エリック・ウェッジ

2013年9月30日、シアトル・タイムズのスティーブ・ケリー退社、ジェフ・ベイカー異動、そして、マリナーズ監督エリック・ウェッジ退任。
2013年5月27日、日米ファーストでの誤審3題。このところのアンパイアの「雑な判定ぶり」は、もう何らかの対策が必要なレベルにきている。
2012年5月25日、アックリーのボブルヘッドデーに当のアックリーを先発からはずした理由を聞かれて、「メモし忘れた」と子供だましの言い訳したファン軽視の最高の馬鹿監督、エリック・ウェッジ。
2012年5月14日、打線最悪の低迷チームを自分の責任で作って失敗しておきながら、稀代の1番打者に3番を押し付け、後から「典型的な3番打者ではない」と無礼極まりない発言をするエリック・ウェッジは、即時辞任せよ。
2012年5月4日、エリック・ウェッジの無能さを証明する、選手育成部長ジョン・ファレル流出後のクリーブランド・インディアンス没落。
2012年4月19日、9回表1死満塁、1点ビハインド、左打者ハナハンは絶対にライトには引っ張らず、なおかつ初球から狙ってくる。その理由。
2012年4月13日、左バッターに頼って得点を挙げてこそいるが、打線には決定的な穴があり、右バッターはほぼ全滅、監督の「左右病」には意味がなく、結局勝率につながらないシアトル。
2011年8月27日、予想通り1ヶ月で燃え尽きたズレンシックとエリック・ウェッジ演出による8月の線香花火大会。1ヶ月で擦り切れるのがわかっているドアマットの取り換えみたいな「マンスリー・リサイクル」の馬鹿馬鹿しさ。
2011年8月21日、エリック・ウェッジが2009年にクリーブランド監督をクビになった原因は、2011年シアトルでやってきたチーム運営の問題点の数々とほとんどダブっているという事実。
2011年8月16日、1ヶ月で燃え尽きる線香花火に火をつけ続けているだけ。エリック・ウェッジのなんとも貧しい「独り花火大会」。
2011年8月9日、自分の継投ミスで同点になったゲームを、自分から投げ捨ててサヨナラ負けした負け犬エリック・ウェッジの最高に恥ずべき背信行為。
2011年7月26日、無死満塁の押し出しのかかった判定で、球審ボブ・デービッドソンの問題判定に泣かされたアダム・ケネディ。抗議すらしない弱気なエリック・ウェッジ。
2011年7月24日、みずから牙を抜いて相手にさしだしてチームに「負け犬メンタリティ」をたっぷり塗りこめた「負け犬指導者」エリック・ウェッジの「3ボール四球黙認事件」を批判する。
2011年7月24日、GMは「超守備的貧打チーム編成」で、監督は「フルスイング野球」(笑) 貧打と残塁の山が両立する矛盾したフリースインガー野球の末路的満塁ホームラン連打。
2011年7月20日、クロスゲームでしか勝てないのが今のシアトルなのにもかかわらず、あえて「雑な野球」しかやろうとしないエリック・ウェッジの責任。
2011年7月9日、Sam Holbrookのミスジャッジで試合は台無しになったと、語ったエリック・ウェッジは、「気づいた」のか。それとも、「気づかない」のか。
2011年7月2日、監督エリック・ウェッジは無意味な「左右病」でただでさえ低い得点力をさらに低下させて、いったいどこまでダグ・フィスターに迷惑をかければ気がすむのか。
2011年7月1日、「イニング別の打率」からみえてくるシアトルの打撃の「エンジンのかかりの遅さ」、「諦めの早さ」。
2011年6月29日、シアトルの目指すべき野球は、「ビールを飲んで騒ぎたいだけのキングスコートに迎合するような野球」ではない。
2011年5月31日、ジャスティン・スモークの逆転3ランで逆転勝ち!ひゃっほおううううううう!!!!
2011年4月9日、2人の出来損ないのジャック、ジャック・ウィルソンとジャック・ズレンシックに、ファンと監督エリック・ウェッジ、チームメイトへの明確な謝罪を要求する。
2010年10月19日、気になるのは、シアトルの新監督に決まった元クリーブランドのEric Wedgeと、2007年からクリーブランドのフロントに入ったKeith Woolnerの関係。

October 01, 2013

イチローをシアトルから追い出すための空気を作り上げることに奔走した主な人物のうち、3人が、同じ2013年に相次いで事実上シアトル・マリナーズのもとを去る。このことがいったい何を意味するのかは、まだ何もわからない。
だが、これらの人物の異動が見えない糸で「近い将来に起きる、まだ見えない動き」に繋がっているのは、たぶん間違いないだろうと思っている。


ひとりは、このブログがおおっぴらに「野球音痴の無礼な老人」と呼んできたシアトル・タイムズのコラムニスト、スティーブ・ケリーだ。
シアトル・タイムズの定年が何歳なのかは知らないが、2013年2月、63歳でシアトルタイムズを退職している。最後のコラムは書かないと言っていたらしいが、実際には、ファンに対してこんな悪態をついている。
"The reader comments section, it's a free-for-all," Kelley says. "The level of discourse has become so inane and nasty. And it's not just at the Times, it's ESPN, everywhere - people, anonymous people, take shots at the story, writers, each other. Whatever you've achieved in that story gets drowned out by this chorus of idiots."
Seattle News and Events | Steve Kelley, Seattle Times Sports Columnist, Leaving 'to
どうやらこの人、自分が的外れなコラムばかり書いておいて、それを読んだ一般人から読者コメント欄を使って否定されたり、批判されまくったりすることによほど嫌気がさしていたらしい(笑)ザマーミロとしか、言いようがない。

ちなみに、この人のことは2010年に一度書いたことがあって、この人間の下種な人物像はイチロー追い出し騒動以前からわかっていた。興味があれば読んでみてもらいたい。いかにスティーブ・ケリーが「ケツの穴の小さい人物」か、イヤというほどわかる(笑)
資料記事:Damejima's HARDBALL:2010年9月20日、シアトル・タイムズのスティーブ・ケリーが、"The Tenth Innning"のケン・バーンズと共同監督のリン・ノビックが行った「イチローインタビュー」について当人に取材して書いた記事の、なんとも哀れすぎる中身とタイトル。

また、この人にはこんなユニークな(笑)コラムもある。
What should Mariners do with declining Ichiro? | Steve Kelley | The Seattle Times
このコラムがユニークなのは、記事内容ではなく、「公開された時間」だ。記事の冒頭あたりに
Originally published June 19, 2012 at 8:02 PM
とある。午後8時過ぎに公開されている。

実はこの日、マリナーズは、チェイス・フィールドで午後6時40分開始のゲームの真っ最中で、試合は結局3時間59分かかって午後23時39分に終わっている。
つまり、この野球音痴の俗物は、まだゲームの真っ最中の「午後8時」にシアトル・タイムズのサイトで、いきなり記事を公開しているわけだ。そして重要なことは、記事がアップされたとき、イチローは「2打数2安打」だったことだ(笑)
ケリーじいさんはおそらく、「この日に絶対公開してやる!」と心に決め、あらかじめ記事を書いておき、アップロードするのを手ぐすね引いて待っていたのだろう(笑)なんとも俗物らしいやり方だ(笑)
だが、おじいちゃんが、この日のゲームをまるで見ないで記事のアップロードだけしたために、イチローがヒットを第1打席から続けて2本も打ったことで、せっかく書いたとりとめのない記事の信憑性が無くなってしまい、赤っ恥をかくことになった(笑)残念(笑)


2人目は、シアトル・マリナーズのビートライター、ジェフ・ベイカーだ。新会社でスポーツに関する調査をする、という発表が、9月14日にあった。
ならばシーズン終了など待たず、ブログをスパッと閉鎖するのかと思いきや、9月末段階ではいまだに、ああでもないこうでもないと、貧しい内容のブログを細々書き続けているのだから、ほんと、わけがわからない。
たぶん、ホームランを180本以上も打ちながら目を覆いたくなる得失点差で借金生活という馬鹿野球を披露したシアトル・マリナーズの総括でもやるつもりなんだろうが、もう誰もベイカーにそんなこと期待してない。さっさと去れ。往生際の悪い男だ。
Geoff Baker moves to new enterprise, investigative role in sports | Mariners | The Seattle Times


3人目は、監督エリック・ウェッジ
最近のウェッジがどんな采配ぶりで、どんなことを言っているのか、興味が無いのでさっぱり知らなかったが(まぁ、資料など集めなくても、だいたい想像どおりだろうから、どうでもいい)、シーズン終了を目前にしてウェッジの側からチームを去るとかいう、わけのわからない話が耳に入ってきた。
当初の話では、ウェッジの希望する複数年契約をチームが承認してくれないので辞める、と報道されていた。

ウェッジの辞任理由を聞いて呆れかえったファンは、おそらくとても多かったことだろう。
そりゃそうだ。マリナーズが「再建」と自称するシーズンを、これまで何シーズン過ごしてきたのか、もう忘れるほどの年数が経ったが、スタジアムを狭くしてホームランを200本近くにまで増やしておきながら、一方でチームのシーズン三振数記録と1試合の観客動員数のチーム最低記録を更新するような「馬鹿野球」をやらかして、チームをシーズン90敗させた無能な監督が、あまつさえ「複数年契約を要求する」なんて話は、アタマがおかしいとしか批評しようがない。



そうした世間の辛辣な反応ぶりにウェッジが慌てたのか、それともシアトル・タイムズが慌てたのかは知らないが、「こんどマリナーズ番を外されることになった、ウェッジのお友達のご親切なベイカーさん」が、ウェッジから辞任の真の理由を聞きだしてきたとかいう「体裁」をとって、「ウェッジは、彼が望んだ複数年契約が実現しないから辞める」という既報を否定する記事をわざわざ書いた(笑)
Eric Wedge: I wouldn’t take five-year contract extension from Mariners | Mariners blog | Seattle Times

ベイカーが言うには、「ウェッジの語った辞任の真相」は、複数年契約が実現しなかったことが理由ではなく、「球団とウェッジの方針が違っていること」が原因であり、「ウェッジが本来望んでいるチーム編成の方針は、これこれだ」と、ベイカーはやけに熱心に書いている(笑)

「若手メイン」
「だが、ヴェテランもいて欲しい」
「全盛期の選手も複数年契約で欲しい」

なに、欲張ったこと、言ってんだっつうの(笑)
馬鹿も休み休み言えって。その、どこが「若手中心」なんだよ、ばーか(笑)都合いいことばっか言ってんじゃねぇっての(笑) 大物FA野手も獲ってこいってか? そんな選手、シアトルなんか行くわけねぇし、まかり間違って獲れたとしても、そんときにゃ「若手中心」になるわきゃねぇ。馬鹿かよ。


と、まぁ、言葉は汚いが簡単に言うと
そもそもこの記事、「これまで何年もかかって追求してきたが、これっぽっちも実現しなかったことを、いまだに将来にわたる目標ででもあるかのように書いている」だけなのだ。


軽く記事を読んでしまうと、「ベイカーがウェッジから聞いた、ウェッジのやりたいチーム方針」とか称するものがあって、「ウェッジは若手中心の方針でやっていきたい。なのに、チーム上層部が許してくれない。それはどうなんだ?」という話に聞こえる。

だが、よく読むと、ベイカーの書く「ウェッジのやりたい方針」というのは、とっくにこれまで数シーズンに渡って、GMジャック・ズレンシックと監督エリック・ウェッジの2人が現場で指揮し、スティーブ・ケリー、ジェフ・ベイカー、ラリー・ストーンなどシアトル・タイムズのライター陣が、メディアとして率先して民意を操作するかのような記事で後方支援してきた「2013年までに大失敗を繰り返してチーム方針そのもの」を意味しているのだから、笑うほかない(笑)


まぁ、ジェフ・ベイカーやラリー・ストーンといったシアトル・タイムズのビートライターたちが、過去にどんな記事を書いて、ジャック・ズレンシックとエリック・ウェッジが現在のようなできそこないの野球チームを作るのを支援してきたかを知っていれば、このロジックのループした記事を笑わずにいられないはずだ。

過去数年、彼らはオフシーズンになると、やれプリンス・フィルダーだの、アップトンだの、シアトルが獲れる可能性など100万%ないFA選手の獲得をネタにして、不毛なマスターベーション記事を書いてきた。
だが、フランチャイズプレーヤーのイチローを故意に追い出したシアトル、地元のコアな観客が見離しつつあるシアトル、金の無いシアトル、シーズン90敗してスタンドはガラガラでチーム史上最低観客数を更新したシアトル、選手のプライドより地元の能無し新聞記者のほうを大事にしてきたシアトル、生え抜き選手のほとんどを安売りしたシアトル、もしヒューストンが地区に編入されなかったらダントツ最下位だったシアトルと、契約してくれるような奇特な「全盛期の大物フリーエージェント」など、間違っても、誰ひとり、いるわけがない。
自分を大事にする権利を得たFA選手が、ヴェテラン選手を若い選手の「踏み台」にしたがるシアトル、選手を大事にしないシアトル、カネも人気も無いシアトル、ポストシーズンに出られる可能性のないシアトルと、契約するわけがないのである。


つまり、だ。
「若い選手中心でいきたい。だが、ヴェテランも必要で、できたら全盛期の大物選手を複数年契約で・・・・」なんていう、「欲の皮の突っ張ったクソガキみたいなヘリクツ」は、最初からそもそも「中身のない空論」なのだ。

そもそも、ウェッジが「全盛期にあるヴェテランが必要だ。ぜひ欲しい」なんていう分不相応な主張をするのは、今に始まった話ではない。それはズレンシックやウェッジと、彼らを支持してきたシアトル・タイムズのアホウな記者どもが、これまで主張し続けてきたことのひとつであって、しかも、それが実現する可能性が全くないことは、この数シーズンの惨状によって嫌というほどわかりきっているのである。(たとえばプリンス・フィルダーのような大物FA選手がシアトルと契約するわけがない)
上に挙げた記事は、そうした過去の「失敗に終わったことが明確な自分たちのこれまでの主張」を、それがあたかも「ウェッジが近未来に実現させようとしている、シアトル・マリナーズのための未来ビジョン」ででもあるかのように、ロジックをこねてみせて、その「ウェッジの未来ビジョン」とやらをマリナーズが認めないからウェッジは辞任する、などと、話をこねくりまわしただけのことだ。


今のシアトルの現状で、「ウェッジのやりたい方針」とやらを採用して出来上がるチームなんてものは、「若手に、脇役になってくれるヴェテランと全盛期にあるヴェテランを上手に混ぜた、フレッシュで、なおかつ頼りにもなるチーム」になるわけがない。
できあがるのは、単に「大物FA選手など獲れっこない弱小チームが、しかたなく若手を大量に使いつつ、そこに、どうにか獲ってきた単年契約のヴェテランや、キャリア終盤のヴェテランを加えてシーズンを出発するが、いつのまにか若手が消えてヴェテラン中心になってしまい、そこに雑なプレーしかできない若手が添えられているだけの、わけのわからない、始末に負えないチームができあがる」という不幸な顛末へのプロセスでしかない。

当然、この「エリック・ウェッジ的 大失敗プロセス」は、「若手メインでやろうとして失敗」、「そこにヴェテランを加えて、さらに失敗」、「有力なフリーエージェント選手の獲得にも失敗」という、何段階かの失敗プロセスを経ながら、泥沼の破局へ向けて失態が積み上がっていくことになる。


要するに、上で挙げたジェフ・ベイカーの記事に最初から中身などない。
なぜなら、「今あるシアトル・マリナーズ」は実は、もう既にコンセプト上は『ウェッジのやりたい方針どおりに作ったチーム』になっているからだ。
その「既にエリック・ウェッジ的につくられたチーム」が『とりかえしのつかない失敗作』になっている事実が既にあるにもかかわらず、上で紹介したベイカーの記事では、「監督ウェッジは、『シアトル・マリナーズがオレのチーム方針に沿ってチームを作ろうとしてない。だから辞めるしかない』と言っている」という主旨で記事を書いているのだから、「なに馬鹿なこといってんの」と言うしかない(笑)

ベイカーの記事に書かれた「ウェッジのやりたいチーム編成方針」とか称するものは、現実におし進めようとしてみれば、結局は、どこから手をつけても、どんな道をたどっても、いま、現実に目の前にある「単年契約のヴェテランを中心に、そこにめぼしい若手が添えられているだけの、2013シアトル・マリナーズ」にしか行き着かない。
あたかも「ウェッジの脳内には、将来実現する理想のビジョンがある」みたいな書き方をベイカーがした理由は、単にこれまで実現するはずのないビジョンを掲げて大失敗してきた自分たちの体面を保つためだけのためにジェフ・ベイカーが記事を書いている、それだけのことだ。
だから、記事の内容がまったく辻褄が合わないし、虫のいいことばかり書いている。

いつになったらシアトル・マリナーズの「再建」とやらが始まるのか、早く教えてもらいたいものだ(笑)


ちなみに、ちょっとだけヤンキースについても書く。
「若手中心と称してスタートし、単年契約のヴェテランをとっかえひっかえ踏み台として使っているだけの、ホームラン狙いで三振がやたらと多い、資金に余裕のない球団」が今のシアトル・マリナーズだとして、そんな支離滅裂で中心の無いシアトルと似たようなチーム方針を8月末以降にとりだして、勝率をいたずらに下げ、ポストシーズン進出を取り逃がすところまで行ったのが、2013年終盤のヤンキースであり、ジラルディだったという部分を忘れてはいけない。
このことはよほど肝に銘じておかないと、リベラだけでなく、やがてはジーターもいなくなるヤンキースが、近年マリナーズがやらかしてきたミスの大半を経験することによって、「第二のマリナーズ化」する羽目になる。
八百屋じゃないんだから、単純に若手をスタメンに並べて、チャンスだけ与えておけば、どんな才能の無い若手でも成長するだろう、などと思ったら、大間違いなのだ。

damejima at 04:18

May 28, 2013

つい先日のオークランド対クリーブランド戦で、クルーチーフ (日本でいうところの「責任審判」) としてインスタント・リプレイを見たのに誤審をやらかした上、正当な抗議をしたボブ・メルビンの退場処分までやらかして、全米のMLBファンとメディアに完全にダメ審判の烙印を押されたAngel Hernandez(1961年生まれ 51歳)が、5月24日ホワイトソックス対マイアミ戦の延長10回裏のサヨナラ判定で、またもや「試合結果そのものを左右するレベルの誤審」をやらかしてくれた。

エンジェル・ヘルナンデスの誤審 CHW×MIA 20130524

この誤審は、延長10回裏の1死満塁で、ホワイトソックスのアレックス・リオスが打った内野ゴロのダブルプレー判定で起きている。当然リオスがもし「セーフ」なら、サードランナーは生還できている。
つまり、Angel Hernandezの誤審がなければ、後攻のホワイトソックスはサヨナラ勝ちしていたのである。
ボブ・メルビンの退場といい、この誤審といい、酷いものだ。この角度で見て正確に判定できないのなら、彼自身にMLBから退場してもらったほうがいいかもしれない。


聞くところによると、日本でも約1っか月半くらい前の4月17日(日本時間)、巨人×阪神戦でもかなり酷い誤審があったらしい。
日本のプロ野球のアンパイアの動向には詳しくないし、プロ野球自体、専門外なわけだが、これは写真でみても、ハッキリ誤審とわかる。
一塁塁審のセ・リーグの牧田匡平というアンパイアは、例によってどうやらこれまでにも何度か誤審トラブルを起こしているらしく、コアなプロ野球の審判マニアの間ではとりあえず有名なアンパイアのひとりらしい。
画像でみた人間ですらイラっとするくらいだから、現場のスタジアムにいあわせたファンは、さぞかし血圧が上がったに違いない。困ったものだ。

2013年4月17日 巨人・阪神戦の牧田匡平審判による誤審

2013年4月17日 巨人・阪神戦の牧田匡平審判による誤審

2013年4月17日 巨人・阪神戦の牧田匡平審判による誤審


この牧田匡平という人はフロリダのハリー・ウェンデルステッド審判学校に留学したと、経歴にある。
この学校は、その名のとおり、MLBのアンパイアが作った学校だが、設立したのは、現在41歳の現役アンパイアHarry Wendelstedt 3世ではなく、彼の父親で、33年もの長きにわたってナ・リーグ審判をつとめ、去年2012年3月9日に73歳で亡くなられたHarry Wendelstedt, Jr.氏だ。
(ちなみにこの2人は、MLB唯一の「同時に審判をつとめた親子」でもある。Harry Wendelstedt, Former NL Umpire who "Lived for Baseball," Dead at 73 | Close Call Sports and the Umpire Ejection Fantasy League

現役審判の、息子Harry Wendelstedt 3世のエピソードで有名なのは、なんといってもミネソタ・ツインズ監督ロン・ガーデンハイアーとの確執だろう。
彼がこれまでに5回ほどガーデンハイアー(彼のチームのコーチや選手が同時に退場させられることもあった)を退場処分にしていることは、このブログでも2010年に書いたが、たしかにひとりのアンパイアが同じ監督を通算5回も退場処分にしているなんて話は、他にちょっと聞いたことがない。
Damejima's HARDBALL:2010年10月7日、ディヴィジョン・シリーズ第2戦で退場させられたミネソタの監督ロン・ガーデンハイアーと、球審Hunter Wendelstedtとの間にかねてからあった軋轢。

Harry Wendelstedt 3世の年度別退場コール数
4 (2005)
6 (2006)
4 (2007)
4 (2008)
5 (2009)
6 (2010)
8 (2011)
1 (2012)
UEFL Profile of MLB Umpire: Hunter Wendelstedt | Close Call Sports and the Umpire Ejection Fantasy League

2011年の被退場者
Close Call Sports and the Umpire Ejection Fantasy League: Hunter Wendelstedt
LAAジェレッド・ウィーバー投手 7月31日 正
LAA監督マイク・ソーシア 7月31日 正
ATL一塁手フレディ・フリーマン 8月8日 正
ATL監督フレディ・ゴンザレス 8月8日 誤
MIN三塁手ダニー・バレンシア 8月22日 正
MIN監督ロン・ガーデンハイアー 8月22日 正
COL監督ジム・トレーシー 8月26日 正
TB監督ジョー・マドン 9月16日 誤
(正=正しいコール 誤=誤審)

Harry Wendelstedt 3世の名誉のために言っておくと、いくらロン・ガーデンハイアーとの間に確執があるといっても、上のデータでわかるように、かつての彼の退場コールは数が多かったのは確かだが、退場コールの中身には問題がなかった。



Harry Wendelstedt 3世とガーデンハイアーの確執はともかくとして、Angel Hernandezといい、牧田匡平といい、どういう理由でそうなったのかはわからないが、このところアンパイアの明白な誤審(特に1塁での誤審)が、あとをたたない。

例えばAngel Hernandezがホワイトソックス戦のダブルプレーで誤審を犯したのと同じ5月24日のTEX×SEAでは、Jeff NelsonがHernandezと同じダブルプレー判定で誤審を犯している。
彼は一塁塁審として、2回裏に3-6-1のダブルプレーが成立したとしてアウトをコールしているのだが、このプレー、ショートからの送球をファーストでグラブに収めているのは、「1塁ベースを実際に踏んでいた一塁手ミッチ・モアランド」ではなく、なんとモアランドと交錯した「1塁ベースをまったく踏んでいないピッチャーのジャスティン・グリム」なのである。

おまけに、このJeff Nelsonの誤審で、シアトル監督エリック・ウェッジは抗議に行っているのが動画でもわかるが、この、かつて2011年に「まだカウントは3ボールなのに四球判定され、しかも、それに気づいていたのにもかかわらず、球審に抗議に行かなかった」このトンチンカンな監督は、ジェフ・ネルソンの犯した誤審に気がついたわけではなく、なんと「一塁手ミッチ・モアランドの足が離れた」という点について抗議しているというのだから、ほんと、どうしようもない。(資料参照:試合後の公式サイトの記事 Texas Rangers at Seattle Mariners - May 24, 2013 | MLB.com SEA Recap
Damejima's HARDBALL:2011年7月24日、みずから牙を抜いて相手にさしだしてチームに「負け犬メンタリティ」をたっぷり塗りこめた「負け犬指導者」エリック・ウェッジの「3ボール四球黙認事件」を批判する。




damejima at 02:06

May 26, 2012

呆れ果てて、モノも言えない。

5月25日はダスティン・アックリーのボブルヘッドデーだが、その日のスタメンに、当のアックリーの名前がないのだから、呆れる。
Ackley sitting out on Ackley Bobblehead Night « Mariners Musings

エリック・ウェッジは、取材記者にこう答えている。


メモしわすれた





打てるかどうか気にしなくていいから、いんじゃね?





南極かどっかに島流しにしたほうがいいな。
こういう馬鹿は。



Eric Wedge sits Dustin Ackley on his bobblehead day | HardballTalk


damejima at 10:49

May 15, 2012

無礼な人間にリクツなど、いらねぇわ。

「イチローは典型的な3番打者ではない。イチローは相手に大ダメージを与えるタイプの打者ではなく、ヒットを量産するタイプ」
だと?


いい気になりやがってから、このボケが。

腰ぎんちゃくのオッサンよ。
イチローがいままで何本ヒット打ってきたと思ってんだ、コノヤロ。

しかも、殿堂入りプレーヤーでさえ普通最速でも17ーズン以上かかるヒット数を、たった11シーズンやそこらで達成してきたんだぞ? 殿堂入りプレーヤーでさえ目じゃない超スピードでヒット打ってきたんだつぅの。
ヒット量産タイプなことくらい、シーズン始まる前どころか、10年も前からわかってんだよ、この、能無し。ボンクラ。

1番イチローの走・攻・守」が、今まで、どれだけ相手の、ピッチャー、バッター、ランナー、監督、コーチ、チーム、スカウティング担当者に、大ダメージを与えてきたか。
ヘタレのガキばっか並べた、イチロー除いたチーム打率がたった2割しかねぇ、くだらねぇチームにしてきた自分とGMの責任をイチローに押し付けてんじゃねぇっての。
盗塁も自由にできない「3番」に置いて、せっかくの能力を宝の持ち腐れにした上、3000本安打の邪魔までしてんのは、ほかならぬ、てめぇ自身のせいだろうが。ボケ。

サッサと辞任せぇや。エリック・ウェッジ


「礼儀を知らない」てぇことは、
文明の無さの最たる現われなんだぜ。

damejima at 11:01

May 04, 2012

トロントのブランドン・モローがエンゼルスをわずか102球で完封して、3勝目。ヴェテランのダン・ヘイレンとの投げ合いだったが、一歩も引かないどころか、ワンランク上を行くピッチングをみせたのだから、たいしたものだ。
Toronto Blue Jays at Los Angeles Angels - May 3, 2012 | MLB.com Classic

モローについて前回書いた記事で、今シーズンのモローの配球の特徴について「シアトル時代には配球の70%以上がストレートで、ストレートばかり投げては狙い打たれていたが、今はわずか50数%しか4シームを投げていない」と、近年のモローの変化球多用について書いたわけだが、今日はなんと前の登板とガラリと変わって、全投球の74%、つまり4球のうち3球で4シームを投げ、ほぼストレートのみで知将マイク・ソーシアの裏をかいて、エンゼルスを押しつぶしてみせるという離れ業をみせた。(だからといって、シーズンスタッツで、モローのストレート率が急上昇したわけではない)

いやはや、エンゼルスのような、「三度のメシより分析が好きなチーム」を相手に、得意のスカウティングを不発に終わらせ、バッターに的を絞らせない工夫をしてくるとは。おそれいった。前回登板でイチローにスプリットまで投げていた投手とは、とても思えない。
クリーブランドでも、ボストンでも、選手を育てる手腕の高さで名をはせたジョン・ファレルが監督をしているだけのことはある。
参考記事:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2012年4月28日、「アウトローにストレートが最も手堅い」などというダメ捕手発想など通用しないのがMLB。エドウィン・エンカルナシオンの初球満塁ホームラン。


トロント・ブルージェイズの現在の監督ジョン・ファレルは、かつてクリーブランドでエリック・ウェッジが監督になる2年も前から、選手育成ディレクター (director of player development)をやっていて、CC・サバシアクリフ・リービクター・マルティネスグレイディ・サイズモアなど、クリーブランド生え抜き選手の大成に深くかかわった。

その後、腕を見込まれて2007年からボストンでピッチングコーチに就任。ジョシュ・ベケットジョン・レスタークレイ・バックホルツを育て上げつつ、就任1年目にしてボストンのチーム防御率を前年から1点以上改善してア・リーグ1位の投手陣に押し上げ、ワールドシリーズ制覇に大きく貢献した。そして2010年10月トロントで、ついに「監督の座」を射止めた。
ボストンのチーム防御率
2006年 5.09
2007年 4.06 ジョン・ファレル Pコーチ就任(WS優勝)
2008年 4.28
2009年 4.54
2010年 4.59 ジョン・ファレル、トロントの監督に
2011年 4.55 
2012年 5.54



ジョン・ファレルとエリック・ウェッジの関係で、特に皮肉なドラマと言えるのは、2007年のア・リーグチャンピオンシップシリーズ(ALCS)だ。
十分な戦力をもちながら、なかなか地区優勝できないエリック・ウェッジのクリーブランドは、サバシアとカルモナ*1の2投手が19勝ずつすることで、ようやく6年ぶりの地区優勝にこぎつけたのだが、リーグチャンピオンシップで、前年までクリーブランドの選手育成ディレクターだったファレルがピッチングコーチに就任したボストンと対戦するものの、1勝3敗から逆転を許して劇的に敗退。
ボストンは勢いそのままにワールドシリーズ制覇を遂げために、ファレルはチャンピオンリングを手に入れたのだが、エリック・ウェッジはその後の2年間の不振から、クリーブランド監督をクビになった。
*1 在籍時期の重なりが少ないカルモナには、ジョン・ファレルはあまり関わっていない


シアトルが、他チームをクビになった人間をを監督に採用したのは、おそらく 「ウェッジは若手育成のうまい監督だから」 なんていうわけのわからない理由だったのだろうが、人を見る目がないにも程がある
かつてのボストンの躍進に関してテオ・エプスタインの手腕を評価している人間と同じで、シアトルは、2000年代のクリーブランドで、「誰が本当のキーマンだったか」を見抜きもしないまま、チームの運命をまかせっきりにしたのだから、おそれいる。

例えば、
クリーブランドのファームシステムが高く評価されていた2003年、監督ウェッジは就任1年目でまだ何もしておらず、ファームを整備していたのは、既に2001年から選手育成ディレクターをしていたファレルなどの功績であり、ウェッジではない。
During Farrell's time in Cleveland, the Indians received Organization of the Year honours from USA Today (2003-04) and their farm system was ranked No. 1 by Baseball America (2003).
Blue Jays name Farrell new manager | bluejays.com: News



以下に挙げたのは、2001年からの約10年間のクリーブランド・インディアンスのウェッジ、ファレル、主力選手それぞれの在籍期間とチーム勝率を重ね合わせたグラフ。(クリックすると別窓で大きなグラフが開く)

クリーブランドの勝率変遷とジョン・ファレル

CCサバシア、クリフ・リーと、2人のサイ・ヤング賞投手に加えて、好調時のカルモナと、最強クラスのローテ投手を抱えながら、7年間ものエリック・ウェッジ在任時代に、クリーブランドはたった1度しか地区優勝(2007)していない

それどころか、ウェッジの監督在任中、これほどの戦力がありながら、チーム勝率が5割を超えたことは、たったの2度しかない

当時のクリーブランドが、才能溢れる選手たちが集まっていたから多少は勝てたものの、それでも、十二分に彼らの才能を引き出せる指導者に恵まれてはいなかったことが、10年単位で振り返ると、よくわかる。
シアトルにおいても選手起用、特に投手起用に常に最悪の采配を見せ続けている監督ウェッジの手腕が、実はクリーブランド時代から最悪なものだったことが、上にまとめた図からよくわかるというものだ。
もしウェッジの采配が本当に素晴らしいものだったなら、クリーブランドは長く続く黄金時代を迎えることができ、クリフ・リーやサバシアといったMLBを代表するような名投手たちを次々に手放すようなハメにならずに済んだだろう。

エリック・ウェッジがクリーブランドをクビになった理由の一端については、以下の記事を参照 ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年8月21日、エリック・ウェッジが2009年にクリーブランド監督をクビになった原因は、2011年シアトルでやってきたチーム運営の問題点の数々とほとんどダブっているという事実。

2000年代クリーブランドの、ほんのわずかな好調期を演出したのは、無能なエリック・ウェッジの奇をてらった采配や、片寄った選手起用によるものではなく、選手育成部長ジョン・ファレルの用意した選手層の厚さである。
このことは、選手育成部長ジョン・ファレルのボストン移籍以降、クリーブランドのチーム勝率が急激に右肩下がりにV字降下し、2009年にはわずか4割程度になって、有力選手の大半を放出せざるをえなくなって、監督エリック・ウェッジが問答無用にクビにされた事実で、十分過ぎるほど、証明されている。



ちなみに、以前、2000年代の10年間にボストンで活躍した豊富過ぎるほどの人材を用意したのが、元GMテオ・エプスタインではなく、エプスタインの前任者ダン・デュケットであって、テオ・エプスタイン、ビル・ジェームス、さらにはビリー・ビーン、マネーボールなどの評価を、「格下げ」、「ダウングレード」する必要があることについて書いた。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年11月8日、ボストンの2004年ワールドシリーズ制覇におけるダン・デュケットの業績を振り返りつつ、テオ・エプスタイン、ビル・ジェームス、マネーボールの「過大評価」を下方修正する。

この「2000年代のボストンの選手層の厚さ」について、ダン・デュケットの「選手獲得」の手腕と功績の再評価が必要なのと同様に、ジョン・ファレルが、ダン・デュケット時代の選手たちを「育成」したことの手腕と功績の再評価も必要だろう。
そのことは同時に、テオ・エプスタインと、その周辺のセイバー関係者の「上げ底評価」を、さらにもう一段下げる必要があることも意味している。

damejima at 23:42

April 20, 2012

説明するまでもない。
シアトルのライトに強肩イチローがいることくらい、元チームメイトのジャック・ハナハンが一番よく知ってる。

ライトフライじゃ、多少のフライでも、サードランナーは帰れない。
右中間のフライも、普通のチームならセンターに守備の優先権があるが、シアトルではライトのイチローが横どりして捕球し、ホームプレートにレーザービームしてくる。(これは過去に何度もあった)
つまり、ライトから右中間にかけてのフライじゃ、同点にならず、ただ2アウトになるだけになる。もちろん、ライト前ヒットのケースでも、同点にはできるが、イチローの返球を考えればセカンドランナーまでは帰れないから、逆転まではいかない。


一方、クリーブランドのドミニカ人監督Manny Actaは代走をサードランナーにではなく、セカンドランナーにだした。これは、「同点どころか、逆転まで視野にいれているぜ」、という意味。


だから、トータルに言えば、クリーブランド側にライト方向の打球(外野フライ、シングルヒット)でまずは同点、なんて発想は、最初からゼロ。クリーブランドの監督にしてみたら、ハナハンがライト方向に犠牲フライを打つのを期待する発想なんて、ゼロどころか、むしろ、それだけはやめてくれ、という話。

ならば。
ハナハンはライトには打ってこない。
それくらい、アタマ使えよ。死ぬまでにな。


頭使うってことが、わかってなさすぎる。

なのに、押し出しへの恐怖で頭が一杯のリーグオリーボのバッテリーは、わざわざ初球から左バッターのハナハンがレフトに流し打ちしやすいアウトコースに2シーム系で攻めて、三遊間抜かれて逆転負けしてりゃ、世話ねぇわ(笑)

おまけに、狙われてるレフトの肩の弱いフィギンズに守備固めしない。馬鹿ですか? と言われてもしょうがないのが、この無能監督エリック・ウェッジ


去年、イチローの捕る外野フライの数がものすごく減ったことが、単なる偶然だ、とでも思ってるんだろな。

馬鹿だねぇ。
みんな、「ものすごく考えて野球やってる」のが、MLBなんだぜ?
イチローのいないところに打つ」。これがシアトルと戦うチームの原則になってる。だからライトに打球がいかない。


追伸:
以下のコメントは、さっきみつけた。こういうコメントがあるだろうと想定して探してたら、やっぱりあった。クリーブランドの地元メディアではなく、マイアミのメディアにあるんだから、見つけにくかった。
やっぱりハナハンは「初球から狙ってた」んだねぇ。やっぱ彼は、シアトルのことをよくわかってるし、周りがよく見えてる。

一方、1点差で満塁の場面で押し出しにだけはしたくないから、シアトルバッテリーは「初球からストライクが欲しくてたまらない」わけだ。

ただ、打つ側からすると、ゲームのゆくえが決まる1点差満塁のチャンスで初球から強振していく行為には、かなりの勇気が必要。
それでもハナハンは、ブランドン・リーグの球質からして、「勝負は速いカウントにかかってくる」と考え、「ここは、初球から振っていくべき打席なんだ」ということを、とてもよくわかった上でスイングしたことになる。

これって、なかなかできることじゃない。

たとえ頭でわかってても、チビってスイングできない臆病なバッターがどれだけ多いことか。また、クローザーのピッチングスタイル、持ち球、追い込みかたによっては、初球から強行するわけにはいかない投手もいる。あらかじめ頭を使っておかないと、初球から振っていいかどうかは、わからない。

ハナハンが、重要な条件の大半をきちんと考慮に入れて打席に入れているってことが、とても素晴らしい。

"It's not the type of guy you want to go deep in the counts with, with that split-finger fastball and he's throwing 97 (mph)," Hannahan said.
「(シアトルのクローザー、ブランドン・リーグは) スプリットも、97マイルのスピードボールも持ってるピッチャーなんだから、カウントを追い込まれたくないタイプの投手なんだ」 (決勝2点タイムリーで、初球から狙ったことについて、ジャック・ハナハン)
League coughs up lead, Indians beat Mariners 2-1 - Baseball Wires - MiamiHerald.com




damejima at 14:14

April 14, 2012

去年の貧打ぶりを知っていれば、4月12日時点で、ア・リーグで最もヒット数の多いチームがシアトルである、と言われても、誰もピンとはこないだろう。(以下、数値は全て4月12日時点)
だが実際、ヒット数に関してだけ言えば、今シーズン圧倒的な戦力を擁しているデトロイト、テキサスより、シアトルののほうが多いのだから、事実は小説よりも奇なりだ(笑)
かといって、シアトルのチーム打率が高いわけでもないのだから、世界の7不思議といってもいい(笑)
(というか、単に特定の左バッターだけがヒットを打っているだけのことだ。ヒット数の多い順にいえば、イチロー、アックリー、左打席のフィギンズ、シーガー、モンテーロ)

SEA ヒット数 71 チーム打率.252
DET 63 .304
TEX 58 .257
LAA 56 .272
NYY 54 .249
2012 American League PH/HR/Situ Hitting - Baseball-Reference.com


だが、これをwOBAで見てみると、話は全然違ってくる。
ベスト5からシアトルが消え、かわりにボルチモアとタンパベイ、要するに、東地区のチームの名前が上がってくる。この理由はもちろん、シアトルのヒット数に占める長打の割合が低いから。
他方デトロイトは、何度も書いているように、もともとチーム打率の高いチームで、しかも今年から長打力向上のためにプリンス・フィルダーを獲り、他の打者も好調。今年のデトロイトは、ヒット数も長打力も東地区のチームを圧倒しており、ア・リーグ断トツの打撃力を誇るチームといえば、デトロイトだ。

DET .360
NYY .334
BAL .333
TEX .330
TBR .329
American League Team Stats » 2012 » Batters » Dashboard | FanGraphs Baseball


こういうことを書くと、すぐに「やっぱり野球は長打だよな」なんて馬鹿なことを言いたがる人間がいるものだ(笑)。
まぁ、論より証拠、ア・リーグ各チームの得点数を見てもらおう。長打をバカスカ打って得点しまくっている「はず」の東地区のチームの名前が、再び消え失せる。東地区の野球が、いかに「塁打数がムダに多いが、実は得点に結びつかない、大味な野球」になっているかが、よくわかる。

DET 40
TEX 31
SEA 31
LAA 30
NYY 29


あの極限的貧打だったシアトルの得点数が、今の時点だけならア・リーグトップクラスというのにも驚かされるが、もっと驚かされるのは、その得点の多さがチーム勝率にほとんど反映されない点だ(笑) (まぁ、まだホームでゲームしてないという点は差し引いてもいいが)
野球というものは、常識的なチーム運営をやっているだけなら、投手力と打撃力が両立することはない。予算というものは無限ではないのであって、よほど一方的に勝つトレードでもできない限り、オフェンスに注力すればディフェンスが低下する、またはその逆の現象が起きるだけのこと。
シアトルが先発投手を犠牲にしてバッティングの充実を図るような偏った補強ばかりしていれば、あの素晴らしかった投手力が急降下して打撃にチームカラーがシフトするくらいのことは想定内。しかも、その内容は効率的なものではない。


今シーズンのア・リーグで、そのバッターが打席に入ったときにいたランナーの人数の合計(Baserunners, BR)、ランナーが得点した点数(Baserunners who Scored, BRS)、ランナーの人数に対する得点の割合(BRS%)を見てみる。(ランナーといっても、ここでは「得点圏走者」という意味ではないし、BRS=RBIとは限らない。それにしても、「ランナーを多く背負う打順」というのが、チームにもよるが、実は4番より、3番や5番6番だったりするデータなのが面白い)

打席でランナーの多いバッター ベスト20
Nick Swisher     31人 4点 13%
Derek Jeter      24 2 8%
Justin Smoak   22 1 5%
Brennan Boesch   21 5 24%
Ben Zobrist      21 3 14%
イチロー        21 3 14%
Torii Hunter      21 3 14%
Jose Bautista     21 1 5%
Robinson Cano    21 0 0%
Michael Young    20 6 30%
Adrian Gonzalez   20 5 25%
Mark Teixeira     20 1 5%
Jeff Keppinger    20 0 0%
Carlos Pena      19 6 32%
Edwin Encarnacion 19 5 26%
Nelson Cruz      19 4 21%
Kurt Suzuki       19 3 16%
Matthew Joyce    19 3 16%
Vernon Wells      19 2 11%
Michael Saunders 19 1 5%

打席でランナーがいるシチュエーションの多いバッターのランキングには、ヤンキースはじめ、東地区のバッターの名前がやたらゾロゾロ挙がってくるわけだが、彼らの「ランナーをホームに帰す率」が総じて低い。いくら長打があるとはいえ、彼らの得点効率(ひいては、彼らの高額なサラリー対する得点効率)は、けして良くはないことがわかる。もし彼らがホームランを打てなければ、いくら長打が打てても無駄が多いバッターが多いだけに、チームの得点力は急激に下降線になる。

またシアトルは、たとえ長打は少ないにしても、ヒット数は多いのだから、得点につながる野球ができているか、というと、そんなことはない。いくらランナーを数多く出そうと、例えば4番スモークにランナーを帰すバッティングができないのだから、得点には天井が決まってしまう。
(というか、今年のローテ投手の防御率悪化は目に見えているのだから、投手を犠牲にして獲得した打者たちがチームの得点数を大きく伸ばす日でも来ない限り、得失点差は永遠に改善されず、得失点差に影響される勝率は改善されない
シアトルで、ヒット数が多い割に得点につながらないのには、ちゃんと理由があって、それはよくいわれるような「長打が無いから、得点できない」わけではない。スモークを4番に使わなければならない理由は、今のところ、どこにもない

ランナーの多さが得点につながらないバッター ベスト5
Robinson Cano (NYY) 21人 0点 0%
Jeff Keppinger (TBR 6番打者) 20 0 0%
Justin Smoak (SEA) 22 1 5%
Jose Bautista (TOR) 21 1 5%
Mark Teixeira (NYY) 20 1 5%
Michael Saunders (SEA) 19 1 5%

逆に、ランナーをムダにしないバッターのランキングをみると、東地区のバッターの名前が消え、デトロイトのバッターが浮上する。これが今年のデトロイトの強さ。
3番ミゲル・カブレラは、ランナーを背負って打席に立っている打者ベスト20に入っていないが、それでも44%のランナーをホームに帰してしまうというのだから、驚異的。誰だって、そんなバッターと勝負したくはない。

ミゲル・カブレラの打席にランナーが思ったほど多くない理由は、2番バッター、ブレナン・ボーシュの打点の多さを見れば、なんとなく理由が想像できる。
デトロイトと対戦する投手にしてみれば、3番ミゲル・カブレラと勝負するくらいなら、2番ボーシュとの勝負を選ぶわけだが、実は打率こそ低いものの勝負には強いボーシュにタイムリーを打たれて涙目、なんていうケースが増えつつある。(3番に座ったイチローの前の、2番バッターに打点が増えつつあるのにも、似たような理由がある。かつては1番イチローの前の9番ベタンコートにもそういう打点恩恵があった)
デトロイトのリードオフマンといえば、かつてはカーティス・グランダーソンだったが、グランダーソンのサラリーが高騰する前にヤンキースにトレードして、かわりに獲得した1番・センターオースティン・ジャクソンが絶好調で、グランダーソンの穴を完全に埋めて余りある活躍をみせつつあるのも大きい。
グランダーソンに払うはずだった高いサラリーを考えると、グランダーソンが毎年ホームランを40本打ち続けるとはとても思えない以上、オースティン・ジャクソンとダグ・フィスターの2人は、「給料は安く、戦力は高い選手」を獲得できた、理想的な勝ちトレードだ。こういう選手獲得によってペイロールを節約しながら戦力補強できるからこそ、デトロイトはプリンス・フィルダーに食指を伸ばせた。

ランナーが得点につながるバッター ベスト5
(Miguel Cabrera 16人 7点 44%)
Michael Young 20 6 30%
Carlos Pena 19 6 32%
Edwin Encarnacion 19 5 26%
Adrian Gonzalez 20 5 25%
Brennan Boesch 21 5 24%


ちなみに、Ptn%(Percentage of PA with the platoon advantage)というデータで見ると、シアトルが72%で、ア・リーグトップ。(2位はOAK71%、3位CLE65%。最下位はTEXの45%。デトロイトは53%。強力打線のチームは打線をそれほどいじっていない)
この数値は、相手ピッチャーが左なら右打者を並べ、右なら左バッターを多くぶつけるという風に、「相手投手の左右に対して、打者の左右が逆になっているパーセンテージ」のこと。
シアトルは、上位打線にフィギンズ、スモークと、2人のスイッチヒッターがいるわけだから、もともと相手投手の左右にあわせやすい打線ではあるが、この2人だけでPtn%が「72%」もの高さになるわけがないわけで、あくまで高いPtn%の元凶は、監督エリック・ウェッジが相手投手に合わせて打線をいじりたおす「深刻な左右病」にある。

だが、以下の数値を見なくとも、シアトルのゲームを常に見ていればわかるように、ヒットにしても、ホームランや長打にしても、シアトル打線のヒットの大半は「投手の左右を気にしない左バッターの活躍」によるものであり、ウェッジが相手投手によって打線をコロコロ入れ替える戦略が、ヒット数の多さにつながっているわけではない。
事実、ブレンダン・ライアン、ミゲル・オリーボ、キャスパー・ウェルズなどと、休養しているグティエレスも含めて、シアトルの右バッターの大半はまるで機能を果たしていない。また、スイッチヒッター、スモークの右打席も機能していないし、ヘスス・モンテーロのスイングは明らかにスラッガーのスイングではない。
エリック・ウェッジの「左右病」がシアトル打線の好調さにつながっているわけではないのだから、本来なら、好調な打者をどんどん上位に移して、不調のスモークをさっさと4番からはずすべきだ。
だが、シアトルというチームは、いつもそうだが、「どうせそのうち、そうせざるを得なくなること」を、すぐには実行せず、しばらく様子を見て症状を重くして失敗する。
弱いチームの「弱さ」とは、一瞬のチャンスをモノにできない「引きの弱さ」であり、また、予想できるピンチを回避できない「逃げ足の遅さ」である
長くは続かないチャンスをモノにしないうちに、左バッターの好調期間が終わってしまえば、また元の貧打に戻るのは目に見えている。

vs RHP as RHB 打率.230 ヒット数14
vs RHP as LHB .260 45
vs LHP as RHB .156 5
vs LHP as LHB .438 7
RHP=右投手、LHP=左投手
RHB=右バッター LHB=左バッター
2012 Seattle Mariners Batting Splits - Baseball-Reference.com

damejima at 05:04

August 28, 2011

2011シーズン 選手入れ替えリスト

「ミスター・マンスリー・リサイクル」、選手入れ替えオタクのエリック・ウェッジが、今シーズンに選手を入れ替えたタイミングは、おおまかにいって、4度ある。

5月末前後
ソーンダース、ブラッドリーに見切りをつけ、ペゲーロ、マイク・ウィルソンを試しはじめた。
6月初旬
ルイス・ロドリゲス、マイク・ウィルソンに見切りをつけ、ホールマン、カープなどをコールアップ。その後アックリーをコールアップ。
7月中旬
決定的な17連敗によってポストシーズンを諦め、ペゲーロ、ホールマンに見切りをつけた
8月末
ポストシーズンを諦め最下位に沈んだことで例年通り血迷った無能GMズレンシックが先発投手2人、フィスター、ベダードを放出。ウェルズを起用しはじめ、一度使ってマイナーに落としていたカープ、シーガーを再コールアップ。
9月(予定)
いわゆる「セプテンバー・コールアップ」

資料:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年8月16日、1ヶ月で燃え尽きる線香花火に火をつけ続けているだけ。エリック・ウェッジのなんとも貧しい「独り花火大会」。

8月以降に4回目の選手入れ替えでエリック・ウェッジが使ってきたカープシーガーウェルズが予想通り賞味期限1か月の線香花火だった。
セプテンバー・コールアップではどうせまたペゲーロでも再コールアップしてきて、シアトルのわけのわからない「2011年エリック・ウェッジ線香花火大会」は、いつのまにか尻すぼみに終わってしまうのだろう(笑)
たった1ヶ月で火が消えてしまうのがわかっている安物の蚊取り線香みたいな選手でも、火が消えたところで、相手がスカウティングしないうちにマイナーに落として、しばらくしまいこんでおけば、相手チームが忘れた時期をみはからって再び取り出し、また火をつけてやれば、また1ヶ月くらいは十分燃える
こんなドアマットの取り換えというか、素人の焚火みたいな選手起用が、能力は無い癖にいつも上から目線のエリック・ウェッジのご立派な「育成」とやらなのだから、おそれいる(失笑)
話にならない。
マイク・カープ
Last 28 days 打率.310 (BABIP .388)
14 days .240 (.310)
7 days .148  (.231)

キャスパー・ウェルズ
Last 28 days 打率.288 (BABIP .382)
14 days .242 (.235)
7 days .188 (.182)


以下に数字だけからみた3人の打者の傾向をあげてみた。ネット上で誰でも入手できる簡単なデータからですら、多少なりともわかることはあるのだから、来シーズン、プロのスカウティングマンの手にかかればどうなるか、誰にでも予想がつくというものだ。

マイク・カープ
典型的なフライボールヒッターであり、なおかつ、典型的なローボールヒッターBABIPの異常に高い打者。スタッツを稼ぐのは、ほとんどがフライによる。ゴロはまったくノーチャンス。
フライボール・ピッチャーにとっては嫌なバッターである反面、グラウンドボール・ピッチャーにしてみれば、これほどダブルプレーをとりやすいバッターはいない。ランナーが1塁にいるケースでは、ゴロを打たせてダブルプレーに仕留めるのを狙うべき典型的なバッターだ。
だが、マリアーノ・リベラがよくやる手を使って、カットボール、あるいはインコースを詰まらせることでセカンドゴロを打たせてダブルプレーに仕留めよう、などとカッコつけると、それはカープの得意な球種とコースだから、むしろ墓穴を掘ることになる。結構な数の投手がこのパターンで失敗した。
ここは、むしろランナーを十分に牽制しておいて、盗塁される危険性も覚悟でチェンジアップやカーブを勇気をもって投げることで、ダブルプレーという最良の結果を手にすべき。もし、ゴロでなく、空振り三振に仕留めたい満塁のようなケースでは、外で追い込んでおいて、カープの得意コースであるインローに、苦手球種のカーブかチェンジアップを「ボールになるように」投げるのが最適。
ちなみに、ア・リーグ東地区の投手との相性がいいのは、カープの得意なカットボールを多用したがる投手が多いためではないか。
独特のカウント感覚を持っている。なんとなくだが、「投手の油断やスキの出るカウントでスイングする変則的な傾向」をもっていると思われる。「ここはスイングしてこない」と投手が考えがちなカウントで、不意打ちをくらわせるように強振してスタッツを稼ぐバッターだから、投手はカウントをとるための低めのスライダーを不用意に投げないことだ。
特にランナーがいるケースでは、待球せず、初球打ちでシングルヒットを打つ奇襲策でタイムリーを稼いできた。ランナーのいないケースでは、逆にボール先行カウントになるまで待つ傾向もあるため、必ずしも早打ちというわけではない。
初球打ちが異常に得意な反面で、早打ち打者の多いMLBにあって誰もがヒッティングカウントにしている0-1を苦手にしているのは非常に珍しい。投手側の計算としては、初球さえファウルを打たせることに成功したら、2球目を振ってこないカープが見逃すような変化球で追い込んでおけば、あとは投手の勝ちだろう。
カイル・シーガーと非常に対照的なバッティング傾向をもつため、この2人の打席が連続するスタメンでは、どちらかが打ち、どちらかが凡退する光景が非常によくみられる。

得意カウント 初球、2-0、1-1、3-1、3-2
特に初球打ち AVE.636 OBP.636 SLG.818 OPS1.455 BABIP.636
苦手カウント 0-1、1-2、2-2
得意球種 スライダー、カットボール
苦手球種 チェンジアップ
得意コース インロー(典型的なローボールヒッター)
苦手コース インハイ
苦手投手 グラウンドボール・ピッチャー
得意チーム NYY,BOS,TOR
Mike Carp Hot Zone | Seattle Mariners | Player Hot Zone | MLB Baseball | FOX Sports on MSN

打席例:2011年9月2日 オークランド戦 3回表
キャッチャーフライ
打ったのは、苦手のチェンジアップ。典型的なローボールヒッターで、インローのスライダーやカットボールは得意だが、チェンジアップは、いくらアウトローでも打てていない。

2011年9月2日 SEAvsOAK カープ キャッチャーフライ


キャスパー・ウェルズ
典型的ローボールヒッターインコースに苦手ポイントがいくつかあるのが、メジャーのバッターとしては致命的。P/PAは4.04なのに、BB/PAが去年より悪化していることからわかるように、基本的には3球目までに勝負が決着する典型的早打ち打者で、四球を選ぶタイプではない。
ヒッティング・カウントについては、典型なMLBのバッターで、早打ちタイプ。2球目、3球目に勝負をかけてくる。逆に、0-2、1-2、2-2、フルカウントと、2ストライクをとられると、どんなカウントであってもスタッツがガクンと下がる。
高めが苦手。速球に強いカイル・シーガーと違って、高めの早い球についていけなさそうだ。マイク・カープと違って、チェンジアップは得意。
投手は、インコース、高めが苦手なこと、早いカウントから打ってくること、きわどいコーナーの球でも器用に打てる打者だが同時にボール球でも振ってくる打者でもあること、などを頭に入れて対戦すればいい。
ウェルズの得意なカットボールを投げるなら苦手なのが明白なインコースに投げるべきだし、同じように、チェンジアップを投げたいならストライクでなく、ボールにすることで安全性が高まる。
ローボールヒッターのウェルズへのフィニッシュとして、苦手な高めにストレートで押して三振でもさせるか、ボールになる外の変化球を空振りか凡退させるか、迷うところだが、無理せず、低めの、それもボールになる変化球を投げて凡打させておけばすむ。

得意カウント 1-0、0-1、1-1、2-1(特に1-1)
苦手カウント 0-2、1-2、2-2、3-2
得意球種 チェンジアップ、カットボール
苦手球種 スライダー、カーブ、(8/27追記 シンカー
得意コース アウトロー、インロー
苦手コース 高め、インコース
得意チーム BOS,MIN,OAK.TEX
苦手チーム LAA,CLE
Casper Wells Hot Zone | Seattle Mariners | Player Hot Zone | MLB Baseball | FOX Sports on MSN


カイル・シーガー
典型的ストレート系ヒッター。
カープのようなローボールヒッターではないにもかかわらず、なぜかカープと並んでシアトルで最もフライアウト率が高い打者でもある。
いかんせん低めが苦手なのが、後々メジャーのプレーヤーとして致命的になっていくのは明らか。ハーフハイトの甘い球を仕留めるのは得意。スライダーへの苦手意識はたぶん相当なもの。
対戦する投手は、球が浮かないようにコントロールに気をつけつつ、低めの変化球で勝負すればいいだけ、ということが、そのうち対戦チーム全体に浸透するはず。
同地区のライバルとしてこれから数多く対戦しなければならないア・リーグ同地区のエンゼルス、テキサスには、既に低スタッツが既に残されている。同地区だけに、新人といえども既にある程度スカウティングされてしまった、とみなければならない。

得意カウント 初球、1-1、2-0、2-1、3-1、0-2、
苦手カウント 1-2、2-2
得意球種 カットボール、ストレート
苦手球種 スライダー
得意コース インロー、ハーフハイト、
苦手コース アウトロー、真ん中低め
苦手投手 しいて言えばフライボール・ピッチャー
苦手チーム LAA,TEX
Kyle Seager Hot Zone | Seattle Mariners | Player Hot Zone | MLB Baseball | FOX Sports on MSN


8月26日のホワイトソックス戦から、シーガーの4打席を抜き出してみた。全打席3球以内に決着しており、まさにスカウティングどおり。よほど追い込まれるのが嫌なのだろう。
Chicago White Sox at Seattle Mariners - August 26, 2011 | MLB.com Classic

2011年8月26日 カイル・シーガー 第1打席外低めのチェンジアップ
センターフライ

スカウティングどおり。

2011年8月26日 カイル・シーガー 第2打席真ん中のストレート
二塁打

ストレートの強いバッターに、ストレート3連投、しかもど真ん中では打たれて当然。

2011年8月26日 カイル・シーガー 第3打席真ん中低めのカーブ
センターフライ

スカウティングどおり。


2011年8月26日 カイル・シーガー 第4打席外低めにはずれるチェンジアップ
空振り三振

初球、2球目と、得意なはずのインコース、ハーフハイトの球を連続して見逃しているあたり、やはり、スライダーによほどの苦手意識があるのだろう。早いカウントでは得意なストレート系に絞って待っていることが、よくわかる。




damejima at 03:49

August 22, 2011

ブリーチャー・レポートというサイトは昔から好きではない。

というのも、このサイト、もともとの出発点が「ブロガーとアマチュアのスポーツライターに、執筆機会を与えるために出発したサイト」なのだから、主観性の濃さが原点だったはずなのに、いつのまにかマスメディア然としてふるまうようになり、あたかも「ウチは大手のスポーツサイトでござい」というような「フリ」をしているのが、どうも気にいらないのである(笑)
客観的というのは、たとえばMLBでいうなら、総本山Baseball Referenceに代表されるようなデータサイト、ESPNFOXのような歴然としたマスメディア系、いつも深い洞察に基づく興味深いレポートを提出してくれるHardball Timesのような重鎮の長文系分析サイトなどを言うのであって、ブログ主に言わせれば、Fangraphでさえ、主観まみれのデータをあたかも客観的にみせている部分も多く、「うさんくさい」と思っているのに、Fangraph以下の客観性しか感じないブリーチャー・レポート程度がマスメディアづらしているのはまったく感心しないのである。


でも、今日はまぁ、そういうブリーチャー・レポートの個人的評価は置いておいて、以下のレポートを読んでみてもらいたい。

これは、クリーブランドの熱心なファンとおぼしきTom HammerというContributor(寄稿者)が、2009年8月に書いた記事。
クリーブランドの2009年は97敗したこの10年で最も酷いシーズンに終わるわけだが、その年の夏にはまだ監督エリック・ウェッジを翌年どう処遇するのか、2010年もクリーブランドの監督を続けさせるのかは、まだ不明だった。
著者は、過去のウェッジの業績をざっと振り返りつつ、「エリック・ウェッジには、チームマネジメントの上で、ハッキリ欠陥があるのだから、クビにすべきだ」と強く結論づけている。ただ、冷静な分析家らしい著者は「自分はウェッジをクビにすべきだと思うが、チームは彼を来年も使うかもしれない」と懸念している。
だが、結果的に、クリーブランドはウェッジをクビにした。ウェッジがクリーブランドの監督をつとめたのは2003年から2009年までだが、優勝したのは2007年のみ。65勝97敗に終わった2009年を最後にクビになった。
クビになる寸前に書かれたこのレポートは、7シーズンにもわたるクリーブランドの監督としてウェッジがやってきたことを、長所も欠点も長期的に眺めてきた人が、ウェッジの指導者としての欠陥を具体的に指摘し、「こんな監督はクビにすべき」と断定していることに、今のシアトルファンが心して読むべきポイントがある。


急いで訳したので誤訳もあるだろうが、それは勘弁してもらうとして、これを読むと、エリック・ウェッジが2011年にシアトルでやってきたチーム運営の問題点の数々が、彼がクリーブランドをクビになった原因そのものであることがよくわかる。

スタメンをいじくり倒したがる
やたらと若い選手を使いたがる。だからといって、
 選手をとっかえひっかえ使うのは止めない

若い選手をやたらとメジャーとマイナーを行ったり来たりさせる
シーズン終盤、妙に肩入れする選手ができると、たとえどんなに成績が悪くても我慢する
毎シーズンのように、シーズン終盤にロスターを完全に分解し、若い選手を使いたがること
それなのに、「次のシーズンにも、前のシーズンと同じことを繰り返して、チームを毎年のようにバラバラにさせて続けること
今シーズンにこのブログで批判してきたことの大半が、ウェッジがクリーブランドをクビになる前にやっていたことだというのがよくわかるのだ。

この著者がエリック・ウェッジの欠陥について指摘した特に印象的な言葉がある。
ウェッジの欠点は、正しいボタンを押していないことだが、それだけでなく、あまりにもたくさんのボタンを押しすぎてもいる

なるほど。これは膝を叩きたくなる。
この1行を読んだだけでも、このコラムを読んだ価値がある。

Cleveland's Late-Season Success Shouldn't Mean More Eric Wedge
Cleveland's Late-Season Success Shouldn't Mean More Eric Wedge | Bleacher Report
By Tom Hammer(Contributor) on August 28, 2009


This just in: The Cleveland Indians are winning ball games late in the season with nothing on the line and a host of young talent in the lineup.
クリーブランド・インディアンスはシーズン終盤に(ポストシーズン進出のような)重たい何かが懸かっているわけではない勝ち星を挙げ、たくさんの若い選手を起用している。

This sort of story lead may pique readers' interest if it wasn't a script that Tribe fans have read all too often the past five or so years.
このストーリーは、過去5年以上もインディアンス・ファンが頻繁に読んできた記事とはちょっと趣(おもむき)が違うから、彼らを憤慨させることになるかもしれない。

Cleveland has won 15 of 25 and is 22-16 since the All-Star break. That is respectable, especially considering the team had the worst record in the AL at the break.
クリーブランドはオールスターブレイク以降、25試合のうち15試合に勝ち、22勝16敗だ。チームが開幕後にア・リーグ最悪の記録を喫したことを考えると、それは尊敬に値する仕事とはいえる。

To call manager Eric Wedge's seat at the break a hot one, is like calling Tom Brady's wife cute. It is an understatement, and for Wedge fans I'm sure they are feeling vindicated from haters who were calling for his head.
オールスター後のエリック・ウェッジの仕事を「なかなかのものだ」程度に評価することは、トム・ブレイディ(=有名NFLプレーヤー)の妻(=スーパーモデル出身で、美人で有名)のことを「そこそこキュートだね」と評するようなもので、それは過小評価というものだし、ウェッジファンにしてみれば、ウェッジの解雇を要求し続けているウェッジ嫌いの人々から、彼の「クビ」を守ったような気になるほどの業績だろう。

Management made a midseason statement that Wedge would finish the season as manager and they would "evaluate" the team and the direction at season's end.
経営陣は、ウェッジが監督としてシーズンを終えることになると、シーズン途中に声明を出している。シーズン終了時には、おそらく今のチームと方向性に「評価」を与えることになるだろう。(ブログ注:だが、実際にはエリック・ウェッジはクビになった)

If the "evaluation" consisted of viewing the team's progress and results from the All-Star break of this 2009 season forward, then it isn't hard to believe that Wedge will be back next season.
「評価」がチームの進歩や、2009年のオールスターブレイク以降の結果から行われるとすれば、ウェッジが来シーズンに戻って来れるという話に確証がなくもない。(ブログ注:evaluationはエリック・ウェッジが頻繁に使いたがる単語のひとつ)

But doesn't this said evaluation really need to look at the full body of work.
だが、評価というものは仕事全体を見て行われるべきものだ。

Throw out the 2007 run to the A.L championship series and the epic collapse in the Red Sox series, and what you are left with is a lot of high expectations, unreached potential and a less then stellar record that consists of terrible starts to seasons and the annual late season, nothing on the line, push.
2007年のア・リーグチャンピオンシップシリーズへの道のりと、レッドソックスとのシリーズの酷い敗北がファンに残したものといえば、強い期待感、未開発な将来性、そして輝かしいとまではいえない程度の実績だ。それらは、それからの酷い数シーズンと、毎年恒例の、何の切迫感もないシーズン終盤への序章だった。

This doesn't get it done in my eyes. I'm tired of seeing the Tribe mentioned as the AL Central favorite only to look at the standings two to three months in and realize that those expectations won't be fulfilled.
こうした現象は、私の見るところでは、(この惨敗した2009シーズンも)まだ終わってない。私自身は、インディアンスがア・リーグ中地区の本命と言われるのを眺め続けることに、飽き飽きしている。数ヶ月順位を見ただけで、そういう期待が実現したりしないことに、すぐに気づかされてしまう。

Why is it that the Tribe's roster is bulging with talent each season, yet it takes an early season collapse, a complete roster over haul and an infusion of even younger players to net a turnaround in terms of wins?
インディアンスのロスターが毎シーズンのように才能で満ち溢れているのにもかかわらず、毎シーズン序盤で崩壊し、ロスターが完全にバラバラに分解され、勝利への転換をもたらすためとかいう理由で、若い選手たちのロスター注入、というプロセスが繰り返されてばかりいるのは、いったいなぜなのだろう?

My answer is that Wedge isn't pushing the right buttons, or more true to the point, is pushing too many buttons in the early parts of the seasons.
私の答えは、こうだ。「ウェッジは正しいボタンを押していない」。そしてもっとポイントを突く真実だと考えるのは、ウェッジが「旬を迎えた、というには早すぎる未熟なボタンを、あまりにもたくさん押しすぎている」ということ」だ。

Starters, be it pitchers or hitters, never seem to find a rhythm and Wedge is left groping for a myriad of line up alterations, frequent calls to the minors and waiver wires and a general over-reactive management style that kills the team's confidence.
ピッチャーであれ、打者であれ、スタメンは自分のリズムを作れているように見えない。ウェッジは数え切れないほどのスタメン修正を試して、暗中模索ばかりしている。マイナーからのコールアップや、ウェイバーでの選手漁りも頻繁だし、ウェッジの何に対しても過剰反応するマネジメントスタイルによって、チームの信頼感は息の根を止められている。

Later in the season, when there is nothing to lose, he displays extreme patience with guys who are struggling. Heck, they are young players who need the experience so why not run them out there each day to learn their lessons.
(ポストシーズン進出の可能性がなくなって)何も失うものは無くなったシーズン終盤であっても、ウェッジは、悪戦苦闘している選手に異常なほどの忍耐をみせる。若い選手たちには経験が必要なのだから、彼らが毎日何かを学ぶことができるよう、なぜ「見切る」ということをしないのだろう。

Lo and behold, what happens is guys who are playing every day, hitting in the same spot, knowing their roles and having a common goal, getting wins, is a dangerous thing in baseball.
選手たちは毎日プレーして、同じスポットで打ち、自分の役割を理解し、共通の目標を持ち、勝利を得ようとするわけだが、その彼らに起こっていることは、野球において非常に危険なことだ。

Case in point, Andy Marte boosts his average 70 points in a span of eight games and this is a guy who was going to be released because Wedge refused to allow him any consistent playing time early in the season.
例えば、アンディ・マルテは、打率を8試合で70ポイントも伸ばしたのに、トレードされそうになった。というのも、シーズン初期にウェッジが彼にプレータイムを与えることを拒否していたためだ。(ブログ注:資料ありAndy Marte Statistics and History - Baseball-Reference.com

Instead, Wedge preferred to bounce Marte back and forth between Triple A and give him 12 to 20 at-bats and then reach the conclusion he can't hit.
ウェッジはマルテを4度もマイナーとの間を行ったり来たりさせ、12から20打席を与え、結局、彼は打てないとの結論に達した。

Unfortunately, it takes the team languishing in the standings for their manager to adopt a style that gives the team the best chance of winning.
ウェッジのマネジメントスタイルは、チームに勝利へのベストチャンスをもたらそうというものではあったが、不幸なことに、チーム順位の退潮をもたらした。

It's for this reason, and several others unmentioned in this article, that I feel the team has to go a different direction in terms of team management.
こうした理由と、この記事では言及してないいくつかの理由から、私はチームマネジメントの観点からみて、チームをもっと違う方向に進ませるべきだと考える。

Even with the loss of team leaders and stars, this team still has enough talent to compete day in and day out. It's time to get someone who can nourish this potential and get the team playing up to their capability.
チームリーダーやスター選手の喪失にあっても、このチームは今もなお、毎日戦えるだけの十分な戦力を保持している。今こそ、潜在的な力を育てあげ、チームの能力を開花させられる人物を連れてくるべき時に来ている。


このコラムの指摘をよく理解するためには、ウェッジが監督をしていたクリーブランド時代の7シーズンに、どういうふうに選手起用が実行され、その欠陥はどこにあったかをよく調べてみないと、よくわからない点もいくつかある。
だが、それでもなお、クリーブランド時代のウェッジのロスターが、どれくらいコロコロ変わったかを、このコラムから知るだけでも、少しは当時のクリーブランドファンのイライラの片鱗はわかるはずだ。

とにかく、このコラムによって、ウェッジがシアトルでみせている選手起用の「シーズン当初なのに、コロコロとスタメンを変える、落ち着きの無さ」と、「シーズン終盤でポストシーズン進出もなくなっているのに、テコでも気にいった選手を動かない意味不明の頑迷さ」の、両方が両方とも、クリーブランド時代から存在していて、しかも、それが当時から既に「監督としての欠陥」として指摘されていたことがわかったのである。

言い換えると、無能GMズレンシックは、選手選定において、ミルトン・ブラッドリーやバーンズなどの「訳あり物件」を多数購入してきただけでなく、監督選定においても「訳あり物件」を購入していたのである。

2009 Cleveland Indians Batting, Pitching, & Fielding Statistics - Baseball-Reference.com






damejima at 20:05

August 17, 2011

そりゃね、しっかりスカウティングされちまう前に選手を、1ヶ月ごとに取り替えながら使い続けてるんだから、誤魔かせるでしょうよ(笑)でもね、そんなドアマットを取り替えるだけで部屋全体が綺麗なように見せかける手口なんて、とっくにバレバレ(笑)線香花火が燃え尽きるたびに取り替える花火大会が、あんたらの言う「育成」?(笑)馬鹿はやっぱり馬鹿だねぇ。

2011シーズン 選手入れ替えリスト


今シーズンのシアトルの選手起用の変遷を、外野手を中心に一覧にまとめてみた。このチームがどれほど行き当たりばったりな花火大会ばかりしてきたか、ひと目でわかるはずだ。クリックして別窓に開いて、しっかり見ながら読むといいだろう。
それぞれの月でメインに使われた選手がひと目でわかるように、それぞれ色分けしてみた。「使い捨てのキッチンペーパーみたいに、選手を使い捨ててローテーションしてきただけ」なのが、一目瞭然でわかる(笑)

4月を中心に使われた選手(赤色)
ミルトン・ブラッドリー
マイケル・ソーンダース
ルイス・ロドリゲス

5月(青色)
カルロス・ペゲーロ
マイク・ウィルソン

6月・7月(緑色)
グレッグ・ホールマン
マイク・カープ
ダスティン・アックリー
カイル・シーガー

8月(黄色)
キャスパー・ウェルズ
ロビンソンなんたら


「4月のみ」だったジャスティン・スモークに
やたら4番を打たせてみたものの、モノにならず大失敗

数字から明らかなように、今シーズン2ヶ月目には既に打率が2割ちょっとに落ちていたわけだが、ウェッジは執拗に4番に起用し続けた。だが、スモークのバットは3ヶ月もの間、湿ったままで、結局ケガがちになって、戦列を離れた。
スモークの数字が特に酷かったのは、17連敗した7月だが、この月、重度の左右病患者のエリック・ウェッジが4番を何度も何度もまかせたのだから、馬鹿にも程がる。相手投手よってスモークとオリーボの2人を使い分けようとしてウェッジは大失敗し、8月には2人とも下位打線に下げた。
なんともお粗末な監督さんだ。(数字は順に、打率、OBP、SLG、OPS)
4月 .284 .393 .527 .920
5月 .229 .333 .417 .750
6月 .226 .318 .419 .737
7月 .141 .211 .188 .399

マトモだったのは5月のみだったミゲル・オリーボに
7月にはやたらと4番を打たせて大失敗

4月が良かっただけのスモークに、17連敗した7月に4番をまかせ続けて大失敗したエリック・ウェッジが、同じ7月に、スモークとのダブルキャストで4番をまかせ続けたのは、5月がマトモだっただけのミゲル・オリーボだ。
たが、この「7月の実験」はかえってオリーボの月別数字で最悪の成績を残させただけに終わり、大失敗。8月には下位打線に下げた。
4月 .217 .256 .313 .569
5月 .267 .352 .387 .739
6月 .189 .196 .489 .685
7月 .188 .188 .304 .492
8月 .216 .211 .243 .454


5月だけは大花火を打ち上げていたライアンも
実は4月と6月の数字は酷いもの

エリック・ウェッジのお気に入りのライアンを2番に固定しだしたのがいつだったかはあまり覚えていないのだが、彼についてはなにかシーズン中ずっと打ち続けているような誤解をしている人をよくみかける。だが、馬鹿馬鹿しくて反論する気になれない。彼のバットが火を噴いていたのは、5月だけだ。
4月 .184 .276 .224 .500
5月 .384 .432 .479 .911
6月 .204 .262 .237 .499
7月 .260 .304 .385 .689

6月の線香花火だったカルロス・ペゲーロに
4番まで打たせてみたクセに、結局マイナー送り

エリック・ウェッジがこだわり続けたひとりが、インコース低めのチェンジアップしか打てないのがわかりきっているカルロス・ペゲーロ。挙句の果てには4番まで打たせたりする執心ぶりだったが、7月にOPS.359と予想通りあえなく沈没。マイナーに返品になった。
5月 .167 .216 .354 .570
6月 .233 .313 .500 .813
7月 .167 .192 .167 .359

さすがにモノが違うと、言いたいところだが
やっぱり下降してきたダスティン・アックリー

言うまでもなく、欠点の少ない素晴らしい打者。それでも、たとえば体が開きやすくなるとか、プルヒッターっぽい欠点が打席で表面化しだすと、とたんに調子が落ちてくる。このところ三振するケースも増えてきたのは、カウント1-2が非常に苦手なため(打率.154、OPS.423)。大半の三振をこのカウントで喫している。また、おそらく内外を使った左右に振られる配球に弱い。
6月 .300 .378 .575 .953
7月 .308 .360 .516 .876

8月 .250 .368 .375 .743
8月 .237 .366 .356 .722(8月20日修正)

まさに8月前半だけの線香花火だった
フランクリン・グティエレス

まぁ、バッティングの成績の酷さは言うまでもない。6月・7月と酷いものだった。これほどまでにひどい状態でも2ヶ月以上使い続けてもらえるのだから、イチローも1試合や2試合打てないくらいクヨクヨしないことだ。
彼は野球選手として本当に超一流だといつも思っているが、唯一の欠点といえるのが「人のよさ」だ。(もちろん、だからこそ、イチローでもあるのだが 苦笑)10年もの間、スターマインを打ち上げ続けてきたイチローには、もう少し他人だの、外国人だのに気がねをせず、徹底したゴーイング・マイ・ウェイで突っ切る行動パターンを身につけてもらえると嬉しいかぎりだ。
5月 .243 .282 .351 .633
6月 .176 .205 .200 .405
7月 .190 .247 .215 .462

8月 .348 .367 .435 .802
8月 .270 .288 .349 .637(8月20日修正)


まぁ、花火にたとえると、2ヶ月もった花火は、アックリーを除けば、どこにもない、ということだ。
ペゲーロやスモークのような若い線香花火はもちろん、オリーボ、ライアン、グティエレスなど、ベテランの線香花火もけして例外ではない。もちろんアックリーは苦手部分のわかりにくい、スカウティングしにくい打者だが、来シーズン以降も安定的にプレーできるとは限らない。


シアトルの打者は火をつけると、たいてい1ヶ月で燃え尽きる。燃え尽きていても使い続けると、たいていは火薬がなくなって、「線香花火の棒だけ」になる。
燃え尽きたあとは、どうなるか。
燃え尽きた線香花火の棒をいじくりたおして可愛がるのが大好きな「燃え尽きた線香花火の棒フェチ」のエリック・ウェッジが、気にいれば使い続けるだろうし、気にいらなければマイナーに返品するだろう。

燃え尽きているのがわかりきっている線香花火で、なおも花火大会を続けようとして大失敗したのが7月の17連敗だが、エリック・ウェッジはその責任すら、明確にしようとはしていない。
それどころか、無能GMズレンシックが投手を安く売り飛ばして、他の店から線香花火を仕入れてきたのをいいことに、まだこの「線香花火大会」を続けようとしている。

カップの中にいくら熱いスープを作ってもすぐに冷めてしまうのは、結局のところ「カップの置かれた部屋が冷え切っている」からだ。単純な話だ。
誰かがよろめいても、このチームの中には、どこにもつかまるところはないから、必ずコケる。椅子の温まらない無機質な野球ばかり繰り返してきた「ツケ」は、イチローやアックリーすら含めて、すべての選手に必ず、直接ノークッションで、回ってくる。






damejima at 18:15

August 10, 2011

シアトルが明日から15連敗しても、
ブログ主は別に驚かない。

というのも、
人に自分が尻尾を巻いて逃げるところを見せるのが、
勝負事にとって最もダメな行為だからだ。

勝負っていうのはそういうもんだ。

Seattle Mariners at Texas Rangers - August 9, 2011 | MLB.com Classic


ブログ主は今はイチローのヒットしか楽しみにしてないので、別にもうチームとしてのシアトルが勝とうが負けようがまるで気にしてない。

だが、今日のゲームはさすがに酷い。
というか、プロの仕事として恥ずべき行為だ。

まず、どうみてもメジャーレベルでないジョシュ・ルークをメジャーに置いておくこと自体が、チーム編成のミスだ。
そういうモップレベルのピッチャーを、勝ちゲームの7回に使って、けして好調とはいえない今シーズンのイアン・キンズラーにど真ん中のストレートを投げて、2ランホームランされたのは、ピッチャーを使う順序がわかってない、という意味で、無能監督エリック・ウェッジのミスだ。(7回、8回に使うピッチャーはむしろルークでなく、ラフェイとグレイだろう。ルークなどベンチに座らせておけばいい)

だが、そんなミスもささいなミスにしてしまうような最高に酷い、巨大なミスは、7回からすでに登板していて、8回裏には同点打を打たれているメンタルの弱いジェフ・グレイを、無能なウェッジが9回表にさらに使いまわししたことだ。

延長戦に備えたのか何か知らないが、
この監督、本物の馬鹿だ。

結果がストレートのフォアボールだったことよりも、そもそも7回裏から投げていて、同点打も打たれているグレイに、9回裏も投げさせようとする行為自体が、頭がおかしい。

そのノーアウトのランナーを、元シアトルのレフトで、ベタンコートと激突して大怪我をし、その後無能GMズレンシックがトレードに出してしまったアンディ・チャベスが見事なバントで送ると、これをメンタルが弱くクロスゲームにからきし弱いミゲル・オリーボが処理を誤り、ノーアウト1、2塁。その後、ジョシュ・ハミルトンにやすやすとサヨナラ打を打たれた。


もしあの場面で、本当に「オレは負けるのが嫌いなんだ! 勝つんだ!」という強い気持ちのある監督なら、ピッチャーをラフェイからリーグに代えているだろう。

だが、エリック・ウェッジは代えなかった。
そう、「まだゲームが負けと決まったわけでもない、同点なのに、監督という地位にある人間が 「自分からあきらめた」 のである。

まだゲームが終わってもないどころか、同点なのに勝ちを追求しない監督など、プロではない。マジに、これはプロとして「背信行為」であり、「負け犬行為」である。

ゲームが終わった瞬間、エリック・ウェッジが何をしたか。
ベンチから光速で姿を消したのである。


もういちど言っておく。
わざと負けるようなことをするのは、
野球人として最高に恥ずかしい。

7月のエンゼルス戦に続いて、8月にまたしてもエリック・ウェッジは最高に恥ずべきことをした。
おまえは本当にメンタルの弱い負け犬そのものだ。
負け犬エリック・ウェッジ。



ちなみに、ツイッターのほうで発言しておいたが、
なんたらロビンソンとかいうバッターは、絶対にメジャーでは通用しない。
理由? 見ていてわからないほうが、どうかしてる。
インコースの打ち方が全くわかってないからだ。こんな、誰の目にもわかる大きな欠陥があるバッターが、メジャーで通用するわけがない。


今日の球審Chad Fairchaidは、「低めと、右バッターのアウトコース」をまったくといっていいほどストライクコールしなかった。
そのために、シアトルの右バッターで、外の変化球を苦手にしている打者たち、たとえばグティエレスオリーボといったバッターは、アウトコースのスライダーで三振する心配なしにバットを振り回すことができた。
今日の彼らのバッティングの結果をそのまま鵜呑みにするのはアホウというものだ。
Brooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - Strikezone Map Tool






damejima at 12:45

July 27, 2011

雨の中断を挟んで、再開後、14三振を奪っていたCCサバシアから8回表に3人の打者が連続フォアボールを選んでつくった無死満塁のチャンスで、ヤンキースはサバシアをあきらめて右のリリーフ、デービッド・ロバートソンを出してきたために、「ミスター左右病」エリック・ウェッジは8番の右打者ホールマンにかえ、左打者アダム・ケネディを代打に出したのだが、カウント3-1から「押し出しのかかったアウトコースのボール球のストライク判定」で明暗が分かれた。

Seattle Mariners at New York Yankees - July 26, 2011 | MLB.com Classic

2011年7月26日8回表満塁カウント3-1でのボブ・デービッドソンの判定

2011年7月26日球審ボブ・デービッドソンの左打者アウトコース判定
Brooks Baseball · Home of the PitchFX Tool - Strikezone Map Tool

今日の球審は、「あの」ボブ・デービッドソン
言わずと知れた、WBCで日本チームのホームランを二塁打と判定した、あのアンパイアである。

無死満塁でマウンドに上がったデービッド・ロバートソンは、アウトコース一辺倒のピッチングで、カウント3-1から、またもアウトコースにカットボールを投げたのだが、これは明らかにはずれていた。
だが、ボブ・デービッドソンは、このボール球をストライクと判定し、一気にゲームの流れを変えてしまった。ケネディは、フルカウントから、アウトコース低めにはずれるカットボールを空振り三振。
この場面を見ていた地元記者のツイッターが一斉にボブ・デービットソンの判定をなじるくらい、酷い判定だった。


この三振は、二重の意味で、ボブ・デービッドソンが「作為的につくりだした三振」だ
上の2つ目のBrooks Baseball Netから拝借した図でわかるように、そもそも、今日のボブ・デービッドソンの左打者のアウトコースの判定は異常に広すぎた

ただ、いちおうことわっておくと、この「広すぎる左バッターのアウトコース」の異常なゾーンの恩恵を受けたのは、主にシアトル先発ダグ・フィスターのほうだ。今日のサバシアのピッチングは、球審のゾーンの狭い広いにまったく関係なく、びっくりするほどコントロールがよく、ルールブック上のゾーンのコーナーいっぱい、コースいっぱいにビシビシと決めていく素晴らしい投球ぶりだった。貧打のシアトル打線では、とてもとても打ち崩すことはできない内容だった。そこは認めざるをえない。

しかし、8回表の満塁の場面で押し出しのかかった緊迫した場面での判定は、納得しない。サバシアのピッチングが、ゾーンに無関係に冴えていたことと、シアトルの唯一のチャンスの場面が、おかしな判定でゲームの流れが変えられてしまうことは、まったく別の問題だからだ。
もしここでケネディが押し出し四球を選んでいれば、さらに無死満塁から、ゲームの流れはまったく別のものになった。


アダム・ケネディは、彼がシアトルに来る以前から知っている。場面やカウントに応じたプレーのできる、頭のいい男だ。
普通なら、無死満塁で三振なんかしたプレーヤーには、「どうして球審がアウトコースを広くとっていることを頭にいれて、打席に立たないんだ!」と厳しく批判するところだが、ケネディに限っては、あの場面で「今日の球審のむちゃくちゃな判定傾向」を、まったく頭に入れないで打席に立った、とも思えない。
アダム・ケネディは、同じパターンで凡退し続けているオリーボカープペゲーログティエレスとは違う。
そもそも、ウェッジはこれだけ連敗したのだから、いい加減に「左右病のスタメン起用」をやめて、たとえ先発が左投手であっても、アダム・ケネディをスタメンで起用すべきだ。


ヤンキースのキャッチャー、フランシスコ・セルベリは、なんというか、相手の心理の動揺を見透かすような、非常にメンタルな、いやらしいリードをする。
まぁ、悔しいけれども、ボブ・デービッドソンの「疑惑の判定」で「押し出し」と思った球をストライクと言われ、心理的ダメージを受けているケネディに、フルカウントという切羽詰ったカウントで「直前の疑惑の判定と、まるで同じコース、同じ球種」を投げてくるのだから、「弱った動物相手にワナをしかけるような配球」としかいいようがない。やはり、ついバットが出て三振してしまうのも、しかたないといえば、しかたない。

今日はサバシアとセルベリのバッテリーに素直に脱帽しておくしかない。だが、絶好調のサバシアとアンパイアを相手に投げ合ったのだから、7回3失点でQSしたダグ・フィスターは、褒められてしかるべきだろう。


ブログ主は、ボブ・デービッドソンのああいう判定に、なぜエリック・ウェッジが抗議しないのか? と思う。カッコなんか気にせず抗議して退場したほうが、どれほどいいか。
LAA戦での「2度目の3ボール四球」ではないが、ああいう問題のある判定に毅然とした態度をとり続けないから、相手に舐められるのだ。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年7月24日、みずから牙を抜いて相手にさしだしてチームに「負け犬メンタリティ」をたっぷり塗りこめた「負け犬指導者」エリック・ウェッジの「3ボール四球黙認事件」を批判する。






damejima at 12:35

July 25, 2011

育成中のチームなんだから、15連敗してもしかたがない。

くだらねぇ。何もわかっちゃいない。
それが「負け犬メンタリティ」であって、そういう負け犬メンタリティを植えつけることが、どれだけ人間の成長の妨げになるかってことにすら、まだ気づかないのかね?
負け犬が泣きながら満塁ホームラン打ったって、全然怖くない。そんなだから問題が何も解決しない。たとえ四球の押し出しの1点を守り抜いた勝ちでもいい。それが「勝つ」ということだし、「勝つ」ということを学ぶことは非常に大事だし、もっと大事なのは、同じ失敗を繰り返すプレーヤーを同じ失敗を繰りかえさないプレーヤーに変えていくことで、これこそが本当の育成で、同じ失敗を繰り返して負け続けるプロセスには何も学ぶものはない

この「負け犬メンタリティ」が元々どこからやってきたのか?
ハッキリ、誰でもわかるように書いておくから、耳の穴かっぽじって聞くといい。


あの「事件」が起きた日は、このところ続いている所用がやはりあって、ゲームを見ることができなかったのがとても残念だった。それは、オールスター直前のビジターLAA第4戦で起きた、今シーズン2度目の「3ボール四球事件」だ。
ブログ主は、この2度目の「3ボール四球事件」が、「負け犬メンタリティ」のルーツだと確信している。


最初に言っておくと、ブログ主は戦闘の場である球技スポーツのグラウンドにおいて、ああした「みずから牙を抜いて相手に差し出すような、負け犬行為」を、単なるミスどころのレベルではなく、もしそれが社会や、災害や戦場といった限界状況でで起きた出来事なら、「背任行為や、犯罪にあたる」とまで思っている。
もし、自分の会社の社長が、他国のライバル企業に自社の特許技術を勝手使われ、さらにその他国で特許申請までされたにもかかわらず、社長がそれを「知ってたよ」なんて言って黙認したら、信頼なんか絶対に生まれない。

戦う人間には、ああいう行為は許されないと思う。



今シーズン2度あったこの「3ボール四球」という事件がエリック・ウェッジの負け犬メンタリティを生んだあらましをメモしておこう。

1度目の3ボール四球事件
ウェッジが「謝罪」した7月2日パドレス戦


2011年7月2日 パドレス戦における1度目の3ボール四球事件
San Diego Padres at Seattle Mariners - July 2, 2011 | MLB.com Classic
最初は、7月2日のパドレス戦5回裏、1アウト。外野手キャメロン・メイビンが、まだフルカウントなのに四球としてランナーに出た。だが、このことにシアトル側の誰も気がつかず、このランナーがタイムリーで生還し、このゲーム唯一の得点かつ決勝点になってしまい、シアトルは0-1の僅差で負けた。
この試合、投手はダグ・フィスター。この試合、ただの負けゲームではない。ダグ・フィスターは9イニングをひとりで投げ抜いたからだ。フィスターの貴重な力投を、チームは単なるベンチの注意不足で無駄にしたのだ。
フィスター自身は、試合後に「投げることに集中していたので分からなかった」とコメントしたが、監督エリック・ウェッジは「数えていなかった自分のミスだ」として、試合後クラブハウスで選手たちに「謝罪」して自分のメンツをとりつくろった。



ハンク・コンガー ハーフスイング誤判定事件
ウェッジが「退場」した7月9日のエンゼルス第3戦

Seattle Mariners at Los Angeles Angels - July 9, 2011 | MLB.com Classic
パドレス戦での「1度目の3ボール四球事件」から1週間たったアナハイムでの第3戦、3回裏無死1塁。
シアトルの先発マイケル・ピネダは8番ハンク・コンガーにストレートを投げ続けて、フルカウントの8球目、真ん中低めにスライダーを投げた。コンガーはハーフ・スイングして三振。ランナーのトランボはスタートを切っており、ミゲル・オリーボがセカンド送球して楽々アウト。
いわゆる三振ゲッツーのはずだったが、球審Todd Tichenorがスイングの判断を仰いだ三塁塁審Sam Holbrookが「スイングしてない」と誤判定を下して、無死1、2塁。その後、タイムリーとホームランで4点を失って、このゲームに3-9で敗れた。

このときの対応について、このブログでは「ここが負け犬になるかどうかの分かれ目になる」と判断して、こんなタイトルの記事を掲載した。
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年7月9日、Sam Holbrookのミスジャッジで試合は台無しになったと、語ったエリック・ウェッジは、「気づいた」のか。それとも、「気づかない」のか。
「こんな「事件」、ほんの一部にすぎない。
このブログでは、シアトルの地元メディアが書きたがらないようなこと、エリック・ウェッジがコメントしそうもないことも書いてきた。もちろん、球審Sam Holbrookについては、ずっと前からその「おかしな挙動」をずっと追跡して記録してきている。

ウェッジはこの事件、どう思ったのだろう。
よくある単なるアンパイアの誤判定だと思うのか。よくある単なるアンパイアの誤判定だと思って、風呂にでも入ってビールでも飲んで忘れてしまうのか。
それとも、一時期多発していたイチローのアウトコースへのストライク判定、オールスター、バルガスを中心にしたさまざまな先発投手における判定の歪み。エリック・ウェッジは、さまざまな「設けられたハードル」の存在に気づいただろうか。
ハッキリ言って、監督エリック・ウェッジが抗議すべき判定、抗議して退場になるべき判定は、いままで、もっと数え切れないほどあった。選手は、そういうおかしな判定の中でずっとゲームをやらされている」

だが、結論からいうと、
エリック・ウェッジは「すべてのことに泣き寝入りする、負け犬の道を選んだ」



2度目の3ボール四球事件
ウェッジが「黙認」した7月10日の第4戦エンゼルス戦


2011年7月10日 エンゼルス戦における2度目の3ボール四球事件
Seattle Mariners at Los Angeles Angels - July 10, 2011 | MLB.com Classic
エリック・ウェッジが決定的に「負け犬メンタリティ」をシアトルに塗りこめたのは、2度目の「3ボール四球」が起こった7月10日のエンゼルス戦での「エリック・ウェッジの負け犬の対応ぶり」だ。
3回裏、1死1塁。ボビー・アブレイユが「カウント3-1」なのに、ファーストに歩いた。またしても「3ボール四球」である。

この試合後、監督ウェッジは、1週間前のパドレス戦とはまったく違う態度に出た。なんと「3ボールなのは、わかっていたが、黙認した」と言い出したのだ。

This time, the Mariners were aware of the count.
こんどは(パドレス戦のときとは違って)マリナーズはカウントのミスに気づいていた。

I knew it was only 3-1 to Abreu,” Wedge said, “but I told our coaches, I don’t want to pitch to him with a 3-1 count, anyway ? I think Abreu is their best hitter. I thought since it worked against us last time, maybe we can make it work for us this time.”
アブレイユのカウントが、まだ3-1なのは知ってたよ。でもコーチにはこう言ったんだ。『カウント3-1で(選球眼が良くリーグ屈指の数の四球を選ぶ)アブレイユに(彼に有利なのが見え見えのカウントで)投げたくなんかないよな?』って。アブレイユはエンゼルスのベストバッターのひとりだからな。前回パドレス戦での「3ボール四球」はウチのチームに不利な結果になったわけだから、こんどはウチに有利に働くんじゃないかな、と思ったんだ。」
Angels' Abreu walks on another 3-ball count - seattlepi.com


典型的「負け犬メンタリティ」だ。
このエリック・ウェッジの「負け犬メンタリティ」は、もちろんすぐに選手に伝染した
このゲームで、「3ボール四球」が起きたときにマウンドで投げていたのはフェリックス・ヘルナンデスだが、彼はもう「負け犬メンタリティ」丸出しにして、こんなコメントを言ってのけたのだ。
もし、自分の登板ゲームにプライドがあれば、こんなくだらないコメントはしないものだ。

On the mound, Hernandez knew, too.
マウンド上のヘルナンデスも(アブレイユがまだ3ボールで、四球ではないことを)知っていた。

“I thought, ‘That’s ball three,’ on the pitch when he walked, but I got the next two guys and it didn’t hurt us,
「彼が四球で歩いたとき、『まだ3ボールだ』と、わかってたよ。でも次の2人をうちとったんだし、俺たちには実害は無しさ」
Angels' Abreu walks on another 3-ball count - seattlepi.com



スポーツ選手でも、ビジネスマンでもいいが、これらのエピソードの流れを読んで、ウェッジのやった「3ボール四球の黙認」を「負け犬メンタリティ」と思わない人がいたら、ぜひ、お目にかかりたい。

たまに、ベースボールは、イニング交代のときにのんびりできるスポーツだと思っている人がいる。認識を今すぐ改めるべきだ。
野球は、相手が油断して均衡が破れたなら、相手のプライドを死滅させるまで得点しぬいて、容赦なく相手を潰しぬき、白旗を上げさせる「格闘技」そのものの厳しいスポーツだ。


将棋や囲碁、チェスのようなボードゲームをやったことのある人はわかると思うが、たとえプロもどきでも、本当に強い相手がなりふりかまわず本気で襲いかかってくるときの「相手に潰される感覚」というものは、「相手のプライドとやる気を死滅させるまで、とことん潰しにかかってくる、恐怖の戦闘感覚」であって、本気のボードゲームは格闘技そのものであり、ボクシングの殴り合いとどこも変わりない。
序盤は、相手にわずかなピンホールも見せないようにディフェンスを固めるか、相手のピンホールをこじ開けるために攻撃にパワーを傾注するか、天秤にかけながら戦闘は進むために、「均衡」と呼ばれる時間帯があるわけだが、ちょっとでも「明白な穴」が開けば、必ずそこは突かれ、傷は広げられ、均衡は破れ、勝敗は一気に決するのが普通だ。最後の寄せは上手い人間なら誰でもそれなりにできる。むしろ問題は、均衡を破られないで維持することだ。

エリック・ウェッジがやったことの意味は、シアトル・マリナーズという野球チームに、最初から穴の開いた、均衡の崩れた状態でゲームが始まるのを黙認することだ。

それを負け犬メンタリティといわずして、
何が負け犬メンタリティかっ。






damejima at 20:10
なぜ、勝率5割から雪崩のような15連敗で最下位に転げ落ちた、貧打意で有名なチームなのに、満塁ホームランが毎日のように出るのか?、考えたことがあるだろうか?

わかりにくいなら、別の言い方をしてみよう。

なぜ、メジャーで最もチーム打率の低いチームで、満塁ホームランを毎日生産する必要があるのか?

まだわかりにくい?
それなら、もっと別の言い方をしてみよう。

満塁のシチュエーションで、シアトルの打率の低い打者たちは、「何を狙っている」のか?


さすがにもう答えはわかっただろう。
彼らは満塁や、1・2塁、2・3塁といった、ランナーが貯まった場面で、フルスイングすることを「許されている」のだ。(たぶん、許されているどころか、そうするよう指導すらされていると思う)
だから、彼らのバッティングの結果は、いつも「三振」「出合い頭の事故みたいなホームラン」「ポップフライ」になる。

相手チームのバッテリーにしてみれば、グティエレスペゲーロオリーボスモークのような、ミート技術が無く、ついていけない球種やコースがハッキリわかっている打者がフルスイングしてくるがわかったなら、アウトコース低目にスライダーでも連投しておけば済んでしまうのは、わかりきっている。追い込んだ後にストレートなど投げてこない。ホームラン事故を体験するのは、相手バッテリーが大量リードで気が緩んでいるときだけだ。

わかりやすい話だ。

では、「ランナーが貯まった場面では、必ずフルスイングする野球」を指導しているのは誰なのか。そりゃ、もちろん監督エリック・ウェッジである。これも誰でもわかる。
ブログ主は、ウェッジがどんなチャンスの場面でも、ほとんど細かい戦術をとらないのは、むしろ「ウェッジが打者にフルスイングするよう、強く命じている」のだろうと想像している。
(いま「想像する」と書いたのはソースがないから礼儀としていちおう遠慮して書いておいただけの話で、自分の中では、「想像」などという甘いしろものではなく、岩よりも硬く「確信」している。まちがいなく「フルスイングしろ」と「命じて」いるはず)
ソースがないのが残念だが、無能なウェッジは間違いなく、クラブハウスに鍵をかけた密室ミーティングで野手を集めて、「おまえら、何してんだ。ランナーを貯めたら、フルスイングしろと、あれほど言っただろ!」と大声で怒鳴りつけていると、ブログ主は確信しているのである。


だが、だ。
ちょっと待て。


このチームのベースは、GMズレンシックが昨シーズンに超守備的チーム編成をもくろんで集めた選手を並べた「守備的チーム」である。そして、監督エリック・ウェッジの指示は、守備はまぁまぁだが打撃はイマイチな「ズレンシック的プレーヤー」たちに、「フルスイングさせる野球」。

「超守備的貧打チーム」で、
「フルスイング野球」
だと?(笑)

こんな「矛盾したチームづくり」が、グラウンドで「噛み合って」機能するとでも思っているのか?(笑)

なぁ、おまえら。たいがいにしとよ(笑)


日本人を舐めるなよっての(笑)
あたかも野球を知ってるかのようなフリして、おまえらのやってる野球はトンチンカンな、何のまとまりもないことばかり。GM、監督、地元メディア、そして球団も。おまえらのやっていることは、まるで、どこも噛み合ってないぞ。わかってるのか?(笑)


かつて無能なエリック・ウェッジは、これまでチームを支え続けてきた投手陣の頑張りを「マグレ」呼ばわりした。
だが、「超貧打チームに、ランナーが貯まったらホームランをかっとばせ」なんてチーム運営こそ、草野球以下の「意味不明のマグレ野球」だ。

「マグレの満塁ホームラン」が続いたら、「打線は上向いてきた」とか言い出す、エリック・ウェッジよ。

おまえさ、ほんとは素人だろ?(笑)






damejima at 13:37

July 21, 2011

今のシアトルの勝ちパターンは、基本的に少ない得点を投手が必死に守りぬくというパターンしか無い。当然、勝てる見込みのあるゲームというのは、ほぼクロスゲームになると思わなければならない。
パークファクターから考えてみても、打力で相手チームを圧倒する野球を(スタジアムが現状のままなら)セーフコで実現するなど難しいわけだから、クロスゲームを確実にモノにしていくことが、セーフコでの不動の勝ちパターンだったはずだ。

こんなこと、子供でもわかる。
われわれ日本人が今まで何10年、野球に親しんできたと思ってるのか。
こんな単純なこと、わかるのが当たり前だ。わからないヤツは、どこの国の出身だろうと関係なく、馬鹿だ。


では、だ。

1点を争うようなクロスゲームの連続において必要な打撃面の工夫を
今の監督エリック・ウェッジはしているか? してきたか?
積極的にしているように見えるか?


してない。
勘違いしないでもらいたい。
選手が若いから工夫できないだけではない。
(要因として彼らの能力不足もあるにはある)
「監督が、方針として、あえて工夫せずに、バットを振り回すだけの雑な野球をやらせた」のだ。


10連敗しかねないというゲームの同点の終盤ですら、ノーアウトのランナーを進めようとするわけでもない。ただただヒッティング。それだけ。
バントするわけでもない。エンドランかけるわけでもない。進塁打を称揚するわけでもない。バントのできない打者に代打を出すわけでもない。といって、盗塁をからめて、相手を霍乱するわけでもない。
相手チームに3ボールなのに四球を選ばれても、文句すらつけない腰抜けぶり。

ただただヒッティング。それだけ。
不器用な打者たちはランナーが出ると、フライばかり。スモークグティエレスオリーボ。相手チームに弱点をスカウンティングされ切ったにもかかわらず、それを克服できない不器用なタイプの打者は、毎回、毎回、まるで同じパターンの配球で凡退するばかり。それでも彼らを中軸で使ったりするのだから、どうしようもない。


たとえば昨日のゲーム。
珍しくリードしていたのに追いつかれ、同点で迎えたゲーム終盤、せっかくノーアウトのランナーが出ても、相手チームに弱点(=アウトコースのスライダー系)のバレているオリーボ、マイナー番長のカープにヒッティングを強行させて、2回のダブルプレー。注意力の足りないカープフィギンズは、次々に牽制アウト。
そして延長戦に持ち込まれて、延長1死3塁で、ウェッジは満塁策もとらずにフルカウントで意味不明に勝負に行って、簡単に犠牲フライを打たれて、お約束のサヨナラ負け。

何度同じパターンを繰り返せばわかるのか?

たとえば今日のゲーム。
初回ノーアウト満塁で先制のチャンスに、ただただヒッティング。その結果、無得点。
こんな無策なバッティングを、何度やっても、何度くりかえしても、ウェッジは「無策」のまま。ただただヒッティング、ヒッティング。


イチローのせい?

おいおいおいおいおいおい。冗談はよせ。
アメリカの新聞記者たちよ。
スジ違いにナンクセつけるのも、たいがいにしろ。


エリック・ウェッジのやっている、コロコロ変える腰の据わらない打順。明らかにスカウティングされて打撃が止まっているペゲーロやスモークの中軸起用。きめ細かな指示も無く、雑で単調な攻め。

あらゆる面で、エリック・ウェッジの打撃に関する雑な指示は、貧打のチームに必要とされる粘り強いクロスゲームに、まったく向いてない。
それどころか、ウェッジは「雑なこと」ばかりやって、ランナーを殺し、チームの得点力を削ぎ続けている



結論は出た。

エリック・ウェッジの雑な野球センスは、クロスゲームに向いていない。
チームに向いた野球ができないのなら、
そういう指導者は必要ない。

ハッキリ言わせてもらう。
エリック・ウェッジは、雑だ。

毎日スタメンをコロコロ変えておいて、育成?
冗談はよせ。
そんなその場限りのやり方で、人間が育つなら誰も苦労しない。あんな雑なプレーばかりやらせて放置して、いい選手に育つわけがない。

むしろ
バッティングの弱点をほんの数週間でスカウティングされきってしまう「底の浅い若い打者たち」を、それも、腰くだけな起用法で多用し続けることで、負け続け、せっかく勝率5割を越して、登れつつあった坂を一気に転がり落ちた責任をとるべきなのは、ほかの誰でもない。

「おまえ」だ。







damejima at 12:31

July 10, 2011

その事件はSEA vs LAA第3戦、スコアレスで迎えた3回裏に起きた。

2011年7月9日 Sam Holbrook コンガーのハーフスイングを誤判定


先頭のマーク・トランボが四球で歩いた。
次打者はハンク・コンガー

シアトルの先発マイケル・ピネダはフルカウントまでストレートを投げ続けて、8球目に真ん中低めにスライダーを投げた。コンガーはハーフ・スイングして三振。ランナーのトランボはスタートを切っており、ミゲル・オリーボがセカンド送球して楽々アウト。

いわゆる三振ゲッツー。
の、はずだった。


ところが、球審Todd Tichenorがスイングの判断を仰いだ三塁塁審Sam Holbrookは、なんと「スイングしてない」と判断した。
このときのシアトルの選手、ベンチのとまどいは、以下の動画に収められている。MLBが故意に消さない限り、Sam Holbrookの、この恥ずべき判定の記録は永遠に残る。

動画:Wedge's ejection │ MLB.com

この判定結果に抗議したシアトル監督エリック・ウェッジは退場させられたわけだが、ゲーム後、こんな風にコメントしている。「酷いコールによって試合の流れは変わってしまった」。
"It changes the course of the entire ballgame,'' Wedge said of the call. "Two outs and nobody on, to first-and-second and nobody out. They score four runs. It's ridiculous. It was obvious to everybody in the ballpark, obviously, except for him that he did go (around). It was just a bad call. A bad call that changed the entire ballgame.''
Mariners Blog | Eric Wedge furious at umpire's call, saying it "changed the entire ballgame'' | Seattle Times Newspaper


スイングしているかどうかなど、議論する必要などない。
写真を見て、コンガーのグリップ位置、バットヘッドの位置、全体のピントなどを検討すれば、誰にでもわかるし、立証できるからだ。たぶん、バットのヘッドは、ホームプレートどころか、バッターボックスの先端まで突き出ているはずだ。


だが、こんな「事件」、ほんの一部にすぎない。

このブログでは、シアトルの地元メディアが書きたがらないようなこと、エリック・ウェッジがコメントしそうもないことも書いてきた。もちろん、球審Sam Holbrookについては、ずっと前からその「おかしな挙動」をずっと追跡して記録してきている。


ウェッジはこの事件、どう思ったのだろう。
よくある単なるアンパイアの誤判定だと思うのか。よくある単なるアンパイアの誤判定だと思って、風呂にでも入ってビールでも飲んで忘れてしまうのか。

それとも、一時期多発していたイチローのアウトコースへのストライク判定、オールスター、バルガスを中心にしたさまざまな先発投手における判定の歪み。エリック・ウェッジは、さまざまな「設けられたハードル」の存在に気づいただろうか。

ハッキリ言って、監督エリック・ウェッジが抗議すべき判定、抗議して退場になるべき判定は、いままで、もっと数え切れないほどあった。選手は、そういうおかしな判定の中でずっとゲームをやらされている。

このブログは、忘れない。なにもかも。
ピンときたことを、記録し、積み重ねる。
そうすることで、おかしな「流れ」の存在が見えてくる。


球審Todd Tichenorに関するブログ記事

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年5月27日、フランクリン・グティエレスのスーパー・キャッチ。イチローの変態ツーベース&決勝打点。タイムリー無しの4得点でヤンキースを撃破! 勝率5割復帰!!! ポーリー3勝目。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年5月28日、両軍先発に合計10個の四球を記録させた球審Todd Tichenorの、「あの記録」。


三塁塁審Sam Holbrookに関するブログ記事

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年4月15日、Sam Holbrookの特殊なストライクゾーンに手こずったジェイソン・バルガス。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年4月29日、4月8日にてこずったアンパイア Sam Holbrookにまたしても遭遇したジェイソン・バルガスの初勝利。

ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年5月28日、アダム・ケネディのサヨナラタイムリーを生んだマリアーノ・リベラ特有の「リベラ・左打者パターン」配球を読み解きつつ、イチローが初球サヨナラホームランできた理由に至る。






damejima at 23:17

July 03, 2011

今日のセーフコのゲームで、サンディエゴは左投手を先発させてきたが、試合開始前から日本のファンに予想されていたとおりの「貧打」で、9回を1失点に抑えたダグ・フィスターが「完投負け」した。
これでダグの今シーズンの成績はとうとう3勝9敗という数字になってしまったわけだが、防御率は、なんと3.02のハイスコアだ、

いったいどこの世界に、防御率3.02で、9敗もする投手がいるというのか。監督エリック・ウェッジは、無意味な「左右病」のスタメン起用でどこまでダグ・フィスターに迷惑をかければ気がすむのだ。
San Diego Padres at Seattle Mariners - July 2, 2011 | MLB.com Classic


エリック・ウェッジのくだらない戦略のひとつに、「相手の先発投手が左か右かによって、使う選手、特に下位打線のプレーヤーの顔ぶれを大きく変更する」というのがある。
この愚策、「左右病スタメン」とでも呼んでおこう。

シーズン当初は、イチロー、フィギンズ以外は、ほとんどの打順が変更され続けたが、ようやく最近になって、イチロー、ライアン、アックリー、スモークあたりの野手が上位打線として固定されてきてはいる。

だがそれでも、いまもエリック・ウェッジの「左右病」は酷い。

特に酷いのは、相手先発が左投手の場合
日本のシアトルファンの間では、「左投手との対戦では、エリック・ウェッジは勝つつもりがないんじゃないか」とまで言われだしている。


こういう話題が出すとよく、データとはとても呼べない思い込み数字を頭に描きつつ、エリック・ウェッジが左投手に対して組む打線の酷さを擁護しようとする人、あるいは、自分の好きな選手をウェッジが好んで起用するのを擁護しようとするヒトをみかけるが、アホらしいにも程がある。

まぁ、ファンが、根拠になど到底ならない「データもどき」や、単なる自分の好みから、脳内思い込み打線を組むのなら笑って済まされもするが、まさかウェッジ本人も、そういうくだらない思い込みと、根拠のない好みだけで、現実にまったくそぐわない打線を毎回組んでいるのではないか? と心配になってきた。


いくつか、シアトルの打撃に関する「思い込み」の弊害を挙げてみよう。


「シアトルで、最も左投手を打っているのは、
右バッターではなく、左バッター」である

そもそも監督エリック・ウェッジのやりたがる「左右病打線」がおかしいというのは、「シアトルで、最も左投手を打っているのが、右バッターではなくて、左バッター」であることからして、明らかだ
右バッターも右投手を得意にしている打者が少なくない。右打者ミゲル・オリーボの12本のホームランのうち10本が右投手からのもの。右打者ブレンダン・ライアンの対右投手打率は.264で、左投手からの打率は.221しかなく、打点も大半が右投手からのものだ。

左投手を左バッターが打っているという、クリアな、誰の目にも明らかな現実があるにもかかわらず、ウェッジは、たとえば今日の打順でいうと3番に、クリーンアップで打てた試しがない右打者グティエレスを入れている。
これでは打線が機能するわけもない。
ウェッジは明らかに目の前の現実やデータでなく、古くさい野球常識にとらわれて采配している
対右投手の右打者 .227 .275 .317 .592
対右投手の左打者 .222 .308 .354 .662
対左投手の右打者 .225 .279 .336 .615
対左投手の左打者 .263 .314 .332 .646
(数字は順に、打率、出塁率、長打率、OPS)2011 Seattle Mariners Batting Splits - Baseball-Reference.com

左は得意で右が打てない左打者ダスティン・アックリー
40打数12安打
対右投手 32打数6安打 .188
左投手 8打数6安打 .750
Dustin Ackley 2011 Batting Splits - Baseball-Reference.com

問題の解決には、常にハッキリ、明瞭に物事を考えるクセをつけておくことが大事だ。「見えてない問題」というものは絶対に解決しない。だから、いちいちハッキリと定義しておく。
シアトル打線で左投手を打てるのは、むしろ左打者である。この例からも、相手先発投手が左だから、右だからと、打線を組み替え続ける行為は、ことシアトルにおいては、まったく無意味な行為。


「ジャスティン・スモークは左投手に強い、
 わけではない」

実践トレーニング中の有望プレーヤーをあげつらいたいために書くのではないが、くだらない誤解は撲滅しておかなくては気がすまない。
よく「ジャスティン・スモークは左投手に強い」などと、わけのわからないことを強弁したがる人を見る。
ジャスティン・スモークが左投手に強い?(笑)何を根拠に、そういうおかしなことも、したり顔で言い続ければ間違った意見も正しくなるとでも思っているのか。くだらない。実際のゲームで右打席のスモークの「しょっぱさ」を見ていれば誰でも「スモークが本当にパワフルなのは左打席」であることはわかる。
もし、掲示板かなにかで、「ジャスティン・スモークは、左投手に強い」とか公言して得意ぶっている人間を見ても、くれぐれも「そうなんだ」などと納得してはダメだ。くだらないアホウの言うことなど、信じないことだ。

スモークの投手別の打撃データは、打撃データをチラ見している程度だと、「.280打っている対左投手のバッティングのほうが、右投手よりもはるかに優れている」ように見える。
Justin Smoak 2011 Batting Splits - Baseball-Reference.com
だが、「対左投手の打率」という大雑把な数字は、先発投手を打った数字ではない。むしろ、MLBでよく「モップ」といわれる「敗戦処理投手」まで、あらゆるレベルの左投手を含んだ「雑な数字」だ。おまけに、スモークの場合、対左投手の打数が、対右投手よりはるかに少ない。
(これは、監督エリック・ウェッジが、スモークを「苦手にしているはずの右投手のときに、やたらと起用してきた」という意味でもある。ウェッジの先発起用がいかに合理性に沿っていないか、がわかる)

実際、もっと詳しいデータで、スモークの先発投手別の打率を見てみると、相手先発が左投手だろうと右投手だろうと、彼の打率はほぼ2割4分ちょっとしかない。
つまり、実は、スモークの打率は、先発投手に対する数字でいうと、それが左投手だろうと右投手だろうと、関係ない、のである。

くだらない思い込みをこれから聞かなくて済むように、あらためできちんと言い切って、定義しておく。
スイッチヒッター、スモークの現状のバッティングは、シアトル打線が苦手とする左投手先発のゲームで「特別な輝き」を期待できる、と言い切れるほどのデータ的根拠は、世界中どこを探しても存在しない。


「フランクリン・グティエレスは
 左の先発投手が打てる、わけではない」

エリック・ウェッジが何を期待してこの右打者をクリーンアップに入れたりするのか知らないが、彼は以前「クリーンアップのような、プレッシャーのかかる重たい打順は打ちたくない」という意味の発言をしたことでも知られる気の弱いバッターであり、今シーズンの彼の打順別データでもわかるとおり、彼が最も結果を残してきたのは「6番」などの下位の打順であって、「3番」は適任ではない。
Franklin Gutierrez 2011 Batting Splits - Baseball-Reference.com

たしかに彼の対左投手打率は.308で、対右投手の.162よりはるかにいい。
だが、グティエレスも、ジャスティン・スモークで話したこと同じだ。彼は左の先発投手に対しては.231しか打てていない。右の先発投手に対する.182と、たいした差はない。

グティエレスの守備はともかく、彼のバッティングにエリック・ウェッジがどういうレベルを期待しているのか知らないが、ここでハッキリと指摘しておこう。
先発投手を打ちこなせるレベルにないフランクリン・グティエレスの現状のバッティングに期待して、シアトル打線が苦手としている左投手先発ゲームで、彼をクリーンアップに抜擢するのは、明らかに愚かな策。左投手に対するバッティングで彼に期待していいのは、ゲーム終盤のブルペン投手との対戦など、限定されたシチュエーションのみ。


「アダム・ケネディは、左右どちらの投手も打てるのに、
 左投手先発ゲームでは起用されない」

スモークと比較する意味で、アダム・ケネディの「投手別」の打撃について触れておこう。というのも、アダム・ケネディはスモークと非常に対称的な数字が残っているからだ。
Adam Kennedy 2011 Batting Splits - Baseball-Reference.com
ケネディは、先発が右投手のゲームでの先発打率が.273あるのに対して、左投手先発ゲームでは、.222しか打てていない。こういう大雑把な数字だけ見ると、例によって軽率にも「ケネディは左バッターだけに、右投手が得意。右投手専用だ」と思い込む人間が出てくる。
本当に馬鹿につける薬がない。次のことを忘れてはダメだ。
エリック・ウェッジがケネディを先発起用したのは、ほとんど右投手の場合しかない。ケネディの起用ゲーム数と打席数は、対右投手が60ゲーム192打席、対左投手が33ゲームで42打席。つまり、右投手のゲームでは「先発フル出場させている」のに、対左投手のゲームではほとんど「守備固め」とか「代打」とかでしか使われていないのだ。

ウェッジがケネディを右投手のゲーム中心に先発させてきたにもかかわらず、ケネディの右投手全体、左投手全体、それぞれに対する打率そのものは、.270と.263で、ほとんど変わらない。これは素晴らしい。
ケネディのイニング別打率を見ると、ゲーム終盤になってもほとんど打率が下がらないのだが、それを見るかぎり、「ケネディは、右投手先発のゲームでは結果を残してきたのはもちろんだが、先発起用されなかった左投手先発のゲームの代打などでも、彼はブルペンレベルの左投手を、右の先発投手と同じレベルで打ちこなすように努力してきている」という意味にとらえることができる。

エリック・ウェッジのくだらない言い訳をこれからマトモに耳に入れずに済むように、あらためできちんと定義しておこう。
アダム・ケネディは右投手だけしか打てないのではない。右の先発投手はもちろん、マトモにスタメン起用されなかったゲームでも、左投手に対してそこそこの結果を残してきている。だから、先発投手が左だろうと、右だろうと、スタメン起用する価値がある。



今日のサンディエゴとのゲームでも、アダム・ケネディはゲーム終盤になって代打起用されているが、エリック・ウェッジは最近よくこういう中途半端な選手起用をする。
例えばナショナルズとのゲームでは、当時絶不調なのがわかっていたフィギンズを代走をやらせた後、守備にもつかせて、タイムリーエラーを誘発させ、逆転負けしている。
シュアなプレーのできるアダム・ケネディをこんな中途半端な起用で疲労させるくらいなら、なぜスタメン起用するか、最後までベンチに座らせるか、どちらかにすべきだ。(もちろん、本来はスタメン起用すべき)
おまけに今日の下位打線には、ジャック・ウィルソン、ショーン・フィギンズと打てない野手を並べ、おまけに、3番にグティエレスだ。打線が繋がるわけがない。

前の原稿で、「シアトルの打線は、エンジンのかかりが遅く、諦めるのが早い」「その原因は、ゲームになかなか入れない選手がいることだ」と書いたが、こんなハンパな選手起用ではゲームに入れっこない。当然だ。






damejima at 16:10

July 02, 2011

今日のフィラデルフィア・フィリーズはローテの谷間的な日だったが、9回表に2点入れて逆転し、トロントに勝っている。ほんとうにこのチームは「負けないチーム」だ。


MLBファンは良く知っていることだが、フィリーズ打線はいつもゲーム終盤に得点を入れている印象がある。勝っていれば「追加点」「ダメ押し点」、負けていても「逆転」「サヨナラ」があるような気にさせられる。
気になったので、フィリーズのイニング別打率を調べてグラフにしてみた。いやー、予想はしていたが、いくつか他チームにはみられない特徴がある。

2011 Philadelphia Phillies Batting Splits - Baseball-Reference.com

フィラデルフィア
2011 Philadelphia Philliesのイニング別打率(2011年7月1日)


イニング別の打率で特に特徴的な点を挙げてみた。
これを読む上で気をつけてほしいのは、リーグ全体のイニング別打率なんていうものは1日ごとに大きく変化することがある、ということ。だから、あくまで今シーズンに限った話題だ、くらいに読んだほうがいいだろう。

1)普通は、9回の打率は、他のイニングに比べて下がるが、フィリーズはむしろ「打率が上がる」
2)3回、6回、9回と、「3の倍数のイニング」の打率が高い
3)普通2回の打率はどこのチームでも下がるが、フィリーズでは落ち込みが激しい。

イニング別の打率について、いくつか頭にいれておくべきことをメモしておこう。

まず、リーグ間の比較について。
いくつか勘違いしてはいけないポイントがある。

DH制のあるア・リーグのバッティングはいかにも「どのイニングでも穴が少なく、どのイニングにも打率が高そう」に思え、また、ナ・リーグは「投手に打順が回るのだから、イニング間の得点力にかなり凸凹がある」と思いがちだ。
だが、2つのリーグにそれほど差はない。
DH制の有無は、イニングごとの攻撃力についてだけ言えば、思ったほど影響を与えているように見えない。両リーグとも、全体の傾向は似ていて、「2回に打率が下がり、試合中盤は2割6分程度の打率で横ばいに推移し、ゲーム終盤には.240程度に下降する」。


両リーグのイニング別打率で、違いが出る可能性があるのは、「7回以降の打率」だろう。
ア・リーグでは、7回を過ぎるとチーム打率は明らかにガクンと降下していく。対してナ・リーグでは、9回に大きく下がりはするものの、7回、8回は、ア・リーグほど急激に降下しない。
いいかえると、「ゲーム終盤の打率では、ナ・リーグがわずかながら優勢」なのである。
そういえば、去年のワールドシリーズでテキサスがゲーム終盤でサンフランシスコに毎試合のように逆転負けをくらっていたのを、まざまざと思い出す。


次にフィラデルフィア独自のイニング別の打率傾向の特徴を見てみる。

どういうわけか「3の倍数のイニング」、3回、6回、9回に、打率が高いイニングが繰り返し現れる。
必ずしも「3の倍数のイニング」にだけ上位打線に打順が回ってくるとは限らないわけで、理由は他にあるだろう。
3イニングごと、という点から考えると、打順が一巡するたびに相手投手の傾向を把握して、しっかりと「バッターの狙い」が定まっていっているのではないかと推測するのだが、どうだろう。
あとで、ア・リーグのシアトルとボストンのイニング別打率データを挙げてみるので、比較してみてもらいたい。

フィラデルフィアのイニング別打率の最も強い特徴のひとつは「9回の打率の異常な高さ」だ。
ア・リーグであれ、ナ・リーグであれ、2回がそうであるように、「9回は、チーム打率が下がるのが普通というイニング」だが、フィリーズは違う。9回のイニング打率は.271もある。
いま、ナ・リーグで最もチーム打率が高いのはチーム打率.270を誇る中地区2位のセントルイス・カージナルスだが、セントルイスもやはり9回の打率が.281もある。
セントルイス
2011 St. Louis Cardinalsのイニング別打率(2011年7月1日)


強いチーム、といっても、いろいろな強さがある。
フィリーズの「3の倍数のイニングの打撃力、特に9回の粘り強さ」は、ヤンキースのような「破壊力」とは違う。
たぶん彼らの日頃のスカウティング能力の高さ、研究心は、チームとして相当鍛えられているのではないだろうか。「試合序盤のエンジンのかかりの早さ」、「ゲーム中にでも相手投手を研究する探究心」、「ゲーム中でも相手投手に対応していく即応力」、「ゲーム終盤でも得点を諦めない、しつこさ」。

よくまぁ、ジェイソン・バルガスはこんなねばっこいチームを完封できたものだ。


ナ・リーグの強豪のゲーム終盤の粘り強さには、「代打の起用度、活躍度の差」もあるかもしれない。
ナ・リーグでは、ゲーム終盤に投手や、ヒットの期待できない打者に打順が回った場合、監督は躊躇なく代打を起用するため、ゲーム終盤になっても打率改善が期待できる。
ア・リーグでは、ゲーム終盤に打てない打者に打順が回ってきてしまっても、監督はほとんど代打を出さない。
この「代打の活用度の違い」は結果的に、「ア・リーグの監督は、どういうわけかゲーム終盤に低打率の打者が自動的に凡退するのを放置している」と言えなくもないような気がする。


比較の意味で、最後にシアトルとボストン、ア・リーグの2チームを挙げておこう。たぶんシアトルのグラフを見て、驚かれる人が多いと思う。

シアトル
2011 Seattle Marinersのイニング別打率

ボストン
2011 Boston Red Soxのイニング別打率(2011年6月30日)


あれこれ説明する必要はないだろうが、シアトルのグラフの形状が、あまりにも他のチームと異なっている。特に違っている点を列挙しておく。

1)シアトルの打者は、試合序盤の打率が低すぎる
2)シアトルの打者は、試合終盤の諦めが早すぎる


シアトルの打者の打撃成績があまりにも低く、チームの打撃成績が全体としても悲惨であることは誰でもわかっていることだが、どこが悪いのかがわかっていないことが多い。
このイニング別打率データでわかることのひとつは、シアトルの打者はけして「才能が無いから、バッティングが悪いのではない」ということだろう。

フィラデルフィアやセントルイス、ボストンといったチームは、初回や3回といった「早いイニング」からチームの打撃力の「地力」が出せる
対して、シアトルの打線は、明らかに、エンジンのかかりがあまりにも遅く、諦めが早い
このことの原因はいくつもあるだろうが、打率が低いとか、ホームランが少ないとか、そういう漠然としたことばかり言っているだけでは、いつまでたっても対策は立たない。

エンジンのかかりの遅さ」は、つまり、相手投手の傾向をつかまえるタイミングが他のチームよりかなり遅くて、打順の3巡目くらいにならないと、相手投手をつかまえることができないために、相手チームに先取点をとられてゲームの主導権を失いやすいということだ。
これは、打者として才能がある」とか、ないとか、そういう問題とは別の問題もあるのではないか。

よく、球技では「ゲームに入れる」とか「ゲームに入れない」という言い方をするわけだが、シアトルの野手は、どういうわけか、「なかなかゲームに入れない選手が多い」のではないだろうか。
もしもその原因が、スタメンをコロコロ変えることにあるのだとしたら、監督エリック・ウェッジは、対策として、意味もなくスタメンを変え続けるのをそろそろ止めて、スタメン固定を考えるべきだ。
また、相手チームの投手を早くつかまえるために、野手はスカウティングをもっと打席に生かすべきかもしれない。さらに、自分の得意な球ばかり打っているようでは、早いイニングで相手投手をつかまえることなどできない、ということも言えるかもしれない。
また、ゲーム終盤の打率の低さを補う意味では、「代打」をもっと活用して、打てない選手をゲーム終盤で打席に無意味に送り出すのを止めるべきかもしれない。


とにかく言いたいのは、頭を使わず、ただ漠然と嘆いているだけでは、解決の糸口はつかめてこない、ということだ。






damejima at 21:32

June 30, 2011

いまちょっと多忙で時間のゆとりがない。なので、書いていることにきちんとしたまとまりをつけ、そして他人への礼節を十分考慮している時間がない。
言いたいことを行間から汲み取ってもらえると、ありがたい。


ものすごくいい投手陣と、ものすごくダメな打線を同時に持った野球チームは、どういう勝率に落ち着くか?
これが「シンプルな答え」への第一歩だ。


「 5割 」


そりゃ、そうだろう。
投手だけで全試合を勝てるわけがない。また、いくら打撃がヘボでもシーズン全敗はしないものだ。

こういうチームが、何の「工夫」もなく、ただただ漫然とゲームを積み重ねているだけでは、勝率5割を天井にして、5割前後の勝率をフラフラと彷徨うことになる。原因はチームを指揮する立場にあるGMや監督の「ポリシーの甘さ」「自分の目指すべき道が見えていないか、間違っていること」にある。その理由を以下に書く。



ものすごくいい投手陣と、ものすごくダメな打線を同時に持った野球チームは、企業でたとえるなら、「仕入れ金額で、そのままモノを売っているだけの会社」だ。

けしてダメな会社ではない。ダメならとっくに倒産している。
ダメではない理由は、先発投手という「固定資産」は持っているからだ。企業でいうなら「抵当に入れることができる自社ビル」みたいなものだ。
だが、自社ビルがあるために高額な賃貸料を負担せずにすむのをいいことに、仕入れそのままの金額でモノを売っているだけで、「付加価値」にあたるものをまるで産み出せない会社が、成長するわけがない。「利益」が出ないのだから当然である。やがては自社ビル(投手陣)が限界に来れば、自然と倒産する。


「利益」というのは、野球の場合、何だろう。
いうなれば、勝率が負ける率を常に上回るような「良い状態」をつくりだし、貯金が増えていくことだが、何も工夫せず、仕入れ金額そのままでダラダラとモノを売っていては、ダメなのだ。あたりまえだ。
「商売」というものは、仕入れたモノを同じ金額で売るのが目的ではなくて、何か「工夫」をして「付加価値」をつけ、仕入れ金額より高い金額で売り、利益を出すことで、はじめて成り立っている。


いいたとえかどうかわからないが、シアトルの攻撃でヒットが生まれ、ランナーが1塁にいるとする。
ランナーは、得点に化ける可能性のある「資源」だが、チーム打率2割ちょっとのチームの場合は、もし何の工夫もしなければ、この「ランナーという資源」は、ほぼ間違いなく無駄になる。それがたとえ、ノーアウト2塁、あるいは、ノーアウト3塁のランナーでも、だ。同じことだ。いままでの10年で、そういうイライラするシーンを何千回見せられてきたことか。
チーム打率2割ちょっとのチームがランナーに「付加価値をつける工夫」とは、たとえば、打てもしないホームランをジッと待つばかりではなくて、少なくとも進塁打くらいは打ち、必要ならバントをし、四球を選べるような努力もし、投手に球数を投げさせ、走れるランナーは盗塁をくわだて、ベンチはヒットエンドランを仕掛けるなどして、ともかく無策のまま指をくわえてイニングを終わらないようにすることだ。
何も考えずにプレーしていたのでは、ランナーは「常に資源の無駄」に終わる。

仕入れたものをより高く売る工夫、利益の出る商売を成り立たせていく智恵を、「経営」とか「マネジメント」とかいうなら、「経営」とか「マネジメント」が何か仕事をしないかぎり、チーム打率2割ちょっとのチームでは「勝率5割を超える本当の意味の利益の出る商売」は成り立たない。
ものすごくいい投手陣と、ものすごくダメな打線を同時に持った野球チームで、ただ投手が頑張って、野手が凡退するだけでは、「勝率5割を超える本当の意味の利益の出る商売」が成立しないのだ。



シアトル・マリナーズがどういう野球チームか。
それを知るデータは、2つでいい。
細かいデータなど、一切必要ない。

チームの1試合あたりの得点 3.425
チーム防御率 3.26


マリナーズという「会社」は、投手が「3点ちょっと」とられ、打者が「3点ちょっと」とる、そういう「仕入れ構造」のチームだ。
たいていは、「相手に点をやった分」だけ、自分も「点を入れる」。つまり、どこにも利益(=この場合は、試合の得失点の「リード」)が無い。
「ギリギリの商売」だ。仕入れた金額でモノを売っているのと、まるで変わりない。いくら仕事しても、財布に札束が貯まっていかない。
だから勝率はいつも5割が「天井」になる。非常にロジカルな話である。そして「儲けを出せないマネージャー」はクズだ。



防御率というのは、「9イニングでの失点数」に換算した数字だ。だから、9イニングで防御率3点ちょっとがノルマ、という数字の意味は、「先発投手が、6イニングで絶対に2失点に抑える。つまり全部の先発投手の全登板が、クオリティ・スタートである」「リリーフピッチャー全体で、1試合に許される失点は、最大でも1点まで」というような意味になる。

打線に要求される仕事も計算してみる。

先発投手が6イニングで2点以内に抑えているとすると、その試合で打線に求められる仕事は「試合終了までに、得点を最低3点とる」ことだ。これさえできれば、同点ないしはリードして試合終盤を迎えられる。いいかえると、「ゲームをつくる」ことができる。
野球は9人でするスポーツだ。だから、どんなに凡退を繰り返しても、3イニングで打順は一巡する。9イニングで3点とるということは、打順が3回一巡する間に1点ずつ合計3点とれると、その試合で最低限の仕事ができた、という意味になる。打順が一巡する3イニングごとに1点とるということの意味は、野球の場合、たいていは「9人の打者の誰かがホームランを打つ」か、「9人の打者の誰かがタイムリーを打つ」か、「対戦相手が致命的なミスをする」という意味になる。


今シーズンのホームラン数が試合数より多いチーム、つまり、1試合あたりのホームラン数が1.000を越えるチームというのは、ア・リーグでは実は3チームしかない。あのホームランばかり打っているように感じるヤンキースやボストンも、実はホームラン数は試合数より少ない。
ましてシアトルのホームラン数は、80ゲームを消化して53本であり、ア・リーグの下から2番目の少なさだ。
だから、シアトルでは「9人の打者の誰かがホームランを打つ期待値」と、「9人の打者の誰かがタイムリーを打つ期待値」を冷静に比較する必要がある。

だが、さらに言えば、シアトルで「9人の打者の誰かがタイムリーを打つ期待値」は、調べなくても、かなり低い。ましてや「いきなりノーアウトかワンナウトで長打が出て、シングルヒットですぐに点が入る」というような簡単で理想的な形で、簡単に得点できることはほとんどない。

だからこそ、
打者に求められる仕事は、何人かのキープレーヤーを中心に、「ランナーを出す」「ランナーを進める」「ランナーをホームへ帰す」という連続した地味な作業を、チーム全体のタスクとして共有し、共同作業することだ。いまさらこんなこと言わなくてはならないのだから、アホらしいが、できてないのだからしかたない。


ここまでの計算は子供じみた簡単なものばかりだが、「実際のシアトル・マリナーズの自転車操業のゲーム感覚そのまま」であることは、シアトルの実際のゲームをいつも見ている人なら、わかると思う。

このチームがなぜ「自転車操業感覚なのか」といえば、
上に書いたこと全てを達成し続けることは、いくつかの「達成し続けるのはどうみても無理な前提」に立っているからだ。

・先発投手が全登板でクオリティ・スタート達成
・リリーフ投手は絶対に失点しない
・3イニングに1イニングは必ず得点する
・必ず誰かが1試合に1本ホームランを打つ
・ランナーが出たら、必ず得点圏に進める
・得点圏にランナーが出たら、必ずタイムリーが出る
・誰も守備で致命的エラーをしない、鉄壁の守備

こんな前提、どうみても無理がある。

ところが、だ。
その「どうみても無理がある前提」のうち、なんと、先発投手については「ほぼ理想的にこなしてきてしまった」のである。守備も、何人かの選手は合格点だ。

ならば、この企業の経営者、マネジメントに課せられた「仕入れた選手にやらせるべき仕事」は、決まりきっている。

打撃をなんとかする」ことだ。

だが、こんな曖昧な目標では組織は発展しない。従業員というものは漠然とした目標では何をしていいかわからないものなのだ。もっと細かく、具体的に目標とやるべき仕事を設定しないと、プリンシプルとして使い物にならない。たとえば、こうだ。

必要なのは、
・出塁すること。出塁したランナーを進めること。得点圏のランナーを帰すこと。これらのことを、「1試合3点の最低得点を目標に、チーム全体で行っていく共同作業」に協力できる意思と能力のある野手。
・出塁作業では、ヒットを打てる野手。打てなくても「四球」を選ぶ野手。凡退しても、投手に球数を投げさせる選手。
・ランナーを進塁させる意識では、タイムリーを打てる野手。盗塁できる野手。ランナーを進める打撃のできる選手。凡退しても、ダブルプレーにならない野手。
・投手の失点を防止できるほどの守備力を持った野手

必要でないのは、
・「1試合3点の最低得点のためのチーム全体で行う共同作業」に、協力する意思と能力のそもそも無い野手。
・失点につながるような致命的エラーを犯しやすい野手
・シチュエーションにあわせてプレーを変えられる能力がなく、簡単に相手チームのスカウティングの網にひっかかってしまう野手


ここに挙げた目標は、あくまで「たとえ」だが、
使うべき選手、使うべきでない選手くらい、サクっと分類できないで、どうする。

エリック・ウェッジの「選手選び」には、ポリシーが欠けている。相手の投手にあわせてとっかえひっかえしているだけでは、チームのポリシーなど、見えてくるわけがない。相手投手が右投手だろうと、左投手だろうと、そんなのは「どんな野球がしたいか?」にはまるで関係ない。
中核になる選手は、攻守に意識と技術の高いイチローブレンダン・ライアンダスティン・アックリーアダム・ケネディの4人だ。
なのに、ムダに選手起用を間違えまくって、ナショナルズにスイープされ、上昇の機運もあったチームをわざわざ下降線に導いたのは、明らかに監督エリック・ウェッジの責任だ。


そして去年打撃を構築することに失敗したズレンシックは、今年もまた同じミスを犯した。先発投手5人の頑張りでなんとかぶら下がってきたが、そんなアクロバットは、疲労が出てくればすぐに終わってしまう。


そのうちもっと書くつもりでいる。


観客動員数が減少傾向にある原因は、短く言うなら
シアトルの甘ったれたマネジメントの生み出す施策が、チームの現状、チームの解決すべき打撃面の課題と合わず、チャランポランで、ポリシーが甘いからだ。

どこをどうすると、このチームで、イチローをチームの重心からはずし、ペゲーロやグティエレスがバットを自由に振り回して、結果的にフリー・スインガーばかり育てるようなマネジメントが成功するというのだ。
20試合に1本打つかどうかもわからないホームランでも待ちながら試合をしていれば、勝率が5割を越え、若手も育つとでも思っているのか。馬鹿をいうな。

原宿のガキどもを騙すように、キングスコートの客たちにいくらビールを飲ませて騒がせても、チームは勝てるようになど、ならない。
外野で酔っ払って、見境なく選手にブーイングをするような節操の無いファンを必死に集客しまくってまでして、迎合して、観客席を埋めないといけなくなるほど、スタジアムをガラガラにさせてしまった原因は、おまえらの政策がアホウだからであって、イチローの責任でもなんでもない。

かつてのフリースインガーだらけの「城島問題」時代のような、質の悪い、アタマを使わない野球に戻りたいのか。目的の見えない馬鹿な施策を、いったい、いつまで続けば気がすむのだ。

シアトルの地元メディアのアホウどもも、少しは頭を使って、モノを言え。

4点とれば、あとは投手にまかせておけば、ほぼ勝てるチームなんて、球団経営者に与えられた課題としては、どれだけ「軽い」課題であることか。
先発投手のことは投手たちにまかせておいて、打撃だけ改善すればなんとか勝たせることができるような、そんな目標の単純なチームですら勝たせる工夫ができない監督、ゼネラル・マネージャーは、ダメに決まってる
あんたらの工夫が足りないこと、指揮の方針のミスが多すぎること、優柔不断さが低迷の原因になっていることを、もっとよく考えろ。






damejima at 04:37

June 01, 2011

勝ったぁああああっっっ!
ジャスティン・スモークの決勝逆転3ラン!!!
ひゃっほぉぅぅぅううううううう!!!!!

2011年5月31日 8回裏 スモーク逆転3ラン
Baseball Video Highlights & Clips | BAL@SEA: Smoak's three-run shot puts Seattle up late - Video | Mariners.com: Multimedia

"Smoke On The Water" Live in Tokyo


Baltimore Orioles at Seattle Mariners - May 31, 2011 | MLB.com Classic

今日の勝利を呼び寄せたのは、言うまでもなく「不振のショーン・フィギンズを2番からはずしたこと」だ。今日の劇的な勝利で、2番からフィギンズをはずすという方向性は当分の間、堅持されるだろう。
エリック・ウェッジ、グッジョブ。

Ichiro RF
Ryan SS
Smoak 1B
Cust DH
Gutierrez CF
Kennedy 2B
Olivo C
Rodriguez 3B
Peguero LF

Bedard P

そう。
フィギンズが2番にいない。
いないどころか、スタメンにも入っていない。

かわりに2番に入ったのは、ブレンダン・ライアン
ボルチモアの先発ジェレミー・ガスリーの出来が素晴らしく良く、シアトルは5安打しか打てなかったが、そのうちの2本を打ってくれた。


8回裏は、イチローの1、2塁間を抜けそうなヒット性の当たりを好捕したボルチモアのファースト、ルーク・スコットが、イチローの俊足に焦って一塁へ悪送球したことから始まった。(記録はエラー)

ここで、この日初めて2番に入ったブレンダン・ライアンがヒットでつなぎ、
そして、ジャスティン・スモークの見事な3ランショット。
こんな劇場的展開でスタジアムが沸かないわけがない。その後リーグがセーブを記録して、リーグトップの15セーブ

こういう日にスタジアムにいられた観客は幸せだ。

すもぉぅぅーーーく・オン・ザ・ぅおーーーたーーーーーー
a fire in the sky. Yeah!
セーフコは ぴっきぴきにロックしてるぜぇえええ。


それにしても、
昨日、ショーン・フィギンズを放出すべきって記事を書いて、その中で、ローリング・ストーンズって単語を使った、そのとたんに、フィギンズがスタメンはずれて、しかも、スモーク・オン・ザ・ウォーター
この曲、スイスのジュネーブで実際にあった火事を元ネタにしてて、歌詞の中にローリング・ストーンズが出てくるんだよね(笑)
ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2011年5月30日、言語学的意味論から考える「しぼむ風船」ショーン・フィギンズ。






damejima at 13:37

April 10, 2011

たくさんのイベントが用意され、せっかく盛り上がるはずだった開幕ゲームのハッピーなムードをぶち壊しにした2人の出来損ないのジャック、すなわち、ジャック・ウィルソンジャック・ズレンシックに対して、開幕を楽しみにしてきたファンと、監督エリック・ウェッジ、チームメイトに対する、きちんとした謝罪のステートメントを要求する。


ブログ主が聞きたいのは、「今後はチームに貢献できるように努力する」だのなんだのという、よくある軽いエクスキューズではない。
必要なのは、明確な「アイム・ソーリー」だ。
欧米人は謝らないのが普通だ、だの、なんだの、そういう屁理屈はまったく必要ない。

もし、ジャック・ウィルソンが謝罪できない、謝罪したくないというのなら、もはやゲームで使う必要はまったくない。
もちろん、たとえ謝罪したとしても、ジャック・ウィルソンを即時トレードしても、なんら、さしつかえない。まったく問題ない。

自分が重大なミスをしてゲームを壊しておいて、しかも、ミスをした自分のほうからゲームを離脱するなど、もってのほかだ。さらに、経緯に関して嘘をついた挙句に、ゲームに出たいだのなんだの、言語道断、もってのほか。ファンを馬鹿にするのも、たいがいにしてもらいたい。

まず謝罪。話はそれからだ。



この不祥事が起こる原因を作ったのは、はっきり、
GMズレンシックだ。



理由は、2つ。

第一の理由は、ズレンシックが、あらゆる点で期待はずれだったジャック・ウィルソンを、獲得に責任のあるGMとしてきちんと処分しようとしないどころか、むしろ、セカンドへのコンバートなどという中途半端な形でスターターに温存して、ジャック・ウィルソンを甘やかし、慢心させたことだ。

ジャック・ウィルソンはこれまで、ケガばかりのスペランカーであり、ロクにゲームに出ていない。ショートの守備は平凡だし、打撃面も期待できない。
にもかかわらず、ズレンシックは、2010年冬にまったく同じショートのポジションに、まったく同タイプ、守備専ショートのブレンダン・ライアンを獲得してきた。
このことにより、マリナーズのペイロールの無駄遣いはさらに加速した。同じポジションに同タイプのプレーヤーは2人いらないのは当然だ。だから、ライアンを獲得したのならジャック・ウィルソンのほうはスタメンから干して追い出すか、トレードの駒にするか、なんらかの手段で処分するしかなかったはずだ。

一方、2010年には既に、フィギンズが二塁手としては並以下の守備しかできないことはわかっていた。
にもかかわらず2010シーズンは、セカンドからサードにコンバートされていたホセ・ロペスと、二塁手のつとまらないフィギンズの守備位置を、2人とも元に戻すアイデアも実行することなく、ズレンシックは頑固にフィギンズを二塁手に固定したまま、シーズン100敗を喫した。
なのに、2010年のシーズン終了後にズレンシックのやったことといえば、セカンド守備をやるという前提で自分が獲得してきたショーン・フィギンズの「本職である三塁手に戻りたい」というわがままを聞いてやるという愚策だった。
その結果、セカンドをフィギンズに譲ったホセ・ロペスの最後の砦となっていたサードのポジションは、あっけなく、わがままし放題のフィギンズのものになってしまうことになる。
ホセ・ロペスは、もともと二塁手だっただけに、彼をセカンドに戻して使うアイデアも可能だったが、なんとズレンシックのやったことといえば、もともと二塁手だったロペスの放出だった。

こうして、GMジャック・ズレンシックは、ショーン・フィギンズとジャック・ウィルソン、この高給取りの2人に馬鹿げた処遇を与え続け、甘やかし続けた。
ズレンシックが多くのペイロールと選手を犠牲にして獲得してきた2人が、2人して、守備も、打撃も、両方が度をこして期待はずれだったことにあるのは明白だったにもかかわらず、ズレンシックは問題の核心をわざと避けて通るように、とことん彼らのわがままを聞いてやるような馬鹿な真似をしたのである。

結果、セカンドのポジションは、結局、控えのユーティリティプレーヤーとしてズレンシックが獲得してきた二塁手のできるピークが過ぎたアダム・ケネディでも、期待の若手のダスティン・アックリーの育成に使うでもなく、なんとショートの守備しか実績のないジャック・ウィルソンにくれてやることになった。
馬鹿としか、言いようがない。ジャック・ウィルソンには、セカンドをやることで不平不満を言う権利そものがないことは、こうした経緯から誰の目にも明らかだ。


第二の理由は、2010年のショーン・フィギンズ打順降格事件で、まったく毅然とした対応をとらず、むしろ、悪しき前例を作ったことである。
当時のショーン・フィギンズは(今年もそうだが)、あまりにも打撃が酷いために、9番に打順を降格させられ、それが不満で、ゲーム中のダグアウトで監督と揉め、2人して揉めている様子がテレビカメラを通じて放映される、などという馬鹿なことをしたプレーヤーだが、この不祥事をきちんととがめて処罰しておかないから、こういうことになる。

そのフィギンズ、今年も既に「あるまじき最悪の打撃成績」になっている。フィギンズの今後の処遇についても、来るべきときが来たら、つまり、あまりに結果が出せないようなら、打順を降格させるなり、スターターからはずすなりという降格処分を、今度こそ、躊躇なく実行すべきだ。

監督ワカマツがクビになったこと自体は指導力や経験の不足からくるもので、それ自体はしかたがない。だが、いくら経験不足の監督であっても、監督という管理職をまかせた以上、GMの役職にある人間は、監督としての立場とプライドを守ってやる責任と義務がある。

今回のジャック・ウィルソン事件でも、ズレンシックは"Eric is the manager, and he's in charge,'' (Chuck Stark: Wilson, Wedge add controversy to Opening Day » Kitsap Sun)と、去年のショーン・フィギンズ事件のときに、監督ワカマツについて言っていたのとまったく同じことを言っているが、ズレンシックのこういう言葉がまったく信用ならないものであることは、彼がフィギンズを全く処罰しない一方で、監督ワカマツは、自分のチームコンセプト大失敗の責任をおっかぶせるようにクビにしたことで明らかだ。

監督キャリアのないワカマツは、監督を大事にしないチームの酷い扱いに膝を屈したが、エリック・ウェッジは違う。次のゲームでラインナップ・カードにジャック・ウィルソンの名前を書かないかったのである。
ウェッジがスターターからジャック・ウィルソンをはずすことで、明確に処罰の姿勢を示したことを、このブログは強く支持する。スターターに絶対に戻すべきではない。


もし、今回のジャック・ウィルソン事件がきちんと処理できなかったときは、GMジャック・ズレンシックは即時辞任すべきだと考える。



Mariners' Eric Wedge: Jack Wilson's actions 'unspeakable' | Mariners.com: News
エリック・ウェッジ「ジャック・ウィルソンの振る舞いには、呆れてモノが言えない」(マリナーズ公式サイト)

Seattle Mariners Blog with Shannon Drayer - Mariners Blog - MyNorthwest.com
(ブログ注)このシャノン・ドライアーの記事は、まず、ジャック・ウィルソンが自らゲームを降りた4月6日の水曜に一度書かれ、2日後の4月8日金曜にジャック・ウィルソンのほうから事態の収拾を狙って少数の記者だけを集めて、自ら語ったインタビューについての部分を追加する形になっている。ジャック・ウィルソンの態度が、この数日でどう豹変したかを読み取るには非常に都合がいい。

Mariners Blog | Mariners had better get this Jack Wilson thing under control fast | Seattle Times Newspaper
「マリナーズはジャック・ウィルソンの事態を早急に収拾すべき」(シアトル・タイムズ)

Mariners must rid themselves of Wilson | MORE TOP SPORTS - The News Tribune
「マリナーズはウィルソン事件を克服すべき」
(The News Tribune)

Mariners can't keep Jack Wilson; Eric Wedge shows he's in charge - Blog - MyNorthwest.com
「マリナーズはウィルソンをチームに置いてはおけないだろう。エリック・ウェッジは指揮官が自分であることを示した」
(MyNorthwest.com)

Jack Wilson situation takes another turn following Mariners loss | Seattle Mariners blog - seattlepi.com
(Seattle Post Intelligencer)
「マリナーズ敗戦後、ジャック・ウィルソンの件で急展開」
(ブログ注)「急展開」というのは、最初は「水曜のゲームでは、監督のウェッジに交代させられた」と嘘の発言をしていたジャック・ウィルソンが「実は、監督にではなく、自分からゲームを降りた」と事実を語ったことをさす。この発言を受けて、地元メディアは大慌てでこの事件についての記事のトーンを一斉に変えた。








damejima at 07:18

October 20, 2010

2002年から元クリーブランドの監督をしていたEric Wedgeが、ワカマツに代わるシアトルの新監督に決まったらしいが、あまり関心はない。監督が誰になろうと、シアトルのチーム体質の弱さを決めている要因は「全く野球と関係ないところ」に存在しているからだ。


それにしても、
Eric Wedgeが「どういう人物か」を安易に話題にしたがる人に限って、やれ彼がかつてミルトン・ブラッドリーと揉めたことがあるだの、なんだの、そういう、どうでもいいことばかり気にしている。ほんと、ブラッドリーとの関係など、どうでもいい。


そんな、どうでもいいことより、むしろブログ主が非常に気になっているのは、2002年からクリーブランドの監督になって、最優秀監督賞まで貰ったことのある、このEric Wedgeの「本当の手腕」はどの程度のものなのか?ということと、Eric Wedgeと、2007年5月にクリーブランドのフロントに入ったアナリストのKeith Woolnerとの関係である。


その話をするためには、ちょっと最初に
クリーブランドの歴史を振り返ってみないといけない。

中地区5連覇、ワールドシリーズ進出2回に輝いた90年代のクリーブランド黄金時代の監督は、元シアトル監督でもあったマイク・ハーグローブだが、この90年代のクリーブランド黄金期は、このチームの順位を順にさかのぼるだけでわかることだが、2000年にハーグローブの後を引き継いだ「赤鬼」チャーリー・マニエルが監督を辞めた2002年に、まるで巨大なマーリン(カジキマグロ)が針にかかって張りつめていた釣り糸が、突如ブチ切られるように、まったく突然に終わっている。ここがまず問題だ。


Eric Wedgeがクリーブランドの監督に就任したのは、マニエルの後の2002年10月だが、チームはしばらく低迷が続いた。低迷の理由はしばしば「かつての主軸打者マニー・ラミレスや、ジム・トーミが移籍していなくなったから」と説明されている。
こういう、日本の出来損ないのウィキみたいな説明ぶりでクリーブランドの低迷を説明するやり方が、どうにも納得がいかない。
主軸の強打者が3人いれば馬鹿みたいに勝てるが、彼らが抜けると、昨日までの強さが嘘のように、突然弱くなるのが当たりまえ」みたいなアホらしいモノ言いが、非常に気にいらない。


じゃあ、何か。

クリーブランドは、アル中のアルバート・ベルジム・トーミマニー・ラミレスの「バットだけで勝てた」、とでもいうのか。

90年代から2001年にかけてのクリーブランドには、彼らのような強打のクリンアップ以外に、常に複数のゴールドグラバーがいて、チームを支えていた。そのことを忘れてもらっては困る。
ベネズエラ出身メジャーリーガーの英雄といえば、ルイス・アパリシオだ。アパリシオはフェリックス・ヘルナンデスが受賞したルイス・アパリシオ賞の元になったベネズエラ伝説のショートストップである。(資料:ダメ捕手、城島健司。The Johjima Problem.:2009年11月18日、フェリックス・ヘルナンデス、ルイス・アパリシオ賞受賞。
そのアパリシオが絶賛し、アパリシオがもっていたいくつかの記録を塗り替えたのが、かつてクリーブランドの黄金時代を支えたベネズエラのもうひとりの名遊撃手オマール・ビスケール(クリーブランド在籍1994-2004)。そして、ビスケールの相棒が、名二塁手ロベルト・アロマー(1999-2001)。さらに、90年代に5年連続盗塁王になったケニー・ロフトン(1992-96、98-2001)がクリーブランドにいた。
彼らゴールドグラバーの堅い守備もあったからこそのクリーブランド黄金時代であることも、忘れてもらっては困る。
守備は強いチームの野球の、非常に大事な要素である。
(ちなみに、最初シアトルの選手だったビスケールは、グリフィー・ジュニアと同じゲームでメジャーデビューしている。だがシアトルが、ドラフトで全米1位だったアレックス・ロドリゲス(当時はもちろん三塁手ではなくショート)を指名したことで、ビスケールはクリーブランドに移籍することになった)


ちょっと興奮して話が脱線した(笑)
問題は大きくは、3つある。


第一の問題;
Eric Wedgeが、才能ある若手選手に恵まれて優勝した、ラッキーなだけの監督」である可能性


最初に問題にしたいのは、Eric Wedgeが2002年10月にクリーブランドの監督に就任して、しばらくは低迷が続いて、何年かしてからようやく実現した「一時的なクリーブランドの復興(2005年の中地区2位、2007年の中地区優勝)が、本当にEric Wedgeの手腕のおかげだったのかどうか?」だ

2000年代前半のクリーブランドには、投手に、CCサバシアクリフ・リーファウスト・カーモナ、野手にグレイディ・サイズモアトラヴィス・ハフナービクター・マルチネスと、有望選手が揃っていて、彼らはみな「開花寸前の名花」だった。
まだあまり調べてないのだが、サバシアやクリフ・リーがまだ若手だったあの当時Eric Wedgeは「主軸打者の抜けてしまったクリーブランドで、若手育成を成功させ、チームを復興させた名監督」とでも絶賛されていたのかもしれないが、彼らの多くが結果的にメジャーの看板選手として大成した現在から振り返れるなら、意味は変わってくる、と思う。
Eric Wedgeは単に、「ありあまるほどの才能をもった多数の若手選手に恵まれただけの、ラッキーなだけの監督」だった可能性も、十分すぎるくらいある

むしろ、当時これだけの有望選手がズラリと揃っていたのに、たった1回しかポストシーズンに進出できなかった、1回しか地区優勝できなかった、そういう監督だ、という言い方だって、できなくはない。例えば2008年なども、サイ・ヤング賞投手とシルバースラッガー賞の打者がいるというのに、チームは81勝81敗の地区3位に甘んじているのである。
どうも「ラッキーな監督」という話で説明できてしまいそうな気がしてならないのが、ちょっと怖い。なんせ、来シーズンはこの人がイチローのいるチームの指揮をとるのである。


第二の問題;
「サイバーメトリストによる現実の野球チームにおける『野球実験』」の諸問題


Keith Woolnerは、VORP(Value Over Replacement Player)の考案者であり、知っている人も多いだろう。MIT(マサチューセッツ工科大学)出身で、2007年5月に野球のシンクタンクBP(Baseball Prospectus)からクリーブランドのフロント入りして、以降、得意分野である分析や予測を担当しているらしい。
Eric Wedge - Wikipedia, the free encyclopedia

で、ここから、
いろいろと考えなければならないことがある。

まずKeith Woolnerがフロントに加わったことが、「2008年クリーブランドの迷走」にどの程度影響しているのか、あるいは、してないのか。それが知りたい。

クリーブランドは、クリフ・リーがモノになってきた2007年に、2001年以来の中地区優勝を果たした。
だが翌2008年には、クリフ・リーがついにサイ・ヤング賞投手になり、グレイディ・サイズモアがシルバー・スラッガー賞とゴールドグラブを同時受賞しているにもかかわらず、周囲から「謎の不振」といわれる、原因のよくわからない低迷、というか、チーム運営の大失敗を犯して、81勝81敗の3位に低迷している。その結果が、クリフ・リー、ビクター・マルティネス放出に繋がった。
それ以降も、クリーブランドの低迷は、近年の中地区でのミネソタ独走状態を見てもわかるように、けして修正されているわけではない。
List of Cleveland Indians seasons - Wikipedia, the free encyclopedia

この自滅現象、最近どこかで見たような気にならないだろうか?

ブログ主はこの「2008年クリーブランドの迷走」に、Keith Woolnerがどう関わっているのかが妙に気になる

この2010シーズンのシアトルにおいて、GMズレンシックが犯した歴史的大失敗は、「超守備的野球チーム編成という『野球実験』の大失敗」であり、また「机上理論そのままに、野球チームを編成してみる、という『チーム編成実験』の大失敗例」でもある。
この「2010年ズレンシックの『野球実験』の歴史的大失敗」を見てもわかることだが、例えばプロの球団がアナリスト(それがサイバーメトリストであれ、シンクタンクであれ、何であれ)の知恵を借りるとして、「アナリストの考え方や助言を、野球の現場の運営や判断に役立てること」と、「アナリストの考え方そのものでできたチームを作ってみること」あるいは「アナリスト自身がチーム運営にあたること」とは、大きく意味が異なる

だから、もしかすると突然起こった「2008年クリーブランドの迷走」においても、「2010年ズレンシックの野球実験の歴史的大失敗」と同じような背景や事件があったりはしなかったのか?と、疑念を多少抱くわけだ。

もし仮にだが、「2008年クリーブランドの迷走」の裏で、なにか2010年シアトルの野球実験の歴史的大失敗と似た「なにかしらのアナリスト主導の野球実験」が行われていた、もしくは、「ベースボールの現場指導者と、現場に机上の理論を持ち込もうとするアナリストの激しい衝突」が存在していたとしたら、あれほど有望選手を抱えていたクリーブランドが2008年に突然歯車が狂いはじめた理由が、すこしは説明できそうな気がしてくるのである。

こうした仮説が該当する事実の片鱗でも見えてくれば、2007年春にクリーブランドのフロントに加わったアナリストKeith Woolnerの影響がわかってくるのだが、今のところはまだ、ただの仮説でしかない。
(「2010シアトルの野球実験」の失敗の教訓は、本来、関係者が十分わきまえて来年に向かわなければならないわけだが、ズレンシックと球団首脳は自分たちの失敗を、まるで認めていない。むしろ「俺たちは正しい」くらいに思っているように見える)


第三の問題;
Eric Wedgeは、理論的に野球をすることや、野球実験の意味を認めているのか?拒絶感はないのか?」という問題


2002年から監督をやっているEric Wedgeと、2007年にフロントに入ったKeith Woolnerの関係については、まだよく調べていない。可能性は無限にあって、2人の関係は非常にうまくいっていたかもしれないし、うまくいってなかったかもしれない。
いまのところ、例としては、こんな記事がある。
Statman Begins: Keith Woolner and the Indians | '64 and Counting: Scene's Sports Blog
だいぶ長いし、どうにも読みづらい記事だが、ひとことで言って、監督のEric WedgeとフロントのKeith Woolnerがうまく折り合っていたとは到底思えない記事だとは思う。
もちろん、人間関係というものは、記事ひとつで全て推測できるほど簡単なものではないので、記事ひとつみつけたくらいで結論は出さない。

いまのところ気になるのは、チームの専属アナリストKeith Woolnerとの軋轢やストレス(ストレスはうまくいっている人間同士の間にもあるものだ。珍しくない)の中で「Eric Wedgeが、「分析重視の野球をやる」というチーム運営方針に、どういう感想を抱くに至ったか、それにどのくらい賛意をもっているか」という点だ。

もし仮にだが、Eric Wedgeが「アナリストの野球には、もうウンザリだ。あいつらの言うことなんか聞きたくない。アナリストは野球のボールにも触ったことがないクセに」とでも思っているとしたら、今後も野球実験をするつもりでいるように見えるズレンシック、そしてシアトルのフロントオフィスの監督選びは、そもそも、出発点からして根本的に間違った人選をしていることになるのであるが、来シーズン、いったいどうなるか。


もし来シーズンが、歴史的大失敗の今シーズン以上の破滅的シーズンになるとしたら、いくらアナリストの分析や理論を押し付けようとしても、この「かなり個性的で、熱血な監督」のコントロールはきかなくなる。
当然の話だ。






damejima at 17:35

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