CERA (捕手防御率)

2011年6月11日、現在のところミゲル・オリーボがMLBトップのCERAランキングを2007年と比較して、MLBのキャッチャーの世代交代を見てみる。
2010年9月26日、ソフトバンク優勝でハッキリした「城島獲得を渋ったかつての投手王国ソフトバンクと、高額ダメ物件・城島に手を出した阪神」との大差。
2009年8月24日、ビクター・マルチネスの呪縛から解き放たれたようなクリフ・リー、フィラデルフィアの控え捕手ポール・バコ相手に5連勝、8月の月間防御率0.58を記録する。月間最優秀投手賞は間違いなし。
2009年7月24日、4本のホームランを浴びてやる気の失せた城島はポジショニングをミスしてイチローのレーザービームを無駄にし、6連敗。ゲームをぶち壊して、チームの勢いを台無しにした。
2009年6月27日、MLBのCERAトップに輝くロブ・ジョンソンは11三振でナ・リーグ西首位のドジャースを翻弄し圧勝。ヘルナンデス8回QSで8勝目。
2009年6月15日、ニューヨークタイムズはCERAの観点から、捕手ポサダの能力に疑問を投げかけた。
2009年5月31日、通算CERA5.51のキロスは6回裏以降「城島そっくり」の大炎上ぶりで、LAAスイープを逃した。
2009年4月、ロブ・ジョンソンは先発投手の防御率2.85で4月を乗り切った。
2008年9月4日現在、2007シーズン夏にCERA最下位争いをしていたキャッチャーたちの行方は、城島の「一人負け」。
2008年6月30日現在、城島はメジャー最悪のCERA(規定イニング到達)。
2008年6月15日現在、CERA、CSの2部門メジャーワースト1位を記録。

June 12, 2011

いまMLBで規定イニング数こなしているキャッチャーのCERAランキングは以下のようになっている。
ミゲル・オリーボがトップ。これは、なにも投手陣が優秀なためだけではなく、安定感のあるリードをみせる彼自身が誇っていい数字だと思う。なんせ、3点を切っているのは彼だけだし。

先月ちょっと書いたミルウォーキーの若い1986年生まれのキャッチャー、ジョナサン・ルクロイもいい位置につけている。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年5月15日、例によってベタンコートの低出塁率に手を焼くミルウォーキー。

いまテキサスと対戦するたび、元シアトルの2人のキャッチャーであるオリーボと、コロラドでワールドシリーズも経験したヨービット・トレアルバが、2つのチームのビハインド・ザ・プレートに座っているのを見ることになるわけだが、ダメ捕手城島がMLBに来た当時のファンの数々の発言の無意味さが可笑しくてならない(笑)

2011年6月10日のCERAランキング
太字で示した年齢は、すべて「1983年生まれのキャッチャー」。ラッセル・マーティンは早生まれで、1983年2月生まれの28歳。順位はチームの地区順位)

Miguel Olivo    SEA 2.92 32歳 2位
Carlos Ruiz     PHI 3.22 32歳 首位
Brian McCann  ATL 3.26 27歳 2位
Jonathan Lucroy MIL 3.52 24歳 2位
John Jaso      TB 3.55 27歳 3位
John Buck      FLA 3.57 30歳 3位
Kurt Suzuki     OAK 3.66 27歳
Russell Martin  NYY 3.70 28歳 2位
Matt Wieters    BAL 3.73 25歳
Miguel Montero  ARI 3.77 27歳 2位
2011 Regular Season MLB Baseball C Fielding Statistics - Major League Baseball - ESPN


たまたま手元に、ほぼ4年前、同じESPNの2007年6月30日現在のCERAランキングがあるので、久しぶりに並べてみた。(規定回数出場かどうかがわからないデータなので、とりあえず当時の正捕手のみ)

2007年6月30日のCERAランキング
ジョシュ・バード     2.56 SD →SEAマイナー
ジェイソン・ケンドール  3.21 OAK →KC DL中
クリス・スナイダー    3.47 ARI →PIT 
ラッセル・マーティン  3.56 LAD →NYY
ジョー・マウアー     3.60 MIN →DL中
ポール・ロ・デューカ   3.67 NYM →2008年引退
ジェイソン・バリテック  3.72 BOS
ブライアン・マッキャン 3.77 ATL
マイク・ナポリ       3.87 LAA →TEXでコンバート
ベンジー・モリーナ    3.92 SFG →2010年引退
カイル・フィリップス    3.99 TOR →SD


この4年で、MLBのキャッチャー地図は一斉に書き換わった

サンフランシスコでは、ヴェテランのベンジー・モリーナが引退し、今年24歳のバスター・ポージーが正捕手デビューしてワールドシリーズに勝ち、ヤンキースを支えてきたホルヘ・ポサダがマスクをかぶることはなくなって、ドジャースからラッセル・マーティンがやってきた。
シアトルが対戦中のデトロイトでいえば、ウオッシュバーンが2009年にデトロイトに移籍した当時バッテリーを組んでいた若いアレックス・アビラは、当時ジェラルド・レアードと正捕手争いをしていた。アビラは1987年生まれで、ここでいう「1983年世代」ではないのだが、いまは正捕手になり、打率.292、OPS.907打っている(レアードはセントルイスで1982年生まれのヤディア・モリーナの控えになった)
オークランドのカート・スズキはいまやア・リーグを代表するキャッチャーのひとりだし、モノにならないと言われ続けていたボルチモアのマット・ウィータースもサマになってきた。


この4年でCERAランキングのトップクラスに生き残れたのは、ケガをしているジョー・マウアーを一応入れたとしても、ブライアン・マッキャン、ラッセル・マーティンくらいだ。この3人全員が1983年生まれである。よくラッセル・マーティンを貧打貧打とけなす人が多かったものだが、ヤンキースではホームランを量産しだしているから、わからないものだ。
(シアトルのロスターでいうと、1983年生まれは、デビッド・ポーリーブランドン・リーグジェイソン・バルガスなど)


1983年生まれ世代の活躍と、それによるMLBの世代交代は、キャッチャー分野においても起こると、ずっと言ってきた。
それは、いってみれば、いま目の前で微細な霧状の雨が降り出しているのを見て「これから雨が降りますよ」と予報するくらい、単純でわかりやすい話だった。

ほんの数年前は、ダメ捕手城島の提灯持ちライターはじめ、誰もこの「MLBにおけるキャッチャーの世代交代」をきちんと意識に織り込むこともせず無邪気な発言を繰り返していたわけで、あれはいま思い出しても滑稽だ(笑)
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年11月12日、2009年の攻守あらゆるポジションと賞を席捲し、これからのメジャーを担う「1983年世代」。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2010年4月9日、ア・リーグ西地区4チームすべてに「1983年世代」の捕手が顔を揃えた2010シーズン。


まぁ、「これから雨が降るんだぜ。おまえ馬鹿なのか?」と顔の前、5センチの距離で言われていても、得意げな顔で洗濯物を外に干して、なにもかも泥まみれにしてしまい、晴れたら晴れたで、いちど洗濯しなおすべきなのに、泥だらけの洗濯物を干しっぱなしにして、こんどはカビカビの使い物にならないゴミにしてしまうような「なにも見えてないのに得意げだった哀れな人たち」がやっていることだ。

知ったこっちゃない。






damejima at 01:12

September 27, 2010

ソフトバンク2010シーズン優勝。
あの高額ダメ物件、城島に手を出さなかったソフトバンク側の選択の正しさが、これで証明された


今シーズンのソフトバンクの優勝を特徴づけるのは、「2ケタ以上勝てる計算のできる先発投手が2人しかいなかったにもかかわらず、優勝できたこと」だ。
これは、現代野球のチームマネジメントを考える上では、非常に画期的な出来事だと考える。

有力投手を同じチームに3人以上揃えることは、けして簡単ではなくなってきているにもかかわらず、アトランタの投手王国時代を作ったグラビンマダックススモルツではないが、優勝チームをつくるとしたら主軸投手はやはり3人欲しい、と、誰しも考える。理由は簡単だ。それが「楽に優勝できる道」だからだ。
そういう楽なことは、プロ、素人に関係なく、誰でも考えつく。その一方で、楽でない状況のもとで優勝するのは、誰にでもできることではない。

今シーズンのソフトバンクは、10勝以上をあらかじめ計算できる先発投手が和田杉内の2人しかいないにもかかわらず、ブルペン投手(ファルケンボーグ、摂津、馬原など)の優秀さで、先発投手の枚数が十分とはいえないチーム状況を補って、チーム防御率をなんとか3点台に収めることに成功し、優勝を勝ち取った。(斉藤和己新垣が2桁勝利を記録したのは2006年まで)
なにも10勝以上できる投手が4人いなくても優勝できる方法はある、という実例を示したわけだ。(もちろん、こうした形の優勝を実現するためにキャッチャーの果たす役割は、日本では大きい)

もちろん、「キャッチャーのせいで10勝以上の投手が2人しかいない状況ができてしまっているどこかのチーム(笑)」とは根本的に意味が違う。
もし今年のソフトバンクに城島がいたら、2線級の先発が打たれまくるシーンや、ゲーム中盤・終盤にブルペンが打たれて逆転される場面が多数見られたに違いないのに。たいへんに残念なことだ(笑)
「SBM」が支えた!合計防御率1・71 - 野球ニュース : nikkansports.com


シーズン終盤ギリギリの優勝決定という事実でもわかるとおり、もし、ほんの数試合クロスゲームを落としているだけで、この優勝はなかっただろうし、また、ソフトバンクが最下位に終わった2008年のようにチーム防御率が4点台に落ちていたら、優勝どころか、クライマックスシリーズ進出も危ういものになっていたかもしれない。
もちろん、逆に言えば、阪神はこの高額ダメ物件に手を出さなければ、3割バッターを5人も6人も抱えていながらシーズンを楽勝できない、などという大恥をかくようなハメにならずに済んだ、ともいえる。
参考)阪神のシーズン打率.289の意味
創設以来チーム打率.268の高率を誇るヤンキースだが、第二次大戦後にチーム打率.289以上だったのは、2007年の1回のみしかない。また非常に打者有利な球場をホームにしてバッティングスタッツが異常に高いことで知られるコロラド・ロッキーズは、創設以来の打率が.277と異常に高いが、チーム打率.290以上を記録したのは98年、2000年、2001年の3回のみ。つまり、チーム打率.289なんていう数字は、ちょっとした天文学的数値。



その意味で、防御率のほんのちょっとした違いは、実に重要だ。もしソフトバンクが血迷ってダメ捕手城島を獲得でもしていたら、この優勝はありえなかった。

優勝決定時点での防御率
ソフトバンク 3.89
西武     4.21


日本のプロ野球セ・リーグではいま、ちょっとやそっとの補強では埋められないほど、チーム別スタッツに大差がついている。
例えば、下位2チームの防御率は4点台後半で、どう打線が頑張ろうと、Aクラス入りはもともと無理だし、それらのチームがたとえ無理して大金を払って10勝できる投手を1人補強できたとしても、優勝などありえない。打撃も、打率やホームラン数をみるだけでわかる通り、チームごとの偏りはひどい。
というか、下位球団が有力投手や強打者をトレードで獲得すること自体が無理になっているわけで、つまりセ・リーグでは、有力先発投手、主軸打者の両方が、ごく一部のチームにのみ非常に偏って存在し、上位チームと下位チームの逆転自体がありえないものになりつつある。

だから、セ・リーグではシーズン順位が上位に来るチームは毎年あらかじめ決まってきている。もちろん日本に逃げ帰るにあたって城島が選択した「阪神」もそのひとつだ。
いまの阪神は、「かつてのような、生え抜きが多く在籍していて、防御率のいい阪神」とはまったく違い、いまや国内の他チームとアメリカの選手を寄せ集めてできた「かつてのヤンキース的な寄せ集めチーム」のひとつであり、城島が阪神を選択したのは「自分が頑張らなくても勝てるチームに行きたかった、というだけの生ぬるい選択」で、寄らば大樹の陰、というだけの話だ。

だが、パ・リーグのチーム別スタッツは、セ・リーグほどの「あからさまな大差」はない。
それだけに、2000年代中期のように先発投手がズラリと揃っているわけではないソフトバンクにしてみれば、どこかの関西球団のような「打撃だけで大勝ちする大雑把な野球」より、「いかにクロスゲームを勝ち越すか」のほうが重要なシーズンだったはずで、ロスターの誰が手を抜いても優勝できなかった厳しいシーズンだっただろう。


ソフトバンクというチームの歴史にとって、2010年の3.89という防御率はけしていい数字ではない。最近の防御率でいうと、城島がシアトルに移籍した翌年の2006年などは3.13と、前年の防御率を大きく上回る驚異的な防御率を残し、その翌年2007年も(斉藤、新垣と先発投手の故障が続いたにもかかわらず)3.18と非常に優れた数字を残している。
ソフトバンクは、計算できる主戦投手がいつもそれなりに揃っていて、抜群の防御率を残すのが当たり前の投手王国だったわけで、当然ながら、城島がいなくなったことは防御率向上にプラスに働いたことはいうまでもないし、城島在籍時の投手王国時代のソフトバンクの防御率がよかったのは、「単に投手陣が優秀だっただけ。城島がいなければもっと防御率は良かった」ことは、なによりチームの歴史が証明している


ソフトバンクの防御率が、かつて先発投手に和田、斉藤、杉内、新垣と看板投手がズラリと揃っていた黄金期に比べれば、少しばかり冴えないのは、いたしかたない。優勝したとはいえ、先発投手の軸といえる投手は結局のところ、和田、杉内の2人しかいないのだから、防御率が4点に近いのも当然だ。

では、先発投手が足りないからといって、トレードで10勝以上できる投手が簡単に獲得できる時代だろうか?
例えば黒田や岩隈(もしかするとダルビッシュも)のように、たとえ優勝の望みの薄いチームの有力先発投手でさえ、国内での強豪チームへの移籍ではなく、メジャー挑戦を選択して流出する時代である。2桁を計算できる先発投手を国内の他チームから獲得してくることは、たとえ予算の豊かなチームであっても簡単には実現しにくい時代になってきている。

それだけに「先発の軸になる投手が2枚しかない状態が今後も続きかねない」ソフトバンクにとって、明らかにチームの防御率を悪くするキャッチャーであるダメ捕手城島に手を出さなかったことの意義は、今後も非常に大きい。

10勝以上を計算できる先発投手を簡単に獲得するのが難しいこの時代に、CERAが悪く、打撃もアテにならない攻撃型キャッチャーには安易に手を出すな」
まさに、若い選手を育成して台頭したタンパベイに煽られているヤンキース(ポサダ)やボストン・レッドソックス(ビクター・マルチネス)などにも言ってやりたい格言である。






damejima at 16:07

August 27, 2009

7月末にクリーブランドからイバニェスのいるフィリーズに移籍したクリフ・リー赤丸絶好調だ。

8月にはいって、4登板で31イニングも投げて、自責点はわずか2点、四球たったの4つで、4連勝。ホームランは1本も打たれていない。三振も31イニングで33、ほぼ毎回奪三振。8月19日などは、106球で、2安打無四球完投勝ちなんていう、準完全試合まがいの離れ業まで披露している。
8月の防御率はなんと0.58。4連勝も当然だろう。

これで移籍前の3連勝と、移籍後の5連勝とあわせて、なんと8連勝、7月初旬にはまだ7勝9敗だった今年の勝ち負けを、一気に12勝9敗までもってきてしまった。

偉大なるクリス・カーペンターが8月5連勝しているが、月間ERAは2.08だし、ロッキーズのヒメネスも8月5連勝中だが、月間ERAは1.63。ナ・リーグ8月の月間最優秀投手は、今月あと1勝すれば、文句なく防御率1点以下のクリフ・リーで決まりだろう。
クリフ・リーの2009年全登板ゲーム
Cliff Lee Stats, News, Photos - Philadelphia Phillies - ESPN
8月のナ・リーグ勝ち星ランキング
MLB Baseball Pitching Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN

2009年7月16日、城島は試合序盤、投手オルソン、ジャクバスカスがモーションに入ってもミットを構えず、ゲームのリズムを壊した。(サイ・ヤング賞投手クリフ・リーがなぜショパックを指名捕手にしたか 解説つき)


さて、クリフ・リーでたびたび話題にしてきた「キャッチャー問題」だが、やはり、フィリーズでも面白いことになった。


クリフ・リーはクリーブランド時代、打撃型のキャッチャー、ビクター・マルチネスを拒否し、かわりにショパックを指名捕手にして、2008年のサイ・ヤング賞を獲得したわけだが、フィリーズに移籍後は、さすがに正捕手であるカルロス・クルーズが彼のボールを受けるのかとばかり思っていた。
2009年7月29日、サイ・ヤング賞投手クリフ・リーのフィリーズ移籍に、ヘルナンデスはじめシアトルのローテ投手の契約更新における「城島問題」の大きさを見る。

しかし、移籍後のクリフ・リーは一貫して、控え捕手のポール・バコを相手に投げ続けて5連勝負け知らずなのである。
まぁ、いってみれば、クリフ・リーも、クリーブランド時代にビクター・マルチネスに泣かされた苦い経験が生きて、「自分にあうキャッチャーは、早めにみつけて、必ず指名してしまう」ことにでもしたのだろう。
投手成績にとっての捕手との相性の大事さをよく知るクリフ・リーならではの早業である。

ポール・バコ キャリアCERA等
Paul Bako Stats, News, Photos - Philadelphia Phillies - ESPN
ポール・バコ 2009ゲームログ
Paul Bako Stats, News, Photos - Philadelphia Phillies - ESPN


ポール・バコは、まったく知らないキャッチャー。キャリアを見るとタイガースを皮切りに、12年目というキャリアで11チームを渡り歩いてきた、いわば「流しのキャッチャー」というべきジャーニーマン。CERA的には、2003年2004年のシカゴ・カブス時代が最も良く、2年続けて3点台を記録してはいる。

バコがフィラデルフィアでメジャーに上がったのは2009年6月だが、この月はフィラデルフィアは負け続きで、7連敗するなど調子がよくなかった。
ところが、7月に入ってバコが頻繁にマスクをかぶりだしてから、フィラデルフィアは一変。バコ先発ゲームだけで11勝もした。
特に7月8日から11日にかけての4連勝は(7月9日はクルーズ先発。代打がでて、キャッチャーがかわった)オールスターを前にしたチームに大きな変化をつけた。

オールスター後7月のバコは、ローテ投手5人のうち、2人を受ける率で先発し、それなりにゲームを勝っていたのだが、クリフ・リーが移籍してから、どういうわけか、クリフ・リー専属捕手という感じになった。
この間、どういう詳しい経緯があったか、調べてないのでわからないのだが、とにもかくにも、クリフ・リーにしてみれば「これでいいのだ」というところだろう。


正捕手のカルロス・ルイスと、控え捕手のポール・バコ、どちらが攻撃的な捕手か。
シーズン打率2割3分程度のルイスと、1割台のバコだから、比べようが無いといえば、比べようがない。

クリフ・リーにしてみれば、そんな些細なキャッチャーの打撃より、「俺がきちんと投げれば勝つ。だから、別に打たなくていいから、黙ってボールを受けるマトモなキャッチャーを寄こしてくれ」とでもいうところだろう。メジャーの大投手らしい、悠然とした対応である。


ちなみに、クリフ・リー、バッティングも大好きなようで、27打数で5安打、二塁打も2本打っている。OPSは.606。これはシアトルの、かのコネ捕手の2008年のシーズンOPSと、ほぼ同じ(失笑)






damejima at 03:22

July 25, 2009

2009年7月24日 イチローのレーザービームを無駄にした城島

9回2死、ランナー1、2塁、ビクター・マルチネスのライト前ヒットの直後のホームのクロスプレー。レーザービームのタイミングはもちろん「アウト」
コネ捕手のポジショニングが明らかに全く前すぎる。どうみてもイチローのレーザービームが飛んでくるのがわかっている場面なのに、城島はホームベースの1メートル前にまで出ている。
どこまで前に出てキャッチするつもりだったのか。
と、いうより、そもそもどんなプレーをここで想定していたのか?本塁クロスプレーという想定が、明らかにコネ捕手城島の真っ白になった頭の中から完全に飛んでしまっている。つまりマトモな判断力を失ったままプレーしている。

この「失点すると一気に判断力がなくなる」ことが、このダメ捕手のダメさの重要な部分であることが、今日、目の前で証明された。


ホームランを打たれたくらいで気分が消沈して、投入してくるランナーをブロックする意思すらないヘボ・キャッチャー。
やる気がないのなら、一刻も早くマイナーに落ちるか、それ以上に、早く日本に帰れ。こんな気の抜けた選手、DHをやる資格すらない。

ローランドスミスはここが復帰登板だったが、コネ捕手城島と組まされたのが不幸だった。せっかくマイナーで調整してきたローランドスミスを疫病神にまかせたシアトルも悪い。
マイナーからクレメント(またはバーク)を上げてきて、彼にローテの5番手をまかせてゲーム慣れとロブ・ジョンソンの休養にあて、一刻も早く投手全体をロブ・ジョンソンにまかせるべき。

Cleveland vs. Seattle - July 24, 2009 | MLB.com: Gameday






damejima at 13:40

June 28, 2009

今日のゲームは規定出場イニング数には届いていないが、十分なゲーム数をこなしつつ、MLBのCERAトップを維持し続けるロブ・ジョンソンと(出場ゲームが一桁のような選手除く)、MLB規定イニング到達者でCERAトップの名捕手ラッセル・マーティンの(たぶん初めての)顔会わせのゲームということになった。

試合終了後のCERA
ロブ・ジョンソン   SEA 2.78(39ゲーム 316.1イニング)
ラッセル・マーティン LAD 3.45(63ゲーム 550イニング)
MLB Baseball Fielding Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN

結果として、シアトルがナ・リーグ西地区トップのLADに圧勝。ヘルナンデスが気持ちよく変化球をゆったりと投げたゲームだった。
これでヘルナンデスのERAは2.54で、ア・リーグ4位。このままワカマツが先発ローテにあわせてキャッチャーを変える方針でいってくれれば、彼は充実したシーズンになりそうだ。
MLB Baseball Pitching Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN

これでシアトルはSBOコネ捕手城島の食いつぶした貯金を取り戻して、貯金2に戻った。
Seattle vs. LA Dodgers - June 27, 2009 | MLB.com: Gameday


ヘルナンデスが9三振。アーズマが2三振。

最終回のアーズマは多少力みがあったせいか、ランナー2人を出した。
LAD打線にしてみれば、ヘルナンデスのストレートを待っていたのにさんざん変化球を空振りさせられ凡退し続けた後に、ストレート中心に組み立ててくるアーズマが出てきたわけだから、「ああ、やっとストレート系をバットに当てることができる」と、非常にホッとした気持ちだったのではないか。
アーズマ自身のストレートにキレがなかったわけではないが、たまたまそんなゲーム展開でストレートに飢えたLAD打線の前に出てきたアーズマは、多少不運ではあった。
アーズマのストレートを打ったほうがずっと打てそうな気がする、そんなふうにLAD打線に思わせるほど、今日のヘルナンデスの変化球はキレキレだった。


ヘルナンデスは8回自責点0。もちろんQSだ。これでヘルナンデスは城島がDL入りしたおかげで、7連続QSを達成した。

ヘルナンデスの全登板ゲームログ

4月6日  6回自責点1  城島 QS
4月11日 5回自責点5  城島
4月17日 6回自責点3  ジョンソン QS
4月23日 7回自責点0  ジョンソン QS 完封リレー
4月28日 8回自責点0  バーク QS
5月4日  6回自責点6  城島
5月9日  4回自責点5  城島
5月14日 7回自責点0  ジョンソン QS
5月19日 5回2/3自責点6 城島
5月24日 8回自責点1  ジョンソン QS 10三振
5月30日 6回2/3自責点0  ジョンソン QS
6月5日  7回自責点1    ジョンソン QS 10三振
6月10日 7回自責点1    バーク QS
6月16日 9回自責点0    バーク QS
6月21日 7回1/3自責点0 バーク QS
6月27日 8回自責点0    ジョンソン QS 9三振

ヘルナンデスの捕手別勝ち負け・防御率
ロブ・ジョンソン
4勝0敗 49回2/3自責点5 ERA 0.91
バーク 3勝0敗 31回1/3自責点1 ERA 0.29

城島  1勝3敗 26回2/3自責点23   ERA 7.76


ゲームはヘルナンデスとロブ・ジョンソンの鉄壁バッテリーで楽勝だったわけで、ゲームの勝ち負けよりよほど楽しみだったのは、ヘルナンデスの打席。いつぞや、あのサンタナから満塁ホームランを打ったのを思い出す。
今日は8回表にランナー2人を置いて打席が回ってきた。当たっているグティエレスがこの日2本目のダブルで、打席には1死でセデーニョ。ここでLADのトーリ監督は初球を普通に投げさせたが、キャッチャーを立ち上がらせ2球目から敬遠した。わざわざ貧打のセデーニョを敬遠するくらいだから、よほどヘルナンデスに代打を出してもらいたかったのかもしれないが、もちろんシアトルサイドはヘルナンデスの打撃がいいことを知っているだけに、普通に打席に送った。
ヘルナンデスは、8回裏のピッチングがあったせいか(おそらくベンチから指示があったのだと思うが)一度もバットを振ることなく三振したが、それはそれとして、ごく普通にバッティングしていたらセデーニョよりはタイムリーの確率が高かったのではないか、下手をするとホームランまで打ってしまうのではないかと思わせるほど、ヘルナンデスのスイングはシャープだった。


今日のゲームとは関係ないが、どうもベダードはワカマツと今後について話をしているのではないか。まぁ、釣り仲間でもあることだし。
"He(=ベダード) said he felt as good as he has in a long time," Mariners manager Don Wakamatsu said.
Mariners Blog | Game thread, June 27, Mariners vs. Dodgers (with Bedard update) | Seattle Times Newspaper






damejima at 14:14

June 18, 2009

打撃はいいが、捕手としての能力について長年疑問符がつけられ続けていたヤンキースのポサダについて、ニューヨークタイムズがCERAデータを元にストレートな疑問符を投じた。
論調の基礎になっているのは「投手の成績はキャッチャーによって決まってしまう部分がある。それはゲームの結果にも影響する」という、このブログではおなじみのというか、当たり前の話。単細胞な城島オタクはともかく、知ったかぶりのメジャー通の言うような「メジャーではキャッチャーは壁」などという紋切り型のデタラメは、USメディアでは通用しない子供の戯言であることが示された。
記事ではバーネット投手が具体例をあげながら、キャッチャーによって変わる投球内容についての証言も行っている。
Analysis - Yankees’ Pitching Problems May Be Linked to Catching - NYTimes.com

翻訳はとりあえず以下を参照。
「捕手失格」DH埋まり…ポサダ問題でヒデキピンチ! - 夕刊フジ
(ただし、上記の夕刊フジの記事は多少問題がある。夕刊フジが大半を引用しているニューヨークタイムズの元記事と照らしつつ、注意して読むべきだ。
夕刊フジは記者が主観で「ポサダはもともとキャッチングに問題があった」などと書いた直後にNYタイムズの記事の翻訳を切れ目なしに並べて書いているが、これだと、あたかもNYタイムズの記事が「ポサダのキャッチング」を批判したように読めてしまう。
だが、原文を読めばわかることだが、これは夕刊フジ記者の主観による書き足しであって、NYタイムズの記事は「ポサダのCERAがあまりにも悪い原因はキャッチングにある」などとは書いていない。
むしろNYタイムズは移籍してきたバーネット投手が「ストレートを投げるようなカウントで、カーブを投げて様子をみる」などと話した例をあげて、配球の話をしている。
夕刊フジでは、このバーネットの「配球」についての証言部分が省かれてしまっている。)



元記事を読む前にCERAの数値の意味をおさらいして、またヤンキースの蚊抱える「ポサダ問題」と、シアトルの「城島問題」の類似性や、ポサダのキャリアスタッツなどについて触れてみる。


5点台のCERAの捕手というのは、例えばポストシーズン争いたけなわの2007年7月中旬の例でいうと、WSNのシュナイダー、TBのナバーロ、TEXのレアードと、わずか3人しかいない。これら3チームともこの時点でそれぞれの地区の最下位だったことからわかるように、5点台のCERAは捕手としてまったくダメ。異常に強力な打線でも持たないかぎり、5点台の正捕手をもつチームは地区最下位あたりをさまようことになる。
シアトルでいうなら、城島はキャリア4.86と、毎年5点前後の酷い数字を残すダメ捕手だが、2009年6月16日時点で5.57と酷い数値のキロスは捕手としてはとっくに失格。デーゲームで使う意味すらなくなっている。
CERA 5点を大きく越えるようなキャッチャーはチームにクビにされたくなければ、CLEのビクター・マルチネス(打率.340 CERA 6.10)ではないが、人並み以上の打撃成績で酷い守備面をフォローしければならない。人並みの打撃成績なら、チームとして使う意味はまったくない。

逆に3点台は優秀なキャッチャーの勲章だ。
3点台の捕手は、キャリア3.78のラッセル・マーティンのように、打撃はたいしたことはないがキャッチャーとして優れた数字を残す名捕手タイプということになることがほとんどだ。キャリアCERA 3.91で、加えて打撃も素晴らしいジョー・マウアーのような攻守に優れたスーパースターは、規格外、別格なのだ。、
ロブ・ジョンソンはメジャートップの成績で、2009年6月16日時点での2.73という数字は、毎年1人でるかでないかの驚異的な数字。名捕手への道を歩む能力を十分に感じさせている。



さてポサダだが、今年のCERA6.31はあまりにも酷い。これではゲームにならないし、投手陣から不満が出るのはわかる。
もちろん今年5月最初の12ゲームで88失点した城島のように、1試合平均7失点8失点するような最低のキャッチャーは、NYYで進退が議論されるポサダ以下で、議論にすら値しない。ゲームに出る資格がそもそもないし、メジャーに存在する意味もない。
ただポサダのキャリアCERAは4.44で、キャリア4.86の城島よりかなりマシの及第点クラスだから、ポサダの不調が今年1年だけなのかどうか、判断が難しい。だが37歳という年齢でキャリア終盤の彼について、来年以降の成績改善にニューヨーク市民が期待しているわけではなさそうである。
ポサダのキャリアスタッツ
Jorge Posada Stats, News, Photos - New York Yankees - ESPN

一方、控え捕手のセルベリ、モリーナ、キャッシュらが受けたときのCERAは平均3.81で、6.31のポサダと1ゲームあたり2.5点もの差がある。ヤンキースの3捕手それぞれのCERAを取り出すと、4.18、3.66、3.49と多少の幅はあるが、それでも4点前後の好データの範囲に全員が収まっている。
これはちょうどシアトルで2点台のロブ・ジョンソンや、それに準じる数値のバークと、数値の酷い城島キロスの間に2点以上の差があるのと似ている。
カテゴリー:2009投手ERA「2点の差」

NYタイムズの記事では、バーネットの登板ゲームで、ポサダのマスクのときだけ被打率が.330と跳ね上がっていることを指摘しているが、このことについて、バーネット自身も現場の投手として、アーズマが証言したのと同じように、「捕手が違うと投球内容が変わってくる」という意味のことを、例をあげながら証言しているのが興味深い。
2009年5月24日、デイビッド・アーズマが「ヘルナンデスがロブ・ジョンソンと組むゲームと、城島と組むゲームの大きな違い」を初めて証言した。

シアトルの例で言うと、このブログでも、ロウの登板ゲームでの同じ32球の内容について、ロブ・ジョンソン城島の配球の違いについて触れたことがある。
2009年5月12日、切れた城島は先発全員安打を食らい、予想通りゲームをぶち壊した。(ロブ・ジョンソン・城島の32球の配球比較つき)


当然のことながら、「メジャーでは配球は全て投手が決め、キャッチャーは壁でしかない」などというのは、ただの迷信でしかない。

捕手によって、配球は変わる。
ニューヨークタイムズの指摘を待つまでもない。


One unsettling fact for the Yankees is the difference when Jorge Posada catches. With Posada behind the plate, the Yankees' pitchers have a 6.31 E.R.A. The combined E.R.A. with Francisco Cervelli, Jose Molina and Kevin Cash is 3.81.

Posada has caught four starts by Chien-Ming Wang, whose job status is now evaluated on a game-by-game basis. Even removing those starts, the staff's E.R.A. with Posada is still high, at 5.47.

Posada, 37, has handled many exceptional pitchers in his career. Although some, like Randy Johnson and Mike Mussina, have preferred other catchers, Posada does not have to apologize for his résumé. Posada takes his job seriously and is an emotional engine of the team.

Yet Burnett, in particular, seems to struggle with him. In Burnett's four starts pitching to Posada, opponents have batted .330. In nine starts with the other catchers, the average is .223.

When he lost a six-run lead in Boston in April, Burnett questioned the pitch selection, though he blamed himself, not Posada. Asked Sunday about the difference in pitching to the rookie Cervelli, Burnett gave a careful but revealing answer.

“I think it's just a matter of ― I don't know if it's the catcher ― but we threw curveballs in fastball counts, we had them looking for something and they had no idea what was coming, I don't think,” Burnett said. “That's huge.”







damejima at 04:52

June 01, 2009

まだ試合は終わっていない(8回)のだが、現在臨時に控え捕手になったキロスという捕手の過去の成績を初めて眺めてみた。いろいろなチームを渡り歩きながら、結局、通算CERAでは5.51と、ちょっと酷い数字が残っている。
大きなピンチの場面を見るまでは、ソツなくこなしているようにみえるので「なぜ5.51なんだ?」と疑問がわくのだが、6回を見たとたんに「あぁ、だから5.51なんだな」と、過去のひどいCERAに納得がいく、そういうキャッチャーである。城島ソックリの大炎上ぶりだからだ。
キロスなどではなく、クレメントをなぜ捕手として上げてやらないのか。

まとめた結論を先にいうと、ピンチになると頭の中が真っ白になる城島のようなタイプの捕手であり、別人のようにリードがひどく単調になってしまう。だから正直、今後のキロスにはあまり期待していない。結局この捕手については第一印象だけを書いておく。
Guillermo Quiroz Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN

5回までの「高低」の個性的な攻め
オルソンはなかなか好投していた。
オルソンはストレート・スピードがたった90マイルくらいしかなく、球が概して高い。球威があるタイプではない。
にもかかわらず、オルソン=キロスのバッテリーはその「高い球」をかえって武器にして、立ち上がりから「高低」に投げ分けることで打者をかわしていった。変化球も、曲がりの大きい球を使いたがる。「高低の落差」を見せたいからだ。
この「高低」をピッチングの組み立てのベースにする捕手というのは、ここ数年のシアトルの捕手にないタイプだけに、なかなか面白くゲームを見ていることができた。
ただ、課題は、分析力の異常に高いLAAの打線に、球筋を2巡目以降に見切られてどうなるか、という点だった。
それに調子のいいときのボールを受けるくらいは、どんな捕手にだってできる。問題はランナーを出した後の対処だ。

6回裏の単調さ
まぁ、理屈より、画像を見てもらったほうが早い。

初球にストレートでストライクをとりにいったところを、完全に狙い打ちされていることがわかるだろう。以前、LAAの打撃の特徴を「ゲーム中に投手の投球パターンを分析して対応してくるところ」と言ったはずだ。今日もゲーム中にソーシアがしきりにメモをとっていた。
だから打順が進んでも投手が同じ投球パターンの攻めを単調に繰り返すことは、LAA戦に限っては許されないのである。
裏口入学捕手城島が、LAA戦で常に失敗を繰り返すのも、この点であることは何度も言ってきたことだが、キロスの場合も城島と似ている面がある。

初球のストレートが狙い打ちされていることに、いつまでたっても気がつかない」ようではダメである。

投手がオルソンからバティスタに変わった直後の、長打力のあるリベラへの第1球を見てほしい。変わったバティスタにも、初球にストレートでストライクを投げさせている。
たまたまリベラが手を出さなかったからいいものの、これではいけないのである。

まだ1試合しかゲームを見ていないが、キロスの今後は必ずしも安心なものとはいえない。


2009年5月31日 6回 フィギンズ シングルフィギンズ シングル
初球打ち ストレート

2009年5月31日 6回 アブレイユ シングルアブレイユ シングル
初球打ち ストレート

2009年5月31日 6回 ゲレーロ 犠牲フライゲレーロ 犠牲フライ
初球打ち ストレート

2009年5月31日 6回 ハンター 2ランハンター 2ラン
初球打ち ストレート

ここで投手バティスタに交代

2009年5月31日 6回 リベラ 2ベースリベラ 2塁打
初球ストレート



damejima at 07:09

May 09, 2009

シーズン100敗を喫した2008シーズンが開けた2009年4月のシアトルは、奇跡的に首位で開幕の1ヶ月を乗り切ったわけだが、この要因はもちろん、城島が4月15日に怪我をしてくれて欠場してくれたおかげである。
城島がいないことで先発投手全体が好調さをキープできた。ローランドスミスの怪我で急遽ローテ投手入りしたジャクバスカスもなんとか仕事をこなし、あいかわらずのシルバさえ302日ぶりの勝ち星を掴んだ。


ロブ・ジョンソン先発マスクのゲームは、ローランド・スミスの代役ジャクバスカス先発の3ゲームを除くと、なんと7勝2敗、勝率.778、先発投手のQS率77.8%、防御率2.14にも及ぶ。またジャクバスカスの3敗をカウントしたとしてもまだ勝率は.588もあり、QS率も66.7%ある。
(アメリカンリーグの2007年データでQS率が7割越える投手はほんの5人ちょっとしかいないのである)

これだけでもかなりのデータだが、それだけではない。
ベダードが8三振を奪い自責点1ながら負けた4/18のデトロイト戦、ジャクバスカスが好投して8回を投げ切りながら負けた4/28のホワイトソックス戦などをみてもわかることだが、打線さえ、もう少しマトモに機能していれば、もっともっと先発投手たちが勝ち星を稼ぐことができた。

ただ、僅差のゲームとは言ったが、必ずしも相手チームにほとんどヒットを打たれていないゲームばかりだ、という意味ではない。
ゲームログで対戦チームのヒット数と残塁数などを調べるとわかる。10安打以上打たれたりしたゲームも多数あるわけだが、そのわりに個人LOBの総数が15から20の間になるゲームが多い。
つまり、ランナーは出すものの無失点に抑えるとか、カウントが悪くなったりしても四球を出さずにバッターを打ち取る、そういうケースが非常に多く見られる、ということだ。これについてはロブ・ジョンソンの功績といっていい。


5月の展望?
もちろん、明るくない。いつものマリナーズに戻るだけだ。

よせばいいのに2008年の戦犯城島を先発マスクに復帰させたわけだから、当然、これから防御率は悪くなり、勝率は下がり、チームの雰囲気は悪くなる一方だろう。
いわゆる「城島問題」もひそかに再燃していくのではないか。5月当初のウオッシュバーンやベダードの動向を見ていればわかることだが、彼らはすでに、明らかに城島とバッテリーを組むのを避けている。非常に賢明な選択である。

打線はまるで機能しなくなっていくだろう。4月の開幕当初の2週間ほどは打線は機能していたが、急激に2008シーズンの雰囲気そのままの打線になりつつある。どんなシチュエーションでも、進塁打のひとつも打てずにポップフライを打ち、振り回して三振を繰り返し、四球は選ばず、やたらと併殺を繰り返す。「いつもの」シアトルの、無策で、無造作な、馬鹿っぽい打線の雰囲気に戻りつつある。

ロブ・ジョンソン先発マスクのゲーム

4/9 ウオッシュバーン 8回 0点
 
4/12 ベダード     8回1/3 0点
(4/15 ウオッシュバーン 6回 2点 4回裏 城島→ジョンソンに交代)
4/16 ジャクバスカス  5回1/3 2点(負け投手 ジャクバスカス)
4/17 ヘルナンデス   6回 3点
4/18 ベダード     6回1点(負け投手 ベダード)
4/21 ウオッシュバーン 7回2点
4/22 ジャクバスカス  3回1/3 6点(負け投手 ジャクバスカス)
4/23 ヘルナンデス   7回 0点
4/24 ベダード     6回2/3 2点
4/25 シルバ      5回 3点
4/28 ジャクバスカス  8回 2点(負け投手 ジャクバスカス)
4/29 ベダード     5回 3点(負け投手 ケリー)

先発マスク12試合 7勝5敗
(城島負傷退場ゲームの1勝を除く)
勝率 .583(貯金2)
QS回数 8試合 66.7%
先発投手の失点 75回2/3 24点 防御率2.85



ジャクバスカスを除くと

ロブ・ジョンソン先発マスク9試合 7勝2敗
勝率 .778(貯金5)
QS回数 7試合 77.8%

先発投手の失点 59回 14点 防御率2.14



防御率=(自責点×9×3)÷(投球回×3)



damejima at 00:36

September 05, 2008

ちょうど1年とちょっと前、シアトルは首位追撃にすでに息切れして、2位は確定しつつあり、ワイルドカード争いでもすっかり敗れ去りつつあったと記憶する。つまり、ポストシーズンに出られない2位という、なんとも中途半端な成績で終わったわけである。


2007年の6月、そして7月中ほどのメジャー30球団の正捕手全員のCERA(捕手防御率)のデータを持っているのだが、7月中ごろのCERA最下位争いはこんな感じで、5点台の3人の捕手の所属チームは、全チームが地区最下位だった。
2007年7月17日
ナバーロ   TB 5.59 地区最下位
レアード   TEX 5.24 地区最下位
シュナイダー WSN 5.12 地区最下位
ルイス    PHI 4.92(手元に記録がなくチーム順位不明)
城島     SEA 4.82 地区2位

次に、これがシーズン終了時の、この5人の捕手の、CERAと打率である。勘の悪い人を除けば、不思議なことに気がつかれることだろう。
2007年シーズン終了時
ナバーロ   TB 5.50 .227 地区最下位
城島     SEA 5.03 .287 地区2位
シュナイダー WSN 4.79 .235 地区4位
レアード   TEX 4.78 .224 地区最下位
ルイス    PHI 4.62 .259 地区優勝

コールアップを前後して城島を除く全員がCERAが改善し、城島ひとりだけ数値が悪くなって、メジャー最低クラスの5点台という酷い数値でシーズンを終えている。
これは、ひとつにはシーズン終盤にシアトルというチームがいかに息切れしたか、ということの証でもあるし、また、シアトルの2位という順位の内容が、かろうじて死守した2位であって、首位に肉薄した2位ではないということでもある。城島がこの2007シーズン終盤にいい仕事をしたなどと、お世辞にも言えない。8月以降は打率2割を切る7月の酷い打撃をなんとか帳尻あわせしてシーズンを終えることに夢中だったに過ぎない。

そしてこの「普通なら最下位に沈むはずのCERA5点台などという正捕手がいるのに、2位を死守してしまったこと」は、シアトルの2007シーズンの評価について、ものすごく多くの人とメディアが「誤解」する大きな原因になった。つまり、多くの人が「投手さえ補強すれば、来年は、優勝できないにしても、ポストシーズンを戦えるのではないか?」と誤解したのである。

もう一度言わないとわからない人もいるだろうから、もう一度書く。
「正捕手のCERA5点台というのは、(異様に運と打撃がよくない限り)チームが地区最下位に沈むのが普通のレベルの数値」なのである。

最下位に沈んでいてもおかしくなかったシアトルは、チームもファンも、2位という順位に目がくらんで、そういうごく普通の感覚が欠けて慢心しまい、城島ごときに3年24Mもの契約を与えてしまう原因のひとつになった。実は、城島という捕手は、単に「チームがたまたま2位になってしまった年に捕手だった、運のいいだけのヘボ捕手」に過ぎなかったのである。



さて、今年、去年の、あの酷いCERAを記録した5人はどうなったか?かいつまんで、データを挙げてみる。数字は順に、CERA、打率である。城島、レアードを除いて、CERAが改善し、チームは優勝戦線を戦っている。また打撃は城島・ルイスを除き、改善がみられた。もっと詳しく、長打率などを調べると、ナバーロ、レアードあたりの今年の打撃の改善ぶりは、もっとわかってもらえるはずだ。
2007年にわかった改善点を、しっかりと改善し、チーム力アップに努めたチームは2008シーズンの首位戦線に加わって、新たな球団の歴史を作りつつある。一方で、セクソン、城島をクビにするなどして改善すべき欠陥を看過したまま2008シーズンに入ったシアトルは、5月にはすでに首位争いから脱落して、いまやメジャー最下位チームに低迷したのである。

2008年9月4日現在
ナバーロ TB 3.78 .295 地区首位
http://sports.espn.go.com/mlb/players/stats?playerId=5902&context=fielding
打率、CERAともに大きく改善。チームは激戦の東地区で初の首位を走る記念すべきシーズン。

レアード TEX 5.02 .284 地区2位
http://sports.espn.go.com/mlb/players/stats?playerId=5465&context=fielding
打撃上昇。CERAは悪化しているものの、レアード含めたチーム打撃のすさまじさで2位上昇。

シュナイダー NYM 3.89 .259 地区首位
http://sports.espn.go.com/mlb/players/stats?playerId=4388&context=fielding
ワシントンから、ロデューカを放出したメッツに移籍。打撃はやや持ち直した。CERAは大きな改善。チームの首位争いに貢献中。

ルイス PHI 3.90 .221 地区2位
http://sports.espn.go.com/mlb/players/stats?playerId=28447&context=fielding打撃はあいかわらずの不振だが、CERAは大きく改善。チームは首位争い。



城島 SEA 4.58 .209 地区最下位
http://sports.espn.go.com/mlb/players/stats?playerId=6458&context=fielding
打撃不振は極限まで達している。シーズン後半にCERAは多少改善されたものの、アリーグ首位打者が.320あたりで決まりそうな今年としては、まるでほめられる数値ではない。チームは極度の不振。



damejima at 13:36

July 01, 2008

よく、クリーブランドの若い正捕手のカート・スズキなどと比べると城島がマシだとか、勘違いした発言をする人間がいるようだが、攻守ともにカート・スズキのほうがはるかに上だ。シアトルが3人登録している捕手の中でさえ、城島のデータがトップになっている数値はほとんどない。

城島のCERAは、メジャーすべての規定イニング到達捕手であいかわらず最悪の数字。西地区上位常連チームの正捕手たちと比べても、CERA捕手防御率が1.30程度も悪い。
こんな守れない、打てない捕手がいつまでも正捕手にしがみついていたのだから、ポストシーズンなど、夢のまた夢。クレメントに正捕手を譲るのが当然。
http://sports.espn.go.com/mlb/stats/fielding?groupId=7&season=2008&seasonType=2&split=78&sortColumn=catcherERA
また城島の盗塁阻止率もあいかわらず最悪。
シアトルですら最低だ。
クレメント CERA 3.77 CS%.200 盗塁阻止数 1
バーク   CERA 4.31 CS%.500 盗塁阻止数 7 
城島    CERA 4.68 CS%.195 盗塁阻止数 8

●西地区のライバルチームの正捕手
Suzuki, OAK CERA 3.36 CS%.357 盗塁阻止数 20
Mathis, LAA CERA 3.26 CS%.311 盗塁阻止数 14



また打撃面でも城島はあいかわらず最悪。200打席を越えた捕手では、アメリカンリーグで最悪のOPS。シアトルの捕手の中ですら出塁率は最低。

城島と同程度か、打率の低い捕手も、ボストンのバリテックなど、いるように見える。だが彼らは城島と比べて、出塁率、長打率、OPSなど、詳しくみていけば誰もが城島を大きく上回る。
これは城島が、四球が選べない早撃ち一辺倒の打者である一方で、ホームランなど長打が打てない出塁率の低さ、長打力の無さ、からくる。打率しか見ない日本のプロ野球ファンあがりの城島オタは、わずかに1ヶ月に1本しか打たないホームランで興奮しているのだからお笑いだ。

http://sports.espn.go.com/mlb/stats/fielding?groupId=7&season=2008&seasonType=2&split=78&sortColumn=catcherCaughtStealingPct
クレメント  打率.176 OBP.287 SLG.324 OPS.612
城島     打率.233 OBP.274 SLG.321 OPS.595
バーク    打率.204 OBP.278 SLG.286 OPS.563

●西地区のライバルチームの正捕手
Suzuki, OAK 打率.284 OBP.344 SLG.369 OPS.713
Mathis, LAA 打率.214 OBP.300 SLG.359 OPS.659

damejima at 09:47

June 16, 2008

2008年6月15日現在、メジャー全体で17人の捕手が規定ゲーム数出場して守備についている。この17人の中で、最もダメなキャッチャーが城島であることを示すデータが、今年も出そろっている。

まずCERA捕手防御率だが、ワースト1位が城島の4.84。去年もこの程度の酷い数字だった。2008年は、ついこの間まで5を越えてさえいたのだから、呆れるばかりだ。
またCS盗塁阻止数でも、ワースト1位。わずか7つしか刺していない。一方で30個の盗塁を許して、CS%盗塁阻止率はワースト2位の.189、去年のCS%は完全にマグレだった

同じ西地区のカート・スズキが、CERAでダントツ1位の3.19、CS%で2位の.404と非常に優れた数字を残しつつあり、しかも年齢が若いことを考えると、捕手を変えない限り、マリナーズの地区優勝など、まったくありえない。

http://sports.espn.go.com/mlb/stats/fielding?groupId=9&season=2008&seasonType=2&split=78&sortColumn=catcherERA
http://sports.espn.go.com/mlb/stats/fielding?groupId=9&season=2008&seasonType=2&split=78&sortColumn=catcherCaughtStealingPct

damejima at 03:43

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