QS (クオリティ・スタート)

2009年10月27日、Kansas City Starは、ヘルナンデスとグレインキーのシーズンスタッツを補正した上で比較して、「勝負は五分五分」と語った。
2009年9月13日、ダブルヘッダー第二試合、祝・イチロー9年連続200安打達成! ヘルナンデスとロブ・ジョンソンのバッテリー快勝! 7回を4安打1四球でテキサスを零封して15勝目。
2009年8月28日、ヘルナンデス7回3失点QS達成で、13勝目。ア・リーグの「QS数」「QSパーセンテージ」、2つのランキング」のトップに立つ。
2009年8月25日、ウオッシュバーンは3割打者を6人並べる西地区首位のLAA相手に苦しみながら要所を抑えて6回3失点、QS達成で9勝目。「オクトーバー・ベースボール」がみえてきた。
2009年5月30日、劇的な同点ホームランから逆転勝ちで3連勝、ヘルナンデスはQS。

October 28, 2009

地方中枢都市であるカンザスシティにはプロスポーツもいくつかあり、MLBのロイヤルズ以外に、NFLではAFC西地区所属のチーフス (Kansas City Chiefs) があり、メジャーリーグサッカーのカンザスシティ・ウィザーズ(Kansas City Wizards)もある。
そのスポーツの大好きなカンザスのスポーツを扱うサイトKansascity City Star電子版Upon Further Reviewが、今年のサイ・ヤング賞を占った連載記事を載せている。
Greinke vs Hernandez: My Vote | Upon Further Review
Submitted by Martin Manley on October 9, 2009 - 3:43am.

元日本ハムの監督ヒルマン率いるカンザスシティ・ロイヤルズは、今シーズンのサイ・ヤング賞候補グレインキーの所属球団。このサイトでは今年のサイ・ヤング賞について、最有力候補のヘルナンデスとグレインキー以外にも、ヤンキースのサバシアなども含めていろいろと候補たちのデータを考慮した上で、「どうみても今年のサイ・ヤング賞はヘルナンデスとグレインキーの一騎打ちだろう」と熱弁をふるっている。


この記事をとりあげてみたのは、アメリカ人がプレーヤーの残す「数字」、つまり成績を評価するのに、どういう角度から見ているか、という点が多少なりともわかるからだ。

例えば、ヤンキースのサバシアについては「データでヘルナンデスと比べれば、サバシアにサイ・ヤング賞はありえないこと」と断定してるが、比較に使うデータは、例として次のような項目があがっている。
たしかに日本でも最近は、OBP(出塁率)やSLG(長打率)などもだいぶ気にするファンが増えたが、まだまだ日本にはないデータも多く、たくさんのデータが実際に活用され、毎年開発されてもいる。
下記にサバシアとヘルナンデスの比較に使われたデータ項目を列挙してみたが、どれも珍しいものではない。むしろライター氏に言わせれば、詳細なデータがもっと必要なら、いくらでも挙げられるよ?という気持ちがあるはずだ。

ERA 防御率
QS% Quality Start Percentage、QS率
平均スコア
勝率
SO 奪三振
SO/BB 三振/四球
HR/9 被ホームラン率
BA 被打率
OBP 被出塁率
SLG 被長打率
WHIP Walks plus Hits per Innings Pitched「投球回あたり与四球・被安打数合計」

Hernandez has a better ERA, Quality Start percentage, Average Game Score and Winning percentage. That’s a few miles more than enough.

However, Hernandez is also better in SO, SO/BB, HR/9, BA, OBP, SLG, and WHIP. In fact, there isn’t a single stat of any substance where Sabathia leads Hernandez. Hernandez is first or second in seven of the above categories. The best ranking for Sabathia in any of them is third!


またヘルナンデスとグレインキーとの比較についても、見た目の勝ち数と防御率だけで比較するような単純なことはせず、いろいろ補正を加えた上で比較している。

例えば「シーズン勝敗」だが、見た目では19勝5敗のヘルナンデスに対して、グレインキー16勝8敗だから、ヘルナンデスに軍配が上がってしまうが、ライター氏は自分なりの補正を加え「両者21勝6敗」として、「両者甲乙つけがたい」と言っている。
もちろんグレインキーの地元メディアだけに、なんとか彼グレインキーに有利にしたいために数字に工夫するという心理がまったく働いていないかといえば嘘になるだろうが、それでも、無理な補正ではない。
たとえばヘルナンデス先発で負けていて、9回裏にイチローがリベラからサヨナラ2ランを打って勝ったあのゲームなども、まぁ、たしかに単純に投手力だけで勝ったゲームではないことはシアトルファンもわかっているわけで、無理矢理ではない補正を加えることについては、どちらのファンも納得できるわけだ。

記事では、そのほか、両投手の所属チームの強さ、RS(Run Support 味方チームが得点でどのくらいサポートしてくれているか)、守備力など、いくつかの項目をたてて、見た目の勝ち星、見た目の防御率だけではない統合的で補正をきかせた比較を試みている。
RSというのは、このブログでもこれまで何度もとりあげてきたように、その投手が登板したときに味方がどれくらい点をとって支援してくれたか、という数字。チームの打撃力には差があるし、また、投げる投手によっても、妙にRSの多い投手、少ない投手がある。(たとえばウオッシュバーンは、有名なRSの少ない投手)
ヘルナンデスは、あまりにも打撃力の無さすぎるシアトルのエースとして苦労しているが、そのヘルナンデスのRSよりカンザスのグレインキーのほうが、さらに1点くらいRSが少ない。つまりカンザスシティが点をまるでとってくれないままグレインキーは投げていることになる。
記者としては、RSの少なさを示して、グレインキーのサイ・ヤング賞を主張する材料にしたいわけだ。よく両投手とも、19勝だの16勝だのできたものである。


たとえば城島の打率を語る場合に、2007年にはシーズン通算打率これこれなどと、あまりにも大雑把な数字だけで能力を語ろうとする人は、いまだに多い。
だが、シーズン通算打率程度の粗っぽい数字には、プレイオフに進出できにくいシアトルの場合、プレイオフ進出の望みがまったく断たれた後の8月や9月に挙げた帳尻ヒットなども含まれている。
なぜプレイオフ進出の可能性のないプレーヤーの8月・9月あたりの成績を「帳尻」といいたくなるか、というと、メジャー特有のいろいろなシーズンシステムが関係してくる。

チーム間の戦力格差の非常に大きくなっているメジャーでは、7月過ぎに早くもプレイオフ進出できるチームの目星がだいたいついてきてしまうことはめずらしくない。
7月末にトレード期限がくるが、この期限までにプレイオフ進出確実な有力チームは「買い手」に回って、秋のプレイオフ戦線にむけて強化すべき戦力をトレードで集めるが、プレイオフの見込みのないチームは主に「売り手」としてふるまい、余剰戦力を交換に出したりするだけでなく、めぼしい主力を「買い手」に売ったりする。
たとえば、ワールドシリーズをめざすフィラデルフィア・フィリーズは、優勝見込みの全くないクリーブランド・インディアンズから、大投手クリフ・リーを獲得したのも、ポストシーズンの長いシリアスな戦いに備えるためである。

また9月になると、1軍登録できる人数が拡大される。
そのため、どのチームもマイナーから来シーズン使えるかもしれない選手を上げてきてテストするが、この場合も、プレイオフの見込みのないチームでは、ゲームの勝ち負けだけにこだわらずに(というか場合によっては度外視して)若手のテストを試みることも珍しくない。

だから総じていうと、リーグ全体が「フルチャージで戦っている」といえる状態は、7月末とかで一度区切りがついて終わってしまっている。そこからは長い消化試合を続けるチームもあり、若手のテストにむかうチームもありで、全チームでシリアスな戦いだけが続いているわけではない。だから「帳尻」という言い方ができてしまうのである。


ポータルサイトなどの日本のプロ野球についてのページをみても、いまだに打率や打点、ホームラン数といった粗いデータしか表示されておらず、「城島問題」においても、いまだに、城島の2007年の打撃の酷い中身を無視して「メジャー挑戦の最初の2年間に限れば、打撃はまぁまぁだった」などと、誤った理解がいまだにまかり通っている。
なんでもかんでも数字でモノを見ろというつもりはない。
だがたとえ打率が.265あろうと、四球がほとんどなく、併殺だらけで、その上、出塁率が.280くらいしかないようなお粗末すぎるバッティングは、メジャーでは評価されない、ということくらいは、もういい加減、たまに日本のプロ野球のナイターを見るだけのファンの間でも定着してほしいものだと思うのである。






damejima at 13:59

September 14, 2009

イチローがとうとう世紀を代表する大記録に到達した。9年連続200本安打。
正直、ファンとしても当のイチローと同じで肩の荷が降り、ホッとした。これで、これからやっと楽な気持ちでゲームを見ることができる。有難い。毎年同じことを言っている自分も工夫がなさすぎると思うが、毎年思うことだからしかたない。
Ichiro sets MLB record on infield grounder | MLB.com: News(動画あり)

それにしても、胃潰瘍、ふくらはぎの怪我。壁の多いシーズンだった。
4月の一時欠場を知ったときは、正直「今年とうとう大記録も途切れてしまうのか・・・」と、内心不安にかられたものだ。
しかしイチローは、それが記録達成であれ、WBCであれ、いつも最後には「主役」として立派に仕事を達成してくれる。ファンが心配するようなことは、毎度毎度、結局ほとんど必要ないのである。

もちろん、そういう選手なのだとわかっている。わかっていても、やはりハラハラして一挙手一投足、見ずにはいられない。こんなブログをやっているとよほどの変人に思われていることだろうが、日本中どこにでもいる、ごく平凡なイチローファンである。

ある場所で、「今シーズンの欠場で、イチローは休みながらシーズンを過ごしたほうが、結果的に記録達成も早いし、成績も良いことがわかった。年齢のこともある。これからは休みながらシーズンを過ごしてほしい」という意味のことを書いている人がいた。まったく同感である。
だが、野球をするために生まれてきた永遠の野球小僧イチローを、誰がそんな屁理屈で休ませることができるだろうか?到底無理に決まっている。
イチローに「休め」、などと正面きって従わせられる人は、かの仰木さんしか思いつかない。

仰木さん。イチロー、今年もやりましたよ。
だから、これからは少しは休みもとりながら野球するように、どうか仰木さんからきつく言ってやってください。
仰木彬 - Wikipedia



今日のよき日を祝うように、ヘルナンデス15勝目。サイ・ヤング賞レースに首の皮一枚残っている。これからも負けることはできない。
9月8日の登板ではロブ・ジョンソンに代打を出してしまい、最後には城島マスクでサヨナラ負けした。あのゲームが、ヘルナンデスのサイ・ヤング賞レースにどれだけ悪い影響があることか。ヘルナンデスの邪魔をしたくないなら、「城島問題」がよくわかってない監督ワカマツもちょっとは頭を使うべきだ。

Seattle vs. Texas - July 30, 2009 | MLB.com: Gameday

ヘルナンデスがグレインキーとア・リーグ首位を争っている指標に、QS数QS%がある。この日の勝利で、ヘルナンデスのQS数は25になって、グレインキーを1つ上回ったが、QS%はグレインキーと同じだ。ひとつQS数が多いのに、QS%は同じというのでは、正直印象はもちろんグレインキーのほうがいい。もちろんグレインキーの一番の強みは防御率の良さだ。
MLB Baseball Pitching Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN



今日のフェリックスのストライク率は59.6%。(109球。65ストライク、44ボール)けして絶好調という感じではない。
前の登板よりも四球がだいぶ減ったのはいい。四球で崩れる脆弱な投手ではないが、無駄な四球は出さないにこしたことはない。


8月1日  104球58ストライク 55.8% 四球4
8月7日  113球70ストライク 61.9% 四球6
8月12日 105球67ストライク 63.8% 四球4
8月18日 106球69ストライク 65.1% 四球1
8月23日 101球67ストライク 66.3% 四球0
8月28日 104球63ストライク 60.6% 四球1
9月2日  114球67ストライク 58.9% 四球3
9月8日  113球69ストライク 61.1% 四球4
9月13日 109球65ストライク 59.6% 四球1

テキサス先発のホランドは7勝10敗とさえない成績にみえるが、シアトルは相性がよくない。
デレク・ホランド投手の全ゲームログ
Derek Holland Stats, News, Photos - Texas Rangers - ESPN
覚えている人も多いだろう。忘れもしない7月30日だ。9回2アウトまで1安打に抑え込まれて、あわや完封+準完全試合というところまで追い込まれた。最終回に1点だけはどうにか取って、1-7でボロ敗けしたわけだが、1ヶ月半ぶりに借りを返すことができた。



ヘルナンデス2009全登板ゲーム
Felix Hernandez Stats, News, Photos - Seattle Mariners - ESPN

4月6日  6回自責点1  城島 QS
4月11日 5回自責点5  城島
4月17日 6回自責点3  ジョンソン QS
4月23日 7回自責点0  ジョンソン QS 完封リレー
4月28日 8回自責点0  バーク QS 9三振
5月4日  6回自責点6  城島 負け  9三振
5月9日  4回自責点5  城島 負け
5月14日 7回自責点0  ジョンソン QS
5月19日 5回2/3自責点6 城島 負け
5月24日 8回自責点1  ジョンソン QS 10三振
5月30日 6回2/3自責点0  ジョンソン QS
6月5日  7回自責点1    ジョンソン QS
6月10日 7回自責点1    バーク QS
6月16日 9回自責点0    バーク QS
6月21日 7回1/3自責点0 バーク QS 8三振
6月27日 8回自責点0    ジョンソン QS 9三振
7月3日  7回自責点3    ジョンソン QS
7月9日  8回自責点1    ジョンソン QS
7月17日 8回自責点2    ジョンソン QS 8三振
7月22日 7回自責点1    ジョンソン QS 8三振
7月27日 5回2/3自責点7 ジョンソン
8月1日  7回自責点2    ジョンソン QS
8月7日  6回自責点3    ジョンソン QS
8月12日 7回自責点0    ジョンソン QS 10三振
8月18日 7回自責点1    ジョンソン QS 9三振
8月23日 6回自責点3    ジョンソン QS
8月28日 7回自責点3    ジョンソン QS
9月2日  8回自責点0    ジョンソン QS
9月8日  7回自責点1 ジョンソン→城島 QSサヨナラ負け
9月13日 7回自責点0    ジョンソン QS






damejima at 14:13

August 30, 2009

5回までの投球数が多く、たとえQSを達成したとしても6回までで一杯だろうと思われたヘルナンデスだったが、7回にわずか8球で終える快投をみせた。結局、104球で7回まで投げてくれて、無事13勝目。サイ・ヤング賞になんとか望みをつないだ。
Kansas City vs. Seattle - August 28, 2009 | MLB.com: Gameday

ストライク63に対して、ボールが41、ひさしぶりに全投球におけるストライク率の低いゲームだった。以前、今シーズン途中でトルネード風にフォームをいじりだしてから、どうもコントロールが悪くなっているような気がする、と以前指摘したことがある。

とはいえ、8月はゲームごとにストライク率が上がってきている。8月最初の3ゲームで14ものフォアボールを出していた最悪の状態は、この数ゲームで脱しつつある。

8月1日  104球58ストライク 55.8% 四球4
8月7日  113球70ストライク 61.9% 四球6
8月12日 105球67ストライク 63.8% 四球4
8月18日 106球69ストライク 65.1% 四球1
8月23日 101球67ストライク 66.3% 四球0
8月28日 104球63ストライク 60.6% 四球1

ヘルナンデスの全登板ゲームのストライク数

Felix Hernandez Game Log | Mariners.com: Stats

ヘルナンデスは、これでQS数22、QS%0.81。QS数21のグレインキーをひとつ引き離して、ア・リーグのQS数、QSパーセンテージ、2つのランキングでトップに立った。
30日のカンザスシティ第4戦で、グレインキーの登板があるが、そのゲームでグレインキーがQSするかどうかが重要になった。
MLB Baseball Pitching Statistics and League Leaders - Major League Baseball - ESPN

2009年8月28日 ア・リーグQS数QS%ランキング


ヘルナンデスの2009全登板ゲームログ

4月6日  6回自責点1  城島 QS
4月11日 5回自責点5  城島
4月17日 6回自責点3  ジョンソン QS
4月23日 7回自責点0  ジョンソン QS 完封リレー
4月28日 8回自責点0  バーク QS 9三振
5月4日  6回自責点6  城島 負け  9三振
5月9日  4回自責点5  城島 負け
5月14日 7回自責点0  ジョンソン QS
5月19日 5回2/3自責点6 城島 負け
5月24日 8回自責点1  ジョンソン QS 10三振
5月30日 6回2/3自責点0  ジョンソン QS
6月5日  7回自責点1    ジョンソン QS
6月10日 7回自責点1    バーク QS
6月16日 9回自責点0    バーク QS
6月21日 7回1/3自責点0 バーク QS 8三振
6月27日 8回自責点0    ジョンソン QS 9三振
7月3日  7回自責点3    ジョンソン QS
7月9日  8回自責点1    ジョンソン QS
7月17日 8回自責点2    ジョンソン QS 8三振
7月22日 7回自責点1    ジョンソン QS 8三振
7月27日 5回2/3自責点7 ジョンソン
8月1日  7回自責点2    ジョンソン QS
8月7日  6回自責点3    ジョンソン QS
8月12日 7回自責点0    ジョンソン QS 10三振
8月18日 7回自責点1    ジョンソン QS 9三振
8月23日 6回自責点3    ジョンソン QS
8月28日 7回自責点3    ジョンソン QS






damejima at 14:49

August 26, 2009

アウェイのアナハイム戦に先発したウオッシュバーンだが、1番から6番まで、6人もの「3割打者」が並ぶLAA相手だけに苦しんだが、なんとか6回を3失点に抑えきって、同点のままマウンドを降りることができた。キャッチャーは、先日のシアトル戦のウオッシュ登板ゲームで、終盤代打で出てきて2ランタイムリーを打った、ゲンのいいルーキーキャッチャー、アビラ。
7回満塁でのワイルドピッチ
アブレイユのホーム突入を阻止するアビラの好プレー

(投手はウオッシュバーンではない)
Baseball Video Highlights & Clips | DET@LAA: Avila corrals a wild pitch and throws home - Video | MLB.com: Multimedia

グランダーソンのファインキャッチ
イリノイ大学のエンブレムカーティス・グランダーソンはイリノイ州ブルーアイランド生まれで、シカゴ郊外イリノイ州リンウッド育ち。高校もイリノイ州内なら、大学もイリノイ大学シカゴ校。まさにデトロイト・タイガースで野球をやるために生まれてきたセンタープレーヤー。
Baseball Video Highlights & Clips | DET@LAA: Granderson chases down a fly at the track - Video | MLB.com: Multimedia

デトロイトはまだ優勝が決まったわけではないが、対LAAというカードは、今シーズンのプレーオフに予想されるカードのひとつなわけで、ポストシーズンのプレマッチとしても、今日のゲームで勝った意義は大きい。

107球を投げてストライク59、ボール48。特にストレートのコントロールがよくなく、ストライクボールがはっきりした投球ぶりで、ほぼ毎回のように走者を出したが、シンカーなどで要所を抑えきった。
ここまでボールだらけの投球内容だと、普通はもっと四球を乱発するものだ。だがウオッシュバーンの四球は結局2というのだから、いかにもウオッシュバーンらしい。

唯一の失点イニングの2回、ストレート系に強いケンドリックに打たれた3ランは、インコース低めのストレート。けしてコースが甘くなったわけではない。2-0からのバッティングカウントだったことが大きい。
そこでウオッシュバーンはケンドリックの次の打席で、最初の2球、珍しく続けてスプリッターを投げた。そのあと、ホームランを打たれた「インコース低め」に、こんどはストレートではなくシンカーを投げてゴロアウトにしとめたあたり、二度同じ失敗をしなかったのは、ウオッシュバーンのベテランらしい味。(第3打席では、またもやストレートを投げてシングルを打たれたが、それも勝てばご愛嬌)

最終回は1,3塁のピンチだったが、100マイルストレートを投げるロドニーが、LAAの主軸ハンター、ゲレーロ、リベラを、100マイルストレートとチェンジアップでかわし、ウオッシュバーンに移籍後2つめの勝利となる9勝目がついた。

Detroit vs. LA Angels - August 25, 2009 | MLB.com: Gameday

今日、フライPのウオッシュバーンがなんとかホームラン1発ですましてチームを勝利に導くことができた理由は、このゲームで3度もあった1死1、2塁で、ランナーを一度も進塁させなかった粘り強さ。この粘り強さこそ、ウオッシュバーンのウオッシュバーンらしさ。シンカーが要所で効いた。

2009年8月25日 DETvsLAA 1回1死1、2塁ゲレーロ ダブルプレー初回1死1、2塁
ゲレーロ ダブルプレー


見逃した初球と打った3球目はウオッシュバーンの決め球のひとつ、シンカー。初球は低すぎて見逃されたが、いわゆるストライクゾーンからボールになった3球目のシンカーは、注文どおり引っ掛けてくれて、ダブルプレー。

2009年8月25日 DETvsLAA 3回1死1、2塁リベラ ファウルフライ.jpg3回1死1、2塁
リベラ ファウルフライ


2球目にインコースに落とした71マイルの超スローカーブが「ドルフィン」。最後の4球目はちょうどケンドリックに打たれたホームランと同じコースのストレートだったが、「ドルフィン」がイメージに残ったリベラは、4球目のインサイドのストレートを下からすくい上げた。組み立ての妙。

2009年8月25日 DETvsLAA 5回1死1、2塁ゲレーロ 三振.jpg5回1死1、2塁
ゲレーロ 三振


初回ダブルプレーのゲレーロ同様、2球目と5球目にシンカーを投げて、これが再び効いた。ホームラン後の打席のケンドリックを4回に仕留めたのもシンカー。

もともとストレートに球威があるタイプではないが、それでもここまでストレートにコントロールのない今日のようなウオッシュバーンが、3割バッターを6人並べるチームと対戦するのはつらいが、それでも、シンカーをメインに、スプリッター、「ドルフィン」などで打者ごとに味付けをかえながら、変化球で打者を切り取っていく味があるために、なんとか乗り切れる。

今自動車産業の崩壊に瀕しているアメリカ社会にとって、デトロイトという街がどういう意味をもつかは、誰よりもデトロイト・タイガースの選手たちがよくわかっていることだろう。
デトロイトとウオッシュバーンに「オクトーバー・ベースボール」の灯りが見えてきた。
Tigers a big source of pride in Motown | MLB.com: News
"It would be extra special to have October baseball here," Laird said.








damejima at 14:29

May 31, 2009

0−3で負けていた9回表、ロペスの劇的な同点3ランで追いついて、10回表にバレンティンの2ベースから素晴らしい逆転勝利。ロペスは2日連続ホームラン。
このチームがあの粘り強いLAA相手にこんな芸当ができるのは、疫病神城島の不在で投手のリズムがたいへんに改善されてゲームマネジメントにリズムが戻りつつあり、チームの状態が上向いてきた証拠。
これで3連勝。3連勝は裏口入学のコネ捕手さんは今シーズン一度も達成してないはず。(もっとも、毎年のように城島は捕手としてほとんど3連勝などしていないのだが)
Seattle vs. LA Angels - May 30, 2009 | MLB.com: Gameday

ヘルナンデスがQS。これで5月のロブ・ジョンソン先発ゲームは9つめのQSになり、とうとう4月の8個を越えた。ヘルナンデスとロブのバッテリーでのQSはこれで5個目。ヘルナンデスは調子はよくないながら、6回2/3、113球と、7回裏までなんとか投げてくれた。
城島のDLいりのおかげで、ほとんど達成寸前だったいわゆる「2年連続5月20敗」というまったく不名誉な記録は達成されないことになった。チームとして、たいへんにありがたいDLである。


それにしても今日は細部ではなんとも納得のいかない内容だった。4月26日のウオッシュバーンのゲームとたいへん感覚的によく似ている。
と、いうのも、GameDayで調べてもらうとわかるが、どの投手も初球をアウトコース低めのボールから入ることが多く、その「逃げ」の姿勢が、ノーアウトのランナーを許して苦しいイニングが続いたからだ。
LAAに得点を許した8回裏も、どこか、いつもの「インコースの攻めをキーポイントに攻める」ロブ・ジョンソンのリードとは全く違う空気が流れていた。昨日のゲームとよく比べてもらいたいものだ。
もしベンチからのリード指示であれば、バッテリーにまかせ、あまり余計なことはしないほうがいいと考える。
2009年4月26日、ウオッシュバーンが潰されたLAA戦、謎の馬鹿リードを解き明かす。

この日のピンチを何度も救ったのはLAAの4つのダブルプレーと、アブレイユを抑えたこと。さらに8回裏にイチローのレーザービームをファーストブラニヤンがカットして打者走者をアウトにするファインプレイ。あれがなければ、傷口はもっと開いてロペスの3ランですら追いつけなかった。
10回裏の1死2塁、あのトリー・ハンターが珍しく中途半端なハーフスイングでダブルプレーに仕留められてくれたのはたいへんに大きかった。好打者ハンターがああいう中途半端にスライダーをひっかける場面はあまり見ない。
このシリーズがはじまってからアブレイユにマトモにバッティングをさせてないことも大きい。選球眼のいいアブレイユがこの日も2つのダブルプレーで、4LOB。



damejima at 13:26

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  • 2012年7月3日、『父親とベースボール』 (2)南北戦争100年後のアフリカ系アメリカ人の「南部回帰」と「父親不在」、そしてベースボールとの距離感。
  • 2012年6月29日、『父親とベースボール』 (1)星一徹とケン・バーンズに学ぶ 『ベースボールにおける父親の重み』。
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