりはしない。選手の残りシーズンやキャリア、彼の家族の人生にどんな風にケリがつけられてしまうか、滅多に考慮されることはない。

I got a chance to talk about this topic with a former Major League Baseball player. I did not get a chance to ask his permission to use his name, but I will say he was once a member I valued on my beloved Cubs, and someone who has gone through this very thing.
私はこの話について、ある元メジャーリーガーと話す機会を得た。私は彼の名を明かす許しを得ることはできなかったが、彼がかつていとしいシカゴ・カブスに在籍し、まさにこういう目にあった人物だということくらいは言っておきたい。

He mentioned a few things I did not think of – the idea that if you’re performing well and get dealt, you feel secure because there’s a better chance you’ll stay with that team, and find yourself a new home and a new exciting fan-base. But if you get traded for under-producing, as I mentioned above, you stress more because of the new equation you’re brought into; that is to say, your new role with the team. You may have been a beloved member of team A, but to team B, you sit on their bench and watch a team you may hardly know play without needing you as much. I can’t imagine the loneliness, or the uneasiness. Yes, ballplayers are millionaires these days, who will be financially stable anywhere once they hit this level, but they’re also human beings who may find job relocation following a business lunch or a thirty-second phone conversation. And all a player can do is wait.
彼は私は思いがけないことを言った。
もし、好調時のトレードなら、トレード先で腰を落ち着けてプレーが続けられるチャンスがより大きくなること、、新しいホームチーム、新しい熱心なファン層が得られる期待で、選手は心強い気持ちになれる。
しかし、すでに話したように、結果が伴わない状態でのトレードだと、自分が新しく組み込まれるチームの戦略、つまり、新チームでの新しい役割の中で、プレーヤーは強いストレスを感じる。Aというチームではチームの一員として愛されたかもしれない。だが移籍先のBというチームでは、そうならないかもしれない。あまり自分を必要としてないチームでプレーをベンチに座って眺めることになるかもしれない。

私はそういう孤独や、居心地の悪さを想像できない。なにせ最近の野球選手はみんな金持ちだ。どこのチームであれ、そこそこのレベルで一度活躍できたら、経済的には安定するだろう。
しかし彼らは、ビジネスランチの後や30秒かそこらの電話で自分のトレードを知らされる、そういうたぐいの人種でもある。プレーヤーにできることは、待つこだけだ。

The player I interviewed made another mention – how their children have to say goodbye to their friends, how their wives are left behind to figure out their mandatory new living situation. Some players who are traded still have several years left under their current contract, and may not see many warm days at their current home again. New schools, new estate, new ways of life – including a new dreary apartment or shared house to those players still unproven. Many wives have to say goodbye to the house they made their own with the player they wedded, to the friends they’ve grown attached to, to the happy life they had where they were. As much as a player is a mere soldier in a battalion, trudging through a million-mile season, they have to be nomadic and well-prepared if they’re to make it through a long and hard career.
私がインタビューした元選手はこんな話もしてくれた。
友達に別れを告げなければならない子供たち。強制的に新しくなってしまう生活環境に馴染めずに取り残される奥さん。トレードされる選手の中には、数年の契約を残している選手もいる。だが、彼らは今住んでいる家ではもう暖かい暮らし味わえないかもしれない。新しい学校、新しい家、新しい生活スタイル・・・。まだ行く末の定まらない選手たちに貸し出される物寂しいアパートや借家での生活を強いられる、というケースもある。多くの妻たちは、結婚して自分たちで建てた家、親密さを育くんできた友人、彼らがいた場所での幸福な人生に、別れを告げなくてはならない。
野球選手は、100万マイルもの果てしないシーズンを、重い足取りで歩き通す単なる軍隊の一兵卒ではあるだけに、長くて困難なキャリアをなんとか切り抜けていくつもりなら、遊牧民的かつ用意周到でなければならないのだ。

For every game that has to be won, a birthday is missed. For every RBI scored, and anniversary is missed. For every loss taken, a player’s lover says goodnight to an empty pillow. These players, these soldiers, these pawns, have a job to do, a talent to use, a unilateral skill to answer to, and each of the thirty teams has a vast game of chess to play without getting a checkmate. For each piece lost, one step forward needs to be taken. Each piece on the board needs to be in a certain place in order to win. Only the chess you and I play have tangible and unfeeling pieces…to thirty front offices right now, they change lifelines. And business in this old game never feels colder, or more surreal, in the heated Summer than it does today.
勝たなければならないゲームのために誕生日は忘れられ、挙げなくてはならない打点のためには記念日も忘れられてしまう。負けが刻まれるたび、そのプレーヤーの恋人は、からっぽの枕に向かって「おやすみ」を言う羽目になる。
兵士であり、チェスの「歩」であるプレーヤーたちには、やらなければならない仕事があり、使うべき才能と、期待に応えるための一方的な技能をもっていて、そして、30チームすべては、チェックメイトのない巨大なチェスゲームである。部品がひとつが失われるごとに、必ずひとつの前進が要求される。 ゲームボード上の各部品は、勝利のために一定の場所にいることを要求される。われわれがプレーするこのチェスゲームは唯一、触れることはできるが感情をもたない部品で行われている。
30ものフロントオフィスがたった今、彼らの生命線に変更を加えようとしている。 夏真っ盛りの今日(=トレード・デッドライン:ブログ注)ほど、この伝統のゲームにおけるビジネスが、よりクールに、そしてよりシュールに感じられる日はない。

New friends are made, old friends hug or shake hands, promises to keep in touch are made briefly, and a bus, or plane, awaits their fate. The fate of the player, their wives and lovers, their children, their family, their friends. Bags are hurriedly packed, goodbye kisses are known to be salty with the tears breaking between lips, retrospect is administered, and a fresh new start shows itself as a sharp right turn. Whether a player is meant to stay with the team for three months or three years, depending on their contract, a new significant chapter must begin. Even if they wanted to go, they leave a whole life behind them – and maybe a teammate, wife or lover that just doesn’t want to see them go.
新しくできる友人。旧友と交わすハグや握手。これからも連絡を取り続けようと、そそくさと交わされる約束。バスや飛行機が運命を待ちうけている。プレーヤーの運命、そして妻や恋人、子供、家族、彼らの友人の運命も。大急ぎで梱包される鞄。別れのキスの塩辛さ。頬の涙が唇と唇の間で流れを変えるように、新鮮なはずの再スタートは、急なカーブとして本性を露わにしていく。プレーヤーが3カ月、あるいは3年、チームと一緒に帯同できることになっていようと、いまいと、契約にそってプレーヤーは新しい重いページをめくらなければならない。たとえ誰かが一緒に行くのを望んでいようと、プレーヤーたちは去っていく。人生のすべて、チームメートや、彼の旅立ちをとても見ていられない妻や恋人などをあとにして。






August 04, 2009

城島の打撃の酷さを調べるためにチーム全体の打撃成績を調べていて、ふと、あることに気がついた。
Ronny Cedeno Stats, News, Photos - Pittsburgh Pirates - ESPN

結論を先に言っておく。

シアトルは若い可能性をみつけるのが本当に下手だ。

(いや。グティエレスやブラニヤンが当たりだったな。失礼した。でもアダム・ジョーンズ、シェリル、イバニェスを獲得したチームに比べて成功したトレードといえるかどうか)

シアトルのショートは、打撃改善の余地が残され、サラリーも安いセデーニョのままで十分だった可能性がある。若いセデーニョのトレードに慌てて走らなければならない理由はどこにもなく、もし今後ウィルソンが打撃面でセデーニョ以下の城島並みにあまりにも酷いバッターなら、ウィルソン獲得は大失敗に終わる。そもそもベタンコートより攻守でウィルソンは落ちるなら、ベタンコート以降、ショートの守備をいじりまわしたトレード全体が無意味になる。
投手のスネルが欲しかっただけなら、なにもクレメントとの交換でなくても実現はできた。
このシアトルの焦った「ショートストップ獲得騒動」に巻き込まれたクレメントのトレードは安売りだったし、クレメントの打撃にはまだまだ打撃面で期待ができた、という意味でもナンセンス。
来年にはいなくなるDHグリフィーの後釜や控え、一時急速に打撃の衰えた1塁ブラニアンの控えなど、来年以降にシアトルで仕事を作れた可能性はあった。

シアトルのトレード、というかチーム方針は、なんというか、迷走している部分、ブレている部分ばかり感じる。
そもそも買い手なのか、売り手なのか、判然としない。投手陣のまとめ役のウオッシュバーンが安売りされ、「ショートの獲得騒動」にクレメントが巻き込まれて安売りされ、狙いがますます不明瞭になってきた。
迷走しているうちに、打撃力も投手力も、さらにチームのまとまりも失いつつある感じが、日に日に強くなってきているのが困る。
ブログ主だけなのかもしれないが、ズレンシックが何を目指しているのかわからない、と感じるときがある。


野村氏ではないが、ボヤキばかりでもつまらない(笑)
ちょっと難しいクイズを出してみよう。
シアトルのAB/HR、つまり「ホームラン1本打つのに何打席かかったか」というデータのランキングだ。(8月2日現在)

14.0 ブラニアン(1位)
24.8 グリフィー
25.2 ロペス
27.8 グティエレス
28.0
37.2 
38.8 バレンティン
46.0 
46.7 城島
59.4 ベルトレ

上位4人はわかる人が多いと思う。あらかじめ書いておいた。
また、いかにもホームランを打つように思われている城島、ベルトレの名前も、あらかじめ入れておいた。今シーズンの彼らはまるっきりホームランなど期待できないことがよくわかるだろう。
また、たまにバレンティンが意外な場面でホームランを打っていたのを覚えているシアトルファンも多い。彼の名前もあらかじめ書いておく。

そこで、問題。
空いている残り3つのスペースに入るシアトルの野手の名前を当てられるだろうか?(DL中の選手、トレードされた選手はアリ。マイナーにいる選手はのぞく)




これが正解だ。
6位セデーニョが意外ではないだろうか。

14.0 ブラニアン
24.8 グリフィー
25.2 ロペス
27.8 グティエレス
28.0 ハナハン
37.2 セデーニョ

38.8 バレンティン
46.0 スウィニー
46.7 城島
59.4 ベルトレ


たまに意外な場面でホームランを打つバレンティンが長打のあるグティエレスの次にくるのでは?と思った人も多いのではないだろうか。ブログ主はそう思った。
しかし、セデーニョはAB/HR、つまり、ホームランを打つのに必要な打席数において、バレンティンより上、さらに、スウィニー、城島、ベルトレより上なのだ。意外である。
話にならないと思いこんでいたセデーニョはIsoP(Isolated Power)の数値が意外に高い。これは、IsoPが(長打率ー打率)で計算されるため、セデーニョの打率が低すぎるため、見た目だけIsoPが「高くみえる」、それだけだろうと思った。

そこで確認のために、と思って見たのがAB/HRだったわけだが、結果は意外なもので、「セデーニョのホームランを打つ割合は、シアトルでは、第6位で、バレンティンと同程度」ということがわかったわけだ。

さらに気になって移籍直後のセデーニョのピッツバーグでの打撃をたしかめてみると、15打数4安打で、なにやら2ランホームランまで打っているではないか。困ったものだ。
Washington Nationals vs. Pittsburgh Pirates - Box Score - August 02, 2009 - ESPN



ショートのベタンコートのトレード以来、セデーニョ、ウィルソンと、シアトルの「ショートストップ」がコロコロかわっている。

けして打撃も守備も悪くはないベタンコートの放出理由については、「攻守の波の大きさ」とでもまとめられるだろうが、セデーニョは「守れるが打てない」くらいのことはわかっていただろうと思う。そのセデーニョをネタに獲得するウイルソンが「守れるだけで打てない」のでは、サラリーが高くなったばかりで、何の意味もない。
まして、セデーニョのスタッツを見るかぎり、「本当に打てないのかどうか」はまだわからなかったはずだ。移籍してきたばかりのウィルソンの打撃をどうこう言うのも失礼といえば失礼だが、キャリアをずいぶん重ねてきてしまって伸びしろがないことがわかっているウィルソンの打撃と、まだ若いセデーニョでは、可能性に差がありすぎる。

そもそも、いま、7月末のシアトルは、再建モードの「売り手」か「買い手」なのか、「若手を育成して守備固め」なのか「多少はワイルドカードに未練があるのか」、そこらへんがまるで見えなくなってきている。



そんな意味のわからないショートストップ騒動に巻き込まれるように、ウィルソン獲得に際してクレメントが放出されてしまったのは、かえすがえすも残念。


この3人のショートストップたちの打撃、簡単にいまのシアトルのチーム方針風に比べてみよう。
城島の打撃について調べた5つの指標だけいうと、3人の成績はいまのところこんな風になっている。(各プレーヤーとも、2009シアトルでの成績)

OBP 出塁率
セデーニョ   .213
ウィルソン   .250
ベタンコート  .278
城島      .288

BB/PA 打席あたりの四球数
ウィルソン   .000
城島      .027
ベルトレ    .035
セデーニョ   .049

P/PA 打席あたりの投球数
城島      3.25
ベタンコート  3.27
ウィルソン   3.38
セデーニョ   3.67

IsoP Isolated Power
ベタンコート  .080
城島      .100
セデーニョ   .124
ウィルソン .125

SecA Secondary Average
ウィルソン   .125
ベタンコート  .134
城島      .136
セデーニョ   .183

セデーニョが思ったより悪くない、ということと、3人の中で最もウィルソンが期待できない感じくらいがわかってもらえば幸いだ。

ウイルソンは、まだチームに来てわずかしかたっていないから、今あれこれ言うのが酷なのはわかっている。もちろん、トレード前から「守れるが打てないショート」なのは、もう年数たっている選手だし、そう今後変わるとも思えない。
そもそも同じ「守れるが打てないショート」というだけなら、サラリーと年齢で比較して、なにもトレードで値段の高いものをわざわざ獲ってこなくても、セデーニョで十分だったはずだ。。

このチームは、いったい、セデーニョのどこを見て放出したのだろう。
ウィルソンが「守れるだけで打てない」なら、セデーニョを我慢して使えばいい。それに、ウィルソンなら、まだ「守備はポロリが多いが打てる」ベタンコートのほうがマシに思えてもくる。

「打てないように見えた」セデーニョを、サラリーの安さでキープして、9番ではなく、もっと気楽に打てる7番くらいを打たせて、打撃の開花を待つ手もあった。
そもそも監督ワカマツは、シアトルにおける9番の役割、次打者に天才イチローを控えた9番の役割が、他のチームと多少違うことを重視しなさすぎる。シアトルで9番にいては気楽には打てない。IsoP、AB/HRではないが、ほかの打順、6番7番あたりで気楽にバットを振り回すとどうなるか、試してもよかった。


それにしても、こんなトレードに巻き込まれて、クレメントもついてない。
チームの世話役のDHなど、チームに2人もいらない。このチームで最後のシーズンを迎えるグリフィーにどうしてもシーズン最後までプレーさせたいなら、せめてスウィニーのかわりにクレメントをメジャーに上げてきて、DHで試しすべきだった。






5つの指標で「ロブ・ジョンソンと城島の打撃面の比較」をしてみたが、今日は、その同じ5つの指標について、コネ捕手城島がチーム内ランキングでどういう位置にいるかをみてみる。

方法は2段階を経た。

(1)まず、「チーム全体のランキング」をつくる。(8月3日現在。マイナーにいる選手を除く。あとのほうに掲載)
Seattle Mariners Batting Stats - ESPN

(2)次に、そこから「移籍してチームからいなくなった選手」、「トレードでチームに来て、数ゲームしか経過してないウィルソン」「マイナーから上がってきたばかりのソーンダース」を除く。


そうすると、こうなる。

結論はいうまでもない。
「チーム最低のバッターは城島」
だ。


OBP 出塁率
城島      .288 ワースト
ウッドウォード .288

BB/PA 打席あたりの四球数
城島      .027 ワースト
ベルトレ    .035

P/PA 打席あたりの投球数
城島      3.25 ワースト
スウィニー   3.35

IsoP Isolated Power
ウッドウォード .015
チャベス    .068
城島      .100

SecA Secondary Average
ウッドウォード .104
城島      .136


城島が、たまのシングルヒットでいくら打率の体裁をかろうじて.260に揃えたとしても、その中身が、まったくもってひどすぎる。みかけだおしもいいところ。
ブラニアンやハナハンのように球を選ぶわけではない。グリフィーやランガーハンズのように見極めて四球を選ぶわけでもない。
早打ちで、出塁率は最底辺、出塁率に中身がなく、かといってロペスやグティエレスのように、長打が打てるわけでもない。


最近トレードが続いたが、特にショートストップはベタンコートの放出、セデーニョの獲得と放出、ウィルソンの獲得とクレメントの放出と、いじりまくった。
そんな暇と金があるなら、一刻も早くダメ打者でダメ捕手の城島にチームを去らせるべきだ。



チーム内打撃ワースト・ランキング
(シェルトン、バークなど、マイナー選手を除いてある)

OBP 出塁率
セデーニョ   .213
ウィルソン   .250
バレンティン  .271
ベタンコート  .278
城島      .288
ウッドウォード .288

BB/PA 打席あたりの四球数
ウィルソン   .000
城島      .027
ベルトレ    .035
ソーンダース  .036
ロペス     .040
ベタンコート  .041
バレンティン  .047
セデーニョ   .049

P/PA 打席あたりの投球数
城島      3.25
ベタンコート  3.27
スウィニー   3.35
ウィルソン   3.38

セデーニョ   3.67
バレンティン 4.17

IsoP Isolated Power 長打率ー打率 長打に関する指標
ソーンダース  .000
ウッドウォード .015
チャベス    .068
ベタンコート  .080
城島      .100

セデーニョ   .124
バレンティン  .142

参考)AB/HR ホームラン1本打つのにかかる打席数
セデーニョ   37.2
バレンティン  38.8
城島      46.7
次の記事で書いてみるが、放出されてしまったセデーニョやバレンティンが打てない、というのは、城島の現状から比較すれば「単なる先入観」でしかない。城島がホームランをわずか3本しか打っていないのに対して、セデーニョはホームランを5本、3塁打を2本打って、城島よりはるかに長打を打っていた。

SecA Secondary Average
ソーンダース  .000
ウッドウォード .104
ウィルソン   .125
ベタンコート  .134
城島      .136

セデーニョ   .183
バレンティン  .232






August 03, 2009

以下は打率、出塁率、長打率、OPSの順
ロブ・ジョンソン(2009年8月1日)
.216 .294 .335 .629
城島      (2009年7月31日)
.257 .288 .357 .645

参考)Griffey Jr.(2009年7月31日)
.223 .330 .401 .732

ロブ・ジョンソンとコネ捕手城島の打撃成績をパッと見ると、打率こそ見た目に4分ほどの違いがあるというだけの理由で、先入観だけで「打撃だけはロブ・ジョンソンより城島のほうが上」と思いこんでいる人がまだまだ多い。

だが、城島の中身の薄いバッティングには、打率だけ見ていてはわからない「中身の酷さ」がある。長打のほとんどない城島と、長打が打てて四球も選べるグリフィーの打撃スタッツを比較してみると、わかることがたくさんあるのと同じである。

また、よく「ロブ・ジョンソンが城島の打撃スタッツを追い抜く日は近い」とよく言う人がいるが、それはまったく違う。既に追い越している。
中身で見ると、城島の2009シーズンのバッティングの中身は「キャリア最低の非力さ、出塁率の悪さ」であり、すでにパワーや出塁の中身という部分において、とっくにロブ・ジョンソンに追い抜かれている。

Kenji Johjima Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN

Rob Johnson Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN


OBP 出塁率
ロブ・ジョンソン .294
城島       .288

BB/PA 打席あたりの四球数
ただでさえ四球は城島の苦手分野だが、そのもともと四球を選べない城島のキャリアの中でさえ、2009年はキャリア最低スタッツになっている。
ロブ・ジョンソン .096
城島       .027 (キャリア最低)

P/PA 打席あたりの投球数
3.9を越えると云々言われることが多い。
城島はもともと早打ちで有名なバッターだが、2009シーズンはその「早打ちぶり」に拍車がかかって、メジャーに来て最も早打ちなシーズンになろうとしている。
ロブ・ジョンソン 3.77 (キャリア最多)
城島       3.25 (キャリア最少)
チーム      3.75

IsoP Isolated Power
=長打率−打率。「シングルヒットでも長打率が上昇する」というSLG長打率の弱点を解消したもので、打者のパワーを示す。
ロブ・ジョンソン .119
城島       .100 (キャリア最低)

SecA Secondary Average
=(塁打−安打+四球+盗塁−盗塁死)÷打数。出塁率の内容を評価した指標。
ロブ・ジョンソン .227
城島       .136 (キャリア最低)



PECOTAの2009年予測からみた城島のバッティング

正確な予測で知られるPECOTAにおいて、城島の.257という7月末現在の打率の評価は、およそ40%台後半の達成率ということになる。
だが、こと出塁率や長打率ということになると、出塁率.288 長打率.357ともに、達成率は40%を割り込んでいる。
VORPというのは「控え選手を上回る価値がどれだけあるか」という意味の指標だが、当然のことながら、2009年7月31日現在の城島のバッティングでVORPがプラスになるのは「打率だけ」であり、そのプラス数値もたった1ポイント程度に過ぎず、肩を並べているといったほうが正確で、差などない。
むしろ、達成率40%を切っている出塁率や長打率においては、城島のVORPはおそらく2ポイント程度のマイナスが出ており、ここからも、ロブ・ジョンソンのバッティングが既に城島を追い越していることがわかる。

城島がゲームに出れば出るほど、
チームの出塁率や長打率に悪影響が出る。


    打率  出塁率 長打率  VORP
50% .259  .301  .383   1.3
40% .250  .293  .366  -1.9
25% .236  .279  .338  -6.4
10% .210  .252  .287  -12.7

PECOTAによる城島の2009 Forecast(成績予測)

PECOTAによるロブ・ジョンソンの2009 Forecast

VORPとは
Value Over Replacement Player.
The number of runs contributed beyond what a replacement-level player at the same position would contribute if given the same percentage of team plate appearances. VORP scores do not consider the quality of a player's defense.

Pecota 2009 for Johjima







August 02, 2009

このゲーム、最も大きい収穫は、ロウの好投
今年一度も勝てていなかったビジターのテキサス戦に、とうとう勝利することができた。

それにしてもこの数試合、ヘルナンデスのコントロールがバランバランになってきた。あの「トルネード風のフォームへの改造」はストレートの走りやコントロールに影響はないのだろうか。
カラダ全体に捻りを加えてモーションを起こすにしても、一度ねじった体をひねりながら戻すタイミングと、腕を振るタイミングが微妙に重なってしまい、結果として、かえって腕の「しなり」が相殺されてしまい、結果的に「ボールに体重をのせるタイミング」がまったくあわなくなっているように見えてしかたない。
心配である。

打線も、もちろん点がとれないよりは十分に打ったが、なにせ個人LOB総計35もの残塁、これはちょっといただけない。
もしイチローのレーザービーム、ランガーハンズのファインキャッチはじめ、ヘルナンデスを助けたいくつかのファインプレーがなかったら、本来は乱打戦になる可能性もあったわけで、もしそうなっていたら、得点が7点では足りず、ゲーム終盤に逆転負けしていたかもしれない。

ランガーハンズのファインプレー
Baseball Video Highlights & Clips | SEA@TEX: Langerhans makes the grab and hits the wall - Video | Mariners.com: Multimedia

イチローのレーザービーム・ダブルプレー
Seattle vs. Texas - August 1, 2009 | MLB.com: Gameday

Mariners' offense breaks out for Felix | Mariners.com: News

2007年以来、セットアッパーとしてのロウについては、正直、まったくいいイメージがない。先発投手が6回か7回を好投してリードしているゲームでさえ、ロウの単調なストレート主体の組み立てとノーコンで、何ゲームひっくりかえされたことか。
今日は9回に5点差があってクローザーにセーブがつかないため、アーズマを投入せず2イニングをまかされた。「またロウか」とイヤな感じがしたわけだが、むしろ余裕の危なげないピッチング。正直驚かされた。

ストレートのキレもよかったが、それよりなにより今日のロウで特筆なのは、変化球の使い方の良さ。コントロール、キレもよかったし、なにより、対戦する打者によって変化球を使い分けて、組み立て(変化球を使う、使わない。カウントのどこで投げるか。変化球を続けるか、1球だけ使うか)を大きく変化させたことが素晴らしい。
特に多投したスライダーがとても効果的に使われ、テキサスの打線に的を絞らせなかった。

ブログ主も今日はさすがにロウに謝るべきだ、と感じた(苦笑)
Boxscore: Seattle vs. Texas - August 1, 2009 | MLB.com: News

こういうゲームを見て、「いつもは貧しいオフェンスがブレイクしたゲーム」と見るか、「いつもの堅いディフェンスが失点を抑えたゲーム」と見るか、もちろん2つの見方がある。
公式サイトや地元紙は前者のようだが、当ブログは後者をとる。

7得点したとはいえ、35残塁と、攻撃面ではもっと点がとれたゲームで、得点数はこれでは最小限としかいえない。
むしろ、大量失点を避けにくい球場と打線相手のゲームを、野手のファインプレーや、調子のよくない先発投手の粘り、セットアッパーの出来などで、失点を最小限に押さえ込んだことが、「超苦手なテキサスのビジター戦 初勝利」につながったと思うからだ。


ロウの好投の要因は何だろう。
いくつか考えられる。「バッテリーの投球テンポ」「打者ごとの変化球と速球の配球バランス」「変化球を使うボールカウント」「変化球のコントロールとキレのよさ」「キャッチャーロブ・ジョンソンのミットを構えるタイミングの早さ」

参考動画)某ダメ捕手さんのミットを構えるタイミング
(リンク拝借失礼)

DET戦の城島、オルソンが満塁ホームランを打たれる場面。7秒目後半、投手オルソンがモーション開始どころか、足をおろしかけているのに、まだ捕手城島がミットを構えていない。その後ボールはスタンドに。fromニコニコ動画(ββ)



8回のロウとロブ・ジョンソン
マーフィー   ストレートのみで1-2と追い込んで
        決め球のみスライダー。
        直球狙いなのか、見逃し三振
バード     全球ストレート。レフトフライ
ブレイロック  初球ストレートから、2球変化球で
        3-1から高めストレートに手を出し、フライアウト

9回のロウとロブ・ジョンソン
クルーズ    ストレートのみの1-1からスライダー空振り
        1-2と追い込む
        最後は意表をついた「ド真ん中にスライダー」
        スライダー連投で空振り三振
ハミルトン   ほとんど変化球。ファウルで粘られた
        最後はインコースのスライダー。フライアウト
サルタラマキア ストレート連投で2-2
        5球目スライダーで決めに行くがボールで
        フルカウント。
        5球目と同じコースに、
        こんどはストレートを投げ込み見逃し三振



やはり8回を見ていると、7月以降のシアトルと対戦するチームのバッターの狙い球の基本戦略は、当然ながら、「早いカウントでのストレート系狙い打ち」なのだろうと思う。特に、ヘルナンデス、ロウ、アーズマといった、ストレートを連投したがる投手の直球が狙われていると感じるゲームが増え続けている。
彼らは勝ちゲームの投手たちなだけに、やっかいだ。ストレートを投げることを躊躇しだすと、途端にピッチングの構成が崩れてきて、投手に自信がなくなってくる。
8回9回の6人のバッターのうち、4人に対し「初球がボール」になっている。これは単なるコントロールミスかもしれないが、一方で、このところの相手チームの「初球にストレートでストライクをとりにくるのをフルスイングせよ」という基本戦略を警戒した結果かもしれない。
先頭マーフィーのストレート狙いを、スライダーでかわして「見逃し」三振させたのが、8回の象徴的な打席だ。

かたや9回は、8回に「うまくいくはずの『ストレート狙い』をかわされた」感じになったテキサス打線が変化球にも手を出すようになっている。実際、クルーズはスライダーを2球とも振ってきた(三振)。
ここらへんのテキサスの打者の、相手投手の配球パターンの変化への対応の早さ、柔軟性は、ほんとうに素晴らしい。昔弱かった頃のテキサスとの大きな違い、差を感じる。
彼らはたしかにホームラン数ア・リーグNo.1の強打のチームだが、なにも、2008年までのシアトルのように、闇雲にバットを振り回しているわけではないことを強く感じさせる。

だが、ロウとロブ・ジョンソンのバッテリーも負けてはいなかった。変化球を意識しはじめた9回のテキサスの打者たちに、即座に対応し、9回に組み立てを変えてきた。
最後のバッターサルタラマキアには、8回には狙われていたはずの4シームで「見逃し」三振。これが象徴的。


8回に「スライダーを見逃しさせての三振」ではじまり、9回、クルーズの「スライダー連投による空振り三振」を経て、最後をこんどは「ストレートを見逃させての三振」で切って落としたあたりが、この日の終盤のバッテリーの冴え、対応の早さを象徴しているように思う。






August 01, 2009

2008年にクレメントが捕手をつとめた時期は、2つの時期に分かれる。

(1)6月18日〜7月22日
 →2008年、ジェフ・クレメントのための短い夏(4)
  クレメントの奇跡。シルバ3登板連続QS。

(2)8月2日〜8月30日

(1)の時期にクレメントは、ダメ捕手の烙印を押された城島にかわり、正捕手として、主に捕手をつとめた。

この項では、(2)を扱う。

(2)では、「相手先発投手が右投手か、左投手かによって、クレメントと城島、どちらの捕手を先発させるか決める」などという、頭がおかしいとしか言いようがない捕手起用システムがとられた。
明らかに、これは「一度正捕手の座を失った城島を強引にでも復帰させるたいが、実績を残したクレメントを一気に控えに落としたのではあからさますぎる。そこでクレメントと城島を横並びにして『併用』とみせかけることで、城島強制正捕手復帰の強引さをオブラートに包んで誤魔化す」という見えすいた猿知恵だった。
この記事のデータを読んでもらえばわかるように、クレメントは(1)において十分な活躍をした。それゆえ、彼を正当な理由もなく控え捕手、あるいはマイナーに降格などさせられない。それでもどんな無理を通してでも城島を正捕手に戻したい、そこで誰の目にも「野球のシステムや合理性とは無縁の猿知恵」が、実際にゲームで実行に移された。

「相手投手が左投手だから右打者の捕手を使うべき」などという方法論は、野球のスポーツとしての戦略とは何の関係もない。いいから城島を使え、スポーツのルールを無視しようとおかまいなし、そういう、気違いじみた論理から考えだされた異常システムである。
もう、この時期、このチームの編成に、「メジャーという世界に、あってあたりまえの合理性」は、どこにもみられない。

この、チームの勝敗や、チームの再建すら無視して無理に矛盾を両立させようとする異様な、そして強引な手口によって、シアトルには、クレメントと城島、2人の正捕手が併用されるという異常事態が訪れた。
クレメントは捕手とDHとして併用され、やがて持病の膝の怪我の手術のため、フィールドを去った。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2008年8月22日、クレメントは左投手2人から二塁打2本3打点、チーム7連敗を止め、8月に捕手として白星のない城島の尻拭いをした。


この(2)の時期のクレメント先発ゲームはたしかに、(1)の時期とくらべて失点が多い。
また、ゲーム終盤でキャッチャーが交代することが多く、また、例の「相手の先発投手が右か左かで、クレメントと城島の、どちらがマスクをかぶるか決める」という頭のイカレたシステムのおかげで、先発マスクの機会がなかなか連続しなかった。
下にあげたゲームリストをみてもわかるだろうが、勝ちゲーム終盤でいわゆる守備固めと称して交代させられるケースも多かったわけだが、その後でサヨナラ負け、逆転負けするゲームもいくつもあり、これらのゲームがもし勝てていれば、(2)におけるクレメントの勝率は、もっとずっとよかったはずだ。

それでも、この異常な選手起用の中で、クレメントはこの(2)の時期も、(1)の時期と同様の『勝率5割』という、2008年のシアトルにしてみれば超高率な数字をマークしてみせた。

一方で、異常な捕手起用システムのもとで8月もマスクをかぶり続けた城島は、この同じ8月1日から22日までの時期、先発マスクのゲームで、恥ずかしげもなく、なんと『7連敗』している。
『7連敗』しただけでも十分恥だが、城島はクレメントが膝の手術に踏み切った後の2008年9月にコネ捕手城島は正捕手に復帰してチームを12連敗させ、2008年のルージング・ストリーク(Loosing Streak)にまたひとつ、汚点を残した。

城島のからむシアトルは、どこか場末のマジックショーかとみまがう場面が多々ある。2009年開幕には正捕手に復帰したのを見た日には、開いたクチがふさがらなかったものだ。

このクレメントの短い夏が終わった翌年の2009年夏、2008年にも一度正捕手失格となっている城島には、再度、つまり、2年連続して『正捕手失格の烙印』が押されることになった。


クレメントの8月捕手成績
8勝7敗 8月2日〜8月30日 
(8月 打率.325 OBP.373 SLG.416 OPS.789)
Aug 2 BAL L 3-1 ●ヘルナンデス(5回2失点)、グリーン、ヒメネス、ウッズ
Aug 3 BA W 8-4 シルバ(6回2/3 4失点)、○プッツ、モロー(クレメント2安打)
Aug 4 MIN W 11-6 バティスタ、ウッズ、○コーコラン、ヒメネス、ロウ
(城島→7回裏代打クレメント タイムリー →捕手クレメント
 7回裏に10点とって逆転勝ち)
Minnesota vs. Seattle - August 4, 2008 | MLB.com: Gameday
Aug 5 MIN W 8-7 ディッキー(7回3失点)QS、ヒメネス、コーコラン、○プッツ(9回表からバーク)
Aug 6 MIN L 7-3 ●ウオッシュバーン(6回3失点)QS、ロウ(3失点)ウェルズ(クレメント2安打)
Aug 7 TB W 2-1 ○ヘルナンデス(8回1失点)QS、プッツ
Aug 8 TB L 5-3 ●シルバ(6回4失点)、ウッズ、グリーン、ヒメネス(クレメント2安打)
Aug 10 TB L 11-3 ●ディッキー、ロウ、ウッズ、バティスタ、グリーン
Aug 12 @LAA L 7-3 ●ウオッシュバーン(7回1失点)QS、ロウ(3失点)、ウッズ(クレメント2安打)
Aug 13 @LAA W 10-7 ヘルナンデス(7回4失点)、ヒメネス、グリーン、プッツ、○コーコラン
(クレメント→スコア7-6で勝っている状態で9回裏からバーク 9回裏に同点にされ延長へ→12回裏から城島)
Seattle vs. LA Angels - August 13, 2008 | MLB.com: Gameday
Aug 16 @MIN L 7-6 ローランドスミス、コーコラン、グリーン、●ヒメネス、バティスタ
(クレメント2安打→スコア6-5で勝っている状態で、8回裏からバーク、8回裏1失点同点、9回裏1失点→サヨナラ負け)
Seattle vs. Minnesota - August 16, 2008 | MLB.com: Gameday
Aug 18 @CWS L 13-5 ●ウオッシュバーン、バティスタ、ウッズ(クレメント3安打)
Aug 22 OAK W 7-5 フィアベント、グリーン、ヒメネス、○コーコラン、プッツ(クレメント→8回表からバーク)
Aug 26 MIN W 3-2 ○ローランドスミス(7回2失点)QS、コーコラン(クレメント→8回表からバーク)
Aug 30 @CLE W 4-3 ウオッシュバーン(6回2/3 失点なし)QS、バティスタ、○プッツ、グリーン、メッセンジャー



イニング 9 9 2 8 9 9 9 9 8 8 7 8 7 7 9
自責点  3 4 0 7 6 1 4 11 4 6 7 13 5 2 3

118回76  CERA 5.80
5点以上の失点 6ゲーム






(1)6月18日〜7月22日
(2)8月2日〜8月30日


2008年にクレメントが捕手をつとめた時期は、この2つの時期に分かれる。(1)では正捕手として主に捕手をつとめ、(2)では、「相手先発投手が右投手か左投手かによって、クレメントと城島のどちらを先発させるか決める」などという、頭のおかしな暗黒のシステムの中で、捕手とDH、2つの役割にまたがった形で併用された。
その暗黒システムがどういう意味をもち、どういう結果を招いたかは、「2008年、ジェフ・クレメントのための短い夏(5) 暗黒の『正捕手2人併用システム』の犠牲者クレメント」という記事を読まれたい。

この項では(1)の時期を扱う。

途中退場した7月22日除くと、クレメントは16ゲームを8勝8敗で乗り切った。(69打数12安打 打率.174)この年の勝率としてはマーベラスといっていい数値だ。

とりわけ、特筆すべきだと思うのは、4ゲームあるシルバの先発ゲームだ。
このシーズン通算4勝15敗と、箸にも棒にもかからなかったシルバだが、このクレメントの短い夏の時期には、なんと先発4ゲームのうち3ゲーム連続でQS(クオリティスタート)を果たして、2勝2敗しているのである。

シルバの酷いゲームぶりを何度も味わって、彼の炎上ぶりがわかっている人にしてみれば、この投手に3連続QSさせるなど、まったく考えられないことは、説明するまでもないと思う。


6月18日 FLO L 3-8 ●ディッキー、ローランドスミス、ロー、コーコラン
6月20日 ATL W 10-2 ベダード、コーコラン、○ローランドスミス、グリーン、ロウ、バティスタ
6月22日 ATL L 3-8 ●シルバ、ディッキー、ローランドスミス、ロウ
6月23日 NYM W 5-2 ヘルナンデス、コーコラン、○ローランドスミス、グリーン、ローズ
6月25日 NYM L 2-8 ●バティスタ、コーコラン、ローランドスミス、ローズ、モロー
6月28日 SD W 4-2 ○シルバ(7回2失点)QS、ローズ、モロー
6月29日 SD W 9-2 ○ベダード(5回2/3 1失点)、グリーン、ロウ、コーコラン(クレメント 2安打1HR)
7月1日 TOR W 7-6 ローランドスミス、コーコラン、ヒメネス、ローズ、グリーン、○モロー(クレメント2安打)
7月5日 DET W 3-2 ディッキー(6回2失点)QS、○バティスタ、モロー(クレメント 2HR)
7月6日 DET L 1-2 ローランドスミス、ロウ、コーコラン、バティスタ、グリーン、ヒメネス、●バーク
(同点で迎えた延長15回表、捕手バークがマウンドに立ち、キャッチャーはクレメントに 1失点して負け)
Detroit vs. Seattle - July 6, 2008 | MLB.com: Gameday
7月8日 OAK L  0-2 ●シルバ(8回2失点)QS
7月9日 OAK W 6-4 バティスタ、ローランドスミス、○コーコラン、ローズ、グリーン、モロー
7月11日 KC L 1-3 ●ヘルナンデス(5回3失点)、コーコラン、ヒメネス
7月13日 KC W 4-3 シルバ(6回2失点)QSクレメント5号HR)
7月19日 CLE L 6-9 ●バティスタ、ローランドスミス、ディッキー、モロー
7月21日 BOS L 0-4 ●ウオッシュバーン(5回2/3 2失点)、ロウ、ヒメネス、バティスタ
7月22日 BOS L 2-4 ●ディッキー、コーコラン、ローズ、ヒメネス(4回裏 0−1の状態で怪我でクレメント交代→5回表から城島 以降3失点)

Jeff Clement Stats, News, Photos - Pittsburgh Pirates - ESPN

イニング 9 9 8 9 8 9 9 9 9 8 9 8 8 9 9 4
自責   8 2 8 2 4 2 2 5 2 2 4 3 3 9 4 1

126回自責点61点 CERA 4.36
5点以上の失点 4ゲーム






6月18日、その日がやってきた。ジェフ・クレメントが正捕手として扱われる時が。
このときまでに、チームは、4連敗2回、5連敗2回、7連敗を1回記録し、24勝46敗、借金22。ほぼ1勝2敗のペースを続けて、既にシーズンをダメにしていた。

だが、クレメントの夏は、短く終わらされた。
Seattle Mariners Split Statistics - ESPN


クレメントの2008年の短い夏は、7月末にクレメントが怪我で7試合ほど欠場した時期の前と後で、次の2つのまったく違う時期に分けることができる。
クレメントの捕手としてのプレー時期を「2つ」に分けるについては、重要な意味がある。どうしてもそれをアタマにいれておいてから数字を眺めてほしいし、そのためにこの項を書く。
そうしないと、短い夏に2つの異なる季節を過ごしたクレメントの深い苦悩も伝わらないと思うからだ。

(1)6月18日〜7月22日 捕手先発17ゲーム(出場22)
 →2008年、ジェフ・クレメントのための短い夏(4)
  クレメントの奇跡。シルバ3登板連続QS。

(2)8月2日〜8月30日 捕手先発15ゲーム(出場24)
(以下では、この2つの時期を(1)(2)と略す)


(1)(2)の起用法の違い
(1)で、クレメントは捕手としての出場が、出場22ゲーム中、17ゲームある。それ以外は、5ゲーム。ゲーム途中で交代させられることもなく、この時期、明らかにクレメントは「正捕手として起用」されていた。

それに対し(2)では、クレメントの捕手としての出場は割合として減り、出場24ゲーム中15ゲームで、それ以外にDHとしての出場などが10ゲームある。起用目的が明らかに(1)と変質しており、「DHとしての起用」という部分が増えた、といえる。
ところが、ただDH起用が増えただけではない。
(2)では、「相手チームの投手が右か左かで、クレメントと城島、どちらを先発捕手として使うかを決める」などという、とんでもなくおかしな、野球というスポーツにないルールのシステムがとられた。
また、ゲームが始まってから終わるまで一人の捕手にまかせる、というケースが大幅に減り、ゲーム終盤8回、あるいは9回に捕手が変えられることが珍しくなかった。

さぞかしクレメントも、気持ちの上で苦しい気持ちでこの季節を過ごしたことだろう。
(1)と(2)で起用の主旨が通常では考えられないような方針に変わっていった原因は、ファンそれぞれに憶測があるだろうし、ここでも詳細に主張しきれるものでもない。
以下にいくつかの「判断の材料」をあげておく。最終的な判断はそれぞれの問題だが、クレメントの正捕手としての短い夏はダメ捕手をなにがなんでも正捕手に戻したいという猿芝居で、なにもかも台無しになった、といっておく。



「クレメントの(1)における捕手成績」
まず基本的な話だが、「クレメントが(1)で捕手として先発した17ゲームでの勝率やCERAなどのゲーム内容」が、クレメントのキャッチャー起用が減った原因ではない、ということは常識で考えればわかる。後の記事「2008年、ジェフ・クレメントのための短い夏(4) クレメントの奇跡。シルバ3登板連続QS。」でクレメントの(1)での勝敗などをあげるが、最もデータとして単純な勝率を見てもらえば一目瞭然だ。コネ捕手城島よりはるかに、2倍は優れている。

「クレメントの膝の怪我」
彼はシーズン終了まで捕手をつとめることがかなわず、膝の手術にふみきった。クレメントにとって、キャッチャーを続けにくくなっていった大きな原因のひとつが、「自分自身の膝の怪我の持病」にあるのは誰しも認めざるをえない。

「チームの異常な正捕手2人併用制」
よく、(2)あたりの時期を「捕手3人制」などという人がいるが、それは正しくない。
実際には「クレメントと城島、2人の正捕手の、野球の戦略とはまったく関係のない、異常な併用システムと、バークという1人の控え捕手」という、なんとも混乱したキャッチャー起用が行われただけである。
(1)で正捕手をはずされたはずのダメ捕手城島が、なぜ1週間のクレメントの怪我による休養を経過して、(2)で再び正捕手に戻っているのか。

しかも、(2)の時期、城島は先発捕手として恥ずべき7連敗を犯してもいるのである。野球とは全く関係のない根拠から、先発捕手が決定されたこの時期のキャッチャー起用は頭がおかしいとしか形容しようがない。
2008年8月22日、クレメントは左投手2人から二塁打2本3打点、チーム7連敗を止め、8月に捕手として白星のない城島の尻拭いをした。

2008シーズンの後半のある時期、それがいつ始まったか正確な日付までは記憶にない。
シアトルのキャッチャーの起用は「相手投手が右投手なら、左打者のクレメント、左投手なら右打ちの城島」という、「相手投手によって自分のチームのキャッチャーを変えていく」という、聞いたこともない方法がとられはじめた。
これはよく覚えておいて、ここから先を読んでほしい。

メジャーのキャッチャー起用について詳しくない方のためにちょっと書いておくと、常識的な起用方法では、「決まった正捕手がいて、主にカード最終戦として組まれるデーゲームを正捕手の休養にあて、控え捕手がマスクをかぶる」というシステムになる。
シアトル・マリナーズにおいても、(1)の時期には、ごく普通にクレメントが正捕手として、他の常識的な正捕手と同様に扱われていた。

ところが(2)時期になると、一転して、シアトルでは「相手投手によってクレメントと城島、2人の正捕手が併用されるという前代未聞のシステム」になってしまうのである。


正捕手っぽい捕手が2人いる、というシステムそのものは、日米問わず、さまざまな理由で行われることはある。
だが、野球で「相手投手の『利き手が左か右か』によって、起用するキャッチャーを変える」などというシステムなど、聞いたことがない。と、いうか、そんなシステム、野球をやる上で、また、野球の戦略の上で、なんの合理性もない。
それはそうだ。例えばシアトルの先発投手にしてみれば、対戦相手の投手が決まらないかぎり、自分の球を誰が受けるかわからない、そんなおかしな事態が続くシステムだ。こんな落ち着かない話はない。配球の組み立てを十分相談するとか、そういう面の影響もはかりしれない。

それでも、(2)の時期にはいって、この前代未聞のおかしなシステムは強行された。チームは大きく負け越しているこの時期に、なぜこんなおかしなキャッチャー起用がまかり通ったのか。
今思い出しても、腹立たしい。

この8月、城島は、5月同様に先発マスクで7連敗している。よく恥ずかしくないものだ。ウイニングストリークで、この8月あたりの時期がデータとして出てこないのは、まったくクレメントの責任ではなく、城島の先発ゲームの大連敗のせいだ。


そもそも、5月の月間20敗などによって、守備・打撃の両面であきらかにメジャー失格、「ダメ選手」証明がなされた。
にもかかわらず、クレメントが怪我をして休んでいる間に「いつのまにか」扱いが変わって、「クレメントと城島と併用という形で、城島がいつのまにか『正捕手』に復帰する」などというおかしなことが「なんの理由もあきらかでないまま強行された」のである。

日本語には「方便(ほうべん)」という言葉や「詭弁」という言葉がある。

「相手投手の利き腕が左か右かによって起用するキャッチャーをコロコロ変える」などという異常なシステムは、明らかに、マクラーレンもリグルマンも見限った城島を無理やり正捕手に戻したいがために、クレメントを一気に控え捕手に戻すのでは批判を浴びるし、手口があからさますぎる。そういう矛盾をオブラートに包んで隠しつつ、城島に再度正捕手をやらせる異常な事態を誤魔化し、正当化するための、ただの「方便」であり、「詭弁」でしかなかった。

こんな話、常識では考えられないわけだが、この異常な捕手システムは、ファンの見ている前、お金を払ってスタジアムに来ていただいているファン、テレビの前でゲームを見ているファンのまさに目の前で、延々と、堂々と、行われ続けたのである。
こんなシステムを強要した側の人間の異常さがよくわかろうというものだ。


ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2008「相手チーム先発依存の捕手決めシステム」

「クローザー・プッツの不調」
これは2008年のおかしな捕手起用に影響した蛇足的な話題として、かきとめておく。
2008年シーズンは、勝ちゲームやクロスゲームの終盤、8回9回に、キャッチャーに代打が出されたり、守備固めで変えられるケースが続発していた。(2)のゲームログにおいても、ゲーム終盤にクレメントが交代させられているケースがよくある。

だがこれは、クレメントに原因があったのではない。
むしろ、8回、9回を投げるブルペン投手に大きな問題があったシーズンだったというほうが、より正確。
2007シーズンと違って、この年のJ.J.プッツは必ずしも絶対的クローザーというほど、調子はよくなかった。年間通して、特にクレメントがまだ捕手をやる前4月、5月のゲームログをみてもらうとわかるが、プッツがセーブに失敗し逆転負け、サヨナラ負けするケースが、2007年より多い。
再確認しておく。「クレメントのゲームに限って、ゲーム終盤にサヨナラ負けすることが続いたことが原因で、キャッチャーがゲームの終盤にかえられてしまう習慣ができた」などという事実はまったくない。
むしろ、ゲーム終盤にキャッチャーをクレメントから、城島、バークに変えたことで、逆転負け、サヨナラ負けをくらったゲームもいくつかあり、捕手交代が成功したケースの数と失敗した数はほぼかわらない。


4月 12勝15敗 勝率 .444 ERA 4.20
5月 8勝20敗 勝率 .286 ERA 5.39
6月1日〜17日 4勝11敗 勝率 .266 ERA
クレメント前
24勝46敗 借金22 勝率.342







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