September 2012

September 29, 2012

適度に、とか、手加減なんて意味のないことをしないのが、
イチローの真骨頂だ。


9月19日からのダブルヘッダーを含むホーム3連戦でトロントをスイープしたあたりで始まった 「イチロー・ミラクル・セプテンバー」は、当然、オークランド戦以降も形を変えつつ続いている。
ある期間、イチローの走攻守は「度を越した好調」を維持し続けていた。あまりに好調過ぎて「ときどき度を越してしまう」のだが、ますます「空気の読めないイチロー」らしくていい(笑) 

そういう「周囲の空気と無関係に生きるイチロー的な流れ」の中で、9月21日以降のオークランド3連戦では、「野球マンガの中でしか起こりえないような出来事」がびっくりするほど次々と起きた。
第1戦で「イチローの打球が、ピッチャーのジャージーの中に入って内野安打」。「ワンバウンドするほど低いカーブを、軽々とヒット」。第2戦では、「新人君のサードベース踏み忘れで、サヨナラならず」の直後、「延長でとられた4点差を追いついて、しかもサヨナラ勝ち」。

ミネソタ3連戦はそれなりに平凡なゲームだった(笑)が、9月27日からのトロント(ビジター)第2戦で「グランダーソンのピッチャーライナーが、ピッチャーのグラブをはじき飛ばしたが、ピッチャーがそのグラブごとキャッチして、アウトになった」という非常に珍しいシーンを見たとき、「しめた! このゲーム、間違いなく勝った!」と思ったものだ(笑)


「特別なことが起きたゲームは、勝つ」。
その理由を、以下に書く。



最近活躍が多いせいで、大きく増えたイチローに関するアメリカのメディア記事を読んでいると、「火のついたイチロー体験」のまだ浅いメディアやブロガーが、いまだにたくさんいることがわかる。
なぜって、「火のついたイチローの周囲では、野球マンガでしか起こらないようなことが、平気で起きる」。そして、それこそが「本来のイチローの持ち味」だ、ということを、いまだに彼らが理解できていないからだ。


悪いけれど、日本の熱心なイチローファンなら、こんなことは、はるか昔から誰でもわかっている。

その、「とっくにわかっている我々」でさえ、イチローがプロデビューして20年、いまだに、なぜか「火のついたときのイチロー」が関わると「野球マンガでしか起こらないはずの出来事が普通に起こる」ことに驚かされ続けているのだ。
ましてや、「火のついたイチロー」未経験のニューヨーカーや、真のイチローの凄さに気がつこうとしてこなかったアメリカの野球オヤジどもが、「イチローと、イチローの出場するゲームで、野球マンガでしか起こらないような風変わりなことが次々と起こること」に、ビックリさせされないわけはない。(まぁ、イチロー初心者には、無理もないが)


だから逆に言えば、「イチローに火がついているかどうか、確かめる作業」なんてのは、まったく難しくない。キャンプ場で焚火するより簡単。子供でも、できる。
イチローと、イチローの出場する現実のゲームにおいて、「野球マンガでしかありえないようなことが、起きているかどうか」を確かめるだけ、それだけでいいのだ。
それが、「イチローに火がついているかどうか」を確かめる「リトマス試験紙」だ。

よくSF映画で、「時空の歪み」を計測することによって、その場所で「ワープ」が起きていたのかどうか確かめるシーンがあるが、あれと意味はほぼ変わらない。
もしもし「イチローに火がついた」なら、野球という常識まみれの空間は多少歪んでしまい、普段起こらないようなことも平気で起きるのである。だから、イチローに火がついたら、多少のハプニングで驚いていてはいけないのだ。


だからこそ、例えばワンバウンドの球ですらヒットにしてきたイチローを、やれ出塁率だの、選球眼だのと、へリクツばかり言うヤツは馬鹿だと、ブログ主は常に公言している。
ワンバウントの球を打ち、まるでスパイダーマンのように壁によじ登って捕れるはずのない打球を捕球し、ありえない塁まで盗塁しようとするくらい、「火のついたイチロー」には普通の出来事だ。
コアなデータ分析家の多いアメリカですら匙を投げたイチローに、ファン、メディア、データ馬鹿、評論家、野球監督、無能GMの「データや常識などという、あさはかなモノサシ」など、通用しない。


常識がはりめぐらされた「結界」のような膠着状態を打ち破る陰陽師のような役割が、イチローの本来の持ち味なのだ。
だから、膠着状態の続いた状態でイチローが塁に出ることによって、ホームランに頼ってばかりでタイムリーが出ず、得点力が大幅に低下して負け続けていたヤンキースに新たな展開が生まれてくるのは、当然のことだ。

だからこそ、他チームの監督、特にイチローをよく知るバック・ショーウォルターボブ・メルビンマイク・ソーシアなどは、「均衡破りのプロ」イチローの出塁を忌み嫌う。
当然だ。彼らは、「火のついた状態のイチロー」が出塁することによって、あらゆる均衡がほころびて、結界が破れることを、リクツ抜きにわかっていて、イチローのプレーから自由を奪うことに躍起になって取り組んできたのである。

もうおわかりだろう。
ゲームで、「おいおい、こんなことが起こっていいのか?」と思うような出来事を見たら、それはイチローが好調をキープしている証拠だと思っていいのだ。


9月21日 オークランド 第1戦
シャツヒット

Oakland Athletics at New York Yankees - September 21, 2012 | MLB.com Classic

3回裏、まだヤンキースにヒットの無い場面で、イチローの打球が、オークランド先発、ジャロッド・パーカーが、エリのボタンをはずして着ていたジャージー(ユニフォームの上のシャツのことだ)の中に飛び込んでしまう。
パーカーは、ボールを捕り出してファーストに送球しようと、襟元から手を突っ込んで必死にもがいたが、ボールを取り出すことができず、結果的にイチローは内野安打になり、ヤンキースのチーム初ヒットが生まれた。
次のイニング、マウンドに登場したパーカーの襟元のボタンは「きっちりと閉められていた」のを見たYES(=ヤンキースの実況担当チーム)の実況席は笑いころげた(笑)
試合後イチローも「一生に一度ないことでしょう」と言ってニヤニヤしていたようだ。たしかに一生見ることのないはずの出来事が起きたのは事実だが、逆に言えば、そういう「野球マンガでしか起きない、ありえないプレー」を、現実の野球で起こし続けてきた選手に言われてもなぁ・・・、という気もする(笑)
試合は結局ラッセル・マーティンのサヨナラホームランで、ヤンキース勝利。

9月22日 オークランド 第2戦
新人君のサードベース踏み忘れ
延長4点差をひっくり返してサヨナラ勝ち
延長13回表にオークランドに4点をとられ、誰もが「万事休す」と思った13回裏。先頭バッターのイチローがセカンド内野安打で出塁すると、均衡が破れた。あれよあれよと言う間にチャンスが広がって、ノーアウト満塁。
ここでまず、ピッチャー、パット・ネシェックがワイルドピッチ。イチローが生還して、3点差。さらに犠牲フライに続いて、ラウル・イバニェスの起死回生の2ランが飛び出して、同点に追いつく。
14回裏、エリック・チャベスがシングルヒットで出塁。ジーターがバントで送って、1死2塁のサヨナラのチャンスを作る。オークランドは、絶好調の2番イチローを敬遠して、1死1、2塁。ここでAロッドがセンター前を放った。本来ならセカンドランナーが生還してサヨナラになり、Aロッドがヒーローになる「はず」だった。
ところがなんと、セカンドランナーとして代走起用された新人メルキー・メサがサードベースを踏み忘れてしまい、ベースを回ってから気づいて、あわてて塁に戻るというボーンヘッドが起き、サヨナラを逃した。
1死満塁で、次打者カノーはピッチャーゴロ。サードランナーが本塁憤死して、2死満塁に変わり、バッターはヌネス。
ここでヌネスはファーストゴロだったのだが、オークランドの一塁手、ブランドン・モスが打球を足で蹴飛ばしてしまい、エラーに。サードランナーのイチローが生還し、ゲームセット。
まるで測ったように、イチローで始まり、イチローが生還したイニングによって、ゲームが終わった。
Oakland Athletics at New York Yankees - September 22, 2012 | MLB.com NYY Recap

サードベース踏み忘れ


動画:Budweiser: Walk-Off A Hero | OAK@NYY: Yankees walk off on an error in the 14th - Video | MLB.com: Multimedia


9月28日 トロント 第2戦(ビジター)

ボール&グラブ フライ・キャッチ

初回の2死2塁で、カーティス・グランダーソンが、トロントの新人ピッチャー、チャド・ジェンキンズのグラブを弾き上げるほどの強烈な当たりを打った。ジェンキンズはその打球をグラブに収めたかに見えたが、あまりにも強い打球だったために、ジェンキンズのグラブは真上に跳ね上がった。
だが、そのボールの入ったグラブが真上に跳ね上がったことが幸いして、ジェンキンズは落ちてきたボールとグラブを、グラブごとキャッチしたため、グランダーソンはアウトになった。
ジェンキンズは立ち上がりこそヤンキース打線を翻弄するかに見えたが、ランナーが出てからのピッチングがまったくダメなことがわかり、失点を重ねて、いつのまにかヤンキースの楽勝に終わった。


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さて、かの有名なデータサイト、Baseball Referenceで、イチローのページを開けると、こんな表記がある。
Ichiro Suzuki Statistics and History - Baseball-Reference.com

Ichiro the Wizard


太字の名前に続けて、2行目に、Wizard とある。
Baseball Referenceでは、名前の後にカッコ書きがつく場合、その選手のニックネームとか略称という意味になる。Wizardとは「魔法使い」のことだが、データサイトの大御所であるBaseball Referenceが、アメリカにおけるイチローの代表的なニックネームとして、Wizardを挙げているわけだ。

だがこれは、日本ではコアなイチローファンくらいしか知らないニックネームだし、アメリカのスポーツメディアが記事でイチローのニックネームとされるWizardという単語を使う機会も、滅多にない。


データサイトの大御所であるBaseball Referenceは、プレーやゲームのデータについては、MLBの公式データにも肩を並べるくらいの高い権威があるのは確かだが、さすがに「選手のニックネーム」ともなると、Baseball Referenceに書かれているニックネームの全てが、ファンやマスメディアに広くオーソライズされているわけでもない。

例えば、デレク・ジーターのニックネームは、Baseball Referenceによれば "Mr. November" とか、 "Captain Clutch" とか記載されているが、実際に最もよく使われるニックネームといえばは、もちろん、短く「キャプテン」だ。
また、ニューヨークメディアはマーク・テシェイラを、短くTex、カーティス・グランダーソンを短縮してGrandyと呼ぶことも多いが、Baseball Referenceにおける記述では、Texは載せているくせに、Grandyのほうは記載していない。
Baseball Reference記載のニックネーム例

ベーブ・ルース
(The Bambino or The Sultan Of Swat)
ゲーリッグ
(The Iron Horse, Biscuit Pants or Buster)
ディマジオ
(Joltin' Joe or The Yankee Clipper)
アレックス・ロドリゲス (A-Rod)
ジーター (Mr. November or Captain Clutch)
テシェイラ (Tex)


では、 "Wizard" というニックネームがまったく使われいないかというと、そうでもない。

イチローがメジャーデビューした2001年のTIME誌の記事にも、既にWizardという単語が使われているし、また、2009年だかにESPNのChris Bermanが行ったイチローのニックネームに関する調査によれば(圧倒的な支持率とは到底いえないが)、いちおう最も高い比率で "Wizard" が1位に支持されている。

"Wizard!" the Mariners cried.
"Wiz-aaard!"
"Wizzzzz!"
Ichiro the Hero - TIME

ESPN.com - Page2 - Case No. 5, Ichiro Suzuki

The BrooklynTrolleyBlogger: N.Y. Yankees ~ Ichiro; The Wizard Comes Home

Ichiro Is Still A Wizard - Lookout Landing

イチローのニックネーム調査結果(ESPN)


The Wizardと名付けられた
シアトル時代の球団CM(2009年)



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移籍して9月以降のイチローの活躍ぶりを見るかぎり、「火のついたときのイチロー」が、かつて石原裕次郎の歌った『嵐を呼ぶ男』、つまり、野球でいうなら、「常識による膠着や、事態の均衡、結界を破って、野球マンガの中でしか起こりえないと誰もが思っていることを、実際の野球で起こしてしまう、ある種、特別なプレーヤーであること」は確実なようだ。

と、なると、この "Wizard" 「魔法使い」という耳慣れないニックネームも、実は非常に要を得たニックネームなのかもしれない、という気がしてくる。

かつて、デレク・ジーターが3000安打を達成する前の時代の話だが、次に「3000安打」を達成するプレーヤーは誰か?、という予測について、達成するのがあらかじめわかっていたジーター以外に、ジョニー・デーモンの名前が筆頭に挙がる、などという、ある意味で「とても悠長な」時代があった。

だが今年、40歳のイヴァン・ロドリゲスが2844本で引退し、同じく40歳のチッパー・ジョーンズが3000本を達成しないまま2700本台で引退することが確実になり、さらに、かつて3000本達成に最も近い打者と思われていたジョニー・デーモンやウラジミール・ゲレーロの所属球団がなかなか決まらずプレータイムが減少する事態が起きたことで、これからの時代の「3000安打予想図」は、非常に大きく塗り替えられた。


当り前のことだが、「通算安打数が3000本に近づく」ということは、「その選手のキャリアが終盤にさしかかる」という意味だ。この大記録の達成は、キャリア終盤から引退までの厳しい道のりの過程でのみ、達成される

例外はない。

今から思えば、2000年代中期に行われていた3000安打達成者の予測は、プレーヤーの記録達成を決定的に阻む要素が数多く存在することを忘れているものが多く、予測としての現実味に乏しかったものが多かった。
というのも、「年齢」、「評価の低下によるプレータイム減少」、「大きな怪我による長期休養」など、3000安打達成を阻害する要素を、あまり考慮に入れて語ってなかったからだ。

これらの阻害要因は、特に30代後半のプレーヤーには、選手の不摂生による怪我を除けば、どれも逃げようにも逃れられない要素ばかりだ。


このブログでかつて、「38歳という年齢」が、「年齢による衰えの始まるキーポイント」と書いたことがある。
これまでのさまざまな名選手のスタッツを見るかぎり、たとえ30代後半まで活躍できた名選手であっても、38歳以降に37歳以前の成績が維持できた選手は少ないし、逆にいうと、3000安打が本当に達成できるかどうか、そして3000本を越えて、どこまでの高みに達することができるかは、実は「38歳以降の、衰えが目立ちだした時期に、どれだけヒットを打てたか」によって決まるのである。
球聖タイ・カッブも、ピート・ローズも、最晩年になってもかなりの数のヒットを打っている。また、今年38歳になるジーターが200安打を達成したことは、彼が不世出の才能の持ち主であることを証明している。

5人のホール・オブ・フェイマーが
「37歳以降」に打ったヒット数

キャリア通算ヒット数の多い選手ほど、「キャリア晩年のヒット数」も多い傾向がある。
5人のホール・オブ・フェイマーが37歳以降に打ったヒット数


近年、メディアの3000安打達成予測では、以下の最近の記事例でわかるとおり、イチローの37歳シーズンでの失速をふまえて、イチローを飛び越えて、予測の照準を、より年齢の若いアルバート・プーホールズミゲル・カブレラに修正しはじめている。
もしそれらの予測が正しいと、(ステロイダーのアレックス・ロドリゲスの3000本をあえて無視することにして)、次の3000安打達成者は、なんと2010年代後半にならないと出現しないことになる。

NY Times 2011年6月予測
After Jeter Reaches 3,000 Hits, Who's Likely Next? - NYTimes.com

Hardballtalk 2011年7月予測
Who will be next to reach 3,000 hits? | HardballTalk

SB Nation 2012年2月予測
Which Players Will Join The 3,000-Hit Club? - Baseball Nation



このブログでも、3000安打達成の可能性がある現役選手を予測してみることにした。

まず、「現在の年齢」や「これまでのキャリアにおける、1シーズンあたりのヒット本数」などを考慮して、候補者リストを作ってみる。
本来なら、「38歳以降に顕著になることが多い、年齢からくる衰え」と、それによる「プレータイムの減少」をあらかじめ考慮して候補者を選ぶべきだろうが、それでは候補者がいきなり少なくなり過ぎてつまらない(笑)
だから、最初はあえて「38歳以降も、それまでのシーズン平均ヒット数くらいは打てる」との甘い想定から候補選手を選んだ。(それでも大多数の選手は候補リストから脱落する)


3000安打達成 候補選手名
(カッコ内は 年数/年齢/通算安打数/年平均安打数)

Derek Jeter (18年 38歳 3296本 180本/年)達成済
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Alex Rodriguez  (19 36 2894 186)ステロイダー
Omar Vizquel   (24 45 2876 157)出場機会減
Ivan Rodriguez (21 40 2844 181)引退
Johnny Damon  (18, 38) 2769 154 出場機会減
Chipper Jones  (19, 40) 2724 142 引退予定
Ichiro Suzuki   (12 38 2597 213)
Albert Pujols   (12 32 2241 183)
Michael Young  (13 35 2224 168)年齢に問題
Adrian Beltre   (15 33 2218 145)
Paul Konerko   (16 36 2177 165)年齢に問題
Juan Pierre    (13 34 2140 176)
Carlos Beltran  (15 35 2058 136)ペース遅い
Jimmy Rollins   (13 33 2020 152)ペース遅い
Miguel Cabrera  (10 29 1773 175)
Carl Crawford  (11 30 1642 149)トミージョン手術
Mark Teixeira   (10 32 1579 157) ケガがち


次に、上の候補者リストから、出場機会の少なさと年齢による衰えから3000本達成が困難そうな選手(ジョニー・デーモン、オマル・ビスケール)、達成ペースが明らかに遅くて引退までに達成できなさそうな選手(カルロス・ベルトラン、ジミー・ロリンズ)、怪我の多すぎる選手(カール・クロフォード、マーク・テシェイラ)、達成時の年齢が高すぎる選手(マイケル・ヤング、ポール・コネルコ)など、年齢を厳しめに考慮して、候補から外していく。
(マイケル・ヤングは、明らかに3000安打に値する才能のある選手で、大好きな選手でもあるだけに、非常に迷った。だが、候補から外した。彼はもしかすると近い将来、移籍してプレータイムを確保することが必要になる時代が来るかもしれない。もしそうなったら、テキサスをこよなく愛する選手だけに、進路に非常に迷うことだろう。今から彼のことをとても心配している)


次に、候補リストから、最終的に3000安打達成の可能性がかなり高いと思える選手のみを抜き出して、達成予想年度順に並べてみる。
日本人イチロー。ドミニカ人であるプーホールズ、ベルトレ。ベネズエラ人のミゲル・カブレラ。アメリカ以外の選手ばかりなことが、最近のMLBにおけるアメリカ人プレーヤー、特に白人プレーヤーの地位低下を如実に表わしている。
ピエールはアラバマ州出身のアフリカ系アメリカ人。彼の達成予測年齢は「39歳」と高いわけだが、アベレージヒッタータイプなだけに3000安打達成の可能性は残る、とみた。ベルトレの達成時の年齢もちょっと高すぎるとは思うが、「アーリントンのような打者有利球場でプレーし続ける」なら、なんとか達成にこぎつけることができるかもしれない、と考えた。

次の3000安打達成者予測
(カッコ内は達成時の年齢)

2013
2014
2015 イチロー(41歳)
2016
2017 プーホールズ(37歳)、ピエール(39歳)他
2018 ベルトレ(38歳)
2019 ミゲル・カブレラ(36歳)


こうして並べてみると、2010年代中期に3000安打を達成できそうな打者は、イチロー、ただひとりしかいない

そしてもうひとつ、わかることがある。それは
実は、今の若いバッターで、3000安打という大記録に手が届ききそうな選手は、アルバート・プーホールズやミゲル・カブレラのような天才バッターを除くと、他には全くといっていいほど見当たらない
ということだ。

つまり、若ければ3000安打を達成できる、というものでもない、ということ。


前にも書いたことだが、3000安打という記録を「不世出の大記録」のひとつだと断言できるのは、この記録が、メジャーデビュー直後から引退の間際まで、ずっとハイペースでヒットを打ち続けらなければ達成できない大記録だからだ。しかも、大きな怪我による長期休養は許されない。
Damejima's HARDBALL:2011年9月26日、3000安打を達成する方法(1) 4打数1安打ではなぜ達成不可能なのか。達成可能な選手は、実はキャリア序盤に既に振り分けが終わってしまうのが、3000安打という偉業。

Damejima's HARDBALL:2011年9月28日、3000安打を達成する方法(2) 3000安打達成者の「3つのタイプ」

いまの20代後半のバッターには、そうした「デビュー直後から天才バッターであり、なおかつ、怪我による長期休養の非常に少ない健康なバッター」は、ほとんど見あたらない。
たとえ今年の新人王がほぼ間違いないLAAのマイク・トラウトが将来3000安打を達成するとしても、それは、今シーズンの驚異的な打撃成績を、大きな怪我なしに、あと17シーズン連続で達成しなければならない。それでも彼の3000本達成は、2020年以降どころか、2030年以降と、はるか遠い将来の話になってしまう。


しつこいようだが、こんな大記録は、ほんの一部の、限られた天才にしか達成できないのだ。
したがって、「天才が出現しない時代」には、当然ながら3000安打達成者も出現しないのである。勘違いしている人が多いが、3000安打という大記録の達成者は、毎年のように必ず出現するわけではない。これだけの大天才が一堂に会して野球をやっている時代が、いつでもあったわけではないのだ。

今後の3000安打達成予報としては、2010年代後半にプーホールズ、ベルトレ、カブレラなどが達成したとして、それ以降は、3000安打達成者がまったく出現しない時代が長く続く可能性は、非常に高いと思っている。


だからこそ、MLBプレーヤーの長期的な質的変化傾向からみて、2010年代中期に向けて、大記録達成のニュースが枯渇していくと予測されるMLBにおいて、そのときのイチロー所属球団がどこになるかわからない今の時点で言わせてもらうなら、ヤンキース移籍による復活によって、2015年頃の達成が予測される「イチローの3000安打」と、それに向かってヒット数を伸ばしていく今後数シーズンのイチローの達成プロセスは、彼の所属球団にとって「非常においしい価値がある」と断言できる。
イチローのヤンキース移籍による復活劇は、MLBに関わるたくさんの人にとってはもちろん、このところ様々な軋轢でなにかと疲弊しがちな日本人にとっても、非常にポジティブな意味を持っている。


3000安打達成者の「打数と安打数の関係」の
タイプ分類

3000安打達成者の打数と安打数の関係 3タイプ分類(修正)

3000安打達成者の打席数と安打数の関係
3000安打達成者の打席数と安打数

September 21, 2012

いまから2週間足らず前、9月8日ボルチモア戦でイチローが「左投手のインコース」を打ったツーベースに関する記事で、「左投手のインコースの球を、センター奥までライナーで打ち返したことに、今後のイチローを占う深い意味がある。」と、書いた。
Damejima's HARDBALL:2012年9月8日、イチローが左投手のインコースを打った二塁打の意味。一塁塁審Jerry Mealsの大誤審に名指しで怒るニューヨークメディア。

トロント戦で、まさにその通りになった。
気分がいい。


イチローの大活躍でトロントをスイープすることに成功したヤンキースだが、以下に「イチロー・ミラクル・セプテンバー」ともいうべき驚異的な9本のヒットを、ちょっとした解説をつけてメモに残しておくことにした。(もしイチローのいくつかのヒットがなければ、とっくにヤンキースは2位に沈んでいた。既に指摘しておいた「ヤンキースの貧打と、ラッセル・マーティンのアウトコース配球癖、ブルペン投手の崩壊」は、いまだに修正されていない Damejima's HARDBALL:2012年9月15日、ヤンキースが「3対6で負け」、「3対2で勝つ」理由。

以下のデータをいきなり見ても意味がない。
9月8日の記事などをあらかじめ読んで、「インコースのハーフハイト」、「カウント1-2」など、この5年ほどのイチローの苦手コース、苦手カウントなどをあらかじめ頭にいれ、また、「左投手」「得点圏ランナー」など、このところイチローについてとやかく言われていた「イチローの苦手パターン」も頭にいれておくことではじめて、この9本のヒットがいかに価値があるか、ハッキリとわかる、と思う。
このトロント3連戦でイチローは、それらの「イチローのことは何でも知っているといわんばかりの、知ったぶりの赤の他人がこれまで得意気に指摘したがった『イチローの苦手シチュエーションの全て』において、ヒット、ホームラン、タイムリーを打ってみせたのである。(ヤンキース移籍以降の対左投手打率、.362

ザマーミロ(笑)

イチローにこうした絶好調モードが訪れて「火がつく」ことは、もう2週間以上前に予測した。「火のついたイチロー」を試合で使う使わないは、ヤンキースの自由だ。だからブログ主は、イチローが何番を打ち、どこを守ろうが、まったく気にしていない

東海岸のMLBライターたちにしても、本当にミラクルな状態のイチローを、体験していないことは、このところ彼らの記事の書きっぷりをさんざん漁ってみて、よーくわかった。
彼らは、まだまだ「火のついいたイチロー」を知らない。彼らはシアトル時代のイチローのすさまじいMLBキャリアの意味を、実は、遠くからチラチラ眺めただけに過ぎないからである。

ちょっと足が速くて、多少守備の上手い、ヒットマシーンだって? 
左ピッチャー?

舐めてもらっては困る。彼らが持ち上げまくる予定だったジーターの8度目の200本安打という大記録すら霞むほどイチローに大活躍されてアタフタしている東海岸のメディアには、これからまだまだ嫌っていうほど「イチロー体験」をしてもらわなければならない。

このトロント戦で誰もが、打順の何番を打とうが、どの守備位置を守ろうが、目立つものはどうしたって必然的に目立ちまくることを、思い知らされたことだろう。

スポーツとは、そういうものだ。


ゲップが出るのは、まだまだ早い。
MLBがイチローの真価に気づかされるのは、これからだ。
MLB公式サイトのイチロー動画ページ
Multimedia Search | MLB.com: Multimedia



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ダブルヘッダー第一試合(2012年9月19日)
スコア:NYY 4-2 TOR
打順:1番
4打数3安打2得点
ファインプレー 1
Gameday:Toronto Blue Jays at New York Yankees - September 19, 2012 | MLB.com Gameday

「ヤンキースの選手の1日7安打4盗塁」
前日の雨による中止でダブルヘッダーとなった9月19日のトロント戦2試合で、イチローは「1日のうちに、7安打4盗塁」を達成。これをヤンキースの選手が達成したのは、イチローが初。(ソース:エライアス)


3-2と最少点差のリードで迎えた8回表、満塁の大ピンチを救ったイチローのファインプレー。このレフトへのハーフライナーは、太陽光の中を左右にブレながら野手の正面に飛んでくる、非常に難しい打球だった。

2012年9月19日トロント第1試合初回先頭ライト前ヒット初回
ライト前ヒット


投手:右(アルバレス)
カウント:1-0
コース:インハイ
球種:2シーム


2012年9月19日トロント第1試合3回裏先頭レフト前ヒット3回裏
レフト前ヒット


投手:右(アルバレス)
カウント:初球
コース:アウトコース ハーフハイト
球種:4シーム


2012年9月19日トロント第1試合8回裏グラウンドルールダブル8回裏
ダメ押し点につながるグラウンドルールダブル


投手:
(ダレン・オリバー)
カウント:0-1
コース:インコース ハーフハイト
球種:2シーム
左投手」の、しかも「インコースのハーフハイト」を、それも「レフト線」に流し打って、ダメ押し点につなげた価値ある二塁打。

初球と2球目は、同じインコース一杯の球ではあるが、性質はまったく異なる。初球は、よく「フロントドア」と呼ばれるコースどりで、ボールゾーンからぎりぎりストライクになる「フロントドア・スライダー」。これはたぶん左投手ダレン・オリバーの左バッターに対する会心の球のひとつ。2球目は、初球と逆で、ストライクゾーンからボールゾーンにはずれていく2シーム。
front door と back door 
左図で、Bが左バッターにとっての「フロントドア
初球のフロントドア・スライダーをボールだと思って見逃しストライクをとられた左バッターにしてみると、2球目の似たコースの球を「よしっ! こんどこそ」とばかりに強振していくと、こんどは入ってくるスライダーではなくて、インに食い込んでくる2シームだから、1塁線のゴロのファウル、もしくは、詰まった内野ゴロかなにかにうちとられてしまう。
それをイチローに、オリバーの想定したライトへの詰まった凡打どころか、逆にレフト線へツーベースされたのだから、左投手ダレン・オリバーとしては「お手上げ」なのだ。

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ダブルヘッダー第二試合(2012年9月19日)
スコア:NYY 2-1 TOR
打順:8番
4打数4安打1打点4盗塁
Gameday:Toronto Blue Jays at New York Yankees - September 19, 2012 | MLB.com Gameday
動画:Baseball Video Highlights & Clips | TOR@NYY: Ichiro swipes four, singles home game-winner - Video | MLB.com: Multimedia

「1試合4安打4盗塁」
1918年以降のMLBで19回達成されている。イチロー自身は、2004年にマリナーズで既に達成済み。今回で2度目の達成となった。
6回と8回に記録した4盗塁のうち、8回の2盗塁は、今シーズンの盗塁阻止率ア・リーグ第二位39.1%の強肩キャッチャー、ジェフ・マシスから奪ったもの。
記録達成者のうち、2度の出塁機会における4盗塁で「4安打4盗塁」を達成したのは、リッキー・ヘンダーソン、ケニー・ロフトン、カール・クロフォード、そしてイチローの4人のみ。
ヤンキースの選手が「1試合4安打4盗塁」を達成したのは、1988年4月11日トロント戦のリッキー・ヘンダーソン以来、イチローが2人目。また、他チームで最も最近この記録を達成しているのは、2009年8月15日ボストン戦におけるテキサス・レンジャーズのフリオ・ボーボン

ホームスタジアムにおけるヤンキースの選手の「1試合4盗塁」
イチローの達成は、2005年のTony Womack以来。過去の最多記録は、ヤンキース在籍時代のリッキー・ヘンダーソンの「5回」(1918年以降)

ヤンキースの「1試合チーム7盗塁」
この試合でヤンキースは、イチローの4盗塁を含め、計7盗塁を記録したが、「ヤンキースの1試合7盗塁」は、1918年以降では2番目に多い記録。最多は1996年6月2日の「1試合8盗塁」。


2012年9月19日トロント第2試合2回裏2死1,2塁先頭センター前ヒット2回裏
センター前ヒット


投手:(ロメロ)
カウント:0-1
コース:真ん中低め
球種:4シーム


2012年9月19日トロント第2試合4回裏2死走者なしライト線二塁打4回裏
ライト線二塁打


投手:(ロメロ)
カウント:初球
コース:インハイ
球種:4シーム


2012年9月19日トロント第2試合6回裏2死走者なしライト前ヒット6回裏
ライト前ヒット

投手:(ロメロ)
カウント:初球
コース:真ん中やや低め
球種:カーブ
前の2打席で、イチローに4シームを速いカウントから連続でヒットにされていた左の先発投手ロメロは、この打席では配球プランを変え、初球に「時速75マイル(120キロ)」のカーブから入って、イチローを緩急でかわそうと考えた。
球種ごとの得意不得意を示すPitch Valueデータでみるかぎり、イチローの苦手なのは「速球」、次にこの「カーブ」ということになっている。
だが「火のついたイチロー」には、緩急も、カーブも通用しない。あっさりライト前ヒット。


2012年9月19日トロント第2試合8回裏2死3塁レフト前決勝タイムリー8回裏
決勝タイムリー

投手:(ループ)
カウント:1-1
コース:インコース ハーフハイト
球種:2シーム
ツイートしておいたことだが、この決勝タイムリーが生まれた「インコースのハーフハイトの球を流し打ちする」というヒットの打ち方は、もちろんデレク・ジーターのトレードマークの、いわゆる「ジップ・ヒット」の打ち方である。
この打ち方は、詰まった打球がフラフラっと上がって、外野手の前にポトリと落ちる。バックホームがきかないために、得点圏ランナーが生還しやすい打球になるし、打ち取ったと勘違いしやすいので、相手チームと相手投手に与える精神的なダメージは相当にデカい。
動画:Baseball Video Highlights & Clips | TOR@NYY: Ichiro singles to drive in the go-ahead run - Video | MLB.com: Multimedia



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第3戦(2012年9月20日)
スコア:NYY 10-7 TOR
打順:8番
4打数2安打3打点2得点
Gameday:Toronto Blue Jays at New York Yankees - September 20, 2012 | MLB.com Gameday
動画:Baseball Video Highlights & Clips | TOR@NYY: Ichiro goes 2-for-4 with three RBIs - Video | MLB.com: Multimedia


2012年9月20日トロント第3試合3回裏先頭ソロホームラン3回裏
反撃の口火となる
ソロ・ホームラン


投手:(ラフェイ)
カウント:1-1
コース:インコース やや高め
球種:4シーム
2位のボルチモアがまったく負けてくれないため、地区下位のトロント戦を1試合も負けられないヤンキースだが、先発フィル・ヒューズが早々と失点して、0-2とリードされ、非常に重苦しい雰囲気が漂う中で飛び出した一発。起死回生とは、まさにこのホームラン。
動画:Baseball Video Highlights & Clips | TOR@NYY: Ichiro jacks solo shot to put Yanks on board - Video | MLB.com: Multimedia


2012年9月20日トロント第3試合4回裏無死1、2塁2点タイムリー二塁打4回表
逆転2点タイムリー

投手:(ラフェイ)
カウント:2-2
コース:インハイ
球種:カットボール
この2点タイムリーが価値があるのは、3球目のファウルによって、イチローのカウントが、キャリア通算打率が低い「カウント1-2」に追いこまれたにもかかわらず打ったタイムリーだからである。
ピッチャーの左のラフェイは、既にイチローの第一打席でインハイの4シームをホームランされている。そのためインコースで勝負するわけにもいかず、アウトコース中心の配球で、なんとか「イチローの苦手といわれるカウント1-2」を作ることに成功した。
だが、カウント2-2から、詰まらせて内野ゴロでも打たせてダブルプレーに仕留めるつもりだったと思われるインハイのカットボールを、見事に外野にライナーのツーベースを打たれ、泣くことになったのである。
動画:Baseball Video Highlights & Clips | TOR@NYY: Ichiro gives Yanks lead with two-run double - Video | MLB.com: Multimedia


第3戦の勝利によるメンタルな意味について、ニック・スウィッシャーは、こんなコメントを残した。
''I feel that we're getting that inner confidence back that we lost there for a little bit,'' Swisher said.「少し失いかけていた内側の自信みたいなものを取り戻せた気がする」
Suzuki, Swisher send first-place Yanks over Jays - Yahoo! Sports


また、この素晴らしい逆転2点タイムリーの打席については、長年スポーツ・イラストレイテッドで活躍し、最近USA Todayに移って、すぐにNational Sportscasters and Sportswriters Association (NSSA)の選ぶNational Sportswriter of the Yearに選ばれたスポーツジャーナリストの重鎮で、自ら認めるイチローファンでもあるJoe Posnanskiが、イチローが投手アーロン・ラフェイの「もくろみ」を1球1球崩していき、最後にタイムリーにもっていく駆け引きを細かく描いた、素晴らしい長文コラムを書いている。
Posnanski Named Inaugural Writer Of The Year « Baseball Bloggers Alliance
When I think of the 1990s, I think of Pearl Jam, Nirvana, the young Tiger Woods, the Clint Eastwood character in “Unforgiven,” Barry Sanders in motion, Emmitt Smith running, Michael Jordan in flight, Michael Johnson making the final turn, Mark McGwire taking batting practice.

Ichiro seems to me that sort of presence -- not just a fabulous player, but an indelible one. The stretch before he sets himself in the batter’s box. The amazing way he reaches out to spoil outside pitches. The running start he takes. (中略)

I won’t know for another decade or two how to look back on this particular time. I’m pretty sure, though, that watching Ichiro Suzuki hit will be part of the panorama.

Pennant Races: Nats Win! Oh, Wait ... | SportsonEarth.com : Joe Posnanski Article




September 18, 2012

16日のヤンキース対タンパベイ戦を見ていた人はわかると思うが、ポストシーズン進出のかかったこの重要なゲームで、タンパベイのBJアップトンは、ラッセル・マーティンのワンパターンのリードどおり、追いこまれてからアウトコースのクソボールのスライダーを繰り返し繰り返し空振り三振しまくってくれた。
よくもまぁ、ここまで何も考えずにバットを振り回せるものだ、と呆れたものだ。弱点さえ掴んでしまえば、同じ配球に何度でも引っかかてくれる。。正直、タンパベイらしい単調さとしかいいようがない。本当に単調。
タンパベイという貧打の単調なチームが、地区順位とまったく関係がなく人気がないのがよくわかる。監督ジョン・マドンがア・リーグ最優秀監督なんてものを受賞している理由がまったくわからない。
Grounders Grind Justin Upton's Progress to a Halt - Baseball Analytics Blog - MLB Baseball Analytics


そのBJアップトンだが、さっきチラっと試合結果を見たら、今日のボストン戦では、代打ばかり出してまるで打てる気配の無いタンパベイ打線にあって、なんと、3安打しているのだから、驚く(笑)
Boston Red Sox at Tampa Bay Rays - September 17, 2012 | MLB.com Classic

これほど穴がハッキリしているワンパターンなバッターに3安打を許すボストンも、雑な野球をするもんだ、と思う。こういうつまらないゲームを、わざわざ時間を割いて見るのは、実に馬鹿馬鹿しい。


こういう雑なことが起きる原因は、大小2つ。

「小さい理由」は、アンパイア

このゲームのデータを調べてみると、球審Tim McLellandの右バッターのアウトコース判定は、特定バッターのときに「異常に狭く」なっている。ときにはゾーン内の球すら、「ボール」とコールしている。これでは特定の右バッターに対してピッチャーはアウトコースいっぱいを攻めるなどできない。
Brooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - Strikezone Map Tool 2012_09_17 BOS vs TB
ちなみに、Tim McLellandというアンパイアは、もともとストライクゾーンが縦長にできているタイプのアンパイアで、低めをやたらととる傾向がある。そして、Tim McLellandは、MLBで最もストライクゾーンの狭いアンパイアのひとりでもある。
Which umpire has the largest strike zone?


「大きい理由」は、ボストンの「甘さ」

アンパイアよりも、このほうが影響が大きい。アウトコースの判定の辛い試合なんてものは、掃いて捨てるほどある。特定のバッターに真ん中ばかり投げているのは、他のバッターは凡退させているわけだし、アンパイアのゾーンの狭さのせいより、むしろバッテリー側の不注意さに問題がある。

ボストンは、「BJに打ってもらわないと困る理由」でもあるのか?(笑) 他のバッターはうちとっているのに、ヤンキース戦で「穴」のハッキリしたバッター、BJアップトンには、どうぞ打ってくださいといわんばかりに、真ん中ばかり投げている。


4回裏 シングルヒット
2012年9月17日 BJアップトン 4回シングル


6回裏 シングルヒット
2012年9月17日 BJアップトン 6回シングル


9回裏 シングルヒット
2012年9月17日 BJアップトン 9回シングル


2012年 BJアップトン ホットゾーン


BJアップトンが好打者?
いやいや。ないない。ありえない。(笑) 投げるべきところに投げていれば、3安打されるようなバッターじゃない。
単にボストンが甘いだけだ。

打たれるところに投げなければいいだけのアダム・ダンマーク・レイノルズに、むざむざホームランを供給しているヤンキースといい、このところ打たれて当たり前の馬鹿げた配球を見ることが多すぎて、イライラする。おまえら、わざと打たれてんのか? と言いたくなるほどだ。

September 16, 2012

実は、このところヤンキースの試合を見ていなかった。
理由は、ヤンキースの「負け方のワンパターンさ」が性に合わないからだ。


7月末から見始めたヤンキース戦が面白くなくなってきた理由は、もちろんイチローがスタメン出場してない試合があるから、という、わかりやすい理由があるのもたしかだが、それ以上に大きいのは、今シーズンのヤンキースのゲームの中身が「勝つにしても負けるにしても、あまりにワンパターン」だからだ。

もちろん、ヤンキースはもともと大味な勝ち方をするチームではある。

だが、かつての強いヤンキース打線は、ホームランだけの打線ではなくて、案外四球とシングルヒットで繋げていく攻撃もできる「しつこい打線」でもあった。9月9日のボルチモア戦4回表にヒットと四球で延々と満塁をキープして4点をとったが、ああいう野球は、かつてのヤンキースの「おハコ」のひとつでもあった。
また、「ひたすら打ち勝っていくワイルドな野球」と、「ホームランは打つが、ワンパターンな負けばかりが増え続けていく弱い野球」とでは、まるで意味が違う。
策を尽くして負けるのはしょうがない。だが、負けがこむ理由というのは、たいていの場合「欠点に修正を加えるのが遅れること」からくる。何試合も同じパターンで負け続けるのは、弱いヤンキースだ。相手をきちんと研究しないで負け続ける「頭を使わない、雑な野球」を見させられ続けると、正直、飽きてくる。



もしいま、ヤンキースの負けパターンと勝ちパターンを短い言葉で表すなら、「3対6で負け、3対2で勝つ」、ということになる。(もちろん、なにも実際に3対6で負けてばかり、3対1で勝ってばかりなわけではない。あくまで、だいたい2対5とか、3対6で負けるとか、3対1、4対2で勝っているとか、そういう「たとえ話」だ)

ポイントのひとつは、長打を打ちまくって勝ってきたと「思われがち」なヤンキースの得点が、実は「常に3点どまり程度の攻撃力しかない」ということだ。
爆発的な得点力という「イメージ」をもたれやすいヤンキースだが、その得点力は「イメージ」よりもずっと低い。印象だけで語ってはいけない。得点力が思ったほど無いために、ヤンキースはいつのまにか「ゲームの勝ち負けは、投手、特にブルペン投手次第で決まる」という、なんともふぬけた消極的なチームになっている
今のヤンキースは、たまにホームランは打てるものの、逆に言えば、ただそれだけのことであり、投打の根本的なチカラに欠け、なおかつチグハグな、消極的チームだ。
ホームランなんてものは、思っているよりずっと出現率が低い。まして打率2割ちょっとの「低打率偽物スラッガー」を並べて、たまにホームランを打つのを待っているような消極的な野球ばかりしていたら、2位とのゲーム差が何十ゲームあろうと、追いつかれるに決まっている。
(いまのヤンキースと同じように、ホームランか四球かという単調で消極的なバッティングを推奨して得点力が著しく低いタンパベイが地区上位にぶら下がっていられたのは、単に投手陣が優秀だったからという、ただそれだけの理由)


ヤンキースの「負けパターン」

失点面

先発ピッチャーは、それがサバシアであれ、黒田であれ、6回または7回を「4失点」で終わる。
その後に出てくるコディ・エプリーがソロ・ホームランを打たれて、さらに1失点。次のイニングでジョバ・チェンバレンがさらに1失点して、ヤンキースの失点は、合計6になる。

黒田というピッチャーに、高評価を与える人は多い。
たぶん彼の防御率の低さを見て判断しているのだろうが、ブログ主は彼の防御率を信用してない。
黒田は長いイニングを投げられる、いわゆる「イニング・イーター」だから、防御率だけを見ると、実態より低めの数字が出やすい。
だが、「7回4失点」では、ヤンキースは現実のゲームで勝てないのだ。特にクロスゲームで、疲れの出てくる試合中盤に、不用意な失投による3点目、4点目の失点が痛すぎる。

サバシアも含めて、「7回4失点」の大投手に大金を払ってペイロールを窮屈にしたことで、結果的にブルペンや下位打線に予算をかけられず、質が下がるのは、今の「得点力がない上に、ブルペン投手陣が崩壊している、弱いヤンキース」には向かない選手構成だ。
これでは、ボルチモアのような新興チームに勝てない。
彼らのような若いチームは、若くて給料の安い先発投手たちが「5回3失点」くらいで短く登板を終えたとしても、打線の元気さとブルペンピッチャーの優秀さのために、ゲームには余裕で勝ててしまうからだ。

ヤンキースでは、7月から8月にかけて登板すれば必ず失点していた無能なブルペン投手、エプリーが9月半ばにようやくモップ(=敗戦処理)に回されたことで、9月の「ゲーム終盤に失点して、負けゲームを演出するピッチャー」はロバートソンに代わった。
負けは、サバシアや黒田など、先発投手につくこともあるが、ブルペン投手につくこともある。だから、いかにヤンキースのブルペンが崩壊しているかは、7月以降の負け投手を見てもわかる。
7月末にはエプリーが何度も負け投手になっていた。(7月20日オークランド戦、7月22日オークランド戦)それが、9月はロバートソンになっている。(9月3日タンパベイ戦、9月6日ボルチモア戦、9月11日ボストン戦
彼らが負け投手になったのは、どれもこれも地区優勝にかかわる重要なゲームばかりだ。

この2人のブルペン投手が「相手チームに狙い打ちされている理由」は、ハッキリしている。「球種の少なさ」だ。
エプリーは、「アウトコースにスライダーを投げるだけ」という、なんともワンパターンなピッチャーで、よくこの程度のピッチャーを優勝争いをしているシーズン終盤に使うもんだとしか思えないレベルの投手だ。打てないほうが、むしろどうかしている。
ロバートソンは、いい投手ではある。だが、残念なことに彼にはカットボールしか球種がない。ラッセル・マーティンと組めば、一定のコースにカットボールばかりが行くのだから、打たれないわけがない。
ヤンキースが悠然と走っていた首位の座を明け渡しかねない事態に陥った理由のひとつは、打てない上に単調で無策なバッティングと、ラッセル・マーティンの単調なリード以外にも、球種の少ない単調なブルペン投手に頼りきっていた投手起用のミスにも原因がある。


得点面

ヤンキースが、1試合で最低限期待できる基礎点」は、「2点」だ。子供でもわかる。(これがわからないでゲームを観ているやつは、単なる暇なアホだ)
ゲーム中盤に、グランダーソン(または他の誰か)のソロ・ホームラン。そしてジーターの放つタイムリー(またはソロ・ホームラン)。
毎試合期待できるのは、たったこれだけだ。あとは、グランディのソロ・ホームランが、四球のランナーのいる2ランになったりするだけの違いでしかない。

あと1点は、ゴニョゴニョっと生まれてくる。「その日かぎりの1点」だ。たいていの場合は、下位打線のヒット(または四球)、ジーターのシングルヒットで作ったチャンスを、2番か3番打者が、犠牲フライ or 内野ゴロ or ダブルプレーの間の得点か何かでランナーを帰す。(そうでなければグランダーソン以外の誰かのマグレっぽいソロ・ホームラン)
なんやかんやで、都合、3点。わかりやすい。

あまりニューヨークのメディアはハッキリ言わないように思うが、基本的に、今のヤンキースにおいては、「ホームランが打てること」と、「得点力の高さ」が混同されている、と思う。

いくらホームランが打てて、チームOPSが高いからといっても、チームは勝てるわけでもなければ、強いチームになれるわけでもない
いくらソロホームランを2本ばかり打とうが、負けるものは負ける。そして、負けたら、この大味なチームには意味がなくなる。言うまでもなく、9月に大事なことは「勝つこと」であって、勝てなければ、いくらソロ・ホームランを1本や2本打とうが、何の意味もない。
Damejima's HARDBALL:指標のデタラメさ(OPS、SLG、パークファクターなど)

結果
6対3で、ヤンキースの負け。



なぜヤンキースの負けゲームが、こうもワンパターンにになるのか。ヤンキースの「3対6 負けパターン」の理由を、以下に挙げてみた。

失点面

失点面の主原因は、ヤンキース・バッテリーが、「相手バッターの弱点を、ピッチャーの配球にほとんど反映していないこと」にある。
特にラッセル・マーティンは、相手バッターの得意・不得意にまるで関係なく、どんなバッターであっても、同じパターンの配球を投手に要求している。(特にランナーのいる場面の弱気さは酷い)
簡単にいえば、これは「頭を使わない野球」である。失点が防げるわけがない。

得点面

1試合に2本でるかどうかという、一部のバッターのホームランだけに頼り切った打線。いくらチームの総ホームラン数が多くても、今のヤンキースの得点力は、実は、かなり低い。


マーティンがキャッチャーのときの配球のワンパターンさについては、既に何度も書いている。
マーティンの配球は、明らかに「アウトコースに片寄り過ぎている」。特に、ランナーが出た後は、まず間違いなく、「アウトコースのスライダーの連投」に走る。これだけ打たれているのに、マーティンは自分の配球パターンの修正ができていない。(このところスチュアートの出番が増えてきているが、それはもちろん「いいこと」だ)

スカウティングの非常に発達しているMLBにおいては、ヤンキースがこんな単純な配球ばかりしていることに気がつかないチームは無い。今のヤンキースのピッチャーは、相手チームにとって「いいカモ」であり、「良いお客さん」だ。

ドジャース時代のイメージがあるせいか、マーティンは、正直もっと上手いキャッチャーだとばかり思いこんでいた。
だが、ヤンキース野球を1ヶ月ちょっとの間、ベッタリ見させてもらって、その先入観が完全に間違っていたことがわかった。「ラッセル・マーティンの考える配球パターンは、かつてのダメ捕手城島と同レベル」と公言して、さしつかえない。(おまけに、マーティンの出すダメ・サインに、ヤンキースの若くて自信の無いブルペンピッチャーたちは、ほとんど首を振らないときている。9月9日ボルチモア戦でチェンバレンが一度首を振って、打者のインコース攻めに転じて快投を見せたが、すぐ元のアウトコース連投パターンに戻してしまった。本当にもったいない)

たとえラッセル・マーティンのヤンキースバッテリーが、バッターをカウントで追い込んだとしても、カウント1-2から投げるコースも、球種も、だいたい事前に「アウトコースの釣り球の、ボールになるスライダーが来る」ことは、子供でもわかる。だから、バッターに余裕をもって釣り球を見逃される
いくら打者を追い込んでも、ストライクを投げず、ボールになる釣り球ばかり連投するから、バッターに見逃されれば、当然カウントは苦しくなる。
苦しくなれば、ストライクゾーン内に投げざるをえなくなって、おそるおそる球を置きにいったアウトコースのストレートやスライダーを狙い打ちされる。

ワンパターンも、いいところだ。

こんな配球じゃ、ピッチャーの球数がいたずらに増えるばかりで、まったく意味が無いし、ブルペンピッチャーに自信もつかない。

たとえ次にどんなボールが来るのか、ある程度わかっていたとしても、弱いチームの若いバッターなら打ち損じてくれることも少なくない。だが、強いチームの経験を積んだ主軸打者には、そうはいかない。相手チームの主軸バッターの打撃傾向をまったく把握せず配球しているとしか思えないゲームが多すぎる。

スカウティングに基づかない
ヤンキースの配球戦略の失敗例

・アウトコースばかり待っているのがわかりきっているホワイトソックス打線に対して、ケビン・ユーキリスアダム・ダンに、アウトコースの球ばかり投げて痛打される
Damejima's HARDBALL:2012年8月20日、アウトコースの球で逃げようとする癖がついてしまっているヤンキースバッテリー。不器用な打者が「腕を伸ばしたままフルスイングできるアウトコース」だけ待っているホワイトソックス。
・待球型チームの多いア・リーグ東地区で、唯一、早いカウントから打ってくることが通例のボルチモア打線に、早いカウントで勝負を仕掛ける(これも黒田投手の例で恐縮だが、彼は負けたボルチモア戦の試合後、「球数が少なかったのは良かった」などと間違った発言をしている。だがボルチモア戦に限っては、「球数が少ないことが良いこととは限らない」。認識が根本的に間違っている)
・得意コース、得意球種だけを狙って長打を打つが低打率のボルチモアのマーク・レイノルズに、得意の「インハイ」「ストレート」を連投
・チームが崩壊して、打てるバッターのいなくなったボストン戦で、唯一打たれそうなジャコビー・エルズベリーに勝負を挑んで、サヨナラ負け


マーク・レイノルズの例を挙げてみる。

彼が得意なのは、コースでは「高め」。球種ではなんといっても「ストレート」と「カーブ」だ。カーブのようなブレーキングボールを打つ技術は、ボルチモアで最も上手い。逆に苦手なのは、「低め」と、スライダー、チェンジアップといった、いわゆる「オフ・スピード」の球だ。
これらの条件を頭に入れて、ヤンキースのピッチャーがホームランを打たれ続けた配球が、いかに馬鹿馬鹿しいものだったか、データを追いかけて見てみるといいと思う。ここに挙げたのはほんの一例に過ぎない。
マーク・レイノルズにホームランを打たれ続けていた間、ヤンキースバッテリーがどういう配球をしていたか、レイノルズの得意コースや得意球種と照らし合わせれるだけでも、なぜあれほどホームランを打たれ続けたか、わかるはずだ。

2012マーク・レイノルズのホットゾーン
Mark Reynolds Hot Zone | Baltimore Orioles | Player Hot Zone | MLB Baseball | FOX Sports on MSN

ラッセル・マーティンは、普段あれほどワンパターンに「アウトコースの低めのスライダー連投」をやり続けているクセに、ホームラン連発されているマーク・レイノルズに限っては、彼の大得意な「インハイ ストレート」を投げ続けていたのだから、意味がわからない。

ホームラン時のレイノルズへの「インハイ
9月2日 5回表(投手:ヒューズ)
ホームラン時のレイノルズ(2012年9月2日5回表)
Baltimore Orioles at New York Yankees - September 2, 2012 | MLB.com Gameday

ホームラン時のレイノルズへの「インハイ ストレート連投
9月6日 6回裏 (投手:チェンバレン)
ホームラン時のレイノルズ(2012年9月6日6回裏)
New York Yankees at Baltimore Orioles - September 6, 2012 | MLB.com Classic

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凡退時のレイノルズへの「スライダー連投
9月9日4回裏(投手:チェンバレン)
凡退時のレイノルズ(2012年9月9日4回裏)
New York Yankees at Baltimore Orioles - September 9, 2012 | MLB.com Gameday


おまけ:バントについて

下位打線の誰かが、数少ないノーアウトのランナーとして出塁すると、9月に入って「上位打線にはビッグボール、下位打線にはスモールボール」という「風変わりな実験」をしている監督ジョー・ジラルディは、たとえイニングがゲーム序盤の3回であっても、「初球バント」をやらせたがる。

だが、ビッグボール推奨チームのバッターには、メンタルと技術面の両方で「準備」がされてない。だからたいていのバントは失敗する。
そこでジラルディはどうするかというと、常套手段として、「初球バント失敗の次の球は、ほぼ必ず、ヒッティングに切り替える」のだ。

だが、このバントパターンも、相手チームのバッテリーはとっくにスカウティング済みなのだ。

だから、相手チームの投手は、バント失敗の次の2球目には、ほぼ必ずといっていいほど、「大きく曲がるアウトコースの変化球」を投げてくる。
バントを失敗したバッターは、力んでしまって空振り。そして、追い込まれて凡退。

高校野球ではないのだから、1球ごとにサインを変えたりするような大雑把なことをしても、それが実行できるチームと、できないチームがある。ビッグボールのヤンキースは明らかに後者である。それは例えばイチローの技術うんぬんの問題ではない。チームがそもそも、そういうことをやる雰囲気にないイニングと雰囲気の中で、突然バントを実行させても、うまくいくわけがない。

1球ごとにサインを変えるのが、「細かい野球」、「スモールボール」なのではない。むしろ、突然そんなことをやり出すのは、単に窮地に追い込まれた焦りを、相手チームに悟られるだけでしかない。

September 09, 2012

2012年9月8日 2回表 イチロー タイムリー二塁打

動画:Baseball Video Highlights & Clips | NYY@BAL: Ichiro swats a double to score Martin - Video | MLB.com: Multimedia
Gameday:New York Yankees at Baltimore Orioles - September 8, 2012 | MLB.com Classic

これはボルチモア第3戦の2回表に、左投手ジョー・ソーンダースからセンターオーバーのタイムリー・ツーベースを打ったイチローの配球データ。左投手のインコースの球を、センター奥までライナーで打ち返したことに、今後のイチローを占う深い意味がある。

下記のデータを見てもらいたい。

これは、今シーズンのイチローの対・右投手と対・左投手に対するホットゾーンのうち、コース別の「打率」を示した図。「低め」の球には、鬼のように強い。

2012年 対・右投手打率(absolute color mode
これは得意コースを赤苦手コースを青で表したもの。
Baseball Prospectus | PitchFX Hitter Profile: Ichiro Suzuki
イチロー 2012年右投手ホットゾーン(absolute color mode)


同じデータを、「得意さの度合い」によって相対的に色に濃淡をつけるRelative Color Modeで見ると、こうなる。
イチローは、キャリア通算で、MLBの投手たちが決め球として非常によく使う真ん中低めの球に鬼のように強いというデータが残っている。さらに、球種で言うと、とあるブログによれば、チェンジアップなどのオフ・スピードの球に非常に強いというデータがある。(資料:Best Offspeed Hitters - Baseball Analytics Blog - MLB Baseball Analytics
そのキャリア通算でみられる「右投手の低め、特に、真ん中低めに滅法強い」という傾向は、2012年もまったく変わっていない。

2012年 対・右投手打率(relative color mode)
イチロー 2012年右投手ホットゾーン(relative color mode)



同じことを、こんどは対・左投手について見てみる。
例えば、インハイに強いことがわかる一方で、インローに広い苦手ゾーンがあることがわかる。

2012年 対・左投手打率(absolute color mode)
Baseball Prospectus | PitchFX Hitter Profile: Ichiro Suzuki
イチロー 2012年左投手ホットゾーン

2012年 対・左投手打率(relative color mode)
イチロー 2012年左投手ホットゾーン(relative color mode)


2007年からこうしたホットゾーンデータを収集しはじめていると思われるBaseball Prospectのデータで、2007年〜2012年のデータを見ると、2007年以降の通算と今シーズンを比べたときの、対・左投手に対する打撃成績の違いは、ホットゾーンに如実に表れている。

2007年〜2012年 対・左投手打率
(absolute color mode)
2007年〜2012年 対・左投手ホットゾーン(absolute color mode)

2007年〜2012年 対・左投手打率
(relative color mode)
2007年〜2012年 対・左投手ホットゾーン(relative color mode)


だが、こういう単純データだけが野球ではない。
こういうデータの断片だけを見て、やれ「イチローは左投手のインコースの球が打てなくなった」だのなんだの言いたがるデータ馬鹿は、日本にもアメリカにも山ほどいるわけだが(笑)、彼らがイチローのことをまるでわかってないということは、よくわかる。

というのも、イチローが「インコースのハーフハイトを苦手にしている」という事実自体は、なにも今シーズンに始まったことではないからだ。
上の2007年〜2012年のデータで見てもわかるが、インコースのハーフハイトのコース別の打率は、.220と、稀代の天才安打製造マシン・イチローにしてはかなり低い数字だった。だから、今シーズンの打率全体が下がったのは事実であるにしても、特別に今年だけがインコースを打てていないわけではない。


ブログ主がむしろ今年のイチローのホットゾーンに驚きを感じるのは、「ボールゾーンの球をヒットにする率が下がっていること」だ。

最近はセイバーメトリクスが幅をきかせるようになったせいか、やたらと打者に一定の出塁率を求める声が大きいが、イチローはもともとそういうタイプではない。(ちなみに、セイバーメトリクスの重要性や真実味が、セイバーが世の中に初めて登場した時代ほどでは無くなりつつあり、むしろ信頼性が低下しつつあることには、大半の人は気づいていない)

確認しておくと、イチローの選球眼は悪いわけではない。むしろ、かなりいいほうだ。

だが、天才というもの特徴は、
枠にはまらないこと」だ。

イチローは、ストライクだろうが、ボールだろうが、かたっぱしからバットに当ててヒットにできる。だから、ホットゾーンで見るとわかることだが、ストライクゾーンをはずれたボール球の打率が異常に高い。
こんなバッター、他にはウラジミル・ゲレーロくらいしか思いつかない。

なのに、最近では、無能監督エリック・ウェッジではないけれども、イチローに、あれをやれ、これをやれ、あれはするな、これもするなと、余計な「常識的な制約」を設けたがる指導者があまりにも多すぎる。
そして、悪いことに、イチローも、その律儀で真面目な性格が災いして、「ストライクだけを振り、ボールを見逃そうとする」ような、つまらない「常識」が働くようになってきてしまっている

それがいけない、と、ブログ主は思う。
天才は常識になど従う必要は、まったくない

どんなコースのボールだろうと、イチロー自身が「打てる!」「ヒットにできる!」と思ったのなら、好きなように振れば、それでいいのである。彼はそういうプレースタイルで野球殿堂に入ろうとしている稀代の天才打者なのであって、常識にまみれた他人がとやかく言うのは筋違いというものだ。

早くそういう「非常識なイチロー」を見たいものだが、今日の左投手のインコース打ちの成功は、イチローのバットがフル稼働する日が遠くないことを物語っている。



それにしても、ヤンキースに対するアンパイアの判定の酷さは、日に日に度を越してきている。
既にイチローへのアウトコースの判定の滅茶苦茶さについては記事にしたが、ああいう「いかがわしい判定」が、イチローに対してだけではなく、ヤンキース全体に行われつつあることを、ニューヨークのメディアも、今日のマーク・テシェイラのダブルプレー判定で思い知ったのではないだろか。
Damejima's HARDBALL:2012年9月4日、レイズ戦球審Tony Randazzoによる、8回表イチローへの2球目のありえない悪質なストライクコール。

このダブルプレー判定については、ニューヨークのメディアの大半はとにかく怒り狂っていて、一塁塁審Jerry Mealsの誤審を名指しで罵っている。(大メディアであるNew York Timesのタイトルと写真だけは冷静な対応だが、それでも本文中では冒頭部分で批判している)

NY Post
9月8日のダブルプレーを誤審したJerry Mealsを罵るNYメディア
Blown call costs Yankees in loss to Orioles; Girardi heated after game - NYPOST.com

Blaming umps is loser talk - NYPOST.com

NY Daily News
Jerry Meals' blown call in 9th inning dooms Yankees to 5-4 loss against Baltimore Orioles - NY Daily News

NY Times
Yankees Lose to Orioles and Drop Back Into Tie for A.L. East Lead - NYTimes.com

2012年9月8日 ボルチモア戦9回表 一塁塁審Jerry Mealsの誤審2
2012年9月8日 ボルチモア戦9回表 一塁塁審Jerry Mealsの誤審3
2012年9月8日 ボルチモア戦9回表 一塁塁審Jerry Mealsの誤審1


しかしまぁ、これでようやく、アンパイアたちがア・リーグ東地区の勝敗を操作したがっているということに、多くの人たちが気づくことだろう。それはそれで、遅ればせではあるにしても、いいことだ。

マトモに勝とうと思ったら、有無を言わせない勝ち方をしないと、クロスゲームでの判定でこれからも繰り返し嫌な思いをすることになりそうなわけだが、現状の投手陣の崩壊ぶりを考えると、なかなか有無を言わせない勝ち方もできない現状なのが辛いところである。


ちなみに、このJerry Mealsというアンパイア、昨年2011年7月26日のピッツバーグ対アトランタ戦延長19回にも、ありえない誤審を犯して問題になっている。
Pittsburgh Pirates at Atlanta Braves - July 26, 2011 | MLB.com PIT Recap

2011年7月26日パイレーツ対ブレーブス戦でのJerry Mealsの誤審

この試合、延長19回裏の満塁の場面で、アトランタのスコット・プロクターがサードゴロを打ち、ピッツバーグの三塁手ペドロ・アルバレスがホームに送球、ホームに突入した三塁走者フリオ・ルーゴはホームプレートの1メートル以上も手前でキャッチャーにタッチされた。
だが、球審Jerry Mealsは、この明らかすぎるアウトを「セーフ」と大誤審して、アトランタをサヨナラ勝ちさせたのである。
この判定が誤審だったことは、後にMLBが公式に認めている。
July 26, 2011 Pittsburgh Pirates at Atlanta Braves Box Score and Play by Play - Baseball-Reference.com

Major League Baseball and umpire Jerry Meals agree Meals made the wrong call in Atlanta's 4-3, 19-inning win over Pittsburgh early Wednesday morning.
MLB acknowledges Jerry Meals' missed call after Pittsburgh Pirates file complaint over 19-inning loss - ESPN




September 06, 2012

「父親とベースボール」という記事の最後のまとめに向かって資料を読みあさる毎日が続いている。

Black Athena Writes Back: Martin Bernal Responds to His Critics例えば、『黒いアテナ』によって歴史学に旋風を巻き起こしたマーティン・バーナルが、『黒いアテナ』に対する各界からの反論に対する再反論をまとめた著作 "Black Athena Writes Back: Martin Bernal Responds to His Critics" (デューク大学出版会)は、日本では今年やっと訳本が出版されたばかりだが、その序文でバーナルは、「文化のオリジナリティをどう判断するか」について、非常に面白い指摘をしている。
この指摘は、短く触れるのがもったいないほど、あまりにも面白い。そのうち時間をみつかればちょっとした解説を書くつもりだが、「さまざまなものが外部から流入してミクスチュアを起こした場所にも、ゆるぎないオリジナリティは存在する。『流入』と『オリジナリティ』は矛盾せず、両立する」というバーナルの「オリジナリティに関する新しい発想」は、あまりにも面白い。

実は、この話が書かれているのは、序文ののほんの数行にすぎない記述部分なのだが、あまりにもクリエイティブな発想が含まれているためか、電気で打たれたように目からウロコが落ちた。
ロンドンオリンピックのあまりにも退屈な閉会式にみられたように、音楽であれファッションであれ、今のクリエイティブがあまりにもつまらないと感じている人には、ぜひこの著作の序文を読むことを薦めたい。それくらい、バーナルの基本姿勢はいい。


バーナルの『黒いアテナ』によって欧米文化の根幹を否定されたかのように感じて、躍起になって反論したがる欧米の研究者はとかく多いわけだが、独特の発想から「日本文化のあり方を敬愛する」と語るマーティン・バーナルは、実はギリシア文化をまったく否定などしていない。
ギリシアと日本とアップルの文化的共通点を、むしろ、バーナルなら記述できると思う。誰かこのテーマで彼にインタビューをすればいいのに、もったいない。日本文化には大陸から伝わったものも少なくないが、その大半をオリジナル化することに成功した日本独特の「オリジナル化するチカラ」の高さが、これほど短い言葉でわかりやすく説明されたのは初めてなのではないだろうか。

「起源こそがオリジナリティである」なんていう決めつけは、「最もオリジナリティのないオリジナリティ観」である。なんでもかんでも「起源」にこだわるような硬直した古い歴史観では、変容しつつある「オリジナリティの新しい意味」はまったく理解できないだろう。
(それは、他国の創造物をパクリ続けている人たちの好きな、みすぼらしい起源論とやらからも、また、以下のくだらない記事にみる某企業の元幹部という人の誤った過去のレビューの発想からも、よくわかる。シャープ元幹部が実名で明かす 日本のテレビが韓国製に負けた「本当の理由」  | 経済の死角 | 現代ビジネス [講談社]


と、まぁ、ひたすら野球以外のことにかまけているわけだが、ヤンキース対レイズの初戦で、8回に代打で出たイチローが三振したことくらいはわかっている。

その後、見ていると、この三振について、日本のメディアにも掲示板にも、どこにもきちんとした分析が載っていない。単に思いつきの書き込みや記事が並んでいるだけだ。
どうせ、いつものことだが、誰も彼もきちんとしたデータなど見ずに、テキトーに思いつきだけ書き並べて、「野球を語ったつもり」になっているわけだ。

くだらないにも程がある。

最近、日本と海の向こうの某国との間で、領土やなんやかんやの揉め事が表面化したせいなのかなにか知らないが、感情的なイチローバッシングも相変わらず多い。8番打者が打たないとポストシーズンに行けないような、ひ弱なチームは、最初から強くないのである。簡単な話だ。
また、他方では、カリフォルニアの裁判でサムスンへの訴訟に勝ったアップルへの執拗な攻撃もある。例えば、ニューズウィーク日本版のアップル批判記事などは、よくもまぁ、これだけ根拠の無い記者の主観を並べて批判したつもりになれるものだと感心するような、嘘くさい記事ばかり並んでいる。よほど悔しかったどこかの企業が金を出してパブリシティ記事でも書かせたのだろう。
(それにしても、某携帯電話のショップ内には、どうしてああも、日本語の怪しい人間が常駐しているのだろう? 日本人名のついた名札さえつけていれば日本人だと思ってもらえるとでも思っているのだろうか)


Tony Randazzoに抗議するジラルディ(この後、退場)
タンパベイ初戦でヤンキース監督ジョー・ジラルディは、球審Tony Randazzoの4回のクリス・ディッカーソンに対する見逃し三振判定を巡って、退場処分になっている。

実は、このアンパイアのチームにジラルディが退場させられるのは、今シーズン2度目なのだ。(最初の退場も既に記事にしている)
Damejima's HARDBALL:2012年8月9日、三塁塁審Tim Welkeのレフト線判定の優柔不断さに抗議して退場になったジョー・ジラルディの求める「ファイト」。
今日の4人のアンパイアのうちの3人、Tony RandazzoTodd TichenorBob Davidsonは、ジラルディが三塁アンパイアTim Welkeの判定を不服として抗議を続けて退場になった8月9日のタイガース戦でもアンパイアをつとめていたのだ。因縁の間柄といわざるをえない。



データで見るかぎり、ジラルディを激高させたディッカーソンの4球目判定それ自体は、よくある「きわどい球」のひとつでしかないとは思う。
曖昧なデータでしかないGamedayだけ見てモノを言っている人には「ボール」に見えたかもしれないが、PitchF/Xデータで見ると、たしかに「きわどい高さ」ではあるが、逆に言えば、「よくある普通のきわどい球」でしかない。
また、Tony Randazzoは、もともと低めをあまりとらず、高めのストライクゾーンになる傾向のアンパイアだ。

だが、たとえそうだとしても、ジラルディが退場するほど怒りまくったのも当然なほど、このところのヤンキースに対する球審のコールが酷いのは確かだから、ジラルディの抗議そのものは支持できる。

このところのアンパイアの判定は、このところ常にヤンキースの対戦チームに有利に働きすぎている。なにかこのところ、まるで球審全体が「ア・リーグ東地区を接戦状態にして、9月の野球を面白くしてやろう」とでも思っているかのような印象さえ受ける。
だから、ジラルディの抗議は、こと、ディッカーソンの判定への個別の抗議という意味よりも、このところずっと続いているヤンキース不利の判定の連続に、「もう、いい加減にしてくれ!」と抗議し、アンパイアのパフォーマンスを牽制する意味で、適切な対応だと思うし、当ブログはジラルディを支持する。
(この間のボルチモア戦で、ブルペン投手の酷い継投と、当たっているディッカーソンにアンドリュー・ジョーンズを代打に出したりした采配ミスは最悪だったが、それはそれ。ミスのない監督など、いない)


退場に関するデータをまとめているClose Call Sports: Ejectionsでも、さっそくこの退場をデータを交えた記事にしている。
Close Call Sports: Ejection 148: Tony Randazzo (2)


ジラルディが退場になったディッカーソンの4球目判定よりも、問題なのは、同じゲームの8回に代打で三振したイチローへの2球目の判定だ。
このイチローへの2球目の、アウトコースの4シームの判定の悪質さ、酷さに比べたら、ディッカーソンの4球目の判定くらい、どうっていうことはないレベルなのだ。
というのは、8回表のイチローへの2球目のストライクコールは、ありとあらゆるデータ上においてパーフェクトに「ボール」であり、しかも、このゲーム全体において「8回のイチローの打席でしかやっていない、異質かつ悪質な誤判定」だからである。

それくらい、8回のイチローへの2球目の判定は酷いし、悪質だ。

アウトコースにボール3個半から4個くらい外れているクソボールを「ストライクコール」されたら、どんなバッターでもインコースいっぱいの球(4球目)に手が出るわけがない。三振して当たり前だ。

Tony RandazzoTony Randazzo


まぁ、データを見るといい。

2012年9月4日 イチロー 8回表 三振New York Yankees at Tampa Bay Rays - September 4, 2012 | MLB.com Classic


2012年9月4日イチロー 8回表 三振 球審Tony Randazzo
Brooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - Strikezone Map Tool

何度も何度も書いてきているように、MLBでは左打者と右打者のストライクゾーンは同じではない。(もちろん、世の中の野球ファンとやらは、そんなこと気にもかけずに、知ったかぶりを語り続けている)
優れたPitchf/xデータを提供してくれているBrooks Baseballが、球審のコール(=打者の見逃した球)をマッピングする際には、まずいったん全データをマップ上に並べ、次に、それぞれのバッターの体格の違いを考慮した補正を加え、さらに、右バッターと左バッターで分けて表示している。

上の図は、この日の球審Tony Randazzoが、左バッターに対して行ったコール(打者の見逃した球のみ)をいったんマッピングして、その後補正したマップだが、黒い実線で囲まれた四角形は「ルールブック上のストライクゾーン」であり、黒い四角形の左側部分に延長されている「破線部分」は、「MLBの球審が、左バッターに対する判定を行うとき特有の、アウトコースのストライクゾーンの広さ」を示している。
左バッターのアウトコースのゾーンの拡大部分の大きさは、アンパイアによって個人差はあるが、標準的には、だいたい「ボール2個分程度」と考えられる。

このデータを見てもらうとわかるとおり、イチローへの2球目のアウトコースの4シームは、ボール3個半くらいは外れており、しかも、こうしたアウトコースの「異常に広い判定」は、このゲームにおいて、なんと、「たった一度しか行われていない」のである。
ゲーム全体を通じてアウトコースの判定が広かったのならいざ知らず、この球だけをストライクとコールしたのだから、「悪意のある判定」と断定せざるをえない。

2012年9月4日 イチロー 8回表 2球目の誤判定 球審Tony Randazzo
Brooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - PitchFX Tool │ 2012年9月4日 8回表 イチローの打席のデータ

去年4月に、球審Marvin Hudsonによるイチローの見逃し三振判定を記事にしたことがあったが、今回のTony Randazzoは、あれよりも酷い。このゲーム全体を通じてTony Randazzoはそこそこ正確な判定を行ったゲームでの出来事なだけに、Tony Randazzoには、ジラルディとともに「おまえ、いい加減にしろ」と言いたい。
Damejima's HARDBALL:2012年4月22日、球審Marvin Hudsonによる9回裏イチロー見逃し三振判定を異常と断言する「3通りの理由」。


それにしても、地元のチームが優勝争いをしていて、しかも、人気チームのヤンキースとゲームをした夜だというのに、17000人ちょっとしか観客が入らないタンパベイは、根本的な何かがマーケティング的に間違っている。ほんと、ありえない不人気球団だ。


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