August 05, 2008
クレメントが自分のチカラで城島を越えた。
重要すぎる場面の代打で、見事に勝ち越しタイムリー。大役を果たしただけでなく、その後マスクをかぶって、チームのドラマを危なげなく守り抜いたことも大きい。まさにワンチャンスをモノにした、若者の面目躍如である。
バティスター城島のバッテリーのいつもの大量失点で、いつもなら諦めた試合である。事実、7回、先頭打者として打席に立ったのは城島で、なんの工夫もなく、サードゴロ。このとき日本のファンは「今日もいつものマリナーズか」と、その後に待っているドラマなど予想できない展開だった。
自信をもって言うが、この日の連続得点のパターンは、既にこのブログでは予測していた。7月31日の4回に「来シーズン以降のシアトルの形が見えた」と書き、そして7月31日の4回に再現された、あの「選んで貯める、繋いで返す」という、クレメント先発のここ数試合にみられるシアトルの新しいローリングする野球スタイルだ。
「選んで貯める」とは、もちろん、ランナーが出たらヒットだけ狙ってファーストストライクをむやみに早打ちして併殺に終わるような淡白な攻撃ではなく(この8月4日も、そういう馬鹿な攻撃は何度もあった。何人もの走者がいつものように見殺しになった)、無策のままアウトカウントを無駄に増やさないで、四球もきちんと評価しつつ、ランナーを丁寧に貯め、進め、試合相手の守備に大きなプレッシャーを与えていくスタイルだ。
「繋いで返す」とは、もちろん、出したランナー、貯めたランナーを無駄にしない攻撃のこと。クラッチヒッターの前にランナーを貯めタイムリーやホームランを期待するのはそれは理想だが、そんなケースが試合で何度も訪れるわけはない。たとえ繋がりづらい下位打線の出塁でも無駄にせず、塁を埋めたランナーを返すためにできることはなんでもする。進塁打、バント、代打、代走、相手のエラーや野選。なんでも利用しつつ、フィニッシュの形はたとえ犠牲フライでもいいから、小さいチャンスも無駄にせず、得点として丁寧に収穫していく。
いいかえれば、海でむやみに魚を獲って資源を枯渇させるのではなく、チャンスという卵を、育ててはかえし、育てては返し、何度も収穫する栽培型漁業のような野球、とでもいうような野球だ。
ロールroleとは「役割」のことだが、今日の7回は選手がきちんとロールをこなしつつ、チャンスを先へ先へと転がしていく、つまり、ローリングさせていく、そういうチームの姿勢の変化がもたらした野球が、おもしろいように連鎖的につながって結果的に大量点を産んだ。
ランナーを貯める作業を繰り返す経過でミネソタの守備に大きなプレシャーがかかって、何度もエラーを誘発したが、こうしたエラー誘発も偶然ではない。7月31日の4回、7月31日の4回、いずれの得点シーンも相手のエラーがらみだ。
やはりランナーを貯めていくプレッシャーが相手守備をかなりビビらせ、ミスを誘発させるのである。
BOX SCORE
7回裏
城島 サードゴロ(2球目)
ベタンコート ヒット
イチロー 四球(1、2塁)
ブルームクイスト ヒット(満塁)
イバニェス グランドスラム(4RBI)
ベルトレ 2塁打
ロペス ヒット(RBI 2塁)
ビドロ サードフライ
代打カイロ 四球
代打クレメント ヒット+エラー(RBI 2、3塁)←勝ち越し
ベタンコート ヒット+エラー(RBI 2塁)
イチロー 敬遠四球(1、2塁)
ブルームクイスト 四球(満塁)
イバニェス ヒット+1塁走者ブルクイ本塁アウト(2RBI)
注 イバニェスの1イニング6RBIは、球団レコードとのこと。これまでの記録は、グリフィーJr.の5打点(1999年4月29日 at old Kingdome)
10得点のイニングの動画(MLB)
http://mlb.mlb.com/media/video.jsp?mid=200808053255236&c_id=sea
ところでこれは、日本のメディアのシアトル番記者として有名なN氏の記事だが、「(存在感を示す)機会さえ奪われて」とはまた、おかしなことを書くものだ。
城島に屈辱の代打 一打勝ち越しのチャンスに
http://mlb.yahoo.co.jp/headlines/?a=15622
「打率が2割1分を前後する。そうした選手が名誉回復するとしたら、今日のような場面で存在感を示すしかないが、その機会さえ奪われては、気持ちの整理がつかなかったのかもしれない。」
7回の先頭打者は誰だったか?
そして、その打席を、気持ちがたるんでいるとしかいいようがない阿呆なバッティングで無駄にした「油断」は誰の責任か。チームか。
すべて、城島自身である。
忘れてはいけない。7回、城島はすでに一度、チャンスをもらっているのだ。無策にサードゴロを打った時点で誰もが「ああ、いつものマリナーズか」と暗澹たる気持ちにさせられた。同じイニングの2度目の打席で代打を出されたことが「チームが機会を奪った」ことになるわけがない。
チャンスの打席だけよこせ、とでもいうのか?
何を甘えたことを言っている。馬鹿を言うのも、ほどほどにしたらどうか。
この7回の大量得点は、チャンスを、それぞれの打者が自分のロールを自覚して、チャンスを作り、育てながら繋いで、収穫して、またチャンスをローリングさせて作りだしたものだ。
だらしなくクチをあけて「チャンスになったら、エサちょうだい」とピーピーと泣き喚いてばかりいる小鳥ではあるまいし、チャンスがもらえるのを待っているだけの選手などに、用はない。代打を出されて当然だ。
そもそも、この2008年シーズンという途方もなく大きなチャンスを与えられてもらっておいて、ぶざまな大失態でそれを逃したのは、ほかならぬ城島自身だろう。
いつまで甘やかしておけば気がすむのだ。
もう一度書こう。7回の先頭打者として打席に立ったのは城島で、打者として、なんの工夫もなくサードゴロ。このヘボ打者がこの後起きたチームのドラマへの参加を許されなかったのは、しごく当然のことだ。
重要すぎる場面の代打で、見事に勝ち越しタイムリー。大役を果たしただけでなく、その後マスクをかぶって、チームのドラマを危なげなく守り抜いたことも大きい。まさにワンチャンスをモノにした、若者の面目躍如である。
バティスター城島のバッテリーのいつもの大量失点で、いつもなら諦めた試合である。事実、7回、先頭打者として打席に立ったのは城島で、なんの工夫もなく、サードゴロ。このとき日本のファンは「今日もいつものマリナーズか」と、その後に待っているドラマなど予想できない展開だった。
自信をもって言うが、この日の連続得点のパターンは、既にこのブログでは予測していた。7月31日の4回に「来シーズン以降のシアトルの形が見えた」と書き、そして7月31日の4回に再現された、あの「選んで貯める、繋いで返す」という、クレメント先発のここ数試合にみられるシアトルの新しいローリングする野球スタイルだ。
「選んで貯める」とは、もちろん、ランナーが出たらヒットだけ狙ってファーストストライクをむやみに早打ちして併殺に終わるような淡白な攻撃ではなく(この8月4日も、そういう馬鹿な攻撃は何度もあった。何人もの走者がいつものように見殺しになった)、無策のままアウトカウントを無駄に増やさないで、四球もきちんと評価しつつ、ランナーを丁寧に貯め、進め、試合相手の守備に大きなプレッシャーを与えていくスタイルだ。
「繋いで返す」とは、もちろん、出したランナー、貯めたランナーを無駄にしない攻撃のこと。クラッチヒッターの前にランナーを貯めタイムリーやホームランを期待するのはそれは理想だが、そんなケースが試合で何度も訪れるわけはない。たとえ繋がりづらい下位打線の出塁でも無駄にせず、塁を埋めたランナーを返すためにできることはなんでもする。進塁打、バント、代打、代走、相手のエラーや野選。なんでも利用しつつ、フィニッシュの形はたとえ犠牲フライでもいいから、小さいチャンスも無駄にせず、得点として丁寧に収穫していく。
いいかえれば、海でむやみに魚を獲って資源を枯渇させるのではなく、チャンスという卵を、育ててはかえし、育てては返し、何度も収穫する栽培型漁業のような野球、とでもいうような野球だ。
ロールroleとは「役割」のことだが、今日の7回は選手がきちんとロールをこなしつつ、チャンスを先へ先へと転がしていく、つまり、ローリングさせていく、そういうチームの姿勢の変化がもたらした野球が、おもしろいように連鎖的につながって結果的に大量点を産んだ。
ランナーを貯める作業を繰り返す経過でミネソタの守備に大きなプレシャーがかかって、何度もエラーを誘発したが、こうしたエラー誘発も偶然ではない。7月31日の4回、7月31日の4回、いずれの得点シーンも相手のエラーがらみだ。
やはりランナーを貯めていくプレッシャーが相手守備をかなりビビらせ、ミスを誘発させるのである。
BOX SCORE
7回裏
城島 サードゴロ(2球目)
ベタンコート ヒット
イチロー 四球(1、2塁)
ブルームクイスト ヒット(満塁)
イバニェス グランドスラム(4RBI)
ベルトレ 2塁打
ロペス ヒット(RBI 2塁)
ビドロ サードフライ
代打カイロ 四球
代打クレメント ヒット+エラー(RBI 2、3塁)←勝ち越し
ベタンコート ヒット+エラー(RBI 2塁)
イチロー 敬遠四球(1、2塁)
ブルームクイスト 四球(満塁)
イバニェス ヒット+1塁走者ブルクイ本塁アウト(2RBI)
注 イバニェスの1イニング6RBIは、球団レコードとのこと。これまでの記録は、グリフィーJr.の5打点(1999年4月29日 at old Kingdome)
10得点のイニングの動画(MLB)
http://mlb.mlb.com/media/video.jsp?mid=200808053255236&c_id=sea
ところでこれは、日本のメディアのシアトル番記者として有名なN氏の記事だが、「(存在感を示す)機会さえ奪われて」とはまた、おかしなことを書くものだ。
城島に屈辱の代打 一打勝ち越しのチャンスに
http://mlb.yahoo.co.jp/headlines/?a=15622
「打率が2割1分を前後する。そうした選手が名誉回復するとしたら、今日のような場面で存在感を示すしかないが、その機会さえ奪われては、気持ちの整理がつかなかったのかもしれない。」
7回の先頭打者は誰だったか?
そして、その打席を、気持ちがたるんでいるとしかいいようがない阿呆なバッティングで無駄にした「油断」は誰の責任か。チームか。
すべて、城島自身である。
忘れてはいけない。7回、城島はすでに一度、チャンスをもらっているのだ。無策にサードゴロを打った時点で誰もが「ああ、いつものマリナーズか」と暗澹たる気持ちにさせられた。同じイニングの2度目の打席で代打を出されたことが「チームが機会を奪った」ことになるわけがない。
チャンスの打席だけよこせ、とでもいうのか?
何を甘えたことを言っている。馬鹿を言うのも、ほどほどにしたらどうか。
この7回の大量得点は、チャンスを、それぞれの打者が自分のロールを自覚して、チャンスを作り、育てながら繋いで、収穫して、またチャンスをローリングさせて作りだしたものだ。
だらしなくクチをあけて「チャンスになったら、エサちょうだい」とピーピーと泣き喚いてばかりいる小鳥ではあるまいし、チャンスがもらえるのを待っているだけの選手などに、用はない。代打を出されて当然だ。
そもそも、この2008年シーズンという途方もなく大きなチャンスを与えられてもらっておいて、ぶざまな大失態でそれを逃したのは、ほかならぬ城島自身だろう。
いつまで甘やかしておけば気がすむのだ。
もう一度書こう。7回の先頭打者として打席に立ったのは城島で、打者として、なんの工夫もなくサードゴロ。このヘボ打者がこの後起きたチームのドラマへの参加を許されなかったのは、しごく当然のことだ。