October 2013

October 30, 2013

東京の2020年五輪開催が決まったのは非常にめでたいにしても、1964年の東京オリンピックで作られた国立競技場(=国立霞ヶ丘陸上競技場)の建て替えどうのこうのという話が、どうにもよろしくない。


オリンピック誘致の成功で「浮かれている人間たち」は、50年も前につくられた旧式の施設である国立霞ヶ丘陸上競技場の「立地の限界」と、神宮外苑という施設の本来の目的である「静かなる顕彰」の意味を根本的に理解していないまま、無理に無理を重ねて建て替えを進めようとしている。

現状の国立霞ヶ丘陸上競技場の「限界」を頭に入れていない東京都や猪瀬知事は建て替えに必要な金額を安易に考えているようだし、巨大な競技施設を「神宮外苑」に無理にでも建てたいから、風致地区が風致地区でなくなってもそれはそれでしかたないとのお考えのようだが、そもそも50年も前に建てられた国立霞ヶ丘陸上競技場の「手狭な立地」では、非常に多数のアスリートが参加するオリンピックでは、国際的な陸上競技場としては「失格」なのだ。
そして内苑である明治神宮を控えた「神宮外苑」という場所の本来の目的は「心静かに顕彰すること」なのであって、この旧式の競技場を無理にでも陸上競技場の国際規格にあうよう「拡張」しようと思えば、「現在の手狭な場所」では「もともと無理」なのだ
ということを、関係者は根本的に忘れている。

ブログ注:
ここでいう「国立競技場」とは、あくまで「通称」でいうところの「国立競技場」であって、具体的に正式名称でいうなら、「国立霞ヶ丘陸上競技場」単体のことを指している。

だが本来、正式な意味での「国立競技場」というのは、文部省の外郭団体である独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)が運営・管理する「国立霞ヶ丘陸上競技場」「国立代々木競技場」「国立西が丘サッカー場」の総称を意味するのであって、国立霞ヶ丘陸上競技場単体を指してはいない。

さらにいえば、「国立霞ヶ丘陸上競技場」という施設単体について考えるとき、この施設が抱えている「周辺施設の整備」という問題を甘く見てはいけない。
というのは、そもそも国立霞ヶ丘陸上競技場というのは、陸上競技施設としては、オリンピックのような国際競技を開催する施設としては「サブトラックが遠いうえに、狭すぎる」という重大な問題を抱えた劣悪な陸上競技場だからだ。
野球のスタジアムでも「外野のポールまでが100メートル以上」などといった国際規格があるわけだが、同じように「陸上競技場」にも国際規格があり、一流アスリートを世界中から集めた国際試合を開催できる第一種公認を受けるためには、さまざまな「条件」をクリアしていなければならない。
その国際規格のひとつが「ウォーミングアップのためのサブトラックの設置」だが、国立霞ヶ丘陸上競技場は、現在のところ、千駄ヶ谷駅前にある東京体育館の脇にある200mトラックをサブトラックとして使用するという「タテマエ」でギリギリ公認されてはいるものの、現実には、国立競技場から東京体育館まで距離がありすぎることに加え、そもそも200mの狭いトラックでは直線が短すぎて十分なウォーミングアップができず、また、200mトラックでは狭すぎて、数多くのアスリートが同時にウォーミングアップすることができないという重大な問題点を抱えている。
そのため、近年の日本の陸上競技界では、多くの国際競技が、この国立霞ヶ丘陸上競技場ではなく、他の施設、例えば神奈川県の横浜国際総合競技場(日産スタジアム)などで行われるようになってきている

つまり、東京都が考えているような「国立霞ヶ丘陸上競技場さえ建て替えれば、周囲の施設はそのままでも、オリンピックという国際競技は開催できる」というような考えは、実は「安易」かつ「甘い」のである。

したがって、文部省が想定する「国立競技場の建て替え」事業の意味するところが、「通称されている国立競技場」である国立霞ヶ丘陸上競技場のみの建て替えなど意味していないのは、むしろそちらのほうが当然なのであって、さすがに場所が北区で霞ヶ丘から離れている西が丘サッカー場の整備は含まないにしても、建て替えの「見積もり」の対象が、国立霞ヶ丘陸上競技場だけではなく、周辺施設の再整備を含む金額になるのは、むしろ当たり前のことなのだ。
対して、国立霞ヶ丘陸上競技場の直接の管轄者でもなんでもない東京都や猪瀬知事などは、単純に「国立競技場の建て替え=国立霞ヶ丘陸上競技場のみの建て替え」としか想定していないから、そもそも国立霞ヶ丘陸上競技場の「限界」を理解していない。

したがって、文部省が行った建設費見積もりが、「国立霞ヶ丘陸上競技場のみの建て替え」だけしか想定していないスポーツ素人集団の東京都の想定金額よりも大きくなるのは当然であり、むしろ見積もりが「周辺施設の整備」も含んだものになるべきであることを、スポーツ音痴の東京都もマスメディアも、最初からアタマに入れて議論・報道すべきだ。


大きな地図で見る

ちなみに神宮外苑は1926年完成で、東京では初の風致地区に指定され、これまで建築物の高さが「15m」に制限されるなどの法的規制によって、穏やかな景観が長年にわたって守られてきた。(ただ、「外苑」は元来、有志によって「寄贈」された施設であり、「内苑」である明治神宮が直接管轄する統合的な施設ではない)
だが、国立霞ヶ丘陸上競技場の建て替え完成時には高さが「70m」にも達するとみられたことから、東京都はなんと、2013年6月に神宮外苑エリアの建築における「高さ規制」を「15m」から一気に「75m」へ、5倍も緩和した
この場当たり的な「高さ規制緩和」でまず何が起きたかというと、すかさず周辺エリアで周囲の景観にそぐわない民間の「高層マンション」が建設されたのである。この高層マンションの「高さ」に反対する地元住民との間に摩擦が生まれたのは、いうまでもない。(ただ、おそらく、高層マンションの建設に反対した地元住民も、この高層マンション建設が可能になったそもそもの原因が「東京都が、国立霞ヶ丘陸上競技場の建て替えを可能にするため、建設物の高さ制限を大幅に緩和したことにあること」は、理解していないか、知らされてないのではないだろうか)


言いたいことを先に言えば、
現在の立地では、国際的な陸上競技場のための拡張と長期にわたる施設維持も、スポーツと顕彰の両立も、あらゆる点で無理なのだから、新・国立競技場は、「場所」自体を変えて再出発すべきだ
ということだ。
(それだけが建て替えの目的ではないが、別の場所に新築するなら、「顕彰」のための風致地区である神宮の森周辺の「建設物の高さ制限」を「75メートル」などという「とんでもない数字」にせずに済む。また、ここではあえて書かないが、「どうせ建てるなら、更地に戻すカネが少なくて済んで、人も集まりやすい、ここしかないでしょ」という「場所」のアイデアはもちろんある。さらには、現在の国立競技場の「跡地」、さらには外野が100メートルないことがわかった老朽化した神宮球場の「跡地」をどう再利用するかについても具体案はある)


明治維新の東京遷都でもわかることだが、「場所をかえる」とか、「場所を選ぶ」という、「場所」にまつわる行為は、時代が動いたときに求められる非常に大きな決断、「おおごと」、グランドデザインなのであって、それにくらべれば建築物の見た目のデザインなんてものは、些細なこと、トリビア、表層、小手先でしかない。
(そもそも「同じ場所に建て替える大規模公共建築物のデザインコンペ」なんてものは、その建て替え事業そのものが都市計画としてウェル・デザインされていない「ハンパな計画」と受け止めるべきであって、よくもまぁコンペに参加しようなんて気になるものだ。「場所自体も変えてしまいましょう!」と大胆に提案できてこそ、本気のデザイン、本気の都市計画というものだ。安藤忠雄には悪いが、やはり渋沢栄一のほうがはるかに天才だ)

イチローはかつてWBC監督が星野仙一に決まりかけたとき、「WBCは五輪のリベンジの場所ではない」とそれを退ける画期的発言をして、WBC日本代表は結果的にイチロー発言によって「人心の一新」に成功し、輝かしい連覇を果たすことになるわけだが、それに習っていわせてもらうなら、「2020年東京オリンピックは、1964年東京五輪の二番煎じをやる場所ではないし、二番煎じでは何の国益ももららさない」、と言いたい。
たとえ国立競技場が外観と規模を一新しようが、そんな建て替え程度のせせこましい変化では「老朽化したオフィスビルを取り壊して、建て替えるだけの行為」と何も変わらない。同じ場所で建て替えたのでは、本来オリンピックという国際的な大イベントで期待される経済効果や国益が、十二分な質と量で得られるとは到底思えない。

例えばもし、フジテレビがかつてあった曙橋の「フジテレビ下通り」で建て替えられただけだったなら、スカイツリーがかつての東京タワーと同じ場所で建て替えられただけだったなら、もっといえば、もし江戸時代が終わっても首都が京都のままだったなら、どうだったか、本当に人々が新鮮な驚きをもって新しい時代を受け入れたか、考えてみるといい。


そもそも問題なのは、
国立競技場がある今の「場所」に、何のパワーも無いことだ。

建設費が予定よりはるかに多いだの、収容人数が多すぎるだの、ドタバタ劇が当分続くらしいが、ブログ主に言わせれば、「パワーが無い「場所」に建った建造物が、老朽化したからといって、「高いカネをかけて更地にし、同じ場所に再び建て替える」などという二番煎じな発想の「陳腐さ」を指摘する声がないことのほうが、よほど理解できない。


2012年11月に行われた「第1回富士山マラソン」(旧名『河口湖日刊スポーツマラソン』)で起きた「不祥事」について書いた記事がある。
記事リンク:Damejima's HARDBALL:2013年1月27日、マラソンブームに便乗した、あまりにもずさんな「富士山マラソン」から、「日本の新しい景観美」に至る、長い道のり。

このマラソンは、参加ランナー総数1万数千人のうち、約3分の1にもあたる5000人もの数のランナーが、スタート予定時間にスタート地点にたどり着けなかった。もう、これは不祥事というより、「事件」といっていいレベルのマラソン大会だ。
読んでもらえばわかるが、この前代未聞の事件が起きた原因は、この件を報じた新聞記事や、大会に参加していない野次馬のブログによく書かれている「渋滞」などではない。(というか、このマラソン自体が新聞社主催だったからか、この事件を報じる記事の露出自体が抑えられまくっていた)
「モビリティの確保から宿泊可能な人数に至るまで、あらゆるキャパシティに限度があることが最初からわかりきっている田舎町の、それも山間部のマラソン」において、「モビリティに制約のある場所で開催しても無理がないマラソン大会の規模の限度」というものをまるで理解していない無謀きわまりない主催者が、開催してもさしつかえない大会の規模レベルを最初から根本的に読み間違えていたこと、にある。

つまり、身の丈にあわない大会の開催を強行した「第1回富士山マラソン」の大失敗は、このマラソンが行われた山間の湖という「場所」がもっている「キャパシティ」や「限界」を過信したところに始まっているわけだ。


パワーの無い場所に建設されている「国立競技場の建て替え」も、第1回富士山マラソンと同じ、「場所」にまつわる失敗を犯す可能性は相当高いと思う。


こう書くと、国立競技場周辺のことを何も知らない人から、「何を馬鹿なことを。国立競技場(実際には「国立霞ヶ丘陸上競技場」だが)は、サッカーの聖地で、大試合も数えきれないほど開催されているし、アイドルグループの大規模コンサートだって行われるような場所だ。収容能力、交通機関、どれをとっても何の問題もない。アホなこと言うな」などと、いいがかりをつけられるかもしれない(笑)


言わせてもらうと(笑)、そういう、3年に1回とか、1年に1回しか国立競技場周辺に行かないような人の意見なんてものは、何の役にも立たない。参考にすらならない。

もし、国立競技場周辺にスポーツ施設を作るだけで、その「ハコ」が満員にできるのなら、とっくにヤクルト・スワローズは超人気球団になっていなければおかしいし、神宮球場だってとっくに資金が集まって建て替えに成功していなければおかしいし、ラグビーが日本有数の人気スポーツになっていなければおかしいのである(笑)

でも、どれひとつとして実現できてない。

そもそも国立競技場自体がすんなり建て替えられていないのは、この「場所」が思ったほど集客できる場所ではなく、スポーツやコンサートで集めた人たちにしても、試合やコンサートの直後に去ってしまうような、そういう「受け皿となる施設がまったく無い、受け皿が育たない、そして、育てるつもりもまるで無い「場所」」だったからだ。だから、国立霞ヶ丘陸上競技場は、建設から50年もたってコンクリートがどこもかしこも老朽化しているのがわかりきっているのに、ほっとかれたままだったのである。もし2020年の五輪が他の都市に決まっていたら、間違いなく「無用の長物」になっていた。

加えて、国立霞ヶ丘陸上競技場は、上でも書いたように、サブトラックが「遠すぎる」うえに「狭すぎる」という、国際的な陸上競技施設としては致命的欠陥を抱えているのだから、東京都の考えているような国立霞ヶ丘陸上競技場だけを整備すればオリンピックが開催できるというような甘っちょろいものではなく、周辺施設の整備にもカネをかけないわけにはいかない「程度のよくない中古スタジアム」なのである。


マラソン大会は少なくとも「ハコモノ」ではない。
だから、「場所」の問題をそれほど考えなくてすむ。市街地の道路だろうが、河川敷の土手だろうが、高速道路の上だろうが、どこでもいいから、42.195kmという距離を走れる「道」さえ探してくれば、あとは地域活性化とかいうお決まりのお題目で書いた企画書で地域の有力者を説得し、タダで働いてくれるボランティアをかき集め、警察の協力を仰げば、なんとか低予算でも開催できる。
たとえその大会が、「第1回富士山マラソン」のように破滅的に失敗したとしても、少なくとも「無駄なハコモノ」は後に残さずに済む。


だが、国立競技場は「ハコモノ」だ。意味が違う。

都心に大金かけて「ハコ」を作るなら、その「ハコモノ」は本来、その「場所」のバリューを増やす義務があるわけだが、そもそもこの国立競技場の場合、いま建っている「場所」がいくら都心だからといっても、「場所のバリュー」があまりにも低いまま50年もの時が過ぎたことは、わかる人にはとうの昔にわかりきっている。

東京オリンピックは1964年のイベントなわけだが、それから約50年もの歳月がたって、千駄ヶ谷外苑前など、国立競技場の周辺の街は、後背地にあれだけの数のスポーツ施設群を抱えていたにもかかわらず、街として十二分に発展してきたか? スポーツの伝統が育ったか? 風致地区にふさわしい街になったか? スポーツに関係ない人でも憩うことのできる街になったか?
まぁ、これらの街の「日常」、それも「あまりに閑散とした、わびしい日常」を理解してない人は、一度行って、自分の目で見てきたらいい。ドーナツ化のこの時代、郊外のターミナル駅のほうがよほど発展しているし、中央分離帯やガードレール、並木などにしても、よほど郊外のほうが都市らしい整備が行き届いている。


国立競技場がもし今の場所で計画通り8万人規模の施設としてオープンしたとしても、採算などとれるはずはないし、また、5万人規模に規模を縮小したとしても、年間通じてみれば採算はとれない。スケジュールの大半が空っぽで、たまに運動会でもやるのが関の山のド田舎の陸上競技兼用サッカースタジアムと、まったく同じ酷い運命をたどることになる。
国家あげての大規模イベントだった1964年の東京オリンピックですら、国立競技場周辺の街は、結局は多くの人がつどい集まる街にはなれなかったわけで、そんな「パワーの無い場所」に、8万人収容規模(あるいは5万人規模)の「1年で通算しても、1か月も満員にならないのに、屋根を開閉式ドームにして、天然芝を養生するだけで莫大な経費がかかることがわかりきっているスタジアム」を建てれば、どうなるか、なんてことは、地方の身の丈に合わない陸上競技兼用のサッカースタジアムを見ていれば、子供でも想像がつく。


そう。
今の国立競技場がいまある「場所」は、ある意味「都会のド真ん中のド田舎」なのだ。そして「田舎」には、8万人もの規模の、近未来的とか自称する図体がでかいだけのデザインのスタジアムは必要ない。長期的にみて、維持なんてできっこないし、前のオリンピックから50年たっても発展できなかった街に、期待しても全く意味がない。

新しい国立の陸上競技場を建てるなら(そして、同じように老朽化した神宮球場を建て替えるなら)、もっと別の場所に、もっとパワーと集客力があって、なにより神宮としての歴史にふさわしい場所が、ちゃんと都心にある。

October 21, 2013

前記事:
(1)総合データ編:Damejima's HARDBALL:2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (1)総合データ編

(2)マックス・シャーザー編:Damejima's HARDBALL:2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (2)マックス・シャーザー編

Detroit Tigers at Boston Red Sox - October 19, 2013 | MLB.com Classic

マックス・シャーザーの投球に関する「不利」な判定の具体例に続き、こんどは2013ALCS Game 6における球審Dan Iassognaの悪質なボストン寄り判定の数々を、ボストン投手陣に対する「有利」な判定について、データを記録する。

球審Dan Iassognaの「ボストン寄り判定」は、ひとつには、デトロイト先発マックス・シャーザーの投球に執拗なボール判定を彼が降板するまで浴びせ続けるという陰湿な形で、ボストン側のあらゆるチャンスと得点の全てに抜き差しならぬ関係で絡んでいたのを確かめたわけだが、この悪行はもちろんそれのみで終わらず、もうひとつ、ボストン先発クレイ・バックホルツの投球に有利な判定をする、という形でも著しい偏りをみせている。


アンパイアの判定の「ゆらぎ」は、もしそれが「両軍に等しく生じる」ものであるなら、これほど問題にしたりはしない。
MLBアンパイアには、「ゾーンの狭さや広さ」、「ゾーンの形状の偏り」といった判定基準において、MLB特有といえる「非常に大きな個人差」が容認されており、判定基準はアンパイアごと、ゲームごとに非常に大きく変化してしまうものであることは、これまでこのブログで何度となく書いてきたように、MLBではむしろ常識であり、プレーヤーや監督コーチにもそういうものとして受け止められている。

だが、この2013 ALCS Game 6でみられた「球審Dan Iassognaの明白なボストン寄り判定」は、そうした「MLBでの常識的なアンパイアの個人差の範囲」を著しく逸脱している。
理由は、前記事にみたように、デトロイト先発マックス・シャーザーの投球について著しく不利な判定を行うだけでなく、以下にみるように、ボストン先発クレイ・バックホルツを中心に、ボストンの投手について有利な判定も同時に行っているからである。
ゆえに、2013 ALCS Game 6球審Dan Iassognaの判定については、あえて「意図的な贔屓行為」と断定させてもらう。


ちなみに、Dan Iassognaは、2013ALCS game 4の2回裏のセカンドでの判定でも、二塁塁審として悪質な「ボストン寄り判定」をやってのけている。(下記のアニメGIF参照)
1死満塁のデトロイトのチャンスで、バッターはまたしても元ボストンのホセ・イグレシアス。平凡なセカンドゴロを、ダブルプレーを焦ったペドロイアがハンブルしたことからダブルプレーが成立しなかったプレーだが、ペドロイアからのトスを捕球したショートのドリューの足は「完全にセカンドベースから離れて」いる。

2013ALCS Game 4におけるDan Iassognaの悪質なダブルプレー判定via We have a new Worst Call of the Month - Baseball Nation By Rob Neyer





クレイ・バックホルツ vs デトロイト右打者
アウトローのストライク判定

2013ALCS Game 6 BOSの投手 vs DET 右打者 判定

上の図は、ボストン投手陣のデトロイトの右打者に関する判定マップだ。四角い黒枠の右下部分に赤色の四角形が多数点在している。これは、2013 ALCS Game 6 球審のDan Iassognaが、「ボストンの投手に関しては、右打者のアウトローの投球を「非常に積極的にストライク判定」したこと」を意味している。

アウトローの拡大図
「右打者アウトロー部分の判定の差異」を明確にするために、図を拡大して比較してみると、両軍の判定結果は以下のようになる。図で、赤色は「ストライク判定」、緑色は「ボール判定」を示す。
結果はいうまでもない。球審Dan Iassognaが両軍投手の判定において、「著しく差をつけることを前提に判定した」ことは、明白だ。

ボストン投手の投球判定 右打者アウトロー拡大ボストン側投手

デトロイト投手の投球判定 右打者アウトロー拡大デトロイト側投手

ただし、あくまでここまで挙げたデータは、「打者が見逃した球の判定のみ」について書いていることを忘れてもらっては困る。
実際のゲームでは、デトロイト側の、特に右打者は「これだけアウトコース低めをストライク判定されるとわかっているゲーム」では、アウトコース低めに手を出さざるをえないし、他方、ボストン側の特に右打者にとってこのゲームは「アウトコース低めをストライク判定される心配の少ないゲーム」なのであって、安心して打ちにくいアウトコース低めを捨て、甘い球を待つことができた

これほど著しい不利が他にあるだろうか。


では、以下に具体的な打席例をみてみる。
特に最悪なのは、球審Dan Iassognaが、コントロールの悪いボストン先発クレイ・バックホルツが四球を出すのを、要所要所でストライク判定して、あからさまにアシストしたことだ。じっくりデータ上で確かめてもらいたい。

2013ボストンはたしかに勝ちゲーム終盤のブルペンには絶対の自信をもつチームだが、もしゲーム中盤で先発バックホルツが劣勢のスコアのまま降板するようなことが起きると、ボストン側は田沢以下の鉄壁のリリーフを繰り出すことができない。だから、ゲーム中盤でピンチを作ることでバックホルツの球数がいたずらに増えてしまえば、ボストンの劣勢どころか、致命傷につながる。
だからこそ、以下で示すような球審Dan Iassognaの「ボストンに四球がなるべく出ないようにするアシスト」は、試合結果を直接左右するような悪質な行為だ。


2回オマー・インファンテ4球目
カウント:3-0
投手:バックホルツ
場面:二死ランナー無し
結果:カウント3-0からのアウトコース低めの球を「ストライク判定」。6球目のアウトコースのボール球に手を出すが、それがライト前ヒットになり、出塁

カウント3-0でのストライク判定だから。もしこの4球目が「ボール判定」だったら、インファンテはすんなり四球だった。
だが、球審Dan Iassognaは、あれだけボストンの9番打者ボガーツに四球を与える有利な判定を何度も何度も執拗に行っておきながら(前記事参照)、デトロイトの打者についてはまるで真逆のストライク判定を浴びせることで、四球による出塁を何度も阻止している。
この判定でアウトコースに手を出さざるをえなくなったインファンテは、6球目の「明らかなボール球」に手を出して、これがライト前ヒットになって出塁しているわけだが、いうまでもなく、ボール球を打ってのヒットはあくまで「結果オーライ」にすぎない。
追い込まれて6球目のボール球に手を出さざるをえない状況を作られてしまっていなければ、このクソボールをすんなり見逃して四球で出塁することはより容易だったはずだ。

2013ALCS Game 6 2回インファンテ4球目バックホルツ


2回オースティン・ジャクソン2球目
カウント:1-0
投手:バックホルツ
場面:二死1塁
結果:カウント1-0からのアウトコース低めのきわどい球を「ストライク判定」され、平行カウント1-1に。次の3球目で真ん中低めの「ゾーンから外れたチェンジアップ」に手を出し、ファーストゴロ。チェンジ

上で書いたインファンテの出塁直後のジャクソンの打席。いくらジャクソンが不調とはいえ、ランナーがいる状況でカウント2-0になっていれば、嫌でもバックホルツ投手には重いプレッシャーがかかる。だが、球審Dan Iassognaは、バックホルツの2球目のアウトコース低めをストライク判定してバックホルツをアシストした。

2013ALCS Game 6 2回ジャクソン2球目バックホルツ


5回オースティン・ジャクソン3球目
カウント:2-0
投手:バックホルツ
場面:一死走者無し
結果:ボールが2球続いた後の「アウトコース低め」を「ストライク判定」。その後、粘って四球

この場面、もし3球目の判定がボールなら、カウントは3-0で、四球による出塁がみえてくる
だが球審Dan Iassognaは、またしても「アウトコース低め」をストライク判定するやりくちで、コントロールの悪いバックホルツが四球で走者を2人に増やし、ピンチになるのを阻止した。
それでもジャクソンは粘って、結果的にコントロールの悪いバックホルツから四球で出塁したのだが、なんと、ここでも元ボストンのイグレシアスが2球目のインハイのなんでもない球を内野ゴロにして、ダブルプレー。バックホルツを「内側から」アシストした。

2013ALCS Game 6 5回ジャクソン3球目バックホルツ


6回ビクター・マルチネス2球目
カウント:1-0
投手:モラレス
場面:無死満塁
結果:2球目の「真ん中低めのカーブ」を「ストライク判定」され、カウント1-1。その後、2点タイムリー

無死満塁の場面だから、いうまでもなくもし2球目が「ボール判定」でカウント2-0になっていたら、ボストンのリリーフ、モラレスに「押し出し」へのプレッシャーが非常に大きくのしかかったはずだ
だが、球審Dan Iassognaはこの低く外れた球をストライクコールすることで、ボストンをアシストした。
だがそれでも、好打者ビクター・マルチネスは4球目インローの難しい球をレフト前に2点タイムリーして、試合を逆転。彼は出塁した塁上から、プレート方向を睨みつけて吠えた。よほど、2球目の判定が頭にきたのだと思われる。彼はキャッチャー出身だから、このゲームの異常さに気がついていないわけがない。

2013ALCS Game 6 6回ビクター・マルチネス2球目モラレス


8回ビクター・マルチネス初球
カウント:初球
投手:ブレスロー
場面:1死ランナー無し
結果:三振

2013ALCS Game 6 8回ビクター・マルチネス初球ブレスロー




度重なる不利な判定にもめげず、デトロイト先発マックス・シャーザーは、7回の1死2塁で、球審Dan Iassognaがアシストし続けた問題の9番ボガーツに、フルカウントから渾身のチェンジアップを「問題のアウトコース低め一杯」に投じた。
だが、球審Dan Iassognaは執拗なアウトローのボール判定で、ボガーツが三振するのを防いでやり、同時に、シャーザーの続投を徹底的に阻止した。球審によって次々と作られるピンチにもめげず、火を噴くような粘りをみせたシャーザーだが、7回にとうとう三振のはずのチェンジアップを四球と判定され降板。この球審Dan Iassognaのボストンへの一方的なアシストを発端に、2-5と逆転されたデトロイトに、もう反撃のエネルギーは残っていなかった。
まるで「ぬけがら」だった8回の打席に立つビクター・マルチネスの姿が痛々しかった。6回の無死満塁で2点タイムリーを打って、塁上でホームプレートに向かって吠え、チームに勢いを再びつけた彼にさえ、もう気力は残されていなかった。


2012シーズン全体を棒にふるような大怪我から見事に復帰してみせたビクター・マルチネスには、個人的にカムバック賞の受賞を願っておきたい。

そして、まだ発表はないが、2013年のサイ・ヤング賞をとるであろうマックス・シャーザーに、心から「おめでとう」と言いたい。

おめでとう、マックス・シャーザー。

前記事:
Damejima's HARDBALL:2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (1)総合データ編

引き続いて、2013ALCS Game 6における球審Dan Iassognaの悪質なボストン寄り判定の数々を、こんどは具体的なシチュエーションに沿ってデータを記録する。


以下にみるように、2013ALCS Game 6におけるボストンのチャンスと得点の全てに、球審Dan Iassognaの「ボストン寄り判定」が、それも、抜き差しならぬ関係で絡んでいる

アンパイアの判定ミスや、その背景にあるアンパイアの個人差やMLB特有のストライクゾーンの特徴などについて、国内の他のどんなメディアやブログよりも多数の事例を指摘してきた自負があるが、これまでこういう「断定」は一度もしたことがないのだが、この「Dan Iassognaのボストン寄り判定」については、あえて「意図的な贔屓である」と断定させてもらう。

なぜなら、以下にみるように、これらの悪質な判定が、
「その1球の判定が、もしボールでなく、ストライクだったなら、ゲーム局面がまるで変わっていた、という特定の場面に限って、それも、執拗に繰り返し繰り返し行われた」からであり、加えて、「事例の大半が、9番ボガーツから打順が上位にかえっていく、まったく同じシチュエーションに集中していて、ボストン側の全てのチャンスメイクと得点をアシストしている」からだ。

正直、酷い判定もたくさん見てはきたが、これほど「意図的であると断定するほかないようなアンパイアの最悪な判定偏向」は、いまだかつて見たことがない。


マックス・シャーザー vs ボストン右打者
アウトローでの徹底的なボール判定

2013ALCS Game 6 DETの投手 vs BOS 右打者 判定

バックホルツの投球のかなりのボール球をストライク判定したり、シャーザーの左バッターへの投球をボール判定したり、このゲームの球審 Dan Iassognaの悪質な判定例は他にも数かぎりなくパターンがあるが、このゲームで最もありありと「むきだしの作為と悪意」が感じられる愚劣な判定が、以下に挙げるマックス・シャーザーの右バッターのアウトローへの投球をことごとく「ボール判定」した事例の数々だ。
これらはもうMLBというより、スポーツを冒涜しているとしか言いようがない。本当に許しがたい。

3回ボガーツ3球目・5球目・7球目
カウント:0-2、2-2、3-2
投手:シャーザー
場面:先頭打者
結果:カウント0-2から「三球三振」のはずが、四球を与えるほどのボール判定の連続

2013ALCS Game 6 3回ボガーツ3球目シャーザー

3回エルズベリー3球目・5球目
カウント:1-1、2-2
投手:シャーザー
場面:球審の作りだしたボガーツの四球で、無死1塁
結果:カウント1-1、2-2から2度にわたるボール判定。その後、四球

2013ALCS Game 6 3回エルズベリー3球目シャーザー


もし、ボガーツのアウトロー3球の判定のうち、どれかひとつでも「ストライクコール」だったら、彼は「三振」だった
あえて断定させてもらうが、球審Dan Iassognaは執拗なボールコールで、故意にボガーツの三振を避けさせ続けることで、ボストンにのみ有利な攻撃シチュエーションを与え続けた」。そして、そうしたDan Iassognaの悪意ある贔屓判定は「ボガーツ」に明らかに集中している。
この「ボガーツの打席における執拗なアウトローのボール判定によって、ボストン側にのみ得点チャンスを作りだす行為」は、このゲームでシャーザーが降板するまで、球審Dan Iassognaによって執拗かつ途切れることなく続けられた。

球審Dan Iassognaは、このイニングで、ボガーツの四球だけで飽き足りず、次打者の左打者エルズベリーのインローの判定でもボール判定を続けまくって四球にさせ、無死1、2塁のピンチを強引に演出した。
だがシャーザーは、無死1、2塁で送りバントをしたシェーン・ビクトリーノの小フライをスライディングキャッチするファインプレーをみせ、その後もペドロイアをダブルプレーに仕留める奮闘ぶりで、このピンチをしのいでみせた。



5回ボガーツ4球目
カウント:1-2
投手:シャーザー
場面:二死走者なし
結果:カウント1-2から「三振」のはずが、ボール判定。二塁打。次打者のエルズベリーにタイムリーが出て、ボストン先制

3回の悪質な判定に続き、打者は、またしてもボガーツだ。明らかに球審Dan Iassognaはボガーツの打席で「仕掛け」ようと狙い続けていた。この打席の4球目の判定も、三振だったはずの3回とまったく同様であり、もし4球目が「ストライク判定」だったら、ボガーツは「三振」で、しかも「チェンジ」だった。この「球審Dan Iassognaの悪質な意図的判定ぶり」には呆れるほかない。
ボガーツに二塁打を浴びたシャーザーは、次の左打者エルズベリーの初球に投げたチェンジアップが甘くなり、先制タイムリーを浴びてしまうことになる。

2013ALCS Game 6 5回ボガーツ判定注:問題の「4球目」が「黒い枠線」の右のライン上にあるように見えるため、「きわどい判定」のように勘違いするかもしれないが、この「黒い枠線」は「ルールブック上のストライクゾーン」を意味しているのであって、実際のストライクゾーンはもっと外に広い。すなわち、この「4球目」は「余裕でストライク」なのだ。

2013ALCS Game 6 5回ボガーツ4球目シャーザー


6回ペドロイア1・2・3球目
カウント:0-0、1-0、2-0
投手:シャーザー
場面:無死1塁
結果:四球

5回に、4球目のストレートで三振だったはずのボガーツが、球審Dan Iassognaのねじまがった判定で三振をまぬがれて打った二塁打が元で1点リードされたデトロイトだが、6回表にビクター・マルチネスの執念の2点タイムリーで逆転に成功する。
だが、直後の6回。先頭のシェーン・ビクトリーノがデッドボールで歩いた後のペドロイアの打席で、またしても球審Dan Iassognaはなんと初球から3球目まで、まったく右手を挙げようとしなかった。結果ペドロイアが歩いて、無死1、2塁の絶対絶命のピンチ。これを「悪質な意図的判定」といわずして、何を悪質というのだ。
だが、シャーザーは動じず、続くオルティーズ、ナポリ、サルタラマキアを3者連続でうちとる入魂の投球をみせ、この大ピンチをしのぎきってみせた。

2013ALCS Game 6 6回ペドロイア123球目シャーザー


7回ボガーツ6球目
カウント:3-2
投手:シャーザー
場面:一死2塁
結果:カウント3-2からボール判定。四球

3回、5回に続き、7回のボガーツの打席でもそれは起こった。
7回の「6球目の判定」も、3回と5回、2つの打席と同じであって、もしこの判定が「正しく、ストライクコールされていたら、ボガーツは三振していた」のである。
このような「もしストライクコールだったら三振」という打席が「ボガーツだけ、3打席続いた」ことになる。こんな悪質な行為を、「偶然」だの「ミス」だのと甘ったるい言葉で済ますようなことはしない。遠慮なく「球審Dan Iassognaの意図的悪意に基づく判定」と言わせてもらう。
球審が故意に作り上げたボガーツの四球によって、1死1、2塁となり、マック・シャーザーは、彼の魂がこもったマウンドから引きずり降ろされた。

だが、球審の判定さえマトモで正気だったなら、ここは本来は「2死2塁」だったはずである。当然、粘りをみせていたシャーザーを監督リーランドが降板させることはなかった可能性がある。さらに、あえてタラレバいわせてもらえば、次打者のエルズベリーをうちとって、それで「チェンジ」だった可能性もある。

だが、実際には、球審Dan Iassognaがボガーツの「故意の四球」によって意図的に作り続けた1死1、2塁のピンチで、エルズベリーの「明らかにダブルプレーにできるショートゴロ」を、ボストンから来た愚鈍なホセ・イグレシアスがハンブルして、ビクトリーノの馬鹿げたグランドスラムを呼び込むことになる。出来過ぎた筋書きである。

2013ALCS Game 6 7回ボガーツ判定

2013ALCS Game 6 7回ボガーツ6球目シャーザー




マックス・シャーザー vs ボストン左打者
インローでのボール判定

ここまで見てきたように、あらゆるボストンの得点とチャンスメイクに、球審Dan Iassognaの「右打者のアウトローのボストン寄り判定」が絡んでいるわけだが、では、「左打者」に関してはそういう愚劣な判定はなかったのかというと、もちろんそんなことはない。上に既に挙げておいた3回の左打者エルズベリー以外の例をいちおう挙げておく。

2013ALCS Game 6 DETの投手 vs BOS 左打者 判定

2回ドリュー2球目
カウント:0-1
投手:シャーザー
場面:二死走者なし
結果:カウント0-1からボール判定。その後三振

下記の図で、2球目の位置が非常にわかりづらいと思う。
というのは、「2球目を示す緑色の円が、4球目を示す赤色の円の『陰』に、ほぼすっぽりと隠れてしまっていて見えにくい」からだ。(目をこらせば、やや右下に緑色部分がほんの少しにじんで見えているのがわかると思う)つまり、それくらい2球目と4球目は同じ位置にあるということだ。
判定は2球目はボール、4球目はストライクだ。いかにこの球審の判定が酷いかがよくわかる。

2013ALCS Game 6 2回ドリュー2球目シャーザー


以下、(3)バックホルツ編に続く。

Damejima's HARDBALL:2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (3)クレイ・バックホルツを含むボストン投手編

October 20, 2013

野球という「自分の好きなスポーツ」を見ていて、こんな不愉快な、というより、胸くそ悪い気分になったことは、非常に珍しい。1球や2球程度の判定のバラつきなら、これほどまでに怒りがこみあげてはこない。
2つのチームで判定を「ボストンはストライク」「デトロイトはボール」と分けた理由を、この悪質な球審 Dan Iassognaに問いただしたいものだ。
Detroit Tigers at Boston Red Sox - October 19, 2013 | MLB.com Classic


以下に可能なかぎりのデータをどんどん追加していく。




元資料

右打者の判定(両チーム併記のオリジナル)
出典:2013年10月19日 ALCS Game 6 DET vs BOS | 球審:Dan Iassogna | BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool | Strikezone Maps
2013ALCS Game 6 Dan Iassogna 右打者の判定

左打者の判定(両チーム併記のオリジナル)
2013ALCS Game 6 Dan Iassogna 左打者の判定



ボストン側判定

ボストンの投手 vs デトロイトの右打者
この図は、上のオリジナルから「ボストンの投手のみのデータ」をブログ側で抜粋したもの。ボストン先発バックホルツがどれほど制球に苦しんでいたか、そして、バックホルツとボストンがどれだけ要所要所で「球審のアシスト」を受けていたか、ハッキリわかる。
例えば、右下あたりに注目してもらいたい。赤色の四角形が「枠の外」に数多くある。これは、「右バッターのアウトコース低めの球が、ストライクと判定されていること」を示している。
こうした赤色の四角形は、ほかにも、ゾーンの真ん中の下あたりにも2つほどある。このうち、より低めに外れているほうが、6回にタイムリーヒットを打ったビクター・マルチネス(右打席)への2球目(ストライク判定)だ。いかに酷い判定だったかが、データ上ではっきり確認できる。

2013ALCS Game 6 BOSの投手 vs DET 右打者 判定



デトロイト側判定

デトロイトの投手 vs ボストンの右打者
この図は、オリジナルから「デトロイトの投手のみのデータ」をブログ側で抜粋したもの。
右下あたりを注目してもらいたい。緑色の三角形が「枠の内側」に非常にたくさん並んでいる。これは、「デトロイト投手の投げた右バッターのアウトコース低めの球が、数多く『ボール』と判定されていること」を示している。
マックス・シャーザーは、こうした球審のあからさまな悪意に満ちた判定に苦しめられながらも粘り抜いた。彼の魂の投球を横を向いてボールと判定し続けた、この外道の球審Dan Iassognaは、いったい何を思いながら判定していたのだろうか。

2013ALCS Game 6 DETの投手 vs BOS 右打者 判定


デトロイトの投手 vs ボストンの左打者
この図は、同じく、オリジナルから「デトロイトの投手のみのデータ」をブログ側で抜粋したもの。
やはり、右下あたりを注目してもらいたい。緑色の三角形が「枠の内側」と「枠の上」に2つほど並んでいる。これは、「デトロイト投手の投げた左バッターのインコース低めの球が、『ボール』と判定された例」を示している。

2013ALCS Game 6 DETの投手 vs BOS 左打者 判定


以降の2つの記事で、各打者ごとの判定と、その判定の行われたシチュエーションを記録し、Dan Iassognaの歪んだ判定がどれだけ試合展開を決定的に左右したかについて、詳細に記録する。

Damejima's HARDBALL:2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (2)マックス・シャーザー編

Damejima's HARDBALL:2013年10月19日、ALCS Game 6、近年最大級の不快なゲーム。マックス・シャーザーの魂のゲームを全てぶち壊した球審 Dan Iassogna の右バッターのアウトローにおける「悪意のボストン寄り判定」 (3)クレイ・バックホルツを含むボストン投手編

October 18, 2013

不幸なことに、エリック・ウェッジといい、ジョー・ジラルディといい、近年イチローの上司になる監督には、どういう巡り合せかわからないが、いわゆる左右病監督が多い。

ちなみに、ここでいう「左右病」とは、根拠もなく昔の野球用語でいう『ジグザグ打線』に執着したがる監督、つまり、「打撃スタッツ、そのチームの選手構成、予算、チームの伝統的オーダー、スタジアムの形状など、数字的な裏付けがどこにもないのに、左打者と右打者を交互に並べた打線を常に組み続けることにパラノイア的なまでの執着を示す監督に対する揶揄」を意味している(笑)


困ったことに、「左右病」という言葉はもともと俗語なので、厳密な意味など決めようがない。しかしそれでも、「左右病」と、アール・ウィーバーやケーシー・ステンゲルの「プラトーン・システム」とを同一視するわけのわからない意見に、同意するわけにはいかない。
なぜなら、「左右病」という病には「汎用性を追求する結果、やがてはスタメン固定に行き着く」という特徴があるからで、そこが「専門性を追求するため、常に流動性を確保しようとする」ことを大前提とするプラトーン・システムと決定的に異なるからだ。


「打者を、左、右、左、右と、交互に並べる戦術」には、「左右、どちらの投手が出てきても、自軍はどのイニングにおいても、『最低ひとりおきには、その投手に対応できそうな打者が打席に入れる打順』を準備しておくことで、相手投手に常にプレッシャーをかけ続け、打ち崩そうとする意図」がある。
もう少し平たくいいかえると、「左打者と右打者を交互に並べておけば、相手投手が左だろうと右だろうと、あらゆるイニングで、どうにか打てる打者が最低ひとりは打席に入るから、毎イニング、チャンスが生まれる可能性をもてる」とでもいうような考え方だ。(逆にいうと、毎回必ず凡退しそうな打者が打席に入る、という意味でもある)

言うまでもなく、こうした「左右病思考」の根源にあるのは、「右投手を打ちやすいのは左打者であり、左投手を打ちやすいのは右打者である」だのという、太古の昔のコンピューターのような、凝り固まった考えだ。(言うまでもないが、この原則は必ずしも打者全員には、あてはまらない)
ここで特筆して覚えておくべきなのは、そもそも「左右病監督」の思考回路には「左投手の得意な左バッター」や「右投手の得意な右バッター」という「例外」が、まるで「想定されてない」ことだ。また、さらに興味深いのは、思考回路にそういう「例外」が想定されてない人間の視界には、例外的バッターそのものが「映像として、映ってすらいない」ことだ。


だからこそ、「左右病監督」の行き着く先は「スタメン固定」に向かうことになる。
なぜなら、「左右に並んでいると効果がある」と信じ込んでいる左右病監督の打線は、下手にスタメンの並びをいじってしまっては、その大事な「骨董品のような並び」が壊れてしまう(と、彼らが考える)からだ。彼らは「左右交互に並べておけば、あらゆるシチュエーションに対応できる」と思い込んでいる。(だからこそ、ウェッジのシアトルとジラルディのヤンキースはまったく同じ「貧打」という末路をたどった

壊れて困るものは、けしていじろうとしないし、いじらせない。
それが頭の固い人間の常だ。


ひるがえって「プラトーン・システム」だが、実施スタイルはさまざまあるにしても、基本は「相手の先発投手の左右にあわせて、それぞれに専用オーダーを用意すること」であったり、あるいは「ひとつのポジションに複数選手を用意して、かわるがわる起用すること」であったりするわけだから、「スタメン固定に向かう」どころか、むしろ根底には「使う選手の大幅な流動化、マルチファンクション化」の発想がある。

だから、いくら現象面が似ているからといっても、時間がたてばやがて使う選手が固着していきやすい「左右病」と、あくまで相手投手の攻略に最適対応できるメンバーを追求し、流動し続けるのが真髄である「プラトーン・システム」の追及する合理性を同一視することは、あまりに馬鹿げている。


ちなみに、オークランドでボブ・メルビンがやっている「オークランド風プラトーン」といわれているものがある。
これは、まずオーダーの軸として、打順とポジションを固定し、毎日上位打線として出場するeveryday player(クリスプ、ラウリー、ドナルドソン、レディック、セスペデス等)を打線の軸にして、そこに、投手が左か右かによって起用を変える「プラトーン的な2つのグループ」(左投手用:フライマン、カヤスポ、ノリス、クリス・ヤング 右投手用:モス、セス・スミス、ヴォグト、ソガード)を組み合わせる、というものだ。

またメルビンはそれだけでなく、2013ALDSのバーランダー先発ゲームの例でわかるとおり、(それが本当に効果的だったかどうかは別にして)右投手攻略のために左バッターを平気で6人並べることもいとわない。
なぜなら、もし「右投手を打ちやすいのは左バッター」ならば、ジラルディがやるように「左右と交互にならべる」なんて中途半端な対応をするより、「打てる確率がより高い左打者だけを、可能な限りたくさん並べておく」ほうが、より目的に近い結果を得られるはず、と、合理性追求魔王メルビンは考えるからだ。


「永遠の左右病」ジラルディも、もしかすると、プラトーンをやっている「つもり」だったりするかもしれないが(失笑)、ジラルディの「左右病打線」は、上の例でわかるとおり、メルビン風プラトーンとはまるで違う。
ジラルディとメルビンの「違い」は、ルアーフィッシングでたとえるなら、「なんでも釣れる汎用性の高いルアーを、たったひとつだけ用意して、あらゆる魚種を釣ろうとするアングラー」と、「釣りたい魚それぞれの専用ルアーを、それも天候の違いやシチュエーションの違いに応じて、必要な数だけ揃えて釣りをするアングラー」の「違い」、みたいなものだ。
結局は自分のお気に入りを固定的に使って左右に並べているだけのウェッジやジラルディのような「固着的」な左右病と、相手投手攻略のための最も効果的な打者を並べるためなら、たとえ毎試合でも打線を組み換えて対処しようとする「流動性」前提のメルビンのような現代風プラトーンとを、いっしょくたにする意味がわからない。


もし仮に、ジラルディが2013ヤンキースで「ボブ・メルビン風プラトーン」をやったとしたら、スプリングトレーニングかシーズン序盤に打撃成績のよかった選手数名を「every player」としてピックアップして、残りの野手を左投手用、右投手用と振り分けてオーダーを考えることになる。
そうなるとオールスター前のヤンキースの場合は、ガードナー、左投手でも打てるイチロー、そして主軸打者のカノーと、上位に打撃成績のいい左打者が3人並ぶことになる。それでも、イチローは左も打てるし、そもそもヤンキースタジアムの形状は左有利だから、何の問題もない。
もし仮に、イチローが「メルビン風プラトーン」でいうevery playerではないと判断するにしても、左打者のほうがより打てるイチローを「右投手用オーダー」に入れるような不合理な処遇は、言うまでもなく馬鹿げた行為だ。
だが、その馬鹿げたことを人前で堂々と実行したのが、ジラルディだ。
ジラルディは、打てようが打てなかろうが、左打者を3人並べることをとことん回避したがったし、また、打てようが打てなかろうが、常に右バッターを2番に挟みたがって、必死に合理性のない左右病打線の維持に執着し、左打者を打てるイチローを右投手だけに起用する馬鹿げた行為を恥ずかしげもなく続けてポストシーズン進出を逃した。




さて、長い余談はさておき。
ここからは、「左右病監督」のやりそうな典型的オーダーを考えてみることにする。


最初のステップとして、「監督が左右病かどうか」を抜きに、「MLBでよくみかけるオーダー」がどういう思考力学からできるのかを考えてみたい。

まずは主軸打者を決めてみる。
ポジション別wOBAからわかるように、打線の主軸は、教科書的になってしまうが、やはり「一塁手」または「三塁手」であることが多い。(もちろんボストンやカンザスシティ、ホワイトソックスのように、DHが4番というチームもあるが、優秀なDHが減っているために、けして多数派ではない。ホワイトソックスがキューバの一塁手アブレウと契約したのは、DHが4番を打つ状態を解消したいという意識のあらわれ。また2013ヤンキースは「3番の二塁手」が主軸だったが、これは明らかに「本来の主軸打者が不在であること」を示している)
資料記事:Damejima's HARDBALL:2013年9月25日、ポジション別wOBAからみた平均的なチーム編成と、かつてのヤンキースの特殊構造との比較。その「アドヴァンテージ」を実はまるで理解していなかった2013ヤンキースの編成の崩壊。

主軸打者になりやすい一塁手の多くは左打者、三塁手は右打者だ。だから
多くのチームの打順で、「一塁手と三塁手を、3番と4番に、どう並べるか」によって、以下の「2つのパターンの典型的オーダーの、どちらか」を選択するケースが多いことになる。
(ARIのような「一塁手が右打者のチーム」では、右の強打者がダブるのを避ける意味でサードに強打者を置くモチベーションは低い。また、以下では「3番と4番のどちらが中心打者か」という議論は捨象する)

パターン1)一塁手を3番、三塁手を4番
(例 TB CHC ジグザグにしやすいオーダー
 TEXの4番は右のベルトレだが、打順は左右病ではない)
1番 左
2番 右
3番 左 一塁手
4番 右 三塁手 例:ロンゴリア
5番 左


パターン2)三塁手を3番、一塁手を4番
(例 DET STL PIT LAD NYM WASなど
 典型的なジグザグにはなりにくい)
1番 左(スイッチを置くケースも稀にある)
2番 右(スイッチヒッターであることも多い)
3番 右 三塁手 例:ミゲル・カブレラ
4番 左 一塁手 例:フィルダー、デービス
5番 右(スイッチを置くチームもある)


まず「三塁手を3番、一塁手を4番に置くパターン2」で、
打順の「1番・2番」に注目してもらいたい。

特に投手が打席に入るナ・リーグでいえることだが、一塁手に名の通った左のスラッガーが多いリーグだけに、左の一塁手の打順を、9番の投手から最も遠い4番に置くパターン2をとるチームは少なくない。
今シーズンのポストシーズン進出チームでみても、STL(マット・アダムス)、PIT(モーノー)、LAD(エリドリアン・ゴンザレス)などの例がある。また、ア・リーグでもDET(フィルダー)の例があるが、フィルダーはもともとナ・リーグの典型的な一塁手だ。
(ARIのゴールドシュミットのように「一塁手が右利き」の場合、「一塁手を3番に置くパターン」もある。この場合は三塁手がスラッガーである必要がなくなるが、ARIには珍しい「右投左打の三塁手」エリック・チャベスが在籍しているため、「3番右の一塁手、4番左の三塁手」というレアなパターンが成り立つ)

「3番4番が右・左」の場合、監督がただ打線をジグザグ化したいだけの人物なら、1番2番を「右、左」にしておくだけで事は済むわけだが(ARIは実際に右左右左)、実際のチームに照らしてみると、むしろ1番は左で、1番から「左、右、右、左」にするチームが圧倒的に多い。

というのも、もともとこの三塁手を3番、一塁手を4番に置くパターン2には、ちょっとした難点があって、たしかに1番2番を「右、左」にしておけば上位打線はすんなり1番から4番までジグザグ化できるわけだが、それだと「右打者が1番」になってしまうのだ。
過去の統計で「左打者のほうが右打者より打撃成績がいい」ことが知られている。実際のチームでも、「よりファーストに近い左バッター」に1番を打たせるチームは多い。
いいかえると、「右の三塁手が3番、左の一塁手が4番を打つオーダー」において、「打線をジグザグ化するという、ただそれだけの目的のために1番を右打者にする、などという強引なやり方で、無理矢理に上位打線をジグザグにしている実例など、ほとんどない」のである。

資料:ここ50年間の左打者と右打者の打撃スタッツ比較例
左打者と右打者ではどちらが打てるか?


実例で多いのは、1番から4番を「左、右、右、左」にするケース。典型的なのはドジャースだ。

デトロイトは、珍しく1番バッターが右打者のオースティン・ジャクソンで、さらにハンターも獲ったから、右右右左と、右ばかりになっている。左右病の蔓延する中、これはかなり珍しい。まぁ、これはたぶん単純な話で、監督リーランドが左右病じゃない、というだけの話だろう(笑)
(ただ、2013ALCSの最中にリーランドは、打てない1番の右打者ジャクソンに業を煮やして下位に下げ、上位打線の打順をひとつずつ繰り上げるという荒業に出た。まぁ、リーランドも、この右打者が続く特殊な打順で万全だと思っているわけでもないようだ)

中には、2番に、純粋な右打者ではなく、スイッチヒッターを置くことで打線にスパイスをきかせることに成功しているチームもある。セントルイスのカルロス・ベルトランや、ピッツバーグのニール・ウォーカーなどがそうだ。
これは、2番にスイッチヒッターを置くことで、2番3番と右が続くのを避け、打線により広いバリエーションをもたせるちょっとした工夫だが、これがなかなか思いのほか効果があることを示している。クリーブランドでも、ニック・スイッシャーがたまに2番を打つことがある。

ボルチモアの打順はちょっとした特殊性があって、左の一塁手クリス・デービス、右の外野手アダム・ジョーンズと、左右の強打者がバランスよく揃っているにもかかわらず、思いのほか打順には苦労が多い。
ジグザグ好きのジラルディがボルチモアの監督なら、「1番左のマーケイキス、2番右のマチャド、3番左デービス、4番右ジョーンズ、5番スイッチのウィータース」とジグザグに組んで終わりにしそうだが(笑)、ならば、それで162ゲームいけるかというと、案外そうでもない。
というのも、左の一塁手クリス・デービスは、確かにホームランは打ちまくってくれるが、残念なことに、3番タイプではないからだ。おまけに、打率が極端に悪化する時期が必ずといっていいほど来る。
では、デービスを4番に置いておけば打順は絶対的に安定するか、というと、上の「一塁手が4番」という例ではないけれど、どういうものか、こんどは1番がどうも安定しなくなる。ロバーツも衰えたし、マクラウスもイマイチ。そもそもボルチモアには、マーケイキス不在時の穴を埋められる1番向きのバッターはいないのだ。
そんなこんなで、ボルチモアの打順は常にフラフラする。


グダグダと横道にそれてばかりいるが(笑)、要するに言いたいのは、打線をジグザグ化することを至情の快楽、生き甲斐としている「左右病監督」にとっての理想的なオーダーは、打線の並びが複雑化する傾向のある「三塁手に3番、一塁手に4番をまかせるパターン」ではなく、こむつかしいことなど何も考えなくても、打線をすんなりジグザグ化できて、なおかつ長期間にわたって固定化できる「三塁手に4番をまかせてジグザグ化するパターン」のほうだ、ということだ。

「永遠の左右病」ジラルディの思考回路の中では、怪我とステロイドさえなければ、すんなりヤンキースは「本来の、左打者と右打者が交互にきちんと並んだ打線」を取り戻すことができて、ワールドシリーズにすら出られそうだとか思っているのかもしれない(笑)

「左右病患者」ジラルディの「思考回路の中にだけ」存在している「本来の」ヤンキース
1番 左 ガードナー
2番 右 「本来」なら、ジーター
3番 左 カノー
4番 右 「本来」なら、Aロッド
5番 左 「本来」なら、テシェイラ


だが、ジラルディやニューヨークメディア、ブロガーなどの「思考回路の中にだけ存在している、『本来の』ヤンキース打線」とやらが、近年、一度でも理想形で機能したことがあるか。


まぁ、言わせてもらえば、老化し、怪我にまみれ、ステロイドの抜けたヤンキースでは、ジラルディの思い描くような「思考回路の中にだけにしか存在しない左右病打線」は、単なる「絵に描いた餅」でしかない。
編成予算の大半をくいつぶしている「怪我がちな高額サラリーのスペランカー」を常に複数かかえながら、それでもジラルディが「理想的な左右病打線」とやらにこれからもこだわり続けるなら、本来必要だった質と数の2倍の選手補強が必要になるのなんて、当たり前に決まっている。なぜって、Aロッドもジーターもテシェイラも、給料もらうだけで働かないからだ。

世の中の、どこに、昔のジータークラスの打てるショート、他チームの主軸を打っている三塁手にひけをとらない三塁手、テシェイラクラスの攻守を両立できる一塁手、これらすべてのポジションで、「本人と、本人が怪我だの出場停止だので休んでいる間の補強選手」という意味で、それぞれ「2人ずつ」雇えるチームがあるというのだ。

馬鹿も休み休み言ってもらいたい。

ヤンキースは本来なら「チーム力が下がって当たり前」のチームだ。なのに、そんなチームで「打者を左右に並べるなどという、たわいない、たいして効果があるわけでもない、無駄なこだわり」を続けている監督が「害毒」でない、わけがない。

October 16, 2013

ジャスティン・バーランダー登板時にみられる「左バッターのアウトコースの投手有利な判定」について、なんとなく調べ続けていたら、まぁ、どういう理由でこんなにたくさん書かれたのか知らないが、過去に、それもとりわけ「ポストシーズンでの判定」について書かれた記事が、あるわ、あるわ(笑)
どれもこれも、どこか怒りのこもった記事ばかりなのが困りものではあるが(苦笑)、それにしても、この数の多さ(笑)あんまり多いので、ついでだからコレクションしておくことにした(笑)


それにしても面白いのは、大半の記事が異口同音に「アウトコースの判定」を問題にしていることだ。どうやら、この「問題」の存在に気がついた人の数は、かなりの数にのぼるとみた。
この「ポストシーズンにおけるバーランダー優遇現象」が観測され続ける理由はなんだろう。バーランダーがよほど「左バッターのアウトコース」にばかりいい球を投げているのか、もしくは、「バーランダーにだけ好意的なアンパイア」が世の中に溢れかえっているのか、はたまた、「バーランダー嫌いのファン」が世の中に溢れているのか。どれが正解なのか、教えてもらいたいものだ(笑)


記事1
2011 ALDS Game 3 DET vs NYY
におけるバーランダー有利な判定(サバシアへの判定との比較)
Comparing strike zones for Sabathia and Verlander - Baseball Analytics Blog - MLB Baseball Analytics
サバシアが5回1/3(7安打4失点)しかもたず、当時まだセットアッパーだったラファエル・ソリアーノが、デルモン・ヤングに決勝ホームランを打たれて敗戦投手になったゲームだ。
ちなみにヤンキースはデトロイト時代のデルモン・ヤングには煮え湯を飲まされ続けていて、2011ALDSで3本、2012ALCSでも2本、合計5本ものホームランを打たれ、36打数12安打9打点とさんざんな目にあわされ、2度敗退する原因となった。
記事によれば、このGame 3で 「ゾーン外の球がストライク判定された割合」は、サバシア7.3%に対し、バーランダーはその約2.7倍、19.6%もの数字になるという。

この試合の球審は、「ゾーンの狭さ」と「判定の確かさ」の2つで有名なMLBアンパイア界の巨匠Gerry Davis(第3回WBCの日本ラウンド 日本対中国戦の球審をつとめたアンパイア)なだけに、2人の先発投手の判定にそこまで差が出るものなのかどうか、ちょっと信じがたい部分もないではないが、記事に掲載されたデータで見るかぎり、たしかに左バッターの場合の判定が「バーランダーだけ」甘くなっている。
Damejima's HARDBALL:2013年3月3日、WBCファースト・ラウンドにみる「MLB球審のストライクゾーン」とゲーム内容との関係 (1)基礎知識編

October 3, 2011 American League Division Series (ALDS) Game 3, Yankees at Tigers - Baseball-Reference.com

ちなみに2011ALDSといえば、Game 5で、この年の7月末にデトロイトにトレードされたばかりのダグ・フィスターがNYY相手に5回1失点と好投したのが懐かしい。リーランドはこの試合でも、2013ALDSのOAK戦でやったようにシャーザーをリリーフ登板させ、必勝態勢をひいている。
かたや、ジョー・ジラルディも、当時のエース、サバシアをリリーフ登板させているが、サバシアはこの2011ALDSでヤンキース投手陣では最も多くの失点をしている投手であって、たとえリリーフといえど、負けられないGame 5で使う意味が全くわからない。おまけにジラルディは、5回の2死2塁でミゲル・カブレラを敬遠させる弱気な策をとって、勝負どころに強いのがわかりきっているビクター・マルチネスに無理な勝負を挑み、決勝タイムリーを打たれている。(おまけに、1失点しているサバシアを次の6回も投げさせた)
ま、振り返ってみれば、ジラルディはイチローが移籍する前から勝負どころではいつも「謎采配」をする監督ではあったのだ(笑)
Damejima's HARDBALL:2011年10月6日、フィスター5回1失点の好投で、ALDS Game 5の勝ち投手に。デトロイトがヤンキースを破って、テキサスとのALCS進出!

October 6, 2011 American League Division Series (ALDS) Game 5, Tigers at Yankees - Baseball-Reference.com

記事2
2012 ALDS Game 5 DET vs OAK
におけるバーランダー有利な判定
Strike-Zone Controversy During ALDS? | A Good Sports Hang
デトロイトがオークランドを6-0のシャットアウトで下し、2012ALDSの勝ち抜けを決めたゲーム。球審はWally Bell。オークランド先発はジャロッド・パーカー。
オークランドは、クリスプ、ドリュー、セス・スミス、レディックと、上位に左バッターを4人並べたが、その4人で合計9三振を喫するという惨憺たる結果に終わっている。
翌2013年のALDS Game 5でオークランドは、前年を上回る6人もの左バッターを並べてバーランダーに挑んだが、やはり0-3のスコアでシャットアウト負けし、シリーズ敗退している。
October 11, 2012 American League Division Series (ALDS) Game 5, Tigers at Athletics - Baseball-Reference.com


記事3
2012 ALCS Game 3 DET vs NYY
におるバーランダー有利な判定(フィル・ヒューズへの判定との比較)
Rejection By Zoubek: One of the Many Benefits of Being Justin Verlander
ヤンキースが1-2のクロスゲームで敗れ、シリーズ3連敗となったゲームだ。球審は、本来はゾーン全体が狭いというデータをもつが、気まぐれな判定ぶりで何をするかわからないSam Holbrook。結果的にヤンキースはそのまま次のゲームでも敗れ、スイープを食らった。
記事によれば、このゲームでバーランダーは、左バッターのアウトコースの判定で、ゾーン外の球を10球程度ストライクと判定されている。その一方、フィル・ヒューズは、5球程度のゾーン内の球を「ボール判定」されている、という。
Sam Holbrookに関する記事:Damejima's HARDBALL:2011年4月15日、Sam Holbrookの特殊なストライクゾーンに手こずったジェイソン・バルガス。バルガス、松阪、コーファクスのピッチングフォーム比較。

この2012 ALCS Game 3で、ヤンキースのチーム初ヒットを打ったのがイチローなら(4回 レフト前)、ただひとり2安打して気を吐いたのも、イチローだ。
だが、試合後のデータをみればわかるとおり、2人の左打者ガードナー、グランダーソンはノーヒットに終わり、左のカノー、左打席のテシェイラも精彩はなかったように、ヤンキースの左バッターは全体としてはバーランダーに抑え込まれた。
October 16, 2012 American League Championship Series (ALCS) Game 3, Yankees at Tigers - Baseball-Reference.com

記事4
年々縮小していく傾向にある「バーランダーの速球につきものの有利なアウトコース判定」
Verlander's Fastball Losing Favor with Umps - Baseball Analytics Blog - MLB Baseball Analytics
かつて100マイルを誇ったバーランダーのストレートだが、その球速が最近になって低下していくのにしたがって、「バーランダーの投げるストライクゾーン外の速球がストライク判定されるパーセンテージ」も年々下がってきてますよ、という主旨の記事。
記事によれば、「ゾーン外の球がストライク判定される率」は、2011年にバーランダーが「16.4%」と高く、この数字より高いパーセンテージをもつ右投手は、リヴァン・ヘルナンデス、フィスター、マーカム、ボーグルソン、ダン・ヘイレン、コルビー・ルイス、ロイ・ハラデイくらいだという。


記事5
2013年に「ストライクゾーン外の球を、最も多くストライクとコールされた投手ランキング」(バーランダーは第3位)
Which Pitchers are Getting Calls, Getting Squeezed? - Baseball Analytics Blog - MLB Baseball Analytics
この記事によれば、「ストライクゾーンを外れた球を、最もストライクとコールされやすい投手」は、どういうわけか、ほとんどが「右投手」ばかりらしい。(アレックス・コブ、カイル・ローシュ、バーランダー、デンプスター、ピービー、バックホルツ、マカリスター、ヘリクソン、ケビン・スロウウィー、マット・レートスの順。逆に、ゾーン外の球を「ボール判定」されてしまいやすいのは、マット・ハービーやジョー・ソーンダースらしい)

だが、確かにALDS Game 5で、有利な判定を受けたとされるバーランダーは「右投手」だが、対戦相手のソニー・グレイだって「同じ右投手」だ。
だから、この程度の「寄せ集めのデータ」では、「右投手が左打者に投げるアウトコースのゾーンは一般に広い」と断言することなど、もちろんできない相談だし、ましてや、「バーランダーのアウトコースのストライクゾーンが、ソニー・グレイに比べてやたらと広かったこと」を、「バーランダーが右投手だから」と説明して済ますことはできない。
こういう記事だけ読んで、「MLBのアンパイアには、右投手が左打者のアウトコースに投げた場合、ストライクゾーンが広く判定されやすくなる傾向がある」と思い込んでも、それはまったく意味がない。



さて、こうしてポストシーズンでのバーランダーのことを書いていると、2012ALCSにおけるイチローの活躍を、あらためて書き起こしたくなってくる。

2012 ALCS Game 1
0-4と、4点リードされて迎えた絶体絶命の9回裏、当時のデトロイトの守護神ホセ・バルベルデから打った起死回生の2ランは忘れられない。初球のど真ん中の速球を見逃した後、バルベルデが投じたインコースいっぱいの速球を振り抜いた。この試合、イチローは2ランを含む4安打。爽快な試合だった。

Damejima's HARDBALL:2012年11月9日、2012オクトーバー・ブック WS Game 4でフィル・コークが打たれた決勝タイムリーを準備した、イチローの『球速測定後ホームラン』 による『バルベルデ潰し』。

October 13, 2012 American League Championship Series (ALCS) Game 1, Tigers at Yankees - Baseball-Reference.com



2012 ALCS Game 3
左バッターにとって、「ポストシーズンで対戦するのは鬼門」とさえいえる右腕バーランダーから、イチローが2安打したゲーム。
速球の衰えがささやかれるバーランダーが、打者を追い込んでから投げる最近の勝負球のひとつが、独特の握りから投げる「チェンジアップ」であることはよく知られているわけだが、イチローの4回のチーム初ヒットは、フルカウントからその「チェンジアップ」を打ったもの。
この記事で書いてきたことでわかるように、「バーランダーがポストシーズンで左バッターに投げるアウトコースの球」は、たとえストライクゾーンから外れていても、ストライク判定されやすい。それをしっかりヒットにしたのだから、たいしたものだ。
左バッターにとって非常にやっかいな「バーランダーのアウトコースの球」を、それもバーランダー有利な判定が頻発するポストシーズンにヒットにするのがいかに難しいかを知れば、このGame 3におけるイチローの2安打の奮闘ぶりが理解できるはず。
October 16, 2012 American League Championship Series (ALCS) Game 3, Yankees at Tigers - Baseball-Reference.com


やはり、どこをどうみても、シアトルから移籍してシーズンの半分だけ過ごした2012年ヤンキースで、ポストシーズン終了まで粘り強く活躍しつづけたイチローが、翌2013シーズンの開幕を「下位打線から再度始めなければならない理由」など、まったく、1ミリも、見つからない。

そもそも、上に挙げたイチローのヤンキース移籍前の、NYY対DETの2011ALDSでのヤンキースの打撃スタッツをみればわかることだが、2011年のポストシーズンの時点で既に、ヤンキースが「勝負どころになると全く打てないチーム」であることは明確になりつつあった。
2011ALDSでいえば、打線全体で5試合で50三振、1試合あたり10三振を喫して、シリーズ敗退。テシェイラ、Aロッド、ラッセル・マーティンの3人は打率1割台でまるでアテにならず、その打てない3人に、ニック・スイッシャー、ジーター、グランダーソンを入れた6人でも、ホームランはたった2本しか打ててない。

つまり、2013年は怪我人が多かったから打てない、のではなく、「怪我人が出まくる前から、見た目ほど打ててはいなかった」というのが正しいわけだ。

近年のビッグネームを並べただけのヤンキース打線の中身がスカスカになってきていたことに誰ひとり気がつかなかったのは、単に、ヤンキースにカネはあっても、分析力は無い、ただそれだけのことである。ジラルディとの4年契約をみても、「ヤンキースの分析力の無さ」ははっきりしている。

Dave DombrowskiDave Dombrowski

Yahoo SportsのJeff Passanが書いたデトロイト・タイガースの社長兼GMデーブ・ドンブロウスキーの手腕に関する記事を面白く読んだ。
「あのヒューストンがこの3年間で最も多く負けたシーズンですら111敗だというのに、2003年に119敗もしているデトロイトを3年連続でALCSに進出できるチームに変えた」とJeff Passanが書いた「かつてのデトロイトがどれほど弱いチームだったかを示すためのたとえ話」が、ヒューストンのファンにはたいへん申し訳ないのだが、なんともリアリティがあって笑ってしまった(笑) まぁ、興味があれば読んでみてもらいたい。
From a 119-loss team to a perennial power, Dave Dombrowski has spun magic for Tigers - Yahoo Sports


この記事の基本的な主旨のひとつは、このブログの以下の記事で、デトロイトについて書いた部分とまったく同じだ。
Damejima's HARDBALL:2013年9月19日、「2000年代中期までのドラフト上位指名の成果」と、「2010年代の選手層の厚み」との関係。「もともと育ちの悪かった植物」に、突然、大量の肥料を与えだしたヤンキース。
エッセンスだけもういちど書くと、ア・リーグ東地区の有力チームは2000年代中期までのドラフトをベースに現在の基本戦力を整えたが、デトロイトはそれらのチームとは手法が違っていて、「2000年代のドラフト上位指名選手を容赦なくトレードの駒にするというやり方で、現在の戦力を整えた、というのが主旨である。


ただ、Jeff Passanの記事を読むときに気をつけるべき点はある。

上っ面だけ読むと、まるで「2003年に119敗という最悪なシーズンを経験したデトロイトに、救世主ドンブロウスキーが2003年以降にGMとしてやってきて、見事なテコ入れに成功した」とか、勝手に思い込んでしまう人がいるかもしれない。
だが、ドンブロウスキーがデトロイトGMになったのが「2001年」であることを忘れてはいけない。
デトロイトが、MLBワースト記録(120敗 1962年メッツ)寸前の「119敗」を喫したのは2003年だが、これは2006年にジム・リーランドが監督就任する前の「アラン・トランメル監督時代」(2003年就任、2005年10月3日解任)で、その最悪シーズンだった2003年時点のGMだって、やはりドンブロウスキーだったのだ。
(注:トランメルは1980年代を中心に活躍したデトロイト生え抜きのショートストッパーで、フランチャイズプレーヤー。現在はアリゾナのベンチコーチ)

要するに、ドンブロウスキーのトレード手腕がどれほど素晴らしいにせよ、その有能な選手たちを上手に使いこなせる手腕をもった「監督」をみつけてこないことには、どうにもならないのが、野球というものだぜ、ということだ。

近年のデトロイトの栄光を、監督リーランドの統率力をまったく抜きにして、「GMドンブロウスキーだけの功績」と讃えてしまうなら、それはあまりに問題がありすぎる。
トランメルはデトロイト生え抜きのスタープレーヤーのひとりだったが、監督としては能無しで、かたや、リーランドは選手としては同じデトロイトの2Aモントゴメリーのキャッチャーで終わった程度だが、監督としてはとても優秀だったのだ。



さて、話を元に戻して、Jeff Passanの記事にある「ドンブロウスキーのこの10年のトレードリスト」を挙げてみよう。

ちなみに、元記事にはそれぞれの選手のドラフトイヤーが書かれていないので、こちらで付け加えておいた
照らし合わせれば、このブログで「デトロイトは、ア・リーグ東地区の各チームと違って、2000年代のドラフト上位指名選手を容赦なくトレードの駒にするというやり方で、現在の戦力を整えた」と書いたことの意味が、どれほどリアリティのある話かがわかるはずだ。

放出した選手

Curtis Granderson  2002年 ドラフト3位
Cameron Maybin  2005年 1位
Andrew Miller  2006年 1位
Avisail Garcia  2007年 アマチュアFA
Jacob Turner  2009年 1位
Rob Brantly  2010年 3位
Charlie Furbush  2007年 4位
Chance Ruffin  2010年 1位
Casper Wells  2005年 14位
Burke Badenhop  2005年 19位
Eulogio de la Cruz  2001年 アマチュアFA
Mike Rabelo  2001年 4位
Brian Flynn  2011年 7位
Francisco Martinez
Giovanni Soto  2009年 21位
Dallas Trahern  2004年 34位
Danry Vasquez


獲得した選手
(カッコ内は元の所属チーム)

Miguel Cabrera  4番打者 サード(FLA)
Max Scherzer  ローテーション投手(ARI)
Anibal Sanchez  ローテーション投手(MIA)
Doug Fister  ローテーション投手(SEA)
Austin Jackson  1番打者 センター(NYY)
Jhonny Peralta  ショート、レフト(CLE)
Jose Iglesias  ショート(BOS)
Omar Infante  セカンド(FLA)
Jose Veras  リリーフ(クローザーも可能 HOU)
Phil Coke  リリーフ(NYY)


「デーブ・ドンブロウスキーのこの10年間のトレードリスト」が驚嘆に値するのは、「獲得した選手」に三冠王ミゲル・カブレラはもちろんのこと、他チームが涎を垂らして欲しがるレベルのローテーション・ピッチャーがなんと3人もいることもさることながら、その一方で、「デトロイトが放出した若手」で、移籍先で大成した選手がひとりもいないことだ(笑)(いうまでもなくグランダーソンはNYY移籍前にすでに30ホームラン打った29歳の選手だし、ドラフトされたばかりの若手とはいえない)

前にも書いたことだが、ドンブロウスキーは、誰彼かまわず若手を手当たり次第に放り出してきたわけではない。ジャスティン・バーランダー(2004年ドラフト1位 全体2位)とリック・ポーセロ(2007年ドラフト1位 全体27位)のように、手元に置いておくと決めた若手選手もいて、それらの有望選手たちはデトロイト内部で成長を遂げさせることに成功しているのである。


だから、もしもデーブ・ドンブロウスキーにインタビューするチャンスがあったら聞いてみたいと思う質問は、「来年のデトロイトに欲しいのは、どの有名選手か?」などという、ありきたりのわかりきった話ではない。

聞いてみたい質問は、2つ。
ひとつは、それぞれの勝ちトレードにおいて、「なぜこのチームのジェネラル・マネージャーなら、普通なら放出しそうもない有力選手を放出してくれそうだ、と思えたのか?」という点。そして2つ目に、「放出する若手を選ぶにあたって、なぜこの選手はいらないとわかったのか?」という点だ(笑)

もちろん、その質問の回答はきちんとプリントアウトして、マーリンズやマリナーズのジェネラル・マネージャーのデスクパッドの真ん中にそっと置いて帰りたいと思う(笑)

参考記事:
Fister returns to haunt Mariners again - SweetSpot Blog - ESPN

Curveball key to Fister's recent success | tigers.com: News

October 14, 2013

2013ALDS Game5 Tom Hallionのバーランダー優遇判定
元資料:2013ALDS Game 5 | BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool | Strikezone Maps


これは、デトロイト対オークランドの2013ALDS Game 5における、球審Tom Hallion左打者における判定マップである。例によって、示されているのは「打者の見逃した球の判定」のみであり、「全投球を示す」ものではない。

四角形のドットは、ソニー・グレイ先発のオークランドの全ピッチャー、三角形のドットが、デトロイトのピッチャーの投球(先発ジャスティン・バーランダーとクローザーのホアキン・べノア)を示す。
図は「アンパイア目線」で描かれているため、向かって、左側は三塁側、右側が一塁側である。また、赤いドットは「ストライク判定」、緑色のドットは「ボール判定」を意味する。

黒い実線の大きな四角形は、「ルールブック上のストライクゾーン」、斜線で区切られた四角の部分は、「標準的なMLBの球審の使うストライクゾーン」である。
図をみてわかるとおり、実際のゲームで球審が使う「左バッターのストライクゾーン」は、ルールブック上のゾーンよりも、はるかにアウトコース側が広大にできている。このことは、これまで何度も説明してきたとおりだ。
参考:Damejima's HARDBALL:2010年10月29日、MLBのストライクゾーンの揺らぎ (2)2007年の調査における「ルールブックのストライクゾーン」と、「現実の判定から逆測定したストライクゾーン」の大きな落差。

------------------------------------------------

さて、図をダブルクリックして、別窓に大きな画像として開いてみてもらいたい。

図の「左側のピンク色の部分」に、非常にたくさんの赤色の三角形が並んでいること、そして、同じエリアの四角形は、そのほとんどが緑色になっていること、がわかる。

これは、「MLB特有の『左バッターのだだっ広いアウトコースのストライクゾーン』と、そのさらに外側のボールゾーン」において、
デトロイトのピッチャーが、左バッターのアウトコースに投げた投球のうち、明らかにボールと思われる4球ほどを含め、かなりのパーセンテージが「ストライク判定」されていること

そしてその一方で、
ソニー・グレイをはじめとするオークランドのピッチャーが、同じく左バッターのアウトコースに投げたきわどい投球では、その大半が「ボール判定」されていたこと
を意味する。

------------------------------------------------

もちろん、前の記事で書いたとおり、オークランドのALDS敗退の主原因は監督ボブ・メルビンの投手起用ミスにあると思うし、その判断がこのデータによってくつがえることはない。
Damejima's HARDBALL:2013年10月13日、ボブ・メルビンのALDSにおける自滅。相反する「カオス的世界」と「リニアな個人」。


だが、この試合の球審Tom Hallionの判定の酷さについては、後世のオークランドの名誉のためにも、記録のひとつとして残さないわけにはいかない。

バッティング面でいうと、オークランドは右腕バーランダーを打ち崩す目的で、好調の1番ココ・クリスプ以外にも、5番から9番まで、合計6人の左バッターを打線に並べていた。
球審の左バッターのアウトコースの判定がこれほど偏っていたのでは、オークランドの左を並べた打線の狙いが無意味になってしまいかねない。
(ちなみに、バーランダーが「左バッターとの対戦」のほうが三振をとりやすく、四球をだしやすいというデータはあるが、「右バッターより、左バッターに特に弱い」という顕著なデータはない Justin Verlander Career Pitching Splits - Baseball-Reference.com

また、ALDS Game 2で信じがたいほどの快投ぶりをみせていた若いソニー・グレイが、Game 5では一転してランナーを出しまくる不調ぶりをみせた理由にしても、原因の大半は彼自身の「経験不足」や「度胸不足」にあるにしても、球審Tom Hallionのこれほど偏った判定ぶりに左右された部分もあったことを、あえて言い添えておきたいと思う。

とりわけ、グレイはこのゲームで、デトロイトの左バッターの代表である5番ビクター・マルチネスに3安打されている(他に3安打以上した打者はいない)のをはじめ、7番アレックス・アビラと9番ドン・ケリー、2人のバッティングのそれほどよくない左打者に、合計3四球を与えている。
右打者には、ミゲル・カブレラの2ランを除けばそれほど痛打されていないだけに、球審の判定の偏りによって、グレイにかかる左バッターのプレッシャーが非常に大きくなったことは、想像にかたくない。

------------------------------------------------

ソニー・グレイがこれから経験するMLBは、ときとしてこうしたおかしな判定に遭遇する、やっかいな場所でもある。

ソニー・グレイが今後、豊かな経験を得ることを通じて、こうした判定上の不利にも動じないピッチングのできる、度胸の座った投手に育つこと、さらに、こうしたゲームでは球審の判定の歪みを逆に利用できるほどの狡猾さも身につけること、そして、ヴェテラン球審にさえ「この大投手なら、このコースはストライクとコールしなくてはしょうがないだろう」と思わせるような、バーランダークラスの大投手になることを、祈ってやまない。







2年連続地区優勝を果たし、レギュラーシーズンでは十分に最優秀監督賞に値する働きを示したボブ・メルビンだが、ALDSでは投打のタレントの揃ったデトロイトを2勝1敗と追い詰めておきながら、メルビンの投手交代ミスでシリーズの流れを明け渡してしまい、あえなく敗退することになった。勝ちぬけるチャンスが十分あっただけに、もったいない。
(日本のプロ野球セ・リーグCSで、阪神の和田監督が、広島戦の先発投手として「藤浪」を選択する一方で、ヴェテランの能見投手をとうとう使わないまま敗退したばかりだが、メルビンと和田、2つの敗退が意味的に似ているのは確かだ)


敗退の直接の原因は、ハッキリしている。
ボブ・メルビンの投手起用が的確でなかったこと」だ。

そして、遠因(というか、たぶんこちらが真の原因だと思うのだが)は、野球における才能や経験の有無ではなく、「メルビンの性格が、よくいえば慎重で論理的、悪く言えばスピードに欠け、後手に回りやすく、どこか弱気で、決定的な選択を回避しがちで、農耕的。全部をまとめていえば、『リニア』であること」にあると思う。


たとえでいうなら、レギュラーシーズンが、春の田植えから秋の稲刈りまで連綿と作業が続く稲作のような、定住農耕民的な世界だとするなら、他方、ポストシーズンでの戦いは、いわば「血なまぐさい狩り」だ。

狩り」は、定住して畑を耕すような「必然性や因果律、約束事に縛られたリニアな世界」と違い、運やミスなど「偶然性にまみれたカオス的世界」だ。(注:カオスにおける偶然性には一定の「法則性」があり、それは無原則でもランダムでもない 参照:Damejima's HARDBALL:2012年11月9日、2012オクトーバー・ブック WS Game 4でフィル・コークが打たれた決勝タイムリーを準備した、イチローの『球速測定後ホームラン』 による『バルベルデ潰し』。

そして「狩り」は、どこか血なまぐさい。ライオンが獲物のクビをへし折って確実に絶命させておいてからおもむろに食らうように、「獲物を仕留めるべきところ」では必ずトドメを刺す必要がある。


ALDS Game 4
OAK 1 0 0 0 2 0 1 0 2  6
DET 0 0 0 0 3 0 2 3 x  8
Oakland Athletics at Detroit Tigers - October 8, 2013 | MLB.com Classic

ALDS第4戦は、まさにオークランドにとって、「トドメを刺しそこなった狩り」だ。チェスや囲碁将棋に限らず、どんな勝負事でもそうだが、トドメを刺しそこなったら、流れは簡単には戻ってこない。
オークランドはこのゲームで一時は3点リードしている。だが、ゲーム終盤に死にかけたデトロイトに自らのミスで勢いを与えてしまい、息を吹き返したデトロイトに、この重要なゲームを与えてしまった。

終盤まで追いつ追われつの展開だったが、このポストシーズンでのデトロイトのキーマンのひとりになっているビクター・マルチネスの技ありのソロホームランを浴びて、5-4と1点リードを許した7回裏までの展開は、やむをえないし、それほど心配する必要もない。
なぜなら、「常に『クローザーというアキレス腱』を抱えるデトロイトという対戦相手は、1点差くらいなら、取り返しがつくチーム」だからだ。
去年までのクローザー、ホセ・バルベルデのセーブ失敗にもさんざん泣かされ続けたデトロイトだが、今のクローザーのベノワにしても、けして安定してはいない。だから、1点差くらいなら、たとえ9回裏でもなんとかなる。


だが、メルビンが8回裏に、2013レギュラーシーズンでERA6.04とまったく結果を残せていないブレット・アンダーソンを登板させたことは、致命傷だ。なぜならこれが「取り返しのつかないミス」だからだ。

7回表、デトロイト監督リーランドは思い切って2013サイ・ヤング賞最有力候補のマックス・シャーザーをリリーフ起用した。だが、この試合のシャーザーはコントロールが最悪で、1失点した上に、8回表には無死満塁のピンチを招き、このときデトロイトは一度死にかけた。
だが、無死満塁でのジョシュ・レディックの不用意な三振がきっかけで、死にかけのシャーザーは息を吹き返してしまい、その後の気迫のピッチングで失点を防ぎきってしまう。オークランドはトドメを刺しそこなった。




問題のメルビンの「アンダーソン起用」は、その「トドメを刺しそこなった」直後の重要な采配だった。
このとき、メルビンがなぜこういう「弱気な投手起用」をチョイスしたのかが、わからない。なぜなら、あの時点でマウンドに上がるオークランドの投手が対峙するのは、シャーザーが珍しく見せた「火を噴くような気迫」が野手に乗り移った「火の玉 デトロイト打線」だからだ。レギュラーシーズンですら実績を残せなかったアンダーソンでは、明らかに、この場面を乗り切るのに必要な経験も実績も足りなかった。

その後、点差が4点に広がってゲームが決まってしまった後で、オークランドはホワキン・ベノワを予定通り攻めてようやく2点返したが、結局、デトロイトの逃げ切りを許した。つまり、9回の攻撃がいくら「惜しい攻撃」のようにみえたとしても、結局それは4点差では「後手に回ったことの証」にしかならないのだ。

シャーザーをリリーフに使うという「老将ならではの気迫」を采配に見せたリーランド。勢いのないアンダーソンを使うことで、「この試合は負けてもいい、あと1試合あるさ」とでもいうような「農耕民的な緩み」をみせたメルビン。2人の指導者の選択の差が、試合結果に出た。


ALDS Game 5
DET 0 0 0 2 0 1 0 0 0  3
OAK 0 0 0 0 0 0 0 0 0  0
BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool | Strikezone Maps
第4戦で「狩り」に失敗したメルビンは、第5戦先発に、どういう意図からかはわからないが、ヴェテランのバートロ・コロンではなく、ALDSで2度目の先発となる若いソニー・グレイを抜擢した(もちろん、この先発投手の選択の是非が後にファンの議論を巻き起こすことになった)
結果的には、若いグレイは、シリーズを決めるゲームのプレッシャーに押しつぶされてしまったようで、コントロールがまるで定まらなかった。またメルビンは、リーランドがあのシャーザーにリリーフ登板を命じたように、グレイやコロンにリリーフをやらせるような臨戦態勢も選択しなかった。

だが、第5戦での最大の失敗は、メルビンがグレイを先発させたことより、むしろ、メルビンが、グレイの調子がよろしくないことがハッキリした時点で、「今日ですべてが決まるというゲームだから、グレイに長いイニングをまかせるのは諦め、早めに投手を替えることにしよう」と、「先を読む」こと、「敗退を予防する」ことをせず、むしろかえって、グレイをとことん引っ張ってしまったことにある。
この選択ミスにより、「オークランドだけが守勢に回らされ続けてしまう苦しい展開」が長く続いてしまい、「攻撃のターンが、オークランドに変わる」のを妨げた。


このゲームのBox Scoreを見ただけではわからないことだが、ボブ・メルビンは、先発ソニー・グレイが4回から6回まで、3イニング続けてピンチを招くそのたびに、ブルペンでダン・オテロに肩を作らせ続けた。(そして結果的にいえば、オテロはマウンドに上げてもらいさえすれば、いつでも好投が可能な状態だった)
だが、メルビンには、調子の悪いグレイを諦め、継投に入ることによって「無駄な失点を防ぐのと同時に、攻撃のターンをたぐり寄せるチャンス」が何度も何度もあったにもかかわらず、グレイを引っ張り続けたために、ようやくオテロがマウンドに上がったときには、6回表にグレイがノーアウトで2人のランナーを出し、にっちもさっちもいかないシチュエーションだった。

そしてさらに問題だったのは、このとき既にオークランドの野手があまりにも長時間に及んだ守備による消耗で、エネルギー切れを起こしていたことだ。
リリーフのダン・オテロは、3度も肩をつくったにもかかわらず、6回の無死1、2塁のピンチで、2人のバッターに続けて内野ゴロを打たせることに成功している。だが、既に消耗している内野手のミスが2度続き、オークランドはダブルプレーに2度も続けて失敗して、シリーズ敗退を決定づける3失点目を喫した。

明らかにこれは、メルビンがソニー・グレイを早めに諦めることを決断することによって、ゲームを落ち着かせ、さらにゲームのテンポをオークランド寄りに修正し、オークランドの野手が守備ではなく「バッティングに集中できる時間帯をつくる」のを怠ったのが原因だ。
(よくバレーボールの試合で、ピンチになると監督がタイムアウトをかけて得点リズムを変えるが、あれと似た話だ)


こうして、2つの試合でゲームの流れを完全にデトロイト側にもっていかれることになった「2つの継投ミス」によって、オークランドはデトロイトをあと一歩のところまで追い詰めながら、逆にトドメを刺される結果になった。
レギュラーシーズンをあれほど上手に乗り切ったメルビンだが、「カオス的世界であるポストシーズンで求められるリスク嗅覚」や「偶然性に左右される狩りにおける戦いの感覚」は、どこかで根本的に不足しているのかもしれない。もちろん、農耕には向いているのに、血なまぐさい狩りには全く向いていない人がいても、それはそれでしかたがない。


2013ALDS第5戦での継投でメルビンのやったことは、たとえとしていうなら、「複数のことを同時に考えて結論を出したり、複数のことを並行して処理するのが非常に苦手な、リニアな性格の人がとりやすい行動や手法」であるようにみえる。

メルビンが先発ソニー・グレイを替えることによって、「試合の流れを変えられるチャンス」は何度もあった。
だが、メルビン自身の関心は、先発グレイが「もっと多くのイニングをいけるのか、いけないのか」にしかなく、ゲーム全体を俯瞰してはいなかった。その結果、リリーフの肩をつくらせるタイミングが遅れ、グレイを替えるタイミングもをつかみそこない、あらゆる皺寄せは野手にいってしまい、失点に直結する野手の守備ミスの連発を招いた。


こうした、ノンリニアな判断ができないこと、全体を俯瞰できないことによる失敗は、ちょっと、「動きのトロい日本の公務員」とか、「決断の遅いデイ・トレーダー」に近いところがある。
「病気が実際に発症するまで治療しようとしない医者」、「相場が動いたのを見て確認してから大金をつぎこんでしまう個人投資家」、「ストーカー犯罪が実際に起きるまで捜査しない警察」、「津波が実際に起きるまで防波堤を高くしない自治体」、「いじめ自殺が起きるまで対策を始めない教育委員会」、「原発の電源が全て喪失したとわかるまで何もしない東京電力」、「利用者が激減するまでiPhoneを売らないNTTドコモ」、こうした例にことかかないどころか、あらゆる事故、損害、リセッション、衰退が、リニアにしか思考できず、リニアにしか自分のカラダと所属組織を動かせない人たち特有の「遅れ」や「迷い」から発生するのが、現代社会というやつだ。

病気でいうなら、症状が現れはじめたのを、視覚とデータでハッキリ確認して、それから「よっこらしょ」とばかりに重い腰を上げ、「治療」を開始しているようでは、手遅れになる。自覚症状が出た時点で、すでに病状が救いようのないレベルに達している可能性だってあるからだ。

ALDSにおけるメルビンは、「予兆」や「気配」に敏感ではなかったし、そもそも「予防」に熱心ではなかった。対応すべきピンチが目の前で発生しつつあっても、彼は「被害の出る確率がまだ低い、と思えるうち」は動かず、さらには、失点という実害が確率的に70%以上の確率で起きてしまうような危機的状態になっても、まだ「我慢」し、さらに実害が出はじめたのを視覚的に確認するに至って、ようやく「対策」を用意させるような、そういう「後手後手なところ」がある。


こうした「判断の遅れ」が起きるのは、野球上の指導の巧拙によるものというより、ボブ・メルビンが、「直線上に因果を並べて思考をすすめるリニアなタイプ」なのか、それとも「カオス的に思考するノンリニアなタイプ」なのかという、そういう人間的な性質の違いから発生しているような気がしてならない。
メルビンが、「話し言葉」より「書き言葉」が重視されるようになって以降に成立した、リニアな視覚重視の世界で起きる問題に対処するのが得意な、典型的なリニア人間だとすると、そういうタイプの人は、カオス的な環境(たとえばMLBのポストシーズンのゲーム)において、リニアな世界でのふるまいと同じように自由闊達にふるまえるとは限らないのである。

そして、これは常々不思議に思ってきたことなのだが、近年の書き言葉の衰えとネットの発達とともに、現代社会が再びどんどん「カオス的」になりつつあるというのに、どうしてそうなるのかわからないが、そこに暮らしているわれわれ人間のほうは、むしろ、どんどん、どんどん「リニア」になりつつあるように思えてならないのだ。

Like everyone else you were born into bondage. Into a prison that you cannot taste or see or touch. A prison for your mind.
他の誰もがそうであるように、君は束縛の中に生まれた。味わうことも、見ることも、触ることもできない牢獄の中に。それは「君自身の心」という名の牢獄なのだ。

You have to let it all go, Neo. Fear, doubt, and disbelief. Free your mind.
すべて忘れるんだ、ネオ。怖れ、疑い、猜疑心。心を解き放て。

by Morpheus
quoted from The Matrix(1999)


Lorenz AttractorThe Lorenz Attractor


Matrix imageMatrix

October 10, 2013

Peter Gammonsの名前を冠したGammons Dailyと、Baseball Analyticsという2つのブログに、まったく同じ10月9日付けで、この2013シーズンにおいて「最も待球している打者ランキング」と、「最もスイングしてくる打者ランキング」が別々の2つの記事として掲載された。
これら2つのサイトは姉妹サイトみたいなものなわけだが、もし2つの記事が意図的に作成されたものなら、むしろ、2つのランキングをひとつの記事の中に併記し、それについて見解を述べる「ひとつの記事」を書くはずだから、たまたま2つのランキングが「別々の意図から、別々の記事に」作られたのだろう。

それにしても、この2つのランキング、並べて眺めると、なかなか面白い。なぜって、2つを同時に眺めることでしか気がつかない点がたくさんあるからだ。

2013年ポストシーズン
待球打者ランキング ベスト15
(数字は左から、打率、wOBA、P/PA)

Daniel Nava (BOS) .200 .334 6.14
Jon Jay (STL) .154 .248 5.25
Brian McCann (ATL) .000 .135 5.00
Josh Reddick (OAK) .200 .273 4.81
Brandon Moss (OAK) .133 .278 4.72
Stephen Vogt (OAK) .231 .291 4.57
Justin Upton (ATL) .143 .279 4.56
Jarrod Saltalamacchia (BOS) .300 .342 4.55
David DeJesus (TB) .231 .329 4.50
Wil Myers (TB) .100 .120 4.48
Carlos Beltran (STL) .286 .482 4.47
Yoenis Cespedes (OAK) .389 .464 4.44
Evan Gattis (ATL) .357 .371 4.44
Austin Jackson (DET) .133 .179 4.44
Seth Smith (OAK) .417 .462 4.38

元資料:Article by Daniel Bailey Patience in the postseason; Daniel Nava leads the way - GammonsDaily.com

2013年ポストシーズン
スイング率の高い打者ランキング ベスト15
(数字は左から、Swing%、打率)

Delmon Young (TB) 70.6% .333
Juan Uribe (LAD) 65.2% .333
Stephen Vogt (OAK) 63.9% .143
Prince Fielder (DET) 61.5% .125
Jose Iglesias (DET) 61.3% .538
Evan Gattis (ATL) 59.6% .500
Yoenis Cespedes (OAK) 58.8% .500
Torii Hunter (DET) 58.3% .143
Jacoby Ellsbury (BOS) 57.1% .556
Justin Morneau (PIT) 56.7% .294
Freddie Freeman (ATL) 56.4% .333
Marlon Byrd (PIT) 54.9% .333
Chris Johnson (ATL) 54.5% .333
Starling Marte (PIT) 53.9% .188

元資料:Article by Bill Chuck - Managing Editor | Baseball Analytics Postseason Batting - It's Hanley and Everyone Else - Baseball Analytics Blog - MLB Baseball Analytics


2つのリストの比較
上の図で太字で示したのは、2013ポストシーズンにおいて「打率が.300を越えているバッター」だ。
明らかに、「スイング率ランキングの打者」のほうが、「待球打者ランキングの打者」より、打率において優れている
もちろん、短期決戦においては、たとえ打率が低くても、決定的な場面でピンポイントに出塁した打者や、決定的なタイムリーやホームランを打ってくれたバッターにも価値が認められるわけだが、2つのランキングを見ればわかるとおり、サヨナラホームランや逆転タイムリーを打ったような「劇的な打者」の数は、明らかに「待球する打者」より「スイングする打者」のほうが、はるかに多い。
まさに、このブログのスローガン通り、「スイングしなけりゃ意味がねぇ」といえそうなのが、2013ポストシーズンなのだ。

ひたすら待球するOAK
両方のリストに同時に名前が載っているのは、ステファン・ボグト、ヨエニス・セスペデス、エヴァン・ギャティスの3人だけだが、うち2人がオークランドの選手なのは、どうやら偶然ではなさそうだ。なぜなら、「待球打者ランキング」になんと全チーム最多の「5人」ものオークランドのプレーヤーの名前があるからだ。
2013ポストシーズンを戦うにあたって、オークランドが「待球する」というチーム方針を明確に打ち出しているかどうかは正確にはわからないが、少なくとも数字上からはそういう傾向がハッキリ垣間見える。
これだけチーム全体に待球傾向が強く出ているオークランドのバッターの中で、待球しながら高い打撃数字も残しているセスペデスの才能は、やはり並外れたものがある。
そうなると、ALDS第4戦、オークランド1点ビハインドの8回表、無死満塁のチャンスで、「待球打者ランキング第4位」であるはずのジョシュ・レディックが押し出しのかかったフルカウントで、リリーフ登板でコントロールが最悪だったマックス・シャーザーの投げた「インコースの明らかなボールの変化球」にうっかり手を出して空振り三振し、ゲームの流れをデトロイトに完全にもっていかれてしまったのは、明らかにチーム方針に反したミスだ、ということになる。



特徴のないSTL
「待球打者ランキング」にのみ、ジョン・ジェイ、カルロス・ベルトランの2人の選手の名前があり、「スイング率ランキング」には誰の名前もない。よくいえば、普段どおりの野球をやっている、といえるし、悪くいうと、戦略面での驚きがみられない。いつも通りのカーズである。

やたらとスイングしたがるDETPIT
「待球傾向」の強いオークランドとまったく逆で、「フリースインガー傾向」が明確なのが、デトロイトとピッツバーグだ。特に、デトロイトのギャップは酷い。
デトロイトでは、「待球ランキング」にはオースティン・ジャクソンの名前だけしかないが、「スイング率ランキング」の上位には、フィルダー、イグレシアス、ハンターと3人もの名前が挙がっている。いかにデトロイト打線がやみくもに空振りし続けているか、そして、いかに上位打線のバットが湿っているか、数字の上からもハッキリわかる。
それに、やたらと待球しているらしいジャクソンにしても、そもそも待球型打者ではなく、早いカウントからインコースを狙い打って数字を残してきたバッターなのだし、このポストシーズンに限ってあえて待球を増やさせるような指示をしたことで大スランプに陥っているフシがある。
ピッツバーグも、デトロイト同様の傾向がある。「待球ランキング」には誰も載っていないが、「スイング率ランキング」にはモーノー、バード、マルテと、3人の名前がある。モーノーがやたらとスイングしたがる打者だった記憶はないわけが、ピッツバーグは今後も彼を4番で使い続けるだろうから、彼のバッティングが浮上するか沈没するかは、チームの明暗を分けることになる。

予想外にも待球しないBOS
ア・リーグで、「チーム方針として、最も待球を野手全員に徹底しているチーム」といえば、いうまでもなくボストンだ。チーム全体のP/PAが4を越えるようなチームは、ボストン以外にありえない。
だが、2013ポストシーズンにおける「待球打者ランキング」では、ダニエル・ナバを除けば、ボストンの主軸打者たちの名前は全くない。
これは非常に面白い。なぜなら、あれだけレギュラーシーズンで待球しているチームなわけだし、「2013ポストシーズンで、これほど早いカウントからでも打ってきている」という事実は、ボストンの内部に対戦相手に関するよほどのデータ的な裏付けと確信がなければやらない戦略だろう、と思うからだ。

イラついて自分を見失ったATL
例年どおり、地区シリーズで早くも敗退したアトランタだが、「待球打者ランキング」に、ブライアン・マッキャン、ジャスティン・アップトン、ギャティス、3人の名前がある一方、「スイング率ランキング」に、ギャティス、クリス・ジョンソンの名前がある。
マッキャンとアップトンのポストシーズンでの不振は、明らかにアトランタ敗退を招いた原因のひとつだが、ポストシーズンのゲーム中のマッキャンの「イライラぶり」を思い出してみると、マッキャンとアップトンがポストシーズンでの球審の「ゾーン」や「判定」に納得できず、イラついてばかりいたことが想像できる。
だが、ゾーンに納得がいかないからといって自分のバッティングを見失ってしまっては、元も子もない。来季に向けたヤンキースの獲得リストにマッキャンを入れたがる人が多いが、同意しない。そんなに打てるバッターとも思えないし、そもそもリードにもキャッチングにも冴えがない。

勢いを殺さないのが秘訣のLAD
LADでは、「スイング率ランキング」第2位に、たったひとり、NLDS第4戦で逆転2ランを打ったホアン・ウリーベの名前があるだけだ。
彼がどれだけ「打ちたがりな性格」なのか考えると、アトランタとのNLDS第4戦、1点リードされた8回の無死2塁の打席で、監督ドン・マッティングリーはウリーベに2度も送りバントさせようとしたわけだが(2度とも失敗)、この采配がどれだけウリーベの「性格と適性」にあっていないかが、彼のスイング率データの高さからわかる。
2度バントをミスったウリーベがヒッティングに切り替えて、カウント2-2から高めのストレートを思いっきりひっぱたいたときの姿は、明らかに「無死2塁のチャンスだというのに、むいてないのがわかりきってるバントなんてものをやらされたウリーベが『鬱憤』を晴らす鼻息の荒さと大量のアドレナリン」が見てとれた(笑)




October 08, 2013

今年のポストシーズンで、SouthEastern Conference (SEC) のヴァンダービルド大学出身で、同校を初のカレッジ・ワールドシリーズ進出に導き、2011年ドラフトでオークランドに1位指名されたソニー・グレイがデトロイト相手に好投して名を上げたばかりだが、そういえば、最近のアメリカの大学野球のトレンドであり、ドラフトでたくさんの選手が指名され続けているSECACCなどの「大西洋岸の野球ブランド大学」の出身選手たちは、いまどんな状態にあるのだろう。

ちょっと気になって調べてみることにした。
2011 Vanderbilt University Commodores Statistics and Team Info - The Baseball Cube


最初に、これは何度も書いてきたことだが、近年のアメリカの大学野球の「勢力図の変化」を簡単におさえておこう。
(詳しくは以下の関連記事群を一読されたし。 Damejima's HARDBALL:カレッジ・ベースボール

全米大学選手権である「カレッジ・ワールドシリーズ」では長きに渡って、西海岸カリフォルニア州の有力大学を軸に、アリゾナ州、テキサス州、フロリダ州の有力校に、LSU(ルイジアナ州立)などの優勝経験校を加えた「常連校同士による優勝争い」が繰り広げられてきた。
だが、2000年代に入って状況が一変する。SECのサウスカロライナ、ACCのノースカロライナが急激に力をつけてCWS決勝の常連校になったのを筆頭に、ヴァージニア(2009年、2011年本戦出場)、ヴァンダービルド(2011年初出場)など、大西洋岸エリアに多くの有力校が誕生したことで、アメリカの大学野球の地図は「西の太平洋岸から、東の大西洋岸へ」と軸が大きくシフトした。

そのため、MLBのスカウトの関心も、自然とSECやACCに所属する大学のプレーヤーに注がれるようになった。

例えばシアトルの無能GMジャック・ズレンシックが、近年のドラフトで執拗に大西洋岸の大学生ばかり指名しているのも(アックリー、ハルツェン、ミラー、ズニーノ)、理由は単純だ(笑)選手を見る目がない彼は他人が注目する「大西洋岸の大学」というトレンドにのっかって、めぼしい選手を盲目的にかっさらってきた、ただそれだけの話だ。だが、シアトルのマイナーに選手を育てる能力など最初から全く無い。際限なく次から次へ選手をつぶしているのには、笑うしかない(笑)


ちなみに、2013年カレッジ・ワールドシリーズで初優勝を達成したUCLAのコーチ、John Savageは、「SECの選手たちのフィジカル」について次のようなコメントを残している。いかにフィジカル面で飛び抜けて優れた若いプレーヤーが大西洋岸に集結するようになったかが、よくわかる。(だが、野球はフィジカルが全てではない)
"We just don't have the physicalness, as I look at it, as the Southeastern Conference."
「サウスイースタン・カンファレンスのチームについて見た限り、彼らのような身体的優位性は、我々(=UCLAの選手)にはまったく無い」
UCLA formula a perfect fit for this era


だが、このところ、2012年アリゾナ、2013年UCLAと、2年続けて「SECでも、ACCでもないカンファレンスの大学」のカレッジ・ワールドシリーズ優勝が続いている。わずか2年の変化だが、アメリカの大学野球の風向きはふたたび変わりつつあるように感じる。

こうした最近のアメリカの大学野球のトレンドの「再変化」を、近年のドラフトにおける活躍選手のリストから確かめてみよう、という主旨で挙げたのが、下のリストだ。
リストにのせている選手の選考基準は、「カレッジ・ワールドシリーズでSEC所属大学が3連覇した2009年以降のMLBドラフトにおける1位指名選手」のうち、「現在MLBの40人ロスター入り」していて、「既にメジャーデビューし、優れた数字を挙げた選手」だ。参考までに、それぞれの年にシアトルの指名選手も横線入りで加えてみた(笑)

以下、太字で示したのが、SECまたはACCの所属大学の出身選手。名前の前の数字は、ドラフト全体での指名順位。

2009
1. Stephen Strasburg (WAS) 投手
2. Dustin Ackley (SEA) North Carolina, ACC
7. Mike Minor (ATL) 投手 13勝9敗 Vanderbilt, SEC
8. Mike Leake (CIN) 投手 14勝7敗
12. Aaron Crow (KC) 投手 7勝5敗
25. Mike Trout (LAA) 高卒
27. Nick Franklin (SEA) 高卒

2010
1. Bryce Harper (WAS)
3. Manny Machado (BAL) 高卒 怪我→手術
7. Matt Harvey (NYM) 投手 9勝5敗 North Carolina, ACC
13. Chris Sale (CHW) 投手 11勝14敗
23. Christian Yelich (FLA) 高卒
参考:2巡目 Drew Smyly (DET) 投手 Arkansas, SEC

2011
1. Gerrit Cole (PIT) 投手 10勝7敗
2. Danny Hultzen (SEA) Virginia, ACC
6. Anthony Rendon (WAS)
18. Sonny Gray (OAK) 投手 Vanderbilt, SEC

2012
3. Mike Zunino (SEA) Florida, SEC
4. Kevin Gausman 投手 (BAL) LSU, SEC
19. Michael Wacha (STL) 投手
参考:Damejima's HARDBALL:2012年6月4日、恒例の全米ドラフトは高校生が主役。


マイク・マイナー、マット・ハービー、
ソニー・グレイ、ケビン・ガウスマン。

もう、おわかりだろう。
近年活躍しているSECとACCの出身選手は、投手ばかりなのである。そして、かつて記事にしたように、2012年ドラフトにいたっては、1位指名選手のかなりの数が「高校生」になってしまって、もはや「大学生」ですらないから、SECやACCの選手の出る幕そのものがない。
参考記事:Damejima's HARDBALL:2012年6月4日、恒例の全米ドラフトは高校生が主役。


なぜ近年のSECやACC出身の活躍選手が、「投手ばかり」だったのか。理由は簡単には特定できないが、自分なりの推論のひとつとして挙げておきたいと思うのは、アメリカの大学野球において「バットの規定」が近年変更されたことだ。


日本ではあまり知られていないが、2013年6月の以下の記事で書いたように、アメリカの大学野球では2011年以降にバットの規定が変わり、「従来より反発係数の低いBBCORバット」を使いだしている
Damejima's HARDBALL:2013年6月26日、UCLAカレッジ・ワールドシリーズ初優勝の意味。2011年に始まったBBCORバット規定の下のカレッジベースボール新時代。
このことは、逆に言えば「2010年までのカレッジベースボール」においては、「いまよりずっと反発係数の高いバットが使われていた」という意味になる。

「反発係数の高いバットを使いまくる環境」で育てられてきた「2010年前後までの大学野球のスラッガーたち」が、MLBに来て、「ただでさえ折れやすい材質の木製バット」を使い出せば、打撃成績が上がるか、下がるか、どちらの可能性が高いかは、言うまでもない。
参考記事:Damejima's HARDBALL:2011年11月25日、 どうやら、新しく結ばれたMLBの労使協定に、「低比重のメープルバットの使用禁止が盛り込まれている」らしい。

規定の変わった2011年以降も、さまざまな材料を組み合わせた優秀なコンポジットバットが出現しているから、「あらゆるバットで、昔と比べてまるで打球が飛ばなくなった」と断言するのは危険だが、それにしたって、「フィジカルの強さを最大の武器にして、カレッジ・ベースボールの地図と、MLBルーキーの出身地の地図を大きく塗り替えてきたSECやACCの大学」が、バットの規定変更による打撃力ダウンという影響をより強く受けたと考えるのは自然な話だろう。
SECの大学がカレッジ・ワールドシリーズを3連覇したのが「2009年以降の3年間」で、一方、バットの規定が変更になったのがちょうど「2011年」だから、「バットの反発係数が下げられた直後の2012年以降」から「SEC所属大学の優勝が急になくなった」と関連づけてみると、それなりに辻褄があうわけだ。

また、逆にいえば、「反発係数の高いバットを使う環境」で野球をやってきて、それでも優れた数字を残すことができた投手は、強打者揃いのMLBでも実力をそのまま発揮できる、という可能性もある。(また、この点は、いまだに金属バットを使っている日本の高校野球からプロになる日本の野球選手にも同じことがいえる可能性がある。つまり、日本からMLBに行って活躍できる選手に「やたらと投手が多い理由」の元をたどると、「高校野球の金属バット」に行き着く可能性があるわけだ)


こうして広い視野から眺めてみると、カレッジベースボールで優れた成績を残した選手のうち、「大西洋岸のバッター」にチームの虎の子である貴重なドラフトの1位指名権を投げ捨て続けてきたシアトルGMジャック・ズレンシックの行動がいかに浅はかものだったか、わかろうというものだ。

意味もなく試合に出して、ただ潰すだけなら、誰だってできる。
さきほど終わったSTL対PITでも、STLの新鋭Michael Wachaがあわやノーヒットノーランかという好投をみせたばかりだが、このポストシーズンに進出した各チームで、ほんのこの数年の間にドラフトされたばかりの若手がいったい何人、躍動しはじめているか。育成能力もないくせに選手をゲームで潰しまくってきたシアトルの関係者は、よく見ておくといい。




October 06, 2013

2013年のヤンキースの「凋落」の原因は、長期的には、これまで何度か書いたような1990年代に育成した選手たちに頼り切ってきたチーム構造自体の「老朽化」と、実績のあったマイナー球団を手放したこと、ドラフトでの不手際、若手育成の遅れなど、老朽化対策の酷さにあるが、それ以外にも原因はある。
そのひとつは、以下にみるように、2012年レギュラーシーズン終盤に既に表面化していたさまざまな問題に対する対応を、「そのほとんど全てにおいて間違えたこと」にある。(選手名の後の数字は、それぞれの年度のサラリー。単位は100万ドル)

例:2013年9月の月間打率
テシェイラ .125(出場4ゲーム)
アンドリュー・ジョーンズ .133
グランダーソン .214
チャベス .222
Aロッド .261

2012年9月にボルチモアに激しく追い上げられて地区優勝が危うくなったヤンキースは、打順を大きくいじったが、そうせざるをえなくなった原因は、ひとつやふたつどころではなくて、以下に並べたてたように、それこそ「数限りなく」あった。
それは簡単にいえば、高額サラリーの主力打者の大半が、怪我をしていたか、不振にあえいでいたという、どこにでもある話だが、問題だったのは、彼らの怪我や不振が、実は、「すぐに元に戻る性質のものではなかった」ことだ。
以下にみるように、彼らの怪我や不振が実は、「シーズンをまたいで影響が出るほどの長期的な怪我、長期的な不振」だったにもかかわらず、ヤンキースはその影響がどの程度の時間続いていくのかについて、甘くみていて、対応のほとんどを誤った。


内野手

マーク・テシェイラ
2012年22.5M 2013年22.5M(2016年まで同額)
彼の超高額な年収と、一塁手というポジションは、マーク・テシェイラがクリンアップに常駐し、常にハイグレードな打撃成績とプレーを披露「すべき」プレーヤーであることを意味している。
だが、テシェイラの怪我は一時的なものではなく、おそらく「慢性的な怪我」で、彼がいわゆる「スペランカー化」しつつあることを意味している。
2012年は、8月に左ふくらはぎを痛めて欠場。123ゲームに出場したものの、ボルチモアに猛烈に追い上げられた「2012年9月」には欠場が続き、まったく戦力にならなかった。2013年も、6月1日にいちど戦列復帰したものの、わずか2週間(15ゲーム)プレーしただけで再度離脱。手術を経て、2014年にプレーできるかどうかすら不透明になってしまっている。
チームは、テシェイラの穴を埋めるために、1.25Mという安価な単年契約でライル・オーバーベイを獲ってくることで、なんとか臨時の一塁手を確保した。
だが、だからといって、「怪我がちなテシェイラに、2016年まで毎年22.5Mずつ払い続けなければならないという超高額不良債権」がゼロになってくれるわけではない。これからも怪我でたびたび長期欠場しそうなテシェイラの処遇は、Aロッド問題に並んで、ペイロールを硬直化させる問題になるのは確実だ。

デレク・ジーター
2012年16M 2013年17M 2014年はプレーヤー・オプションで8M(各種ボーナスで最高17M)
ガードナーがいなかった2012年、どうしても運動量の多くなる1番を打ち続けて地区優勝に貢献したが、足の怪我を抱えているのがわかっても、休養せずプレーし続けた「キャプテンとしての頑張り」が、残念ながら結果的にアダとなった。
ボルチモアに追い上げられた「2012年9月」の後半、怪我を抱えたままのジーターのWPAは、マイナス.501。パフォーマンスは明らかに低下してしまっており、ボルチモアの追撃を振り切ることに貢献してはいない。
その後も怪我の再発に悩まされるようになったジーターは、2013年に合計4度にわたって戦列復帰を繰り返したが、そのたびに故障を招き、結果としてシーズン全体を棒に振った。
レジェンドである彼が「復帰と欠場」を繰り返すと、当然ながらチームは復帰のたびに打順や使う選手を大きく入れ替えざるを得ない。だが、心苦しい言い方にはなってしまうが、今の年齢のジーターでは、短期的な復帰を繰り返しても、体調面や湿ったバッティングは元には戻らない。現実に2013年の彼の打撃成績は、彼の過去の実績にも、2番という打順にも、ふさわしいものではない。
だから、あえて直言すると、ジーターの「復帰と欠場の繰り返し」は、結果的には「チームの打撃力低下の原因のひとつ」を作ったといわざるえない。ジーターが自分の怪我と向き合って、「きちんと怪我を直してから復帰するという決断」を下さなかったことは、ハッキリ言えば「判断ミス」である。

アレックス・ロドリゲス
2012年29M 2013年28M 2014年以降、25M、21M、20M、20M(ホームラン数のボーナス次第で最高30M)
これだけの超高額サラリーにもかかわらず、2012年は死球による骨折(7月)、2013年は股関節手術(1月)で、この2シーズン、チームの好調期の大半を欠場している。加えて、ステロイドの処罰による長期欠場も確実。
2012年9月」、Aロッドの復帰は9月3日だが、9月全体でWPAはマイナス.209で、29Mという彼の莫大なサラリーに見合うような長打は皆無だった。
また、ポストシーズンのボルチモアとのALDS、デトロイトとのALCSでも、トータル打率.120、WPAマイナス.922の悲惨な結果に終わり、ALCSの行方を決める第5戦では、スタメン落ちを味わっている。

GMキャッシュマンは、Aロッドの穴埋めとしてエリック・チャベス以外に、2012年ケイシー・マギー、2013年ケビン・ユーキリスと、2年続けて「代役」を雇ったが、いずれも失敗に終わっている。特に、テシェイラと同様の怪我がちな選手であることがわかりきっているユーキリスをあえて雇ったことは、GMとして明らかに「大きなミス」であり、単年12Mという大金をかけた補強だったにもかかわらず、代役ユーキリスのDL入りで「代役の代役」を探すハメになった。

ケイシー・マギー
2012年トレード
7月にシアトルでヘルナンデスにぶつけられて骨折したAロッドの代役のひとり。ピッツバーグから2012年7月末に緊急補強されたが、22試合出場で打率.151に終わり、活躍できないまま、シーズン終盤のAロッド復帰によって出場機会を奪われた。
だが、その復帰したAロッドにしても、上で書いたように、その打撃成績は彼の超高額サラリーにみあうものでは、まったくなかった。

参考:ケビン・ユーキリス
2013年12M
ステロイドの処罰問題を抱える上に、怪我も多いAロッドの代役のひとりだが、当のユーキリス自身が、テシェイラ同様の「スペランカー」であることは、MLBファンならたいてい知っている。
実際ヤンキースでも、ユーキリスは4月30日、6月14日にDL入りした挙句に、手術を受けることになって、わずか28試合の出場、打率.219にとどまり、ユーキリスに払った「12M」もの大金は、虚空に消えることになった。


外野手

アンドリュー・ジョーンズ
2012年2M
主にレフトを守った外野のユーティリティだが、シーズン終わってみれば、打率.197の成績。問題の「2012年9月」を見ると、打率.133と、さらに酷い。シーズン終盤に驚異の活躍をみせた同じポジションのラウル・イバニェスがMLBに残って翌年29ホーマーを打ち、シーズン終盤にベンチを温めていたジョーンズが日本に都落ちしたのは、当然の結果。

その後ヤンキースは、「2013年はレフトを誰にまかせるのか」という問題の解決において、ミスを犯し続けた
ジョーンズに見切りをつけたのはいいとしても、イバニェスに再契約をオファーすることもしなかったために、「ヤンキースのレフトを誰にするのか」という問題は、そっくりそのまま2013年春まで残ってしまった。
そこでGMキャッシュマンが手を出したのは、エンゼルスの不良債権バーノン・ウェルズ。しかも2年契約という「奇策」だった。だが、結果的にウェルズの活躍期間は短く、奇策は失敗に終わり、2013シーズン終盤にウェルズはベンチウォーマー化した。
キャッシュマンは、2年契約を結んでしまったウェルズを処分できないまま、2013年7月に外野手アルフォンソ・ソリアーノを追加補強したため、「レフトの補強が二重に重なった状態」を招いてしまい、ヤンキースの「内野手は足りないのに、外野では選手がダブついている」という、わけのわからない状態に、さらに拍車がかかった。

カーティス・グランダーソン
2012年10M 2013年15M
「8月の打率.196、6HR」、「9月の打率.214、9HR」という数字が示す通り、「2012年9月」のグランダーソンは良くなかった。
当時の彼は、相変わらずストレートだけを狙い打つ打法を執拗に続けていたが、対戦相手のスカウティングが進んだことが原因で、それまでのシーズンのようにホームランを量産できなくなり、逆に、簡単に三振がとれるバッターと考えられていた。9月19日トロントとのダブルヘッダー以降のシーズン終盤の打率は「.203、4HR」。スラッガーでもなければ、かといってシュアな打撃とも言い難く、最終的にはベンチウォーマーに。

それにしても不思議なのは、チーム方針として、2013シーズン以降は生え抜きのガードナーをセンターに定着させる方針をヤンキースがとったというなら、「余ってしまう外野手の筆頭」は、本来なら「ガードナーと同じセンターを守るグランダーソン」のはずだ、ということだ。つまり、2013ヤンキースでは、レフト(ウェルズとソリアーノ)がダブっているだけでなく、センター(ガードナーとグランダーソン)もダブっていたのである。
2013年以降のグランダーソンは、ジョシュ・ハミルトンがそうだったように、他チームのスカウティング能力の発達によって、2011年までのようなスラッガー的な長打力を発揮できなくなるのは確実だったのだから、2013年のグランダーソンの打撃成績が底を見ることで彼の市場価値が無くなってしまう前に、2012年オフに、足りない選手、例えば先発投手やキャッチャーを獲得するためのトレードの駒にすることだって不可能ではなかったわけだが、ヤンキースは結局のところいたずらにカネをかけては外野手を補強して、「ソリアーノとウェルズ」、「ガードナーとグランダーソン」を、両方とも宙ぶらりんなまま放置したため、「外野以外はどのポジションも人材が足りないのに、外野だけがダブつている」という「戦力の不均衡」を招いて、ポストシーズン進出を逃した。
2013年は、さぞかしグランダーソンにとって消化不良のシーズンだっただろう。センターにどうしても生え抜きのガードナーを定着させたいのなら、レフトにソリアーノを使うとすれば、本来必要な決断は、単に「ライトを誰にするか」ということだけなはずだが、もともとグランダーソンにはコンバートしてライトをまかせられるほどの強肩はない。だから、彼を宙ぶらりんにしておく必要は、最初からどこにも無かった。

参考:アルフォンソ・ソリアーノ
2013年18M(うち16.2Mはカブス) 2014年18M(うち13Mはカブス)
GMキャッシュマンは、外野手アンドリュー・ジョーンズの穴を埋めてくれたイバニェスに再契約を提示しなかった。そのかわりに彼が手を出したのは、エンゼルスで巨額の不良債権外野手バーノン・ウェルズで、サラリーは、一部がエンゼルス負担。キャッシュマンがさらにもうひとり手を出した外野手ソリアーノのサラリーも、残債36Mのうち、29.2Mがカブス負担になっている。
これらの事例を見て「やり手のジェネラル・マネージャーだ」と思うかもしれないが、選手をこうした複雑な負担の形で抱えこんだからには、ヤンキースはそう簡単には処分できないはずだ。つまり、「もういりませんから、どこへでも出ていってくれ」とは簡単に言えなくなる。
エンゼルスやカブスは「給料はこちらでほとんど負担するから、どうか早く持ってってくれたまえ」と、不利な条件であるのを承知で取引に応じているわけだから、もしヤンキース側が「やっぱりこの選手、使えないじゃん!」となったとしても、ヤンキースがどこかのチームに「エンゼルスやカブスのサラリー負担という取引条件を付帯したまま放出する」などという都合のいい取引は、契約上できないのである。
また、もしウェルズやソリアーノの契約に「ロスターを保障しますよ」という条項が含まれていたりしようものなら、ヤンキースはどんなに彼らの成績が下がろうと、必ずロスターに残さなくてはいけなくなる。

そして、当然ながら、バーゲン品には、「バーゲンされる理由」や「賞味期限」がある。野球選手の場合なら、時間をかけて弱点を分析されれば、必ず出てくる「弱点」があるからこそ、バーゲン品として市場に出てくるのであって、そういう選手は「賞味期限」が思いのほか早くやってくることを最初から覚悟しておかなければならない。
ア・リーグ東地区は近年分析的な野球が盛んになっているが、ウェルズやソリアーノがスカウティングされるのに、さほど時間はかからない。彼らの移籍直後のほんの2本や3本のホームランを見て、キャッシュマンを「有能な選手を安く買ってきてくれた、有能なジェネラル・マネージャー」と判断するのは、早計というよりほかない。


投手

A.J.バーネット
放出後も2012年11.5M+2013年8.5Mは「ヤンキース負担」
今年ひさしぶりにポストシーズンに進出したピッツバーグで投げているAJバーネットのサラリーについて、あまり意識してない人が多いようだが、いまだにヤンキースはその大半を払っている。2012年の11.5Mと、2013年の8.5Mはヤンキースもちなのである。もちろん、ヤンキースのペイロールを硬直化させる原因のひとつになっている。
そもそもこの投手に、2009年に年16.5Mの5年契約をくれてやって、合計69.5Mも投資して失敗したGMが、エンゼルスから不良債権ウェルズを買うギャンブルで失敗し、カブスからソリアーノを買うギャンブルで負け分を取り返そうとしたからといって、評価を上げる理由になどならない。



まだまだ書かなくてはならないことがあるにはある。
だが、ヤンキースが「2012年シーズン終盤」に表面化した長期的な問題のほとんどを何も解決できないまま先送りして、いってみれば壊れた窓をきちんと修理するのではなく、ガムテープで紙を貼りつけて急場をしのぐような、安易な対策ばかりやったことが、2013年にせっかく手の届きかけたポストシーズン進出をみすみす逃すような体たらくにつながったことを示すのには、これだけ書けば十分だろう。

October 04, 2013

ヤンキース移籍後のイチローの全スタメン時の打順と守備位置のデータを残しておく。
黄色い色のついた部分がイチローの出場ゲームと打順だ。詳細はパソコン上で画像部分をクリックして別窓で見てもらうしかないが、そのまま見てもらっただけでも、「黄色の部分の移動」をおおまかに眺めるだけで、2013シーズンのイチローの「扱い」がいかにコロコロ変化したか、手にとるようにわかるはずだ。


2012年
(イチロー加入以降のみ)

移籍後、ほとんどのゲームで8番か9番を打たされていたが、9月半ばになってほぼ2番に固定された。イチローの1番起用は4試合、2番起用は10試合。
チームは9月終盤のイバニェス9月22日以降 打率.405 15安打 4HR 9打点)とイチロー9月19日以降 打率.394 28安打 2HR 9打点)の活躍でかろうじてボルチモアの追撃を振り切って地区優勝した。

2012年ヤンキース全打順(イチロー加入以降)
データ出典:2013 New York Yankees Batting Orders - Baseball-Reference.com



2013年

あれほど地区優勝に貢献しながら、イチローの2013シーズンのスタートは6番あるいは7番が中心だった。またヤンキースはラウル・イバニェスについても再契約をオファーせず、彼は移籍先のシアトルで29ホームランを打って気を吐いた。
イチローがようやく2番に固定されるようになったのは、6月中旬以降から7月下旬まで。この時期チームはオールスターブレイクを首位で折り返した。

7月下旬、ジーターの「復帰と休養の繰り返し」が始まる。この「繰り返し」は3度にわたり、そのたびにイチローの打順は「ジーターの不安定な体調しだい」で2番と下位を往復するようになり、そこにソリアーノ獲得が重なり、イチローの起用は「6番または7番」で、しかも対右投手のほうが打率が低いにもかかわらず「先発が右投手だったとき限定」という意味のわからない起用になっていく。
(「右投手限定起用」については、以下の記事がより詳しい 参考記事:Damejima's HARDBALL:2013年9月9日、イチローのバッティングを常に「冷やし」続けてきたジョー・ジラルディの不合理な起用ぶりを、この際だから図に起こしてみた。

結局イチローの1番起用は18試合、2番起用は38試合にとどまった。
2012年にヤンキースの2番を打った選手は、5人しかいなかったが、2013年はなんと3倍、「のべ15人」を数え、いかに今年のヤンキースが打順をいじくり倒したかがわかる結果になっている。2012年は「20人以上の選手が打った打順」はひとつもなかったが、2013年は、6番を20人、7番を21人の選手が打っている。

2013年ヤンキース全打順
データ出典:2012 New York Yankees Batting Orders - Baseball-Reference.com

October 02, 2013

ポストシーズン進出をかけたタンパベイ対テキサスのワンデープレーオフは、予想どおりタンパベイの勝利に終わったわけだが、なんといってもサイ・ヤング賞投手デビッド・プライスの堂々たるピッチングが光った。
3点リードの9回裏を迎える前、ブルペンではクローザーのフェルナン・ロドニーが肩をつくっていて、テキサスのベンチも、見ているファンも、「ロドニー登場か?」と思ったわけだが、結局監督ジョン・マドンはプライスにゲームを託す英断を下し、プライスはこの大事なゲームをひとりで投げ切ってしまった。この日のマドンとプライスには、さすがに脱帽した。


プライス好投の理由は、なんといってもテキサス打線にストライクゾーンで勝負し続けたことにあるし、しかも彼は安易にアウトローに球を集めるような、逃げのピッチングをしなかった。これが本当に素晴らしい。(詳しいことは下記に挙げたデータを見てもらいたい)

タンパベイの投手たち全体の配球が、「ストレート」と「チェンジアップを使った緩急」という共通のコンセプトを持っていること、そして、先発投手のほとんどがボールになる釣り球を多投するようなワンパターン配球に頼らず、ストライクゾーンで真っ向勝負してくる傾向にあることは、以下の2つの記事で書いた。
参考記事:Damejima's HARDBALL:2013年7月29日、タンパベイとヤンキースのマイナーの差。イチローが投手の宝庫タンパベイ・レイズから打った4安打。

参考記事:Damejima's HARDBALL:2013年8月1日、タンパベイ投手陣の共通した持ち球である「チェンジアップ」に狙いを絞って、ジェレミー・ヘリクソンを打ち崩したアリゾナ。粘りこめばストライク勝負してくれるタンパベイ投手陣。


2013年9月30日のデビッド・プライス

右打者への攻めをリストアップしてみた。(左打者についてはリンク先にデータがある)最も注目してほしいのは、図でいう「右下の部分」、つまり、右打者のアウトローにほとんどドットが無いことだ。
緑色の三角形のドットは「バッターが見逃して、ボールとコールされた球」を意味するが、アウトローにはドット自体ほとんどない。
また、アウトコースのボールになっている球は、その大半が、よくある「低め」ではなく、「高め」に投じられている。このことにも意味がある。というのは、対戦相手のテキサス打線のほぼ全員が「典型的なローボールヒッター」だからだ。デビッド・プライスは、コントロールミスした低めの球を強振されるようなイージーミスを犯さなかった。

2013年9月30日デビッド・プライス対右打者
2013年9月30日 TB vs TEX : BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool | Strikezone Maps


以下に比較のために、ボストン戦におけるヤンキースの先発投手のデータを挙げる。すべて「右打者」に対してのものだ。(左打者へのデータはリンク先にある)
いかにボストン戦のヤンキース投手陣がアウトローに逃げる配球ばかりしているかがわかると思う。


比較1
2013年9月14日 NYY vs BOS
投手:サバシア
9被安打4四球、5失点。

最近のサバシアの勝負弱さは、上のプライスと比較するまでもない。ピンクの楕円で示した部分、つまり、図のアウトコース(=右の部分)と、低め(=下の部分)に、大量のボール球を示す緑色のドットがある。いかに球速の衰えたサバシアがボストンの右打者とマトモに勝負できていないか、ひとめでわかる。

2013年9月14日サバシア対右打者
2013年9月14日 NYY vs BOS : BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool | Strikezone Maps


比較2
2013年8月18日 NYY vs BOS
投手:サバシア
7被安打5四球、6失点。

緑色のドットが、図の右と下に大きく分散して偏っている。配球が「右打者のアウトロー」に偏っていたことが、ひとめでわかる。これで5四球ではどうにもならない。
本来のサバシアの右バッターに対する配球のポイントは、インロー(=図でいう左下)へのカーブでストライクをとれるかどうかにあると思っているのだが、このデータを見る限り、インローにそこそこの数のボール球が、あるにはある。
おそらくは、インローに投げた変化球の多くが「垂れてしまって、コーナーに決めきれていない」あるいは「打者に簡単に見切られるほど、最初から軌道がボールに見えている」のだろうと思う。

2013年8月18日サバシア対BOS右打者
2013年8月18日 NYY vs BOS : BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool | Strikezone Maps


比較3
2013年9月13日 NYY vs BOS
投手:黒田
8被安打2四球、5失点。

このゲームでの黒田は5失点しているが、2四球と、四球数自体は少ない。こういう黒田の登板について「少なくとも丁寧に投げていた」などという、わけのわからない評価を下す人がいたりするが、ブログ主はまったく同意しない。
見てのとおり、図の左側半分にドットがほとんどない。つまり、このゲームの黒田は「右打者のインコース」にほとんど投げていないのである。アウトコースオンリーの逃げの配球であることは、火をみるより明らか。これでバットコントロールのいいボストンの右打者が抑えられるなら誰も苦労しない。
こうしたデータが出現すること自体、珍しい。シーズン終盤に勝ち星がないのも当然だろう。

2013年9月13日黒田対BOS右打者
2013年9月13日 NYY vs BOS : BrooksBaseball.net: PITCHf/x Tool | Strikezone Maps


October 01, 2013

イチローをシアトルから追い出すための空気を作り上げることに奔走した主な人物のうち、3人が、同じ2013年に相次いで事実上シアトル・マリナーズのもとを去る。このことがいったい何を意味するのかは、まだ何もわからない。
だが、これらの人物の異動が見えない糸で「近い将来に起きる、まだ見えない動き」に繋がっているのは、たぶん間違いないだろうと思っている。


ひとりは、このブログがおおっぴらに「野球音痴の無礼な老人」と呼んできたシアトル・タイムズのコラムニスト、スティーブ・ケリーだ。
シアトル・タイムズの定年が何歳なのかは知らないが、2013年2月、63歳でシアトルタイムズを退職している。最後のコラムは書かないと言っていたらしいが、実際には、ファンに対してこんな悪態をついている。
"The reader comments section, it's a free-for-all," Kelley says. "The level of discourse has become so inane and nasty. And it's not just at the Times, it's ESPN, everywhere - people, anonymous people, take shots at the story, writers, each other. Whatever you've achieved in that story gets drowned out by this chorus of idiots."
Seattle News and Events | Steve Kelley, Seattle Times Sports Columnist, Leaving 'to
どうやらこの人、自分が的外れなコラムばかり書いておいて、それを読んだ一般人から読者コメント欄を使って否定されたり、批判されまくったりすることによほど嫌気がさしていたらしい(笑)ザマーミロとしか、言いようがない。

ちなみに、この人のことは2010年に一度書いたことがあって、この人間の下種な人物像はイチロー追い出し騒動以前からわかっていた。興味があれば読んでみてもらいたい。いかにスティーブ・ケリーが「ケツの穴の小さい人物」か、イヤというほどわかる(笑)
資料記事:Damejima's HARDBALL:2010年9月20日、シアトル・タイムズのスティーブ・ケリーが、"The Tenth Innning"のケン・バーンズと共同監督のリン・ノビックが行った「イチローインタビュー」について当人に取材して書いた記事の、なんとも哀れすぎる中身とタイトル。

また、この人にはこんなユニークな(笑)コラムもある。
What should Mariners do with declining Ichiro? | Steve Kelley | The Seattle Times
このコラムがユニークなのは、記事内容ではなく、「公開された時間」だ。記事の冒頭あたりに
Originally published June 19, 2012 at 8:02 PM
とある。午後8時過ぎに公開されている。

実はこの日、マリナーズは、チェイス・フィールドで午後6時40分開始のゲームの真っ最中で、試合は結局3時間59分かかって午後23時39分に終わっている。
つまり、この野球音痴の俗物は、まだゲームの真っ最中の「午後8時」にシアトル・タイムズのサイトで、いきなり記事を公開しているわけだ。そして重要なことは、記事がアップされたとき、イチローは「2打数2安打」だったことだ(笑)
ケリーじいさんはおそらく、「この日に絶対公開してやる!」と心に決め、あらかじめ記事を書いておき、アップロードするのを手ぐすね引いて待っていたのだろう(笑)なんとも俗物らしいやり方だ(笑)
だが、おじいちゃんが、この日のゲームをまるで見ないで記事のアップロードだけしたために、イチローがヒットを第1打席から続けて2本も打ったことで、せっかく書いたとりとめのない記事の信憑性が無くなってしまい、赤っ恥をかくことになった(笑)残念(笑)


2人目は、シアトル・マリナーズのビートライター、ジェフ・ベイカーだ。新会社でスポーツに関する調査をする、という発表が、9月14日にあった。
ならばシーズン終了など待たず、ブログをスパッと閉鎖するのかと思いきや、9月末段階ではいまだに、ああでもないこうでもないと、貧しい内容のブログを細々書き続けているのだから、ほんと、わけがわからない。
たぶん、ホームランを180本以上も打ちながら目を覆いたくなる得失点差で借金生活という馬鹿野球を披露したシアトル・マリナーズの総括でもやるつもりなんだろうが、もう誰もベイカーにそんなこと期待してない。さっさと去れ。往生際の悪い男だ。
Geoff Baker moves to new enterprise, investigative role in sports | Mariners | The Seattle Times


3人目は、監督エリック・ウェッジ
最近のウェッジがどんな采配ぶりで、どんなことを言っているのか、興味が無いのでさっぱり知らなかったが(まぁ、資料など集めなくても、だいたい想像どおりだろうから、どうでもいい)、シーズン終了を目前にしてウェッジの側からチームを去るとかいう、わけのわからない話が耳に入ってきた。
当初の話では、ウェッジの希望する複数年契約をチームが承認してくれないので辞める、と報道されていた。

ウェッジの辞任理由を聞いて呆れかえったファンは、おそらくとても多かったことだろう。
そりゃそうだ。マリナーズが「再建」と自称するシーズンを、これまで何シーズン過ごしてきたのか、もう忘れるほどの年数が経ったが、スタジアムを狭くしてホームランを200本近くにまで増やしておきながら、一方でチームのシーズン三振数記録と1試合の観客動員数のチーム最低記録を更新するような「馬鹿野球」をやらかして、チームをシーズン90敗させた無能な監督が、あまつさえ「複数年契約を要求する」なんて話は、アタマがおかしいとしか批評しようがない。



そうした世間の辛辣な反応ぶりにウェッジが慌てたのか、それともシアトル・タイムズが慌てたのかは知らないが、「こんどマリナーズ番を外されることになった、ウェッジのお友達のご親切なベイカーさん」が、ウェッジから辞任の真の理由を聞きだしてきたとかいう「体裁」をとって、「ウェッジは、彼が望んだ複数年契約が実現しないから辞める」という既報を否定する記事をわざわざ書いた(笑)
Eric Wedge: I wouldn’t take five-year contract extension from Mariners | Mariners blog | Seattle Times

ベイカーが言うには、「ウェッジの語った辞任の真相」は、複数年契約が実現しなかったことが理由ではなく、「球団とウェッジの方針が違っていること」が原因であり、「ウェッジが本来望んでいるチーム編成の方針は、これこれだ」と、ベイカーはやけに熱心に書いている(笑)

「若手メイン」
「だが、ヴェテランもいて欲しい」
「全盛期の選手も複数年契約で欲しい」

なに、欲張ったこと、言ってんだっつうの(笑)
馬鹿も休み休み言えって。その、どこが「若手中心」なんだよ、ばーか(笑)都合いいことばっか言ってんじゃねぇっての(笑) 大物FA野手も獲ってこいってか? そんな選手、シアトルなんか行くわけねぇし、まかり間違って獲れたとしても、そんときにゃ「若手中心」になるわきゃねぇ。馬鹿かよ。


と、まぁ、言葉は汚いが簡単に言うと
そもそもこの記事、「これまで何年もかかって追求してきたが、これっぽっちも実現しなかったことを、いまだに将来にわたる目標ででもあるかのように書いている」だけなのだ。


軽く記事を読んでしまうと、「ベイカーがウェッジから聞いた、ウェッジのやりたいチーム方針」とか称するものがあって、「ウェッジは若手中心の方針でやっていきたい。なのに、チーム上層部が許してくれない。それはどうなんだ?」という話に聞こえる。

だが、よく読むと、ベイカーの書く「ウェッジのやりたい方針」というのは、とっくにこれまで数シーズンに渡って、GMジャック・ズレンシックと監督エリック・ウェッジの2人が現場で指揮し、スティーブ・ケリー、ジェフ・ベイカー、ラリー・ストーンなどシアトル・タイムズのライター陣が、メディアとして率先して民意を操作するかのような記事で後方支援してきた「2013年までに大失敗を繰り返してチーム方針そのもの」を意味しているのだから、笑うほかない(笑)


まぁ、ジェフ・ベイカーやラリー・ストーンといったシアトル・タイムズのビートライターたちが、過去にどんな記事を書いて、ジャック・ズレンシックとエリック・ウェッジが現在のようなできそこないの野球チームを作るのを支援してきたかを知っていれば、このロジックのループした記事を笑わずにいられないはずだ。

過去数年、彼らはオフシーズンになると、やれプリンス・フィルダーだの、アップトンだの、シアトルが獲れる可能性など100万%ないFA選手の獲得をネタにして、不毛なマスターベーション記事を書いてきた。
だが、フランチャイズプレーヤーのイチローを故意に追い出したシアトル、地元のコアな観客が見離しつつあるシアトル、金の無いシアトル、シーズン90敗してスタンドはガラガラでチーム史上最低観客数を更新したシアトル、選手のプライドより地元の能無し新聞記者のほうを大事にしてきたシアトル、生え抜き選手のほとんどを安売りしたシアトル、もしヒューストンが地区に編入されなかったらダントツ最下位だったシアトルと、契約してくれるような奇特な「全盛期の大物フリーエージェント」など、間違っても、誰ひとり、いるわけがない。
自分を大事にする権利を得たFA選手が、ヴェテラン選手を若い選手の「踏み台」にしたがるシアトル、選手を大事にしないシアトル、カネも人気も無いシアトル、ポストシーズンに出られる可能性のないシアトルと、契約するわけがないのである。


つまり、だ。
「若い選手中心でいきたい。だが、ヴェテランも必要で、できたら全盛期の大物選手を複数年契約で・・・・」なんていう、「欲の皮の突っ張ったクソガキみたいなヘリクツ」は、最初からそもそも「中身のない空論」なのだ。

そもそも、ウェッジが「全盛期にあるヴェテランが必要だ。ぜひ欲しい」なんていう分不相応な主張をするのは、今に始まった話ではない。それはズレンシックやウェッジと、彼らを支持してきたシアトル・タイムズのアホウな記者どもが、これまで主張し続けてきたことのひとつであって、しかも、それが実現する可能性が全くないことは、この数シーズンの惨状によって嫌というほどわかりきっているのである。(たとえばプリンス・フィルダーのような大物FA選手がシアトルと契約するわけがない)
上に挙げた記事は、そうした過去の「失敗に終わったことが明確な自分たちのこれまでの主張」を、それがあたかも「ウェッジが近未来に実現させようとしている、シアトル・マリナーズのための未来ビジョン」ででもあるかのように、ロジックをこねてみせて、その「ウェッジの未来ビジョン」とやらをマリナーズが認めないからウェッジは辞任する、などと、話をこねくりまわしただけのことだ。


今のシアトルの現状で、「ウェッジのやりたい方針」とやらを採用して出来上がるチームなんてものは、「若手に、脇役になってくれるヴェテランと全盛期にあるヴェテランを上手に混ぜた、フレッシュで、なおかつ頼りにもなるチーム」になるわけがない。
できあがるのは、単に「大物FA選手など獲れっこない弱小チームが、しかたなく若手を大量に使いつつ、そこに、どうにか獲ってきた単年契約のヴェテランや、キャリア終盤のヴェテランを加えてシーズンを出発するが、いつのまにか若手が消えてヴェテラン中心になってしまい、そこに雑なプレーしかできない若手が添えられているだけの、わけのわからない、始末に負えないチームができあがる」という不幸な顛末へのプロセスでしかない。

当然、この「エリック・ウェッジ的 大失敗プロセス」は、「若手メインでやろうとして失敗」、「そこにヴェテランを加えて、さらに失敗」、「有力なフリーエージェント選手の獲得にも失敗」という、何段階かの失敗プロセスを経ながら、泥沼の破局へ向けて失態が積み上がっていくことになる。


要するに、上で挙げたジェフ・ベイカーの記事に最初から中身などない。
なぜなら、「今あるシアトル・マリナーズ」は実は、もう既にコンセプト上は『ウェッジのやりたい方針どおりに作ったチーム』になっているからだ。
その「既にエリック・ウェッジ的につくられたチーム」が『とりかえしのつかない失敗作』になっている事実が既にあるにもかかわらず、上で紹介したベイカーの記事では、「監督ウェッジは、『シアトル・マリナーズがオレのチーム方針に沿ってチームを作ろうとしてない。だから辞めるしかない』と言っている」という主旨で記事を書いているのだから、「なに馬鹿なこといってんの」と言うしかない(笑)

ベイカーの記事に書かれた「ウェッジのやりたいチーム編成方針」とか称するものは、現実におし進めようとしてみれば、結局は、どこから手をつけても、どんな道をたどっても、いま、現実に目の前にある「単年契約のヴェテランを中心に、そこにめぼしい若手が添えられているだけの、2013シアトル・マリナーズ」にしか行き着かない。
あたかも「ウェッジの脳内には、将来実現する理想のビジョンがある」みたいな書き方をベイカーがした理由は、単にこれまで実現するはずのないビジョンを掲げて大失敗してきた自分たちの体面を保つためだけのためにジェフ・ベイカーが記事を書いている、それだけのことだ。
だから、記事の内容がまったく辻褄が合わないし、虫のいいことばかり書いている。

いつになったらシアトル・マリナーズの「再建」とやらが始まるのか、早く教えてもらいたいものだ(笑)


ちなみに、ちょっとだけヤンキースについても書く。
「若手中心と称してスタートし、単年契約のヴェテランをとっかえひっかえ踏み台として使っているだけの、ホームラン狙いで三振がやたらと多い、資金に余裕のない球団」が今のシアトル・マリナーズだとして、そんな支離滅裂で中心の無いシアトルと似たようなチーム方針を8月末以降にとりだして、勝率をいたずらに下げ、ポストシーズン進出を取り逃がすところまで行ったのが、2013年終盤のヤンキースであり、ジラルディだったという部分を忘れてはいけない。
このことはよほど肝に銘じておかないと、リベラだけでなく、やがてはジーターもいなくなるヤンキースが、近年マリナーズがやらかしてきたミスの大半を経験することによって、「第二のマリナーズ化」する羽目になる。
八百屋じゃないんだから、単純に若手をスタメンに並べて、チャンスだけ与えておけば、どんな才能の無い若手でも成長するだろう、などと思ったら、大間違いなのだ。


Play Clean
日付表記はすべて
アメリカ現地時間です

Twitterボタン

アドレス短縮 http://bit.ly/
2020TOKYO
think different
 
  • 2014年10月31日、PARADE !
  • 2013年11月28日、『父親とベースボール』 (9)1920年代における古参の白人移民と新参の白人移民との間の軋轢 ヘンリー・フォード所有のThe Dearborn Independent紙によるレッドソックスオーナーHarry Frazeeへの攻撃の新解釈
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年11月8日、『父親とベースボール』 (8)20世紀初頭にアメリカ社会とMLBが経験した「最初の大衆化」を主導した「外野席の白人移民」の影響力 (付録:ユダヤ系移民史)
  • 2013年6月1日、あまりにも不活性で地味な旧ヤンキースタジアム跡地利用。「スタジアム周辺の駐車場の採算悪化」は、駐車場の供給過剰と料金の高さの問題であり、観客動員の問題ではない。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年6月29日、『父親とベースボール』 (1)星一徹とケン・バーンズに学ぶ 『ベースボールにおける父親の重み』。
Categories
ブログ内検索 by Google
ブログ内検索 by livedoor
記事検索
Thank you for visiting
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

free counters

by Month