リンカーン

2008年6月19日、「マクラーレン解任の本当の理由はなにか?」ベイカーは誰もが抱く疑問を胸中に隠しフロントを取材した。
2008年6月16日、城島契約延長問題、オーナーサイドのトップダウンによる契約と判明。

June 20, 2008

シアトルは6月16日にGMバベジを首にし、そして3日置いて、19日に監督マクラーレンを首にした。こんな奇妙な解任劇に、誰でも感じることはひとつだ。

「成績不振だけが解雇理由なら、同時に解任すればいい。なのに、マクラーレン解任がズレた。これにはなにか特別な理由があるはず。ならばそれは、どんな経緯と理由か?」

もちろん地元メディアも同じ疑問を抱く。Seattle TimesのBakerは19日、その疑問を新しい暫定GMペルクードゥスと、球団社長のアームストロングにぶつけた。
「なぜ、同時に首にしなかったのか?」Bakerは表向きは単純に質問しているように見えるが、明らかに、3日もズレたマクラーレン解任に特別な理由がありそうなのを嗅ぎ取っていて、わざと知らぬフリをして質問を重ねているニュアンスがうかがえる。

下記の記事原文を読んで、この取材から彼Bakerが明確な回答を引き出したとは言いがたいと最初は思うかもしれないが、とんでもない。十分な結果が得られている。
なぜなら、アームストロングが、「自分と、リンカーンは、バベジ解任後もマクラーレンを置いておくつもりだった。だが、就任したばかりの暫定GMペルクードゥスに反対され、考えを変えた」と経緯を漏らしたからだ。

つまり、このインタビューのおかげで「2つの解任劇が、まったく同じ理由、まったく同じ流れの中で決定されたのではない」ということ。そして、ことマクラーレン解任についての決定は、球団CEOも社長も越えた、もっと上の権力、「球団経営トップすら越える決定権をもった人物」の、大きな圧力の元で行われた、ということだ。

だからこそ、解任は同時でなく、ズレた。では、バベジ解任後のマクラーレンのどんな「チーム方針」が、「球団経営トップすら越える決定権をもった人物」の怒りをかったのか?

リンカーンすら意図していなかったという、マクラーレン解任の謎。
解読の最初の鍵は、マクラーレンがイチローをライトに戻そうとしていたことだ。

マクラーレンはこのアイデアは、「フロントとは関係なく自分の考えだけでやった」と明言している。このことを覚えておくといいと思う。
そして、下記の取材で暫定GMペルクードゥスは、「イチローをライトに戻したことが今後のチーム構想を狂わすことはない」と言っている。つまり、暫定GMペルクードゥスは、フロントを通さないアイデアではあるが、イチローをライトに戻す案はマクラーレン解任理由ではないよ、と、明言したも同じである。

では、逆説的に言えば、暫定GMペルクードゥスは言外に、マクラーレンのアイデアのある部分は、今後のチーム構想を狂わすと考えるものがあったと考えていることになる。球団経営トップすら越える決定権をもった人物が怒りを覚え、大きな圧力でマクラーレン解任の指示を、暫定GMペルクードゥスに出すに至った、マクラーレンのアイデアとは何か?問題はそれだ。

今週末の試合で、結局シンプルにその答えは出るだろう。楽しみである。

Many questions, few answers
http://blog.seattletimes.nwsource.com/mariners/2008/06/many_questions_few_answers.html
Posted by Geoff Baker
June 19, 2008 2:44 PM
The big question is why the team didn't simply do this on Monday. Let McLaren and Bill Bavasi go at the same time.
(中略)
Armstrong said that he and CEO Howard Lincoln had actually planned on keeping McLaren around after the Bavasi firing.
(中略)
Oh yeah, Pelekoudas says he liked McLaren moving Ichiro to right field and it doesn't mess up any of his plans for the team. This, even though McLaren said he made the move independant of the front office -- just three days before he was to be fired.


damejima at 11:29

June 18, 2008

今シーズンのシアトルマリナーズ低迷の元となったゴタゴタの最も大きな要因のひとつ、「城島問題」だが、破滅的にダメな成績のもとで、3年24Mもの契約延長があまりにもいきなり発表になったことの理由が、予想どおりの結果となって判明した。

やはり城島の契約延長を決めたのは、任天堂サイド。
筆頭オーナーで元任天堂社長の山内氏、任天堂アメリカの元会長で現在はマリナーズ最高経営責任者(CEO)ハワード・リンカーン、そして現マリナーズ社長アームストロングの3人だ。
下記の記事で、CEOのハワード・リンカーン本人が地元メディアに語ったヴォイスが公表されているので間違いない。

まったく予想どおりの顔ぶれだ。城島の契約延長には野球の現場のプロの人間は誰ひとりとして関わっていない。解雇されたGMのバベジすら、この件にはほとんど関わってない、というのだから驚きだ。
ハワード・リンカーンの経歴

このコラムの最後の部分に一部の翻訳を挙げてあるが、原文をあたられることを強く勧めたい。このインタビューでは、一部の投手が控え捕手のバークをパートナーに登板したがっている、との重要な記述もある。
その部分では、「投手」という部分が単数ではなく、複数表現をとられており、現在ベダードだけがバークを専属捕手に指名している動きが、ベダードだけに留まらないことを明記していることにも注目すべき
だろう。

また、城島の3年契約については、まだまだ首をかしげる部分がある。城島自身が、なにを勘違いしたのか「トレード拒否条項のようなもの」と語る、日本の球団にいつでも帰る権利という、まことに怪しげなオプションなど、わけのわからない契約がなされている。

下記の記事では城島の契約について、dealという単語が要所要所に使用されているが、この言葉は通常の商取引という意味でも使われるほか、密議謀議密約といった、表ざたにできない約束事に使われる単語でもあることに注意して読まれるといいと思う。


Florida Marlins at Mariners: 06/16 game thread
(抜粋 記事中に音声ファイルのリンクあり
http://blog.seattletimes.nwsource.com/mariners/2008/06/florida_marlins_at_mariners_06.html

Posted by Geoff Baker
The first was on who engineered the Kenji Johjima contract extension. Lincoln told me that it was Allan Nero, Johjima's agent, who first approached the M's with the extension idea. After that, it was primarily the team's owner, Hiroshi Yamauchi, Lincoln and Chuck Armstrong who did the deal. Bavasi had limited involvement in it.
Which begged the question of why Lincoln would sign off on the deal, given Johjima's poor hitting at the time and the fact some pitchers would rather throw to backup catcher Jamie Burke. I asked him about it towards the tail end of the clip you'll hear.


((上記の太字部分の翻訳))
最初の質問は、誰が城島の契約延長をもちかけたのか、ということだ。リンカーンは、契約延長をマリナーズに最初に持ちかけたのは、城島の代理人アラン・ニーロだと話した。その後の取引はおおむね、チームオーナー山内氏、リンカーン、チャック・アームストロングで行われたという。バベジGMはこの件で限定的にしか関与しなかった。

訳註:sign off on ((米俗)) 〜を承認する

不自然すぎる城島3年契約の詳細に関するシアトルタイムズ記事

damejima at 11:50

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